天の庭 俺の家がそう巷で呼ばれているのを知ったのはつい先日のことだ
空にたなびく様に浮かぶこの庭 いや城は難攻不落の要塞
そういっても過言ではない そう自負している
この思いの大半は機獣への過度な期待、その一抹の表れだ
ここから見上げる夜空 星空は、雲にも風にも邪魔されない
よって自分自身はプラネタリウムに等しい感覚を持っている
大きくて小さい世界の一抹の一抹 この100×100に満ちるかどうかという浮き島
ここに更に小さな俺がいることに大切さなど覚えない
俺はただやることをするだけだ
天の庭の端 いや縁に座って空を眺める
それは神社の方角 今日からが本番である
空から舞い遊ぶように姿見せた一筋の光り
秋の夜の真ん中 月下に輝くのはアゲハ蝶でも連想させようか
おおよそ18mにもなる棚引いたそれは、そのまま神社へ行方をくらました
今夜は満月 満ち足りた夜
一部の妖怪はその力にあやかり、また一部は恐れる
地球の満ち引きを左右する天体である
昔から自然の一部として崇められたそれは、今なお風物詩として残る
そこには表の顔があり、高度な科学技術が発展している
もちろん、アポロ11号は気づくわけがなかった
こちらから向こうへの一方通行
彼らは石器時代からものの数日で地球のあらゆるものより上に立った
それこそ「知恵」と「知識」によって
そこからの来訪者 本日は少し荒れる日となる
俺は最高速 それこそ懐かしいエアライドのハイドラ いやドラグーン位の速さで天を駆けた
目的地は博霊神社 月のレイセンの元である
時間差にして、霊夢とほぼ入れ違いになることは計算済みであった
ぐて~~っと寝ている一匹のウサギ 結構可愛げがある
俺は「特殊な小包」を持ち出した 中には特性の金属板が入っていた
其れをチョーカーに仕立て直して首につけた
苦しい などの症状が起こらないようにゆるめて
この種は俺しか知らない いや、俺も良くはわからない
ただ、俺の能力による所作であることは間違いないだろう
中にはほかにもチップ等埋めてはあるが、あくまで向こうへのお知らせである
愉しくなりそうだ なんて陽気に思いながら博霊神社を発った
俺の旅立ち際だけレイセンが見ていたのは知ることはなかった
「手紙?」
「ええ……八意様からのものよ」
月の海 水面に淡く写り揺らぐ二人の姫様
その後ろには一匹のウサギが引っ付き歩いていた この子こそがレイセンである
「本来玉兎の亡命は刑罰に値しますが、今回は特別に許しましょう」
「そうね、それはいいのだけれど 問題はコレよ」
豊姫はすっ と撫でるようにレイセンの首を触った
途端、チョーカーは弾けて一枚の金属片を生み出した
依姫は首を傾げざる終えなかった 手紙より金属片が大事 そこに思い違いが生まれても致し方ない
しかし、そんな思い違いも内容の確認と共に畏怖へと変わる
その金属板には文字が書かれていた 八意様の手紙と同じように
「先に言っておくわ 八意様の手紙には月への侵略者について書かれていたわ」
依姫は感じた その鉄片が其れと無関係ではないことに
「じゃあ、読むわね
こんにちは この度月の都を襲わせていただくこととなりました」
「随分と舐めてるね」
二人とも可愛い顔には青筋を立てていた
「月に強襲させていただいたときにまた、挨拶させていただきたく思います
定刻 月満ちた時にお会いしましょう」
次の満月に襲いに行くよ 簡単な要約をすればこんな所か
そのくらいならまだ恐れるに足らず 返り討ちにしてやればよい
「それだけか?」
「いいえ、少しだけ続きがあるわ 恐らくこちらが本文
『 32 53 85 』
二人は首を傾げた この文字配列に一体何の意味があるのか
よくわわからないから 一般人に見せたって答えは返ってこないだろう
この人物 男か女かは定かではないがそれでも
「……討つのみ か」
「そうなるわね」
豊姫は桃を一つ手にとって食べる
本来ならしかるはずの依姫も手に取った
鉄片は知らぬ間に形を変えていた
其れは、一本の矢の様だった
反撃の嚆矢、「 死 ぬ よ 」と書かれたその矢は
地表に溶けるように流れ落ちた