朝 山の頂上に建物が見える
あそこはもともと何もなく、眺めが良かったことを覚えているのだが
「……守矢神社かな」
俺はそこの名前をボソッと告げた
外界から新しく来た神社がそこには聳え立っていた
3柱神ともなると、一匹じゃ不安なので狼と亀
前振りどおり訓練に使わなかった二匹を起こす
ぶっちゃけ言うと神の力相手で大丈夫だろうか?
「まぁいいや、やればわかる」
そう思い準備をしている所にドアノック
着替え終わってからあけると、そこには見慣れた黒髪ショートのブン屋
「大変なんですよ!!」
文が立っていた
「新しい神社がきたんだろ? 今から締めに行くがどうだ?」
「あややや、付いて行っていいのですか?」
「構わないさ いくよ」
ぐっ と半ば強引に文の手を握ると口笛を吹く
グルワアアアア!! ゴリュリュリャア!!
と、同時に二匹の泣き声がする これでOKだ
緑狼の背中に文を招いて空を翔る
文と同じように風をおもに使う緑狼
正確に言うと砂や、鉄粉を操って擬似的に風を起こしている というのが正しい
結構なスピードで雲を渡り山の上に突き出る
妖力をまぁ、文ぐらいに開放 着地する
「文、大丈夫か?」
「なんとか、この狼さん早いですね」
ガウゥ! 返事をする緑狼
どうやら懐いてしまった様だ どこか近い所を感じたのだろうか
そんなことはとりあえず置いといて
「おい神!! てめぇらちょっとでてこい!!!」
ものすごい怒号で神社に向かって叫んだ
其れはもう、あたりが震撼したかのような声で
その途端、ぶわっ! と白いようなオーラが辺りに立ち込めたのがわかった
ぶっちゃけ、自分より弱いと思う 機獣で楽勝だな
そこに表れたのは紫髪ストレート 神奈子だ
「なんだい騒がし……妖怪か」
「お前ら、勝手に山とってどういうつもりだ」
「別に? 神社の仕事をしようと思うけど?」
そういって背中に広がる無数の穴
もうあっちが話をする気がないのは良くわかった
「妖怪退治をね!!」
神奈子の背中から、突如 無数の御柱が放たれた
六角形の其れは俺の退路を塞ぎながらちゃくちゃくと追い込んでくるが
ゴッ!! という音をたてて表れた無数の岩によって砕かれた
「なっ!」と驚く神奈子に対してその岩を打ち込む
御柱の本業が防御であるように こちらの岩も防御が固い
こちらの仕掛けた岩は向こうの御柱に砕かれた けれど
「一匹だと思った?」
その言葉に合わせるように後ろから颯爽と風に乗って緑狼が現れた
口から吐かれた鉄粉が渦を巻いて竜巻を生み出す
それは触れるだけで切り裂かれる無情の暴風
神奈子に向かってまっすぐ吹き荒れたそれが周りを赤く染め上げはじめる
「くっ! 妖怪のくせに」
「残念だがそいつらは妖怪じゃないんだなぁ」
生々しい音を立てながら神奈子の皮膚が切れていく
美しく鮮やかな真紅 それに服が染まっていく
それを見つめていた玄武は 一瞬顔をしかめた後
ゴルウア!! と唸りをあげて岩を飛ばした
鋭利に輝くその岩はまっすぐに神奈子の横を通り過ぎた
それはその後ろで一瞬だけ見えた早苗と諏訪子 その二人に向けられたものだった
三人ともあっけなく膝をつく
「あやや ホントにこれが神なんですかねぇ」
「一応神よ 蒼真後は任せなさい」
「いきなり出てくるのやめない? 紫」
「それは私の本質を否定してるのと一緒よ」
そうだね、でも
「ご一緒させてもらおうかな 文に記事にしてもらわなきゃだし」
「そうねぇ 特別よ」
そう言って倒れこんでいる三人を抱えて 神社の大広間に勝手に上がらせてもらった
「さぁて、なにから聞きましょうか」
紫がそうつぶやく 目の前には正座する3柱神
隣に文 天魔 紫 という状態である
随分と沈んだ表情をしているが、んなこたしったこっちゃねぇ
こちとら勝手なことされると迷惑 なんて心で呟きながら三人を見ていた
反省したような顔つきをしているが、眼差しは明らかに反抗的だった
気乗りしないのも無理はない 妖怪にねじ伏せられた神など
言語同断 同情に値するよ
「さて、ではあなたたちにはこれから幻想郷に住んでもらうわけですが」
「くっ、妖怪の下に回るなど……」
「生かしてやってんだからつべこべ言うな 八坂神奈子!」
名前を言ってやる ぶっちゃけ何かいうよりもよっぽど効果があるだろう
向こうは名前を明かしていないのだから
「……くっ 仕方ないか」
「初めからそう言え」
「蒼真、少し黙りなさい
貴方たち ここは幻想郷 全てが対等な世界よ」
そういって紫は説明を始めた
妖怪も神も人もスペルカードルールの元 平等に審議される
言わば紫の作り出した夢物語であるそれに早苗、諏訪子はいいとして
軍神である神奈子はひどく反発した
もちろん、剣の舞で大人しくなったが
結果としては守矢神社は新しいスタートを切ることになる
これから少しばかり、慣れる間に面倒なことがあるのだが
それはまた別の話