東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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若干みじかかったかな?
今回は妹紅編?


不屈の焔 月へのお誘い

「月に……行って見たくはないかい?」

「月……?」

 

蒼真からの意外な一言に妹紅は首をかしげた

いっぱいに広がる白い髪を揺らして

「そう、月にさ」

蒼真から同じ言葉が出てくる

 

妹紅は考えた 月というのはまた随分自分を苦しめてくれたものであるからだ

しかし、自分の苦悩の心の内の内 そこには「なぜ蒼真がそのような話を持ちかけたのか」

確かな疑問がそこにはあった 蒼真は私に何をさせたいのか

向こうを向いてもニコニコした蒼真がいるだけ いや、胸は高鳴るのだが

聞いたところでまともな返事は返ってきまい そう妹紅は確信していた

あの笑顔の奥に何か黒い物が渦巻き 蠢いている事

それを直感 いや、もっと別のなにかで うっすらと感じていた

 

恐らく、それはほとんどの人妖が経験したものであり

そこに惹かれたのが自分だけではないのもわかっていた

深い碧の瞳 そこに秘められた意図 考えてもわからない

「なっ なぁ、蒼真は なんで月に行きたいか?なんてきくんだ?」

思い切って妹紅は聞いた その答えが嘘偽りだったとしても、ヒントになれば そう考えた

蒼真は考えた 唇に舌を這わせてから言葉を紡いだ

 

「ロケットが月へ飛び立った 其処に紛れて紛争が起きる

 不屈の焔よ 自分以外にも悲しい目に会った人を キミは知らないだろう」

「私……以外に?」

俺は頷いた 反射的に口元を隠したのはなぜだろうか

「ああ、浦島太郎 なんていう童話がある」

 

「浦島太郎? その人が被害者なのか?」

「昔、亀がいじめられていてね それを漁師であるその人は助けたんだ

 すると、亀は彼を背に乗せ海の底 竜宮城へ案内した

 しかし、地上に帰るとそこは何年も後の世界で みやげ物の煙で老いてしまった」

簡潔にまとめた浦島太郎 面白みがないのは残念だが、まぁこれも一興よ

「でっ、でもそれは海で 月は空、輝く天体だろ?」

妹紅の質問 的確に的をえた質問である 

モヤットボールに俺は答える

 

「まず、童話だから話には改変が当然ある」

「改変……」

「ああ、まず名前は水江浦島子 かわらず漁師 ここからまた話が違ってくるんだ

 昔、千五百年以上前だ 彼は漁に出ると煌びやかな五色に光る亀を見つけた

 途端に捕まえたくなり舟で追いかけ陸が見えなくなった頃に 海へ飛び込み捕まえた

 しかし、近くの船は見当たらず いつの間にか月の都へたどり着いた」

「そこまではなんとなくわかったけど、なんで竜宮城なんだ?」

「嘘を教えたのさ 月の民にとって此処が月であることはばれて欲しくない

 だから亀に乗ったことをいいことに海の底だと教えたんだ

 そして3年 彼はそこで過ごしたのだが とうとう帰りたいと言い出した」

「まぁ、帰りたくもなるよ……」

 

「しかし、ばれて欲しくはない だからその男を冬眠させたんだ」

そこまで言ったとき、妹紅が目を回し始めた

いきなりどうしたと言うのだろう

「いやいや、冬眠は熊なんかがするもので 人間はしないだろ?」

「ごもっとも でも月の技術……詳しくは省くけど 人工的に冬眠させた

 そしてそれから300年後の世界に帰したんだ」

これが後に色を帯び、形を崩して浦島太郎になった

今彼は漁の神として祭られているのだが

 

「……まぁ、似たような感じの境遇者があったのは認めるよ

 それで、私になにをさせたいんだい?」

「妹紅には、俺と一緒に月への復讐をやってほしいんだ」

復讐 妹紅も俺も月に直接因縁があるわけではない

しかし、妹紅は間接的にとはいえど、月人から酷い仕打ちを受けている

そこら辺の歴史を俺が知る由はないけど、霊夢たちよりか妹紅のほうが

俺の買い被りかもしれないが強い そうおもっての同行のお誘いだった

妹紅は考えた この話に乗っていいものだろうかと

蒼真の話には色々奥 深さがありすぎて私にはなんともいえない

少し考えた末 この結論にたどり着き 同行することを約束した

 

「良かったのかな?」

妹紅は壁に背中を合わせ、今日の会話を思い出す

話しに乗せられ流され 押し切られた気分が大きい

しかし、これも蒼真の口車 戦略なのかな? なんて思い口から苦笑いが飛び出る

 

月……色んな思い出がありすぎる

親が句で読んだり、そこからの民が来て一騒動あったり

月に一番近い山で、残酷な神の手を目の当たりにしたこともある

強引かもしれないが自分の周りには目に見えない

それこそ、月の魔力が蠢いているのではなかろうか?

いや、月のように変な魅力を持っているのは 私じゃなく

……いいや、やめよう そうおもって床に寝そべった

一つ一つの会話を思い出しながら妹紅は眠る

 

それと同刻 

「後5日か」

時を告げる声が、上空で響いた

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