東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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姉パートです


豊姫の誤算

「……」

私と依姫は悶絶した 上空から舞い上がってくる獣の姿に

そして、それらが二つに分かれて”私達を攻撃してきたことに”

 

上空の赤い鳥が、体から無数の火の粉を降らせたのだ

私と依姫はとっさに逆方向へ別れそれを避けた

そこに追尾してきたのは緑色の狼、黄色い馬、青い龍に黒い亀だった

どうやら赤い鳥はあっちへ向かったようだ

 

見る限り奴等は生物じゃない 何処かに司令塔がいるはずなのだが

私ははっと思い出した、こいつらに紛れて人間が二人立っていたことを

 

ーーーしかし、その二人を探している暇はなかった

目の前に突然迫る砂風 それがただの砂風であったなら警戒はしなかった

当たる数秒前に気づいたのだ”その粒一つ一つがとても鋭利な先を私に向けていたことに”

考える暇もなく条件反射で私は動いた とっさに掴んだあの扇子

それで風を薙ぎ払った そのまま風は狼へと向かっていく

その狼は避けることなく、その風に当たった

 

しかし、分解される そう思った私が馬鹿だった事は直わかった

私の見落としは全部で3つある

その1、相手の狼は風を操ったこと

その2、相手が何一つ対策をせずに挑んでくるわけがないこと

その3、龍が視界から居なくなっていた事

 

目の前で当たったと思っていた扇子の風はいともたやすく弾かれた

とっさで強く仰いだにも関わらずだ

けれど、その驚きに浸っている猶予は無い

私の後ろ、月の海の水面……そこから微かに唸り声が聞こえたのだ

「しまった」そう思い振り返ったとき

宙に浮く大量の水滴と龍が視界に映った

 

龍が目を見開くと同時に大量の水滴は目に見えないほどの速さで飛んできた

扇子を仰ぐ暇さえなく、私は手で顔を覆った

ブシャ!っと生々しい音をたてて皮膚が切れる

月の科学の発達は早い それこそ、地上の愚かな人類よりも

だから、地上の民が知ることは私の常識と同じ……

「素早い水は……全てを断ち切る……」

痛みをこらえながら、私は呟いた

地球の物でたとえるならダイヤモンドを切ることが出来るくらい

それこそ、私がなぜ今生きていられるのか とても疑問だった

 

刻一刻 時間を重ねるたび出血は増える、もたもたしてはいられない

全身全霊で扇子を仰いだ、水滴は飛沫となって四散した

私の皮膚を、傷を、服を 激しい飛沫は濡らした

私は赤く染まっていた

いつもならそれは返り血であっただだろう

違う、今回は自分の血なのだ それが私のプライドと威厳を崩して言った

私の風が龍に当たるもはまったくの無傷、さっきとまるっきり同じである

 

「くっ……ハァ ハァ」

私の息は荒かった、四匹が相手 しかも扇子は効かない

私の能力で表の月へ行ったとしても、呼吸を奴等はしていない

ギリッ、力が入り歯軋りがした

 

なにか、依姫のように刀でも 持っていられたら

いや、無いものは仕方が無い何か手立ては無いだろうか? そう考えていられる時間が少ないのは分かりきった事

短い時間の中で、時間がめぐるほどの速さで頭は回転を始めていた中

ボゴンッ!! 突如足元が崩れた

崩れた体制の中で亀が大きく口を開けているのが目に入る

「次はアイツか!」

そう思い扇子を身構えると、亀の周りの岩が持ち上がり

ーー私を潰さんと押し寄せえた

 

扇子でばっと砂に返したとき、岩によって出来た死角

そこを馬が走り抜けた、しかしそれを見ていられたのもつかの間

また激しい風と水が押し寄せてくる

扇子でその場はどうにかなるものの、元を絶てなければきりが無い

「一番ドン臭い奴は!」と、私は亀の方を向き

やっとすることが出来た私からの攻撃、この調子で攻められるか?なんて取らぬ狸の皮算用をし始める始末

 

まだ当たっていないにも関わらず、私の中は達成感でいっぱいだった

後数秒で当たるという時、突如私の周りに岩が浮き出た

しかし、私にはあたることが無く玄武への道は開けていた

どうもおかしい、大体時間が非常に長く感じるのだ

走馬灯……という言葉が浮かんだ刹那、私は瞬時に後ろを振り返った

私は目の前のものに驚き、亀を足場にして何とか飛びのいた

 

ゴロゴロゴロオオオオ!!けたたましい音をたてて雷が落下したのである

あの馬だ、現に今やつの身体は大量の静電気で覆われている

水は電気を良く通す、理にかなっていて感心する

けれど、それと同時に弄ばれていると思ったのも事実だ

奴等は攻撃こそ連携しているが二匹以上で責めては来ない

必ず一匹ずつ攻めるのだ、そこを逆手に取れないものか……

気づいたとき、私は走っていた

あの馬の体の電気量、それが大幅に上がっていたからである

それと、もう一つ

 

あの電撃を龍が食らったらどうなるだろうか

という望み、確立の低さは認めるが精一杯の打開策だった

龍の後ろに回りこんだとき、電撃音が鳴り響く

その電撃は龍にあたり……

非常に痺れる電気水となって、私にふり注いだ

その電撃を身体で感じて、死ぬほどのものではないと感じたとき

心から安堵しながら、意識を手放した

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