「第一関門クリア♪」
弾むような口調で俺はそう言い放った
視界の先には倒れこむ二人の女性……綿月姉妹の姿があった
隣の人間、いや蓬莱人は絶句していた
相当の強さの二人を、数で勝ったこともさることながら 数分で決着をつけたのだから
かという俺も「絶対に勝てる」そう踏んでいたわけではない
依姫の呼んだ金山様は、正直賭けの要素しかなかった
そして、たとえ命令による偽りの忠義であったとしても、主人で在れることを誇れると そう、感じた
朱雀と青龍が二人を抱えて飛んでくる
二人とも、いい感じに気絶しているようだ
俺は妖力揺らめく怪しい鎖を取り出した
雁字搦めに二人を縛ったそれはガチャン!と、音をたてて外れなくなった
所々には茨のような棘があり、所謂拷問道具である
まぁ、そんな事はどうでも良かった
これからやらなきゃいけないことに比べたらよっぽど
「妹紅」
「……なんだ、蒼真」
「前に説明したとおり、幽々子と酒でも盗んできてくれ」
「……はぁ、本当に盗むのか?」
「それ以外に理由がないんだよね」
領空もあるが、今は月の酒が飲みたくて飲みたくて仕方がない
妹紅は俺の言葉に押されて、渋々とポイントへ向かった
さて……と
「こんにちは、読んで頂けましたか? ツクヨミ様」
俺は闇夜を背に虚空へと言葉を響かせる
反響した音という大気の波は神々しい者の耳へと届いた
「ほう、流石「頭」と言ったところかな 何が目的だ?」
宵闇の中から、一際明るく見えるそれ
重々しい口調で放たれる言葉は、ゆっくりと脳へ語りかける
「そうカッカなさらずに……お酒が欲しいのです、出来ればつまみも」
俺は愉快な人形、ピエロの様に口角をあげて愉しく話す
しかし、残念ながらそれは機嫌を損ねるだけだったらしい
「ほざけ、妖怪が其れだけのために わざわざ囮など使ってくるものか」
青筋をくっきりと立てて叫ぶツクヨミ
その目には綿月の姉妹、依姫と豊姫が写っており明らかな葛藤が見て取れる
俺は月の青白い光を受ける腕をゆっくりと上へ上げた
「信じてもらえなくて……残念です!!」
ビッ! と風を斬る音が聞こえると同時にツクヨミの頬に一閃、赤い線が走った
ぷくりと赤いシズクが浮かびその線を伝い、顔の輪郭をなぞる様に流れた
一瞬で葛藤した顔が歪む それは憎しみと怒りの体言であった
ズッ!! と、白いオーラがツクヨミを寄り一層包み込む
それは誰が見ても神とわかるような風格、力を持っていた
「……お主が誰かは知らんが、月の神に喧嘩を売ったこと 後悔させてやる!」
シュリイイーッ キン! と、鋭い音をたてて刀が覗く
その艶やかな面にはくっきりと、顔の歪んだ滑稽な自分が写っていた
ぐっ、と曲げられた足が真っ直ぐに伸び 目の前にはツクヨミが迫っていた
「終い!」と、声が一つ凛と響き両手に握り締めた刀が振り下ろされた
それと、鏡が割れるような音がしたのは同時であった
刀の刃が内側から弾ける様にして砕け散ったのだ
パラパラと破片が降り注ぐ その破片には、顔が青ざめたツクヨミと
一層滑稽な俺が写る
「後悔が、何だって?」
俺はそういいながら捻れた槍のようなものを、右手の先から作り出す
降る破片を見届けるツクヨミの脇腹に、それは大きく抉り込んだ
「がっ!!! っ……貴様ああ!!」
叫び声と同時に勢い良く鮮血が飛び出し、俺の顔の半分を濡らした
見下すような目で……そう、もっと赤い眼差しで
「……ッヒヒ、遊ボウゼェ?」
だんだん、足の先から黒く染まっていく
眼差しは青かった筈が赤、いつの間にか紫色に染まる
ぐるり と歪に伸びた不揃いな角
湾曲した紋様は、鮮やかな鮮血を取り込みとぐろを巻いていく
最早、人型にも思えない其れは熱い鼓動を全身で震わせていた
「キヒヒッ ヒャハハ」
ゴギリ 、ギキッと、鈍い音を鳴らしながら頭がどんどん捻れていく
90…180…270…と、薄気味悪い笑みを浮かべながら
一回転…、それが合図となり機獣は一斉に動いた
獣を中心とした7角形
それぞれから映し出された魔方陣が中央の大きな闇に飲まれる
「消エルコトノナイ 全テヲ食イ尽クス 闇」
カタコトの様に発せられる言葉の羅列
其れは不協和音、いくつものノイズと混じり告げられた
黒い黒い黒。
何色をも取り込み、他の色には決して染まらない
獣の、帝王の、漆黒
ーーー帝印「暗闇之悪夢」
ヴウウウゥゥゥッ と、なんとも耳障りな音をたてて
機獣が全て、黒く染まった
今回はテスト期間なので雑な気がします(逃げ