頑張って書きますが、スランプ気味の現在は更新が遅いかもです(泣
暗い闇の中、うねりをあげる空間
歪んだ時間の交差点、夜天は一人笑っていた
「成功したっ、邪魔者はもういないっ!」
歓喜と皮肉の混ざり合った、奇妙で奇怪で逆撫でてくるような感じ
「絶望」と「憎悪」と「悲嘆」の交じり合う瘴気に満ち満ちた世界
精神世界の魔城に彼は立っていた
そこから響く笑い声は途切れる事が無い
「紅偽が消えた、後はアイツをのっとるだけ!!」
今までの皮が剥がれたかのように笑い狂った
当然の事だ、自分の計画の歯車は回っているのだ
着々と、ギアはあがっていく
「どいつもこいつもアホばかりだな、俺様が居るってのによぉ」
糸が切れたように感情が溢れ、言葉を虚空に放つ夜天
溢れるのは人間の憎しみと欲、欲、欲
その結晶体、集結した闇の塊こそ彼であり、その本質なのだ
後にも先にも、抱く願望はたった一つ「世界を闇で飲み込む事」
自分の力を現しやすい「幻想郷」を滅ぼし、拠点として世界を牛耳る
いや、全てを破壊しつくす。
蒼真の力であれば、太陽系を壊すのは積み木を積むのと同じくらい簡単である
星を内側に向けて超圧縮させ、星そのものを砕いてしまえばいいから
力の素質があった蒼真は生まれたときからマークしていた
一番効き目があったのは「紅偽」の魂を捕まえて、能力を発現させられた事だ
この十数年ほど掛けて作り上げた計画がいよいよ動き出すのだ
力での征服、精神の崩壊。
双子の力はこの上なく素晴らしいもので、胸が高鳴ったものだ
紅偽の記憶も消した、俺のことも覚えていない
口車にさえ乗せてしまえば……
「俺の勝ちだ」
声は儚く、常夜に響く
「ダメッ……」
ガシャガシャアァツッ、奇怪な音をたててガラス瓶が、試験管がなぎ倒される
開いたスペースに永琳は突っ伏し、嘆いた
「お師匠様……」
優曇華は心配そうに見守る
あの日からもう一週間、黒いベールに包まれたような彼の記憶は何度薬を投与しても戻ってこなかった
トプトプと流れ出る紫や黄緑の薬品は、容赦なく床にしみを作る
それをあまりに見ていられなくなった優曇華は、そっとその場を離れた
深い理由があったわけではないが、優曇華は一人蒼真の元へと向かった
「ん?優曇華か」
蒼真は本を読む手をやめてこちらを見る
見舞い品の様な本は、既に何十冊と横に詰まれている
その内の大半が既読されているものだ
「……蒼真さん、何か思い出された事は?」
「特に無いよ、ただ夢に赤い光りが出てくるくらいで」
この一週間、あらゆる薬を投与したが答えはこれだけだった
詳しい事は何も言われていないため、考察しか出来ないのだがそれも判断材料が足りなさすぎる
遅効性、即効性、副作用があるものでもお構いなく使ったが見られたのは副作用の方だけだった
なにか事情があることを優曇華は感じていたし、その耳で聞く事も出来た
自分の中の特別な感情も消え、と本人にも変化があったりしたのだが
優曇華は首を横に振って考えるのをやめた
しかし、10日目、15日目とすぎていく時
お師匠様、永琳も自暴自棄になり始めた
私は一人、ひたすら蒼真さんと会話をし続けた
「お体の具合はどうですか?」
「ん、悪くは無いよ。 ああ、優曇華、少し変化があったよ」
その言葉に胸を躍らせる
微かな希望だったとしても、全人類の人間から特定の一本の髪の毛を探すほどのものであっても
優曇華は構わないと、耳を傾けた
「最近、声がするんだ『私の元に来い』なんていう聞きなれた言葉がさ」
その言葉を聞いて思った、いやそれを口にしてしまった
「紅偽さんですかっ!?」
「あぐっ!、あっ…ああああああっ!!」
突如、蒼真が頭を抱えて叫びだす
尋常じゃないほどの痛みが頭に走っている事を全身で感じた
永琳が、てゐが、輝夜でさえ飛び込んできた
私はパンドラの箱を開けてしまったと思った
思わず足から崩れ落ちる
膝がぺたりと地面につき、目から液体が溢れる
口から勝手に漏れる「ごめんなさい」の声
自分がしたくない事を、体が勝手にやっているような感じがした
黒い何かに押しつぶされそうになる、いやもう押されている
『君の後悔、美味しそうだ……』
舐めとられるような嫌悪感とおぞましさ
畏怖の塊のような何かの声が聞こえた気がして背中を震え上がらせた
「おっ、お師匠さまぁ……」
弱弱しい声でその足を掴んだ
その途端、得もいえぬような安堵感に包まれて瞼が、意識が落ちた
「人の後悔は素晴らしい、嫉妬は、嫌悪は
これ以上素晴らしいものは無い!!」
真夜中に浮かぶ城
気味の悪い何かがそこには蠢いていた