「わーわー!!やめなさいって!」
少女のわめき声で眼が覚める
8時ちょいといった所か、太陽がまぶしい
しかし、それで声の主を特定しなくていいなんて事にはならないので大人しく起き上がる
つつかないで!とか言ってるから、恐らく朱雀が遊び相手を見つけたのだろう
アイツが一番わんぱくで遊びたがりだからな
着替えて玄関のドアに手を掛ける
開くドアの隙間からバタバタと揺れ動く「紅」と「蒼」
その独特な羽根、興味がそそられるような妖怪……
「痛いつってるでしょーー!!」
間違いない、ぬえだ
ってことは、いよいよか
「おはよう、ぬえちゃん」
「あっ!助けなさい!なんで名前知ってるの?
っていうか、アンタが仕掛け主!?いいわ、相手になって……いたたたたた!
髪引っ張らないでぇ!痛いから!やめっ…たたたたたた!」
騒がしなぁと思い朱雀にやめるように言う
少しションボリはしていたが、わかってはくれたらしい
「さてさてぬえちゃん、なにか面白い話があったんじゃないかい?」
「え?何で知ってるの?
アンタ地上の妖怪だよね?」
「なんででしょうね、話に付き合ってくれたら教えてあげてもいいよ?」
「う~ん、そう扱き使われるのは嫌なんだけどなぁ
気になるしいいよ!」
さすが、扱いやすい
まぁ、これでちょいと面白い子がパーティーに加わったわけだ
じゃあ、まぁ紫を呼んでおこうか
「紫~」
「なにかしら?」
眼の前に歪んだ線が入り、中から紫が出てくる
毎年恒例のこのコーナーですが……
驚いてシパシパするぬえちゃんが見れたのは大豊作だな、うん
「なに!なにこのBB……」
大急ぎでぬえの口を塞いだ
ぬえ、言ったら死ぬぞ?と耳打ちしてから、睨みつけてくる紫に話を切り出す
「ちょいと魔界までお願いできないかな?
神綺さんにいくつか聞きたいことが」
「その子も一緒でいいのかしら?」
「ああ、頼む」
「しょうがないわね、蒼真の頼みだし」
ぐっ、と目の前に歪が出来る
その奥からは何時もどおりの異様な瘴気
少したじろいだぬえを引っ張って、俺は中に入った
「見たことある顔だと思ったら、蒼真じゃないの」
「前も呼び捨てでしたっけ?」
「いいじゃない、”オルトロスになれたのだから”
協力兼ね助言したのだし、ランクアップよ
……近いうちよ、気をつけて」
「そうか……、でも今日は違う用件なんだ
法界ってどんな所なんだい?」
俺は話を切り替えてそう言う
しかし、無論俺の頭には夜天が横切った
少し眼が泳ぐが、それを強引に止める
すると、呆れた顔をした神綺が話し始めた
「あそこは、何も無いような退屈な場所
死から逃げたいがゆえに、人の道から逸れた者が行くところよ」
「なるほど、大魔法使い。賢者みたいな感じなんだな」
俺の言葉にゆっくりと頷く神綺
「きっと身近な誰かが死に、そしてそれを恐れて輪廻の道から外れたのでしょうね」
「まぁ、誰だって怖いものさ」
うっすらと俺は笑う
「そうね。でも、結界があって入れないわよ?」
「あ、そうなの?ならぶっ壊そうかな」
「……貴方の妖力じゃ、心もとない気がするのだけど」
「法界って、地面とかあるだろ?」
ええ、確かにあるわ。でも、無かったら可笑しいし、あったところで何かあるの?
なんて、神綺は問いかけてくる
単純、至極明快な話さ
「法界をぶっ壊せばいい」
俺はしっかりとそういった
法界を、聖の回り以外ぶっ壊してしまえばその”壊れた所に組まれている術式は外れる
「……、壊されるとめんどくさそうね。送るわ」
「その言葉を待ってました♪あ、でも終わったら合図出すから返してね」
そう言った後俺は椅子に座って足をぶら~ぶら~させているぬえを呼んだ
苦笑いの神綺の手が俺に触れる、そして周りが突如変化した
いや、言い方が違う。回りからしたら俺らが突如現れたのだから
「真っ暗ね」
「そうだね、明るくしたいかな」
「でも、何百年も明るくなった試しはありませんよ」
「「ん?」」
突如割り込んだ声、その主が向こうから歩いてきた
綺麗な長い髪に、膨大な量の魔力
「妖怪が二人ですか、誰も侵入できないはずなのですが」
「大丈夫だ、お前と少し話がしたいだけだ」
「ねぇ、私って居る必要ある?」
「ぬえ、空気を読もうか」
俺は軽く一喝して聖の方を向く
「話ですか、なんの?」
「お前のお仲間さんが船に乗ってくる」
「!?」
聖は絶句した
封印される前の、その時に助けた奴らがまだ”聖を待っているのだ”
原始、女性は太陽であったというが、聖は「平等」を掲げた平和への太陽
気がつくと、彼女の眼からは滴が落ちていた
「お前の事は知ってる。
平等を掲げ、自らは封印。そのまま流れた千年」
ビクリと身体を震わせ、こちらを睨みつけてくる
「あっていますがこの千年私は修行を重ねました!
私は続けます、この思想を……」
「そうだな、確かにお前は頑張ったよ
でも、人からの説得で変わるような心なんてそう無い
むしろ、恐怖心には唯一無二の絶対的力がある」
「くっ!そうかもしれませn……」
俺は反論しようとする聖の口を押さえた
驚く聖へ俺はそっと言った
「人って言う字は二つの見方がある
だが、それには比にならないほどの考えが人間や妖怪全員にある
お前ら御一行を幻想郷にご案内しよう」
俺は突然話を打ち切るようにそういった
無論、終わらせる気は無い
ただ感動の再会に水は差したくないからな
「その内、お前の元にまた来る
人間も妖怪も根っこは一緒、百人百色の世界さ
幻想郷で、お前はお前のやりたい事をやってみろ
紫……其処の管理人は心から歓迎してくれると思うぜ
そういい残して俺は飛ばされた
はい、これ以上長くなると面倒が臭いので引っ張る感じでやめました
次の話は無論デートです!(キリッ