ってなわけで、等々90話でございます!!
此処まで見てくださった方、ありがとうございます
目標まで後10%
まだまだ終わりませんよww
「こんにちは~」
「む?君は知らない顔だな。聖のお客様かい?」
「ええ、少し。」
「そうか、なら案内しよう」
命蓮寺、人里近いこの寺に訪問しに来たのは他でもない
一週間程前にした約束の答えを聞くためだったのだが
タイミングをずらし、今現在聖が不在である事が、目の前の灰色の鼠少女
ナズーリンの言葉から伺う事が出来た
スタスタと無愛想ながらも、”賢さ”を体現するかのような素振り
まさしく小さな賢将という風格である
畳の部屋……応接間であろうか?に通され、座布団を受け取り座った
その対面にナズーリンは座り、話しかけてくる
「どうもすまないね、聖は急用で村に出てしまっていて
時間が無いようであれば話は伝えておくけれど……」
「いや、今日は待つだろうなと思って時間を空けてきているので
ご心配ありがとうございます、”ナズーリンさん”」
「私は自己紹介をした覚えは無いのだが……
失礼ながら、お名前を伺ってもよろしいだろうか?」
「荒無蒼真、と申します」
俺は少し間を空けてから、そう言った
正直言って某鼠少女が可愛くて仕方が無い
今すぐ飛びついてこねくり撫でくり回したい……のは山々なのだが
この賢将はほれそいそいと、そんな事はさせてくれないだろう
「それで、今回はどういったご用件で?」
「聖さんの封印が解かれる前、ある約束事をしまして」
「ふむ、なら私は首を突っ込んではいけなさそうだね
詳しくは聖が帰って来た後に聞くとするよ。
おっと、お茶をまだ出していなかったね」
そう言うと、ナズーリンは立ち上がり障子を抜けていった
が、それと同時に入ってきた影
「ぬえ、ばれてるから」
「えー、もうばれたの?つまらないなぁ」
上からひょいっと逆さづりしたかのように表れるぬえ
「久しぶりだな」
「そうだね、一週間ぶりかな?
私に一度も驚かないのはあの後からもアンタだけだよ」
「正体さえ分かっていれば、お前の力なんてあってないようなもんだしな」
「へぇ~、正体不明の妖怪の正体、それは知ったら楽しくない物じゃない?」
「確かにね」
俺はそういって苦笑いする
すると、ちょこんと俺の隣にぬえが座った
なんか可愛いので、ほっぺを突付いてやる事にする
ぷにぷにしたほっぺがいかにも子供っぽい
「ちょっと、何すんのよ~」
イタズラされるのには慣れてないのか、そんな事を言い出すぬえ
あれだ、普通に近所の子供と遊ぶような感覚
そんなこんなしていると、ナズーリンが星ちゃんを連れてやってきた
「おっ、これはこれは毘沙門天の寅丸星様、いやはやお目にかかれて光栄にございます」
「?ご主人、この男と逢った事は?」
「いいえ、無いですけど。」
「私の時も、名前知ってたよね」
3人六つの眼が一斉にこちらに向けられる
やっぱり、怪しまれるのは当然かな
でも、そうしないと面白くないのよね
なんて思いながらお茶をひとすすりする
「いやぁ、”宝塔を良く無くされる寅丸様”の事ですから、きっと僕の事も忘れているんですよ」
「ぷふっ……」
「なっ、ナズーリン!?」
「し、失敬、笑いを堪えきれなかったもので」
遣えてくれる子に笑われる、っていうのは上下関係の可笑しさを感じるべきなのか
それとも、仲が良いととらえるべきなのか……
判断がイマイチつかないかな
「てかさ、とりあえず星も自己紹介したらどうかな?」
「そ、それもそうですね
改めまして、毘沙門天代理の寅丸星と申します。以後お見知りおきを」
「荒無蒼真といいます、よろしくおねがいします」
そういって礼をする
その後、幾つか質問に答えたりしていると障子が開いた
「お客様が来ていると……蒼真さんでしたか」
「久しぶりだな、聖。今日は話を聞くために来たんだ」
それを聞くと聖は微笑んだ
「私の目標は変わりません、人妖平等を掲げて行きます
紫さんとも良いお話が出来ましたし、何より貴方とのお話で色々思うところもありましたし」
「ふむ、ならいいかな
俺の言葉で自分の意思がぶれるほど柔だったら、正直困ってた」
「そうですか、私は大丈夫です
人に恐れられてしまっても、命は平等です」
「でも、種族の壁は越えがたい。それを良く覚えとけよ」
「はい、”十人十色”人それぞれの考えを尊重し
それを崩さず、不満を与えぬように均衡の保たれた関係を築いていく……
そうですよね」
「十分な理解だと思うぞ、でも信頼するにあたって”裏切られた時”も考えておく必要がある
くれぐれも、注意な」
「今日はわざわざありがとうございました、また来てください」
「一輪や村紗とも逢っていないのでね、近いうちにまた来るよ」
ぬえの頭を二、三回撫でた後にそういい残して帰る
今度来る時が楽しみだ
「なぜ、私たちの名前を知っているのでしょうか?」
「少なくとも、私たちとは免疫は無いはずなのだが」
「ですよね、私の物忘れの事も知っていたのは……」
「……何れにせよ、あの人には私の、紫さんの掲げる理想へ協力的なこと
いえ、むしろ大切な方のような気がしますので交流を絶やさない様にしましょう」
聖の理想は、着々と現実に為りつつあった