東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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盗んだバイクで走り出す


作った車で走り出す

鼻歌交じりに俺は空を仰いだ

映り行く景色は美しく、太陽が眩しい

風が勢い良く吹き付ける、久々のドライブである

金属の塊と言っても過言ではないこの車は、俺の妖力で動いている

村の横を通り、森を抜け、泉の周りを回って、山を登って

幻想郷を見て回るツアー的なものを、一人で計画し回っているのだ

横目で見た桜はつぼみが開きかけていたから、もう直魔理沙がお誘いに来るだろう

「それまでは、お預けかな?」

そう呟くと、俺はゆっくり身体をあげた

どことなく味気ない景色、ツアーガイドが居ないとなんともいえないが

此処は、無縁塚かな?

 

俺は一人考えながら、横に寝かせてある剣の柄を持った

ギランと、血の色に……深い緋に輝く刃先を見やる

椿……花が散らずにボトリと落ちる花の名が付いたこの剣

その刃先からはあらゆる血を塗り重ねたかのような感じが伝わってくる

相手の首を跳ねることに特化したような……

俺は首を横に振って鞘に刃を閉じた

腰に刺さった二本の剣がどこか物悲しそうにする

……いや、そう思えただけだろう

深く考えるのをやめた

その途端、視界に灰……いや、鼠色がちらついた

俺は条件反射の速さで後ろを見やると、この車を物珍しそうに見るナズーリンが居た

「よっ!ナズ」

「久しぶりだね、蒼真……だっけ?」

「ははは、覚えてるんだろ?からかわないで欲しいかな」

「ふふ、冗談が過ぎた様だね」

ナズは軽いジョークを飛ばしてくると、こっちに歩いてきた

「また、随分と面白そうな物に乗っているじゃないか」

「乗ってみるかい?」

「本当か?なら、お言葉に甘えて」

俺はそういったナズーリンを、車体から降りて乗せる

 

いや、此処の住人は飛べるから要らない心配と言えばそうなのだが

やはり乗せる身、エスコートは必要だろ

笑いながらありがとう、と言うナズにこちらも笑って答えると、そのまま何処へ車を走らせた

「なぁ、蒼真。コレは俗に言う車とか言うものに似ているな」

「まぁそうだな、それが元だけど屋根とかは無くしてるかな」

「なるほど、スピードといい着た場所といい、観光目当てだったのかな?」

「そうだね、ナズの頭の良さには頭が下がるよ」

「仮にも賢将だ、それにこの位頭が切れないと毘沙門天様が笑われてしまうのでね」

「おいおい、それを言ったら毘沙門天代理様の忘れ癖をどうにかしなきゃ為らないぞ?」

「そこは盲点だったね、骨が折れそうだ」

だな、と俺は少し笑った。

笑い事じゃないんだけどね、なんて言いながらナズも笑ってくれた

その笑いが収まって、景色に目を少しやるともう無縁塚からは離れていた

どこかの草原?見たいな所を走行中だ

ふと、声が掛かる

「……ん?蒼真、この車体の下にお酒でもあるのかい?」

「ダウザー様には敵いませぬな、確かにあるよ。二人で飲むか?」

「いただけるなら頂こうかな、君とならいい話が出来そうだし

その盛り上げ役として一つ。」

その言葉を聞くなり、俺は床ににゅっと穴を開けた

其処からコップと酒を出すと、ナズに渡す

「流石に御酌は女性からの方が映えるだろう?」なんていいながらナズが注いでくれ

大体午後三時ぐらいかな?キン!と言う響くいい音が鳴った

風に仰がれながら、美少女と二人、お酒を飲む

最高のシュチュエーションだと思うね

なんて、少し思うとナズから声が掛かった

 

「蒼真は、家……命蓮寺に来てみる気は無いかい?」

「と言うと、そこに仕えるという意味か?」

「そうだ、今少し興味が湧いてね」

「うーん、無いかなぁ

正直神様仏様って、あんま実感沸かないんだよね」

「真近で見たことあるのにかい?」

そう掛かった声に俺は頷いた

「神様って言われてもさ、話してみるとそんな人と変わらないような気がしたんだよ

土着神様も、皆ね。

したらさ、仕えるよりか仲良く話せたら……それこそ、紫と同じ様な

『平等』を一番に掲げたいんだよね」

「そうか、軽い男だと思っていたが見誤ったようだな。

先日の弾幕ゲーム同様、君のことを見る目が、まだまだ無さそうだ」

「褒められてるのか貶されてるのか、良くわかんないよ」

「褒めているつもりだよ、さすが聖が慕うだけはあるなってさ」

そうか、褒めて貰っているのか……ん?

聖が慕う??どういうことだ?

「なぁ、ナズ。聖が慕ってるって、どういうことだ?」

「ん、そのままの意味さ

きっと誰よりも人を平等に見ていけるような、そんな目がある。ってそう聖は言っていたよ」

「いやいやいや、そんな事はないと思うけどな

普通に逆上して妖怪殺したりさ」

「ふむ、でもそれは妖怪に否があったんじゃないのかい?

それに、紅魔館の門番も名前で呼んでいるとかさ。

馬鹿にするようなあだ名も、一度も使っている所が無いって聞いたけど?」

 

……いや、本人が言い出せてないだけじゃないかな?

「まぁ、慕ってもらって悪い気はしないかな?

いい話のお礼に、注いであげるよ」

「お、ありがとう。

まだ日も高いし、日が暮れるまでこうして話して居たいかな」

「俺で良ければ喜んで」

俺はそう言って笑った、ナズも笑ってくれた

太陽を受けて光沢を見せる動く物体が、幻想郷を駆け抜けていく

 

 

 

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