EDF日本支部召喚   作:クローサー

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第2章 ロデニウス動乱
第3話 動乱と参戦


クワ・トイネ公国との国交を開いてから1ヶ月が経過した。

EDF日本支部は現在、転移前よりも明るい雰囲気に包まれていた。それは上層部のみならず、兵士達や果てには市民達にも及んでいる。

 

それは何故か。一重にそれは「美味い飯がたくさん食べれる」からだ。

 

フォーリナー大戦後、世界は深刻な食料不足に陥った。穀倉地域は全滅し、畜産業は99.9%が全滅。天然食料のみでの食料自給率は5%どころか2%にも満たない事態となった。化学食料が開発されるまでの半年間、人々は僅かな食料を取り合い、時には人類同士での戦闘にさえも発展した。フォーリナー大戦後の人類減少の3%はその内戦による犠牲者なのだ。化学食料の開発後は食料不足の問題は起こる事は無くなったが、別の問題が発生した。

化学食料は添加物を山のように使用している為、天然食料と比べると不味い。その上身体に非常に悪いのだ。

しかしその問題があっても、人々は化学食料を食べる他ない。天然食料が再び充分に行き渡るようになるのは30年後とも言われており、天然食料は安いものでも100万円もの超高価格。市民どころかEDFの士官でも手が届きにくい代物と化してしまっている。故に天然食料を一食でも食べる事が出来れば、それは一種のステータスでもあった。

しかし転移後、クワ・トイネ公国産の天然食料が文字通り山のように輸入されてきた。この夢のような出来事に、EDF日本支部に住まう全員が狂喜した。天然食料が超低価格で購入できるようになった為、市民達は勿論、兵士達も財布の紐を盛大に緩めて買い漁り、およそ10年ぶりにもなる天然食料の美味を噛み締めた。中には思わず涙を流す者さえいた程だ。

以降EDF日本支部は、クワ・トイネ公国とは友好関係を続けていく事が改めて決定され、より強固な関係を作って行く事に努力していく事となる。

 

そしてクワ・トイネ公国は、EDF日本支部との国交を隣国クイラ王国と共に結んでから、急速に発展している。

クワ・トイネ公国からは食料を、クイラ王国からは地下資源を輸入していくEDF日本支部は、その対価に両国へのインフラを輸出。(両国から見れば)様々な超技術を惜しむ事なく投入していくEDF日本支部。インフラの一連が完成すれば、国内外の流通が極めて活発化し、今までとは比較にならぬ程の発展を遂げるだろうという試算結果が出ている。

クワ・トイネ公国は武器の輸出も求めたが、EDF日本支部は武器の輸出は許可しなかった。なんでも「他国が扱うには余りにも危険」という事らしい。ならばと各種技術の提供も求めたが、此方も「機密などに抵触する箇所がある」として、EDF日本支部が取り扱う最新の技術は提供されなかった。しかし提供されてきた前世代的な技術でも十分な物ばかり。様々な新技術のサンプルを前に、経済部の担当者は「国がとてつもなく豊か」になると言った。

 

こうしてより良い関係となっていく三国。しかしその背後に、動乱の影が忍び寄っていた。

 

 

 

 

 

 

クワ・トイネ公国の隣国、ロウリア王国。

元々は中規模国家の一つであったが、侵略戦争を繰り返していった結果。現在ではロデニウス大陸の西半分を領土とし、人口3880万人にも達する大国となった。

ロウリア王国は人間至上主義を国是としており、純粋な人類種のみが住まう事を許可している。逆に人類種ではない者達…エルフ、ドワーフ、獣人族などと言った者達はロウリア王国では「亜人」と侮蔑し、醜い生き物であると迫害。亜人殲滅をも国是としている。

その為に、亜人比率が高いクワ・トイネ公国及びクイラ王国との関係性は悪く、国境は常に緊張状態に置かれていた。

 

そんな王国の王都 ジン・ハークの中心にある城の一室。秋の夜の中、明かりの炎の揺らぎがいくつかの人影を作る。

今から行われるのは、王の御前会議。ロウリア王国の行く末を決める、最高会議を前に、ロウリア王国国王 ハーク・ロウリア34世を筆頭に、あらゆる重役達が一堂に会している。その中に、真っ黒なローブを着込んだ怪しい者も混ざり込んでいるが、それを指摘する者はいない。

 

ロウリア王国宰相 マオスが進行役として、言葉を紡ぐ。

 

「これより会議を始めます。まずは国王より、お言葉があります」

「…皆の者、これまでの長い準備期間。ある者は厳しい訓練に耐え、ある者は財源確保に寝る間も惜しんで奔走し、ある者は己の命を賭けて敵国の情報を掴んで来た。皆、大儀であった。亜人…害獣どもをロデニウス大陸から駆逐する事は、前々代からの大願である。その意思を、大願を叶える為に諸君らは必死に取り組んでくれた。その働きに、まずは礼を言う」

 

ロウリア34世が軽く頭を下げた後、話を続ける。

 

「遂に全ての準備が整った…諸君。会議を始めよう」

 

会議室は静寂に包まれる。前々代、つまりは軽く考えても100年前もの前からの悲願が遂に達成される、ある意味では最終戦争の直前。それは極度の緊張感となり、この場を支配した。

進行役のマオスは、今戦争の運営責任者である将軍パタジンに向けて話し始める。

 

「まず、ロデニウス大陸の統一は目前です。しかしクワ・トイネ公国とクイラ王国の間には強い絆があり、それは同盟を結んでいると言っても差し支えないと思われます。片方に戦争を仕掛けた途端、もう一国も我々に宣戦布告をする可能性が非常に高い。つまり、今回の戦争は2国を同時に敵に回す事となります。将軍は、2国を相手にしても勝てる見込みはありますか?」

 

その問いに対して、将軍パタジンは自信を持った口調で応える。

 

「一国は農民の集まり、もう一国は不毛の地の貧国。数も質も我が方が圧倒しており、結束が高くても我々の軍の前には消し飛ぶのみでしょう。負ける事は、まずありませぬ。詳しくは会議後半にて詳しく説明いたすが、ご安心なされよ、宰相」

「分かりました」

「だが宰相殿、1ヶ月ほど前に接触してきた…EDF日本支部だったか?その国に関する情報はありますかな?」

 

実はEDF日本支部は、1ヶ月ほど前にクワ・トイネ公国とクイラ王国との国交を開始した直後にロウリア王国とも接触していたのだ。しかしロウリア王国側はクワ・トイネ公国とクイラ王国との国交があるとして、EDF日本支部は敵対勢力と判断。門前払いしていた。

 

「クワ・トイネ公国から北東1000km北東の沖合に出来た新興国家との事です、距離も1000kmと離れている為、軍事的影響は無いでしょう。それに奴等は我が国の竜騎士団とワイバーンを見て「初めて見た」と驚いていました。竜騎士の存在しない、取るに足らない国でしょう。情報はあまりありませんが」

 

ロウリア王国側は知る由も無いが、余りにも致命的な勘違いがあった。

EDF日本支部情報局員は、確かにワイバーンを見て驚いた。人は未知のものに驚かずには居られないから当然の事であるが、ロウリア王国はそれをみて致命的な勘違いをしてしまった。

 

彼の国(EDF)は大した軍事力を保有していない」。

 

これは余りにも致命的。しかしそれを知らない以上、彼等はEDF日本支部を侮って会議を進める。

 

「そうですか。ならクワ・トイネ公国がEDF日本支部に助けを求めても大した事はありませんな」

「しかし、我が代で遂に…遂にこのロデニウス大陸が統一され、忌まわしい亜人どもを絶滅出来ると思うと、余はとても嬉しいぞ」

 

ハーク・ロウリア34世が嬉しそうに発言すると、横から薄気味悪い声が口を挟んだ。真っ黒なローブを着込んだその人物は、第三文明圏列強国 パーパルディア皇国の使者である。

 

「大王様、統一の暁には、あの約束もお忘れなく…ククッ」

「分かっておるわ!」(第三文明圏外の蛮族と思って馬鹿にしおって…!!ロデニウス大陸を統一したら、国力をつけた後にフィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ)

「コホン…将軍、作戦概要説明をお願いします」

 

その後、将軍パタジンによる作戦説明が始まった。要約すると、以下の通りとなる。

 

1.今戦争における総兵力は50万。内40万がクワ・トイネ公国侵攻軍であり、残りの10万は本土防衛用である。

2.初戦はクワ・トイネ国境から近い人口10万人の都市 ギムを強襲制圧。兵站は現地調達。(クワ・トイネは豊富な食料に恵まれており、本国からの補給を必要としない為)

3.ギム制圧後は東方55km先にある城塞都市エジェイを全力攻撃。クワ・トイネ公国内で最も堅牢な都市エジェイさえ陥落出来れば、今回 戦争の勝利は決定的となる。

4.航空戦力はロウリア王国のワイバーンのみで対応可能。

5.並行して海から艦船4400隻の大艦隊でマイハーク北岸に上陸、経済都市マイハークを制圧。マイハークを制圧すれば、食料をクワ・トイネ公国に頼り切っているクイラ王国は脅威ではなくなる。

 

「クワ・トイネ公国の総兵力は僅かに5万人。さらに言えば、即応兵力のみなら1万にも満たぬ数であると考えられます。今回準備した我が方の40万の兵力をぶつければ、仮に質が上回っていようが、小賢しい策を弄しようが、圧倒的物量の前には無意味です。この6年間の準備が、実を結ぶでしょう」

「そうか………今宵は、我が人生最良の日だ!!クワ・トイネ公国並びにクイラ王国に対する戦争を、許可する!!」

 

こうして、ロウリア王国の御前会議は終了し、クワ・トイネ公国とクイラ王国に対する戦争が決定された。

 

 

 

 

 

 

クワ・トイネ公国にある、EDF日本支部連絡館。

クワ・トイネ公国との国交開設後、EDF日本支部連絡館の代表として現地に留まる事になった情報局員の田中の朝は、突如やってきた職員の報告によって一変した。

その職員によると、クワ・トイネ公国外交担当官が火急の要件があると、アポイント無しでEDF日本支部連絡館を訪れたのだ。その報告に、田中は僅かに残っていた眠気が吹き飛んだ。転移を経て、混乱を避けるために一応としての国家の体をとっているEDF日本支部だが、それ故に国と国とのやり取りを担当するものがアポイント無しで訪れる事など、相当な事態が起こらなければまず起こり得ない事だ。嫌な予感を感じたりつつも、田中は準備を早急に済ませて応接室へと入った。室内には、クワ・トイネ公国外務局長のヤゴウが焦燥の表情を浮かべていた。

 

「お待たせしました」

「田中殿、急な訪問となってしまい申し訳ありません。至急お伝えしなければならない事態が発生しました」

「それは一体?」

「我が国の西方にロウリア王国があるのは既にご存知だと思います。多数の方面から得た情報を精査した結果、ロウリア王国が我が国に対し、侵略する事がほぼ確実となりました」

「…!戦争、ですか」

「はい。既に国境20km付近にある町ギムの西側に、ロウリア軍の大群が集結しつつあります。ロウリア王国と戦争になれば、貴国に対して約束していた量の食料品の輸出は不可能となります…条約を反故にするのは大変心苦しいですが…」

「…分かりました。この件は直ちに本部に報告します。現段階では確約する事は出来ませんが、援軍を派遣出来るよう、要請しましょう」

「ありがとうございます!!」

 

しかし、あと一歩遅かった。

EDF日本支部がこの事態を把握する直前、ロウリア王国はクワ・トイネ公国に宣戦布告すると同時に侵攻を開始。国境の町ギムは侵攻間もなく陥落。ロウリア王国の手に落ちたギムではロウリア軍兵士による略奪や殺人が起こり、将軍アデムによって意図的に生かされた100人は、その惨状をクワ・トイネ公国の各都市に伝わり、更にそこからEDF日本支部へと伝わる。

 

そしてその瞬間、ロウリア王国の運命は決した。

 

 

 

 

 

 

「…以上が、つい先程入ってきた最新の情報です」

 

EDF日本支部にて緊急で開かれた、重役会議。この空気は、ひたすらに重かった。

それは悲壮や絶望では無い。

 

 

 

「怒り」。ただそれのみだ。

 

 

 

「…その情報は、確かなのだな?」

「ロウリア軍によって意図的に生かされた100人の生存者の証言です。間違いありません」

「参謀長、直ちに対ロウリア王国の作戦を考案せよ。一分一秒でも早くだ」

 

EDFは、人類の護りの象徴だ。それは別世界に転移しようが、変わりは無い。

 

「司令、確認ですが今作戦に於けるロウリア王国軍に対する殺傷制限は?」

「無制限だ。情け容赦は無用、ギムの殺戮を兆倍にして返してやれ」

「了解しました。タイタンの投入は?」

「無論、許可する。必要ならばストームチームも動かして構わん」

 

人々を傷付ける存在は、一切合切赦しはしない。

 

「情報局長、作戦立案の補助を頼む。最新の情報を随時報告しろ」

「分かりました。数日前に自律衛星ライカとの通信復旧が出来て幸いでしたな。奴等はソラ(宇宙)から丸見えです」

 

彼等は、無辜の人々を守る最後の盾である。

 

「艦長、貴方の力をお借りします」

『勿論だ。そもそも第七艦隊はEDF日本支部の指揮下にある。存分に使ってもらって構わんさ』

 

だからこそ、彼等は如何なる存在でも、人々を傷付けた存在を殲滅する義務がある。

 

 

「全EDF部隊員に通達!!現時刻を持って即時出動態勢に移行!!敵はロウリア王国、彼の国のこれ以上の暴挙を許すな!!!!」

『サー、イエッサー!!!!』

 

それが例え、同じ「人間」であろうともだ。




ロウリア王国「余裕だしギムでお楽しみ(殺戮)してやったぜ」
EDF日本支部「絶対許さん」(全力ムーブ)

はい、と言うわけでロウリア王国がいきなりEDFの逆鱗にストレートパンチ打ち込みました。最初はもうちょっと穏やかな雰囲気で参戦させるつもりが、原作見直しつつEDF日本支部の人達に感情移入してたらこうなってしまった。
…ロウリア王国でこれなら、原作で日本国民処刑したパーパルディア皇国戦は一体どうなるんだ?(汗)


用語解説&状況説明
ロウリア王国
ロデニアス大陸西半分を支配する大国。40万の兵力でクワ・トイネ公国に侵略を開始するが、その途中で行ったギムの殺戮によってEDF日本支部を完璧に怒らせる。つまりロウリア王国終了のお知らせです。

EDF日本支部
現在ギムの殺戮を兆倍に返すべく準備中。第七艦隊は勿論、陸上要塞のタイタンの投入も許可された為、陸海空問わずオーバーキル確定。
オマケに最終兵器ストームチームの出動許可が司令直々に出された。ロウリア軍逃げて。

自律衛星ライカ
EARTH DEFENSE FORCE: IRON RAINより特別出演。あんな健気な子を出さずには居られなかった。
搭載兵器は地球防衛軍4に登場する攻撃衛星ノートゥングとほぼ同じ。
偶に綺麗な景色を映した衛星写真が、勝手にEDF情報局に送られる事があるとか。

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