EDF日本支部召喚   作:クローサー

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うーん…なんか結構雑な感じになったなぁ。ここの展開もうちょっとよく考えるべきだったか…


第13話 謀略

パーパルディア皇国のワイバーン襲来後。

EDF日本支部の情報局員の一団は、再びアマノキの王城に戻っていた。案内された応接の間は、奥ゆかしさや趣のある部屋であり、質素ながらも心地よい部屋の印象を与える。

出された茶も一切手をつけずに待っていると、フェン王国武将マグレブが現れた。

 

「イーディーエフの皆様。今回はフェン王国に不意打ちしてきた不届き者共を、誠に見事な武技で退治していただけた事に、まずは誠意を申し上げます」

「いえ、我々は攻撃を受けたので反撃したまでの事。正当防衛以外の何物でもありません」

 

島田のハッキリとした答えにマグレブは焦ったのか、話を進めようとする。

 

「早速、国交開設の事前協議を…実務者協議の準備を進めたいと思うのですが…」

「巫山戯た事を抜かすな」

 

最早、苛立ちを隠そうともせずにその一言が放たれた。

 

「貴国とパーパルディア皇国は、既に戦争状態にあると見える。それにも関わらず、貴国はあのような危険を伴うかも知れない場所に我々の海軍の親善訪問を要求した。今回は運が良かったが、これで我が海軍に何かしらの被害が出ていた場合、貴国は一体どうするつもりだったんだ?それに加えて、どうやら貴国はどうしても我が国との国交を…いや、我が軍の力を欲しているようだな」

「それこそ巫山戯るな。貴国の都合のみで3600万人の命を危険に晒す権利が、貴国にあるのか?無いだろう?我々は貴国の都合良く動く人形などではない!!」

 

その声は怒号となり、応接の間の空気を揺らす。

 

「…これで話は終わりです。国交開設も改めて考え直しますが、恐らく難しくなるでしょうね」

 

そう言って、情報局員の一団は応接の間から退出の準備を始める。その様子にマグレブは焦燥を隠し切れない。

 

「ま、待って下さい!」

「ああ、一つ言い忘れてましたね」

 

退出する直前、島田は振り返りマグレブに視線を向けた。

 

「我々に攻撃(宣戦布告)を行った蛮国の海軍は、我々が叩き潰します」

 

 

 

 

 

 

同時刻。

フェン王国の懲罰的攻撃を行う為に本国より出撃したパーパルディア皇国 監察軍東洋艦隊は、フェン王国から西に約120km地点の海域を航行していた。

 

数十分前、フェン王国首都アマノキに向けて出撃したワイバーンロード20騎との通信が途絶した。第三文明圏に、ワイバーンロードを超える航空戦力は存在していない。そして文明圏内国家が保有するワイバーンは、殆どがパーパルディア皇国からの輸出品だ。文明圏外国家が改良型飛竜を20騎も撃墜する事など、考えられなかった。

このような不可解な事態に、艦隊を率いている提督 ポクトアールは嘆きたくなったと同時に、嫌な予感を覚えた。しかしこれは第3外務局長 カイオスの命であり、国家の威信をかけた命令でもあった。現地に向かわない選択肢は無く、フェン王国に懲罰的攻撃を行う為、そしてワイバーンロードを落とし、皇国に楯突く者を滅する為、最大速力でフェン王国へと向かっていた。

 

現在、空は快晴。ポクトアールは甲板にて比較的乾いた潮風を浴びていたら、水平線に何かを捉えた。

 

「!?」

 

望遠鏡を構えると同時に、頭上の見張り員が声を上げる。

 

「艦影と思われるものを発見!こちらに接近しています!!」

「大きいな…フェン王国のものとは思えない…まずい、総員戦闘配備!!」

 

それは城のように大きい、灰色の…恐らく船と思われる物体だが、彼等の常識から考えると規格外の大きさだ。

 

「速い…まさか、我が方の船速を凌駕しているのか!?」

 

正体不明の超巨大艦は、旋回する事なく真っ直ぐパーパルディア皇国の艦隊へと接近する。

 

「提督、どうしますか?」

「敵艦はこのままなら真っ直ぐ突っ込んでくる。何をするつもりか知らないが、すれ違いざまに魔導砲の一斉掃射で沈めて──」

 

瞬間、超巨大艦の砲台が咆哮を上げた。

 

 

 

 

 

 

「敵艦3隻、撃沈」

「そのまま別艦を照準。後部砲塔も、射界に入り次第攻撃を開始せよ」

 

単艦でフェン王国首都 アマノキより出撃したセントエルモ級イージス戦艦は、ワイバーンロードが飛来してきた西の方角に進み、パーパルディア皇国監察軍東洋艦隊を発見。これに対し、攻撃を開始した。

38cmレールガン連装砲が発砲する毎に、瞬間的に粉砕されて行く戦列艦。それは爆発のエネルギーではなく、マッハ7で飛来する38cm砲弾が生み出す運動エネルギーと衝撃波によって行われていく。

 

「…まるで、我々がフォーリナーですね」

 

その光景を目に焼き付けている艦橋の船員の一人が、ふと呟いた。

 

そうだろうな(・・・・・)。10年前のあの時の立場と、今現在の立場はまるで真逆だ。10年前は、フォーリナーが我々(EDF)を圧倒していた。だが今は、我々が他国を圧倒している立場だ。現に先日、我々は国家の1つを滅ぼしたのだからな」

 

その言葉が聞こえていたのか、艦長が応えた。

 

「我々は確かに、人類を守る為に存在している。だが──」

 

 

 

 

 

 

「──以上が、先程発生したフェン沖海戦における戦闘経過です」

「そうか」

 

EDF日本支部の司令室にて、先日発生したパーパルディア皇国海軍との戦闘報告が届けられていた。

その結果は言うまでもなく、EDFの完勝。セントエルモ級イージス戦艦の砲撃により、22隻の魔導戦列艦は全てが粉砕された。生存者は0、またしても誰一人として生き残れた者は居なかった。

フェン王国の軍祭に於けるワイバーンロードの攻撃、そして今回の軍事衝突により、EDF日本支部は事実上、パーパルディア皇国と戦争状態に突入した。

 

「今回の衝突に於いて、我々は国家としてパーパルディア皇国に対する宣戦布告理由は獲得しました。しかしこれだけでは、パーパルディア皇国側から捏造であると否定される可能性も否定出来ません。今回の軍事衝突で敢えて生存者を残すという意見もありましたが…まだ魔法の未知が多く、想定外の損害が発生し得るとして殲滅してしまったので、パーパルディア皇国からしたら我々の理由の証拠足り得る物が何一つとして無いのです。その上まだ我々はこの世界の国際社会に於いて、発言力はほぼ皆無に等しい状況であります」

「では、どうする?」

 

司令の返しに、情報局長はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「やる事は単純です、ただひたすらに「待つ」のです。既にパーパルディア皇国の隣国であるガハラ神国、アルタラス王国、シオス王国、アワン王国と国交を開設、秘密裏に防衛軍事同盟を締結しています。フェン王国との国交開設は再交渉する為時間が少し掛かりますが、それさえ終えれば「網」は完成します。パーパルディア皇国が網に掛かれば、我々は国際社会に対して正当な宣戦布告理由を獲得し、後は世界に対パーパルディアの宣戦布告宣言を行うのみです」

「なるほど、な…そういえば、参謀長から対パーパルディア皇国作戦の改良案が完成されたと聞いたぞ」

「既に此処に」

 

持ってきていたアタッシュケースから書類の束を取り出し、司令の机に置く。

 

「これが「オペレーション・パルヴァライゼーション」の最終修正案です。では、私はこれで失礼します」

「うむ、ご苦労」

 

情報局長が部屋から退室して暫くした後に、司令は情報局長が届けた書類を手に取り、詳細を読み始める。

 

「………」

 

しばらくの間、沈黙と紙をめくる音のみがその一室を支配する。それは何人でもその空気を壊せる程に儚いが、しかしその空気に気付ける者は誰も居ない。

コンコンと、閉ざされたドアをノックする音が響く。

 

「入れ」

 

書類からドアに目線を向け、入室を促す。入ってきたのは女性の戦術士官だ。彼女と司令はフォーリナー大戦にて共に部隊の指揮を執っており、双方が信頼出来る戦友でもある。

 

「…司令、ご相談したい事があります」

「…なんだ?」

「司令は、今現在の我々をどう認識していますか?」

「………それはつまり、我々がフォーリナーのような存在となってはいないか、という事だろう?」

「…!」

 

心の内を読まれたのか、僅かに表情を変える戦術士官。それと対称的に、司令は淡々と言葉を紡いでいく。

 

「他国から見れば、そうだろうさ。絶大な技術力の高さと圧倒的な戦力。数こそ違うが、先のロウリア戦争で行った事は、視点が違えばフォーリナーの行いと大して変わらんさ。だが…」

 

そこで一度言葉を切る。

 

「我々が救える者もいれば、我々の労力を持っても救えない者達も居る。我々の力不足で死んでいった者には、幾らの自責の念を以ってもやりきれないが…そもそもとして「人々を傷付けるような愚か者」に差し伸べる手は無い。その者達を救う為に労力を使わず、救える者達を出来る限り救うのが、EDFの役目だ。あの人類内戦で、それを行ったようにな。忘れたとは言わせんぞ、戦術士官」

「…そう、ですね」

「既に我々の手は我々の血で赤く染まっているのさ。ならば我々は進まねばならん。我々の指示で、人類内戦で1億4700万人を見捨てて殺し、ロウリア戦争で1570万人を殺し、そして次はパーパルディア皇国。我々は既に大量殺人者さ。だが此処で立ち止まれば、我々がこれまで成してきた事の全てが無に帰す。それだけは絶対にしてはならない」

 

司令は立ち上がり、窓際に寄って外の光景を見下ろした。

 

「生き残った3600万の人々を護る為、この平和と平穏を護り続ける為、そしてパーパルディア皇国に虐げられている人々を救う為に。これはやらなければならない。例えパーパルディア皇国が滅んだとしても、だ」

 

「そうでなければ、我々は我々の正気(アイデンティティ)を保てない程に、弱くなっているのだ」




用語解説&状況説明
フェン王国
EDF日本支部と国交開設と軍事同盟を結ぼうとしたが、失敗して振り出しに戻る。

EDF日本支部
網を張って対パーパルディア皇国の準備を進めつつ、司令と戦術士官はこの先のEDFの未来を憂う。

パーパルディア皇国
処刑台へのカウントダウン継続中。

監察軍東洋艦隊
今まで通りに殲滅される。

人類内戦
フォーリナー大戦後、深刻な食料不足や資源不足などが原因で発生した世界規模な内戦。この内戦によって1億4700万人が死亡する。(フォーリナー大戦の死者の3%が人類内戦によって死亡)

オペレーション・パルヴァライゼーション
対パーパルディア皇国の作戦。ここで解説してもネタバレになるだけなので割愛する。

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