EDF日本支部召喚   作:クローサー

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今までと比べるとかなり短いですが、キリを良くしました。


第8話 進軍開始

エジェイ攻防戦の翌日。

 

「そろそろ、か…」

 

ロウリア王国東方征伐軍飛竜小隊隊員 竜騎士ムーラ達、12騎の竜騎士達は先日騎馬達が消えたという地点で散開していた。ムーラは散開後、先遣隊として出陣した東部諸侯団が消息を絶った地点の観測担当に割り当てられていた。今日は雲が多く、晴れた空ではあるが少し肌寒い。

消息を絶った先遣隊。彼らは城塞都市エジェイを威力偵察し、そして準備が整った東方征伐軍本隊の到着を待ち、合流する手筈だった。

 

先遣隊が消息を絶った地点に到着する直前。ムーラが乗るワイバーンが突如、警戒の鳴き声を発する。

ワイバーンの視線の先を追い、東の空を注視するムーラ。その耳に、重い何かが響く音を拾う。続けて注視していると、僅かな違和感を発見した。遠い空の先、芥子粒のような大きさの黒い点を認めた。点のように見えたそれは、急速に大きさを増していく。

 

すると何か、その点から更に小さい物が発射された。小さな火炎と煙を吹き上げたそれは、ムーアへ向けて音速を超える速度で向かってくる。

 

「導力火炎弾!?」

 

相手はまだ遠いが、弾速は速い。尚且つ自分のワイバーンよりも遥かに射程距離が長いらしい。あれ程の距離から射撃出来るとは、パーパルディア皇国が保有するワイバーンロードを凌駕しているかもしれない。

 

(しかし…焦ったな)

 

ムーラは慌てる事なく、横に飛んで回避する。いくら遠くから速い攻撃を行ったとしても、気付いてしまえば避ける事が出来る。こういった遠距離攻撃は、不意打ちでこそ効果があるというのに、敵はよっぽど目が悪いのだろうか。

そう考えたところで、ムーラは信じられない光景を目撃する。

 

「…なっ、こっちにくる!?」

 

導力火炎弾だと思っていたそれは空中で軌道を変え、自分達へと向かってきた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ワイバーンに全力飛翔の指示を出し、背後に付かれた場合の回避機動(ジグザグ飛行)を試みる。が、追ってくるそれはワイバーンの動きに応じてその都度向きを変えてくる。追ってくる攻撃なんて、ムーラは聞いた事が無かった。

 

「導力火炎弾がっ、ついてくる!!」

 

咄嗟に魔力通信機の送話器に向かって、悲鳴のように叫んだ。

 

「ち、畜生…」

 

背後に迫る死の予感。脳の中を様々な思考が回る。

 

「死んでったまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ワイバーンに全力の急上昇と急降下を指示。今までにない重力加速度と合成風がムーラの身体を襲うが、それはやはり軌道修正し、向かってくる。その最中、プツリとムーラの腰に付けていた大切なお守りが急降下中に外れた。

それが背後に迫り、ムーラとワイバーンは共に死を覚悟した、その瞬間。

 

それはワイバーンの身体に突き刺さり、爆発。ムーラとワイバーンを粉々に砕き、大地に僅かな血の雨を降らした。

 

 

さて、此処で答え合わせをしよう。

まずムーラが最初に目撃した黒い点の正体。それはEDF日本支部第6飛行中隊所属のファイターである。そこから派生すれば、ムーラを追ってきた「それ」の正体は、自ずとわかるだろう。そう、ファイターの搭載兵器 ADMMである。

対フォーリナー制空戦闘に於いて最も重要な戦力となるADMMにはEDFの最新技術が目一杯搭載されている。ミサイルの超小型化は勿論の事、生物に対するロックオン及び追尾機能、射程距離を多少犠牲にした誘導距離の向上、最大24の目標に対するマルチロック機能、対ジャミング機構。僅か50cmの超小型ミサイルに搭載するには余りにも豊富な機能だが、EDFはこれの実現に成功したのだ。

そしてそんな兵器を撃たれてしまった以上、ムーラの生存確率は悲しいかな。「ゼロ」と言う他に無かった。

 

 

ムーラが粉々に砕け散った直後、更に上空を飛行するEDF航空部隊。その陣容は以下の通りである。

 

戦闘機ファイター 30機

爆撃機カロン 100機

爆撃機ミッドナイト 50機

 

計180機からなる、大編隊だ。

 

そしてその後を追うように、EDF第3師団が疾走する。その陣容は。

 

歩兵 640名

武装装甲車両グレイプ 80両(歩兵640名搭乗)

E551ギガンテス 60両

E651タイタン 10両

キャリバン装甲救護車両 2両

EF24バゼラート 30機

EF31ネレイド 20機

HU04ブルート 2機(ストームチーム、オメガチーム搭乗)

 

EDF第3師団の中でも特に機動力のある戦力のみを抽出した為、これでも第3師団の6割程度の総火力しか発揮出来ない。しかしこれでロウリア王国の全軍を殲滅する事はとても、とても容易な事だ。

 

そして此処からでは見えないが、ロデニウス大海戦にてロウリア海軍4400隻を殲滅した第7主力艦隊もロウリア王国制圧の為、海より侵攻を開始していた。

 

さて。此処でロウリア王国首都制圧作戦に出撃するEDF日本支部の戦力を、改めて整理しよう。

 

 

EDF航空部隊

戦闘機ファイター 30機

爆撃機カロン 100機

爆撃機ミッドナイト 50機

 

EDF第3師団

歩兵 640名

武装装甲車両グレイプ 80両(歩兵640名搭乗)

E551ギガンテス 60両

E651タイタン 10両

キャリバン装甲救護車両 2両

EF24バゼラート 30機

EF31ネレイド 20機

HU04ブルート 2機(ストームチーム、オメガチーム搭乗)

 

EDF第7主力艦隊

要塞空母デスピナ

セントエルモ級イージス戦艦 4隻

 

ストームチーム

レンジャー4名

 

オメガチーム

レンジャー4名

 

 

以上の戦力が、電撃的にロウリア王国に侵攻。立ち塞がるロウリア軍を航空部隊が粉砕し、第3師団は王都ジン・ハークを占領。同時にストームチームとオメガチームはハーク城へ突入しロウリア王を捕縛。無条件降伏へと追い込ませる。万が一残存軍が抵抗を続行するならば、EDF第3師団が直ちにロウリア各地の抵抗戦力を殲滅する計画だ。

これこそがEDF日本支部が計画した「ロウリア王国首都制圧作戦」改め、「ロウリア王国制圧作戦」。

 

ロウリア王国の、終焉の日がやって来た。




用語解説&状況説明
爆撃機カロン&ミッドナイト
EDFの爆撃機。エアレイダー型ストーム1ならお世話になる人も多いではないだろうか?
フォーリナーテクノロジーの圧縮空間技術によって1機100t以上もの爆弾積載量を誇り、カロンとミッドナイトの爆撃編隊が全力爆撃した日には、其処には何も残らないだろう。
今作戦に於いてはギム周辺に駐屯している東部征伐軍の殲滅を担当する。

EDF第3師団
王都ジン・ハーク制圧の為に出撃。伝説のストームチームが同行するという事もあり、士気は天元突破中。

EDF第7主力艦隊
王都ジン・ハークの港の破壊、王都の制空権確保の為に出撃。

ストームチーム&オメガチーム
ハーク城に空挺する為、其々HU04ブルートに乗り込んで移動中。全員ではなく4人ずつなだけまだ良心的。

レンジャー
4つ存在する、EDFの兵科の一つ。レンジャーは皆がイメージする兵士そのままである。

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