EDF日本支部召喚   作:クローサー

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クローサー「えーっと、投下するかんしゃく玉の数計算を…255万発ね」
誤字報告1「255万発じゃなくて2500万発だよ」
クローサー「ん?あれ、ホントだ。一桁見間違えたか。…2550万発のかんしゃく玉の爆撃とか、上から見たらどうなるんだ?」
誤字報告2「色々間違ってたよ。…あと2500万発じゃなくて2億5000万発にしようよ」(クローサー視点の推測)
クローサー「え゛、マジかこの人。…いや、フォーリナーテクノロジーの圧縮空間技術もあるんだし…ふーむ…」

クローサー「…面白いし採用で良いや!」(本小説限定で学んだ教訓:面白さは何よりも優先される)

2019:07:07
ストーリー再構成につき、一部を修正しました。


第10話 訪れた平和(改)

パーパルディア皇国 国家戦略局。

その一室の暗い部屋の中に、2人の男が居た。

 

「…以上、ロウリア王はEDF日本支部と思われる軍に捕らえられた模様です。ロウリア王国は王が不在となった上、王都を含めて全ての都市が壊滅的被害を受けた為、事実上ロウリア王国は消滅したと言っていいでしょう」

 

片方の男が、冷や汗をかきながらもう片方の男…上司に報告を行う。

 

「簡単にいってくれるな…ロウリア王国に一体どれ程の支援を行ってきたと思っている?勿論隠蔽工作は行うが、万が一この事が皇帝のお耳に触れてみろ!国家戦略局そのものが危機に立たされる!そうなれば、お前も私も唯では済まんぞ…!」

「も…申し訳ございませぬ!」

「今回のロウリア支援はお前も知っての通り、我らの独断で行われていた。上手くいけばロデニウス大陸の資源と権益を一気に我が国が掌握し、その手柄を持って皇帝陛下にご報告する予定だった…そうなれば他官庁を黙らせる事も出来て、我らの評価も相当なものとなっていた筈…今となっては、自分の命の危険さえ考えなくてはならなくなったな」

 

部下の男は深く、深く頭を下げる。

 

「…返す言葉も、ございませぬ」

「しかし…ロウリア程の規模を持つ国が、我々の支援があったにも関わらず文明圏外国に敗れたなど、とても信じられんな。敵は一体どのような兵器を使ったのだ?」

「それが、諜報員にはEDF日本支部を調査するよう指示したのですが…その日に王都への攻撃に巻き込まれて死亡したらしく、EDF日本支部軍の詳細は一切不明です」

「諜報員が死んでしまっても、戦闘を見ていた一般人が居るだろう。そこから情報の一部くらいは聞き出せる筈だ」

「それが…ロウリア人は皆、一切の情報を話さないのです。どれだけ金を積もうが、何をしようが全く口を開きませんでした。まるで何かを恐れているかのようで…」

「クソッ、唯でさえ時間が無いというのに…!もういい、EDF日本支部の情報とロウリア王国の支援に関する履歴を全て焼却しろ!!我らの関わりの証拠を何一つとして残すな!国家戦略局と自分、そして家族の為にもな!」

 

ロウリア王国を支援していたパーパルディア皇国国家戦略局は、ロウリア王国が引き起こした侵略戦争の一部始終を徹底的に隠蔽する事を決定した。

この決定が後に、大惨事を引き起こす事も知らず。

 

 

 

 

 

 

ロウリア王国の無条件降伏より数日が経った、クワ・トイネ公国 政治部会にて。

 

「…というわけで、ハーク・ロウリア34世はEDF日本支部に捕らえられました。ロウリア王国の各都市は壊滅的な被害を受け、現在「都市としての最低限の機能」を残しているのは、王都ジン・ハークのみです。ロウリア軍もほぼ殲滅され、現時点に於いて…ロウリア王国領土全域が事実上、EDF日本支部の支配下に収まった事となります」

 

その会場は、沈黙が流れ続けていた。出席者達の中にはEDF日本支部の国力を疑う者も居れば、その国力を信じる者も居た。

しかしこの結果は、何だ?あの作戦に於ける軍行動許可を決議した翌日。EDF日本支部はロウリア各都市と全軍に攻撃を開始し、たったの1日で各都市を壊滅させ、ロウリア軍の99.9%を殲滅し、ロウリア王国全域を事実上支配下に置くなど、余りにも非常識。余りにも規格外。ここまで来ると、恐怖を抱いてしまうのも無理はない。

 

「…いずれに、せよ、だ。これは喜ぶ、べき事である…EDF日本支部とは是非………是非、友好関係を続けていきたいものだな」

 

首相カナタの震えた声が、やけに静かな会議場の空気を震わした。

 

 

 

 

 

 

EDF日本支部。

東京本部は現在、書類作業に追われる多数の士官が廊下を歩いていた。ロウリア王国との戦争を終え、戦後処理に勤しんでいた。弾薬の補給、元ロウリア王国領地の統治権譲渡準備、初の実戦投入となった1t級クラスター型かんしゃく玉爆弾のレポート提出、etc。大多数のEDF日本支部士官の仕事は、山のように届く様々な書類を捌き切る事だった。

 

そんな感じに、EDF日本支部の人間達が書類戦争を行なっている時に、EDF日本支部の重役達は再び一堂に会して戦後会議を行っていた。

 

「無事、勝利しましたね」

「科学技術差だけを考えれば、勝利はまず間違いなかったからな。唯一の不安材料は「魔法」だけだった。最もその魔法も、現在分かっている範囲での話ではあるが、フォーリナーのテクノロジーと比べれば可愛い物だよ」

 

幹部の言葉に、参謀長は肩を竦めつつ答えた。

今戦争にて、何故EDF日本支部があれだけの戦力を投入したのか。それは「魔法」という正体不明の要素があったからだ。

クワ・トイネ公国とクイラ王国間で国交を結んだ際に、EDF日本支部も「魔法」という存在そのものは認識していたのだが、それが攻撃に使われた際、一体どれ程の威力を持つのかまでは全く把握する事が出来ていなかったのだ。分からないからこそ、EDF日本支部の全員が魔法を恐れていたのだ。もしかしたら何も武器を持たずに、いきなり大火力な攻撃を行えるかもしれない。もしかしたら此方の想像を絶する規模の攻撃を行って来るかもしれない。もしかしたら、フォーリナーのような攻撃を行う事も出来るのかも知れない。

分からない。分からないからこそ恐ろしく、それ故にあれ程の大部隊であっても、誰もがそれを過剰戦力だとは思わなかった。それはEDF日本支部に住まう市民達も同じである。そもそもEDF市民もフォーリナー大戦を経験し、戦争についての見方が大きく歪められてしまったのだ。

 

 

戦争とはそれ即ち、我々の全てを賭けて行われるべき生存闘争であり、一度戦争となってしまえば、最早人権などありはしないのだ、と。

 

 

だからこそロウリア王国の各都市が壊滅し、全軍の99.9%が殲滅され、市民の約40%が死に至った攻撃が行われたと知っても、EDF市民達は「それが当然の事だ」と受け入れてしまったのだ。

 

正に、狂気。

正に、無慈悲。

正に、神をも恐れぬ所業。

しかしEDF日本支部は、文字通り世界が滅ぼされかけた星間戦争を生き残った者達なのだ。そんじょそこらの、たかが地域国家同士で争っているような小さいスケールのソレではない。文字通りの生存戦争だ。

敵は異星からの侵略者。テクノロジー、物量、戦術。その全てが絶望的に劣っていた戦争。僅か7ヶ月の戦争でありながら、人類の7割が犠牲になった戦争。皆が皆、何かしらの希望(狂気)に縋らねばならない程に追い詰められたあの地獄。

確かにEDFは勝利した。しかしその勝利の代償として残り続けた心の傷は、今もなおEDFを蝕んでいるのだ。

 

 

「それで、元ロウリア王国の復興はどうします?」

「必要最低限で構わないでしょう。二度と牙を生やさないよう、徹底的に我々の技術は遮断します。後で統治権を譲渡させるクワ・トイネ公国から多少の技術の漏洩は考えられますが、それも前世代技術のみ。我々の指導が入って初めて扱う事の出来る技術な以上、ロウリア王国があれ以上の技術進化をする事は無くなります」

 

だからこそ、敗北者へ容赦もしない。敗者は勝者によって蹂躙されるのが運命だと悟ってしまった彼等に、敗者へ救いの手をどうして差し伸べられるのだろうか。

 

「…今回の戦争、首謀した国が居ると聞いたぞ」

「はい、司令。これはクワ・トイネ公国からの情報ですが、ロウリア王国にはパーパルディア皇国が後ろ盾となり、軍事支援を行っていた可能性が非常に高いという事です。資料によると『ロウリア王国一国のみでは50万の兵士、4400隻の軍艦、500騎のワイバーンを整えるのは不可能であり、その規模の軍事支援を行う事の出来る近辺国は、第三文明圏列強国パーパルディア皇国以外にはあり得ない』との事です」

 

情報局長から報告されたその資料に、士官の全員が眉をひそめる。確かにパーパルディア皇国の情報は聞いた事があり、かの国に対するEDF日本支部の心象は、ロウリア王国に対するそれよりも悪かった。

 

パーパルディア皇国は、日本列島の西側に広がるフィルアデス大陸を支配する国だ。極めて強硬な政策で72ヶ国を併合し、属領の疲弊を無視した急激な領土拡大政策や強権支配により、属領からは怨嗟の声が静かに浸透している。そしてその傲慢な態度により、列強国以外の国に己の要求が却下されれば問答無用で侵略・征服を行う、周辺国家にとっては極めて危険な国。

 

このような国とEDF日本支部は最初から国交など結ぶ気もなく、現段階では情報局員の派遣は一切行われていない。

 

「パーパルディア皇国…か」

「既に自律衛星ライカから独自判断で衛星偵察が終了しており、司令の命令さえあれば…彼の国を滅ぼす事も可能です」

「却下だ。忘れるな、我々はEDFだ。我々は人々を護る盾であり、決して我々から手を出してはならん。我々は侵略者ではないのだからな」

 

参謀長の提案に、司令は鋭い声で否定の声をあげた。あくまでもEDFは防衛軍であり、フォーリナー相手の場合を除き、決してこちらからは手を出さない。これは「EDF」の絶対のルールだと、司令は認識していた。

 

「失礼しました」

「…だが」

 

しかし、それはあくまでもルールだ。

 

「向こう側から手を出してくるならば、話は別だ。ロウリア王国ではある程度は加減したが、パーパルディア皇国には一切手加減するな」

「では、司令」

「うむ、作戦計画は考えておいてくれ。最低作戦目標はパーパルディア皇国全属領の解放だ」

「分かりました、一月以内には提出します」

 

こうして、EDF日本支部はロウリア王国との戦争の戦後処理に入ると同時に、その傍らでパーパルディア皇国への準備を始める。

漸く訪れた平和。しかし完全なる平和となるには、まだまだ課題が多そうだ。

 

「所で、呉の建造ドックで建造されている「あの艦」の進捗はどうだ?」

「順調です。転移によって一時中断されていましたが、クイラ王国からの大量の資源が輸入出来た事により、予定スケジュールよりも早く進水する可能性すらあります」

「それは嬉しい知らせだ」




これにて第2章「ロデニウス動乱」は終了となります。ここからは少々長い話となりますが、お付き合い下さい。

まず、本小説の閲覧ありがとうございます。
最初はただ、「日本国召喚にEDFをブチ込んだらどうなるんだろう?」という好奇心100%の考えから生まれました。
そんな感じで唯々好奇心を満たしたい自分の為だけに書いていたのですが…まさかそんな本小説が、日刊ランキング最高8位、ルーキー日刊ランキング最高2位、お気に入り件数800件突破を達成する事になるなんて、唯々皆様に感謝する他ありません。
本当に、ありがとうございます!!

さて、これからの予定を少しお話ししましょう。
更新頻度を落としつつですが、一応パーパルディア戦まで書いて行く予定です。ムーやミリシアルなどの絡みをどうしようかが悩みどころですね。その後のグ帝戦などは、原作の展開がまだ戦争終結まで行ってないので、正直分かりません。魔帝などは特にです。
ただいくつかは面白い事を思い付いているので、もしかしたらオリジナル展開で押し進める可能性もありますね。EDF日本支部vs魔帝vsフォーリナーの三つ巴みたいな。(あくまでも可能性)

そんな訳で、パーパルディア戦の展開が大雑把に決まるまで本編の更新は一旦停止するかもです。本編以外にも閑話として、自律衛星ライカやかんしゃく玉兵器化事件、フォーリナー大戦などを軸に置いた話も書くかも知れません。

何にせよ、次回をお楽しみに!

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