EDF日本支部召喚   作:クローサー

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アンケートにより、第5章は本編を一直線に突き進むこととなりました。その為、今後の数話は旧5章を手入れして再投稿、もしくは並び替えをしていく事になります。(旧22〜24話は並び替え)
それと、第22話の一部の台詞を修正しました。

※並べ替えにより、実質上第25話までストーリーが更新されました。


第5章 運命の歯車
第23話 出逢い


ある日。

転移前に於ける日本列島の経済的排他水域に相当する周辺370kmの一部を哨戒していた、EDF空軍第37飛行小隊が何かをレーダーに捕捉した。

即座に司令部に報告した第37飛行小隊のファイターは、目視の為にレーダーの反応に向けて接近する。

 

そこに居たのは。40ノットで航海している戦艦大和に良く似た印象を持つ、しかし大和よりも巨大な船体を持つ戦艦だった。

 

この世界に転移してからは見たことも無い近代的な戦艦の出現に、第4艦隊の分艦隊が緊急出航が決定。第37飛行小隊が不明艦を監視している間、アイオワ級フリゲート艦4隻が60ノットの全速で不明艦への接触に向かう。

数日後に第4艦隊分艦隊は、不明艦への接触に成功。不明艦には敵意は無く、程なく臨検を受け入れた。その臨検の際、「シエリア」と名乗る外交官の女性が現れ、自らの所属と航海目的を述べた。

 

 

曰く、「私達はグラ・バルカス帝国の使者団であり、我々の目的は貴国との国交を開設。そして友好関係を築き、願わくば貴国との同盟を結ぶ事を望んでいる」との事だ。

 

 

今までの国ならば、EDF日本支部はそれまで通りに丁重に断っていたのだろうが、不明艦…否、グレード・アトラスターの姿を見たEDF日本支部は、まずは国交開設の交渉を開く事を決定。その際に於いて、使者団を通じてグラ・バルカス帝国の本質を見極める事とした。

その決定が成された後、グレード・アトラスターは第4艦隊分艦隊の案内の元、東京湾へとその足を向かわせる。

 

 

 

 

 

 

その日の東京湾の様子は、いつもと違う雰囲気だった。

東京湾に入っていくアイオワ級フリゲート艦4隻。これはまだ良い。平時ならばそれなりの頻度で横須賀海軍基地に停泊、もしくは出港する海軍艦が行き来しているからだ。

 

問題は、アイオワ級フリゲート艦4隻の中心、四方を囲まれる形で戦艦大和によく似た軍艦が居るという事だ。

その全長は333m。巨大な船体の中心からやや後方に、城と思わせるような艦橋が聳え立っており、艦橋を守る様に多数の3連装高角砲が集中配備されている。そして戦艦の象徴の一つである主砲は、46cm3連装砲。それが前部に2基、後部に1基搭載されている。その姿は威風堂々としており、この世界の国々はその姿を恐れている。

 

彼の戦艦の名は、グレード・アトラスター。

西の果てに存在する国家 グラ・バルカス帝国が誇る超兵器であり、最新技術を結集して造られたグラ・バルカス最強の戦艦である。その戦闘能力は、グラ・バルカス海軍数個艦隊にさえ匹敵する。突如として現れたこの戦艦が、第二文明圏列強国 レイフォルを、単艦で僅か3日間で滅ぼした事は、世界各国の記憶に新しい。

その艦橋に、艦長のラクスタルと外交官のシエリアが居た。

 

「…どう思います、ラクスタル艦長」

 

シエリアの問いに、ラクスタルはアイオワ級フリゲート艦に視線を向ける。

 

「…仲間になるならば頼もしく、敵になるならば「脅威」ですね。四方を囲んでいる戦艦の主砲は、口径こそ30cm程度ですが、3連装のレールガン。破壊力重視である我が艦の46cm3連装レーザー砲とは違って、レールガンは貫通力に特化しています。艦隊の砲撃戦になるならば、我が海軍が採用している対レーザー装甲では、我が艦以外の艦は貫通される可能性が高いです。恐らく、苦戦は免れませんね」

「…」

 

ラクスタルの言葉に、シエリアは何かを考える様な仕草を見せて深い思考の海に入る。

 

「技術力は我々と同等以上…そして敵には一切の容赦をしない決断力…しかし味方であるならば、その待遇は厚い。単純だが、それ故に明確。そして、あの報告書…やはり、EDFとは何としても国交を開かなければならないな…」

 

 

 

 

 

 

約1時間後、アイオワ級フリゲート艦4隻(第4艦隊分艦隊)によって横須賀海軍基地まで案内されたグレード・アトラスターは横須賀軍港に停泊していた。

シエリアを含んだ使節団は国交開設の交渉の為にグレード・アトラスターを降りてEDF日本支部の本部へと向かっている。グレードアトラスターの乗組員であるラクスタル達は、言うならば留守番だ。今回のグレード・アトラスターの役目は使者団を無事に送り届け、そして国交開設交渉を終えた使者団を乗せて無事に帰る事。グレード・アトラスターを出す事でEDF日本支部の反応を探る事も目的の一つとしてあったのだが、それは最初から破綻していたと言う事を、横須賀軍港に入った時に悟った。

 

「…まさか、グレード・アトラスターをはるかに超える巨体を持った空母が居るとはな…」

 

甲板に出たラクスタルの視線の先には、同じく横須賀軍港に停泊しているEDF海軍最大の戦闘艦である要塞空母デスピナが居た。更に全長1400mもの空母だけではなく、横須賀軍港にはグレード・アトラスターと同等規模の船体を持つ戦艦が十何隻も居る。これでは、たかが全長333mのグレード・アトラスターの威圧感など機能する訳が無い。

 

(戦艦も脅威だが…あの空母の武装は戦艦以上、というよりも最早異常だ。此処から見えるだけでも、グレード・アトラスター並みの砲口径の連装型レールガンが4基に…対空砲が数百基。近接防空力を考えると、ミサイルはまず通じないな。それに此処から見えないだけで、まだ何かしらの武装を持っててもおかしくない…これで空母の「武装だけ」の能力など、信じられんな。艦載機もあの巨体なら何十機も搭載出来る、もしかしなくとも一個飛行団があの空母から発進しても、なんら不思議ではない。空母というより、最早移動要塞だな)

(しかし、まるで冗談みたいな国力だ。先に露見した超巨大戦艦のみならず、それと同等の規模を持った巨大空母に加え、この艦(グレード・アトラスター)に匹敵する艦をこれほどに量産するとは…)

 

(…このような兵器を造らなければならない敵、か)

 

 

 

 

 

 

「…いよいよですね」

「そうだな…」

 

グレード・アトラスターから降り、日本列島の地に立った数少ない外国人となったグラ・バルカス使節団の一行は、数時間を掛けた車の旅を終え、大阪にあるEDF日本支部の本部へと辿り着いた。そして案内された本部の内部にある応接室で、シエスタ達は応接官がやって来るのを待っていた。

横須賀から大阪までの車の移動の際、使者団は出来うる限りの情報をその目で掻き集めていた。

 

妙に真新しく感じるビル群。

街全体に漂う、僅かな緊張感が漂う空気。

所々に存在する、不自然なクレーター。

 

そこらの国家と比べると、余りにも異質な雰囲気を持つ国。

しかしその技術力は、横須賀軍港で目撃した超巨大空母(要塞空母デスピナ)と戦艦群、そして独自の情報網から判明した超巨大戦艦(要塞戦艦ヤマト)から推測するに、グラ・バルカス帝国と同等以上。そしてその国力も推して知るべし。万が一国交開設に失敗して敵対関係になれば、非常に危険な事態になるのは目に見えている。

 

(絶対に成功させなければならない…)

 

その時。応接室の扉が開き、EDF日本支部司令と情報局長と部下1名が入室する。グラ・バルカスの使節団の3人は一度席から立ち上がり、一礼をした。

 

「グラ・バルカス帝国外務省のシエリアです。突然の訪問にも関わらず、このような場を設けて下さりありがとうございます」

「…ええ、よろしくお願いします」

 

挨拶もそこそこに全員が席に着席し、遂に国交開設の交渉が始まる。

 

「まずは、我々の訪問目的をお話ししましょう。単刀直入に言えば、我々グラ・バルカス帝国は貴国との国交を開設し、貴国との友好関係を築きたいのです」

「…その為に2万km以上の距離を単独で航海し、第一文明圏と第二文明圏を跨り、我々と接触したと?はっきり言って、我々は貴女方の訪問の理由が他にあるのでは無いのかと疑っている。そして最近、我々の本土に国籍不明機が侵入する事件が起きた。それは貴方達の軍が引き起こした事ではないのか?」

 

司令の鋭い視線が、シエリアを貫く。しかしその貫禄に怯むことなく、シエリアは話を進める。

 

「いえ、我々は貴国に対して領空侵犯を行ったという事実は一切ありません。我が国には2万kmもの距離を往復可能な機体は存在せず、そして貴国近辺に海軍艦を派遣した事もありません。何よりも無断で貴方方の領空に侵入するような理由もありません。国交を結びたい相手にわざわざ火種を投げ込むような行為は、無能以外の何物でもないのではありませんか?」

「…わかりました。其方の言葉を信じましょう」

「御理解頂けて何よりです。では、貴国の訪問理由の詳しい理由ですが…」

 

シエリアは一度言葉を切り、少しの沈黙の後に意を決してその先の言葉を紡ぎ始めた。

 

「…我々は貴国との国交開設の為に、貴国の事を出来得る限り知る為に、5ヶ月を掛けて貴国の情報を収集してきました。そのお陰で、貴国の事をよく知る事が出来ました。21ヶ国の復興及び発展支援、パーパルディア戦争、第三文明圏各国との国交開設、ロウリア戦争、クワ・トイネ公国とクイラ王国との接触」

「そして──」

 

 

 

 

「フォーリナー大戦」

 

 

 

 

 

シエリアの口から発せられたその言葉に、EDF日本支部の全員の思考回路が凍り付いた。

何故ならそれは、EDF日本支部以外には絶対に知る由のない言葉なのだから。




何故、彼女(シエリア)はその言葉を知っている?
何故、グラ・バルカス帝国はここ(第三文明圏)までやってきた?
何故、彼等はEDFに友好を求めてきた?
何故、何故、何故?

その答え合わせは、すぐ目の前に。

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