EDF日本支部召喚   作:クローサー

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第17話 戦争外交 1(改)

工業都市 デュロ。

パーパルディア皇国東端部の沿岸にあるそれは、皇国の生産部門を担っている一大工業都市であり、皇軍の後方を担う。その象徴として、都市東部の沿岸部に工場が密集。海岸線に沿った北側と南側には居住区、西側は皇国三大基地の一つである、ワイバーンロードも多数配備されたデュロ防衛隊陸軍基地が置かれている。

そして地理的にも皇国の工業力の要であると共に、北方や南方からの侵略に備えている拠点でもあり、陸軍基地の他にも皇国主力艦隊の第5艦隊、第6艦隊が現在駐留している。そしてデュロ周辺の沖合には、ワイバーンロードの竜騎士隊が分散して哨戒任務を行なっており、その警戒網に不備などは存在しない、完璧な物だった。

 

…そう、完璧な物だった(・・・)。事実、その警戒網の完成度は第三文明圏随一であり、第三文明圏国の軍ならば警戒網に一切掛からずに本土攻撃する事はまず不可能と言ってもいい。世界的に見ると技術レベルこそ低いが、それであるからこその「物量」によって形成された警戒網の厚さは、皇国の国力を指し示す物でもあった。

最も、それは土台(・・)が同じ相手であればという前提だったが。

 

 

 

 

デュロより東方50km。

透き通るような青い空を、ワイバーンロード10騎が力強く飛行していた。彼等の所属はパーパルディア皇国デュロ防衛隊陸軍基地所属 第11竜騎士団第1飛行隊第2中隊。彼等は今日も軍人としての日課となっているデュロ東方方面の哨戒飛行をこなしていた。

数日前から、パーパルディア皇国はアルタラス王国及びイーディーエフと戦争状態に突入した。その為皇軍は念の為に哨戒機や哨戒艦を3割増やし、より万全な体制を敷いた。勿論誰もが皇国、皇軍が一度たりとも負ける事は無いとは思っている。しかし蛮族達が破れかぶれとなってパーパルディア本土に攻撃を試みようとする可能性はゼロでは無い。そんな事が起きないよう、哨戒戦力を増加させたのだ。

 

『マグネ隊長。今回出てきたイーディーエフとかいう奴は何なんだと思います?』

 

血気盛んな若手の竜騎士であるサルクルが、魔力通信にて第2飛行中隊長 マグネに話しかける。

 

『さぁな。どちらにしろ文明圏外国の一つ、皇軍が負ける事はあり得ないさ。かといって油断して落とされるような失態は犯すんじゃないぞ?』

『分かってます!例えムーやミリシアルが敵になろうが、私が落としてみせますよ!』

 

 

 

 

 

海面を切り裂き、巨大な艦達が航海していく。

横須賀海軍基地より出撃したEDF第7艦隊は現在、要塞空母デスピナを筆頭にセントエルモ級イージス戦艦4隻、アイオワ級フリゲート艦6隻から成る輪形陣を構成し、パーパルディア皇国東部都市 デュロに向けて侵攻していた。

デスピナの甲板には、発進に向けて待機するファイター10機の姿がある。その直下では、第1師団を載せるHU04ブルート数十機が最終点検を終えようとしていた。

 

「………時間だ。アルファ隊、ブラボー隊発艦せよ。発艦が終了次第主砲発射準備とブルート全機の発進準備を並行。哨戒するワイバーン及び敵艦を破壊し、彼等の道を開ける」

「了解!アルファ隊、ブラボー隊発艦開始せよ!」

『アルファ隊了解。全機行くぞ!』

『ブラボー隊了解、出る!』

 

発艦許可が下りた10機のファイターは、同時に機体下部に配置された補助ブースターを起動。出力全開で放たれた推力は、絶妙なバランスで機体を宙に浮かす。続いてメインエンジンの出力を上げ、アフターバーナーへと移行。最大速度マッハ4を叩き出す心臓が轟音を立てて大推力を発揮し、ものの十数秒で音速域に到達。そのままの勢いで急上昇を開始し、艦隊の直衛となる。

直後、第7艦隊全艦の前部主砲が起動。レーダーに捕捉した敵艦やワイバーンに向けて照準し、一部の艦砲は最近開発された新型砲弾を装填。砲身に電力が走り、バチバチと音を立てる。

 

「全艦砲撃準備完了!」

「攻撃開始」

 

 

 

 

 

 

『はは、そうなった時にはお前の活躍を楽しみに』

 

マグネがサルクルに向けて魔力通信を行なっていた最中、第2中隊に第7艦隊から放たれた新型砲弾「対空用近接信管型全方位拡散式かんしゃく玉砲弾」…通称かんしゃく玉砲弾(EDF海軍では対空砲弾と呼んでいる)が命中。それは第2中隊の中心地点で爆発し、たった1発でワイバーンロードの編隊を殲滅した。

 

これが出来たのも、かんしゃく玉砲弾の仕組みと、その威力による。

主砲より撃ち出されたかんしゃく玉砲弾は、近接信管によって設定内の距離に物体を確認したら、砲弾が炸裂。同時に砲弾内に存在していた圧縮空間が破壊され、瞬時に5万発のかんしゃく玉が全方位に瞬時に拡散し、起爆。起爆地点を中心とした半径250mを瞬時に爆発で制圧する。爆発範囲内に巻き込まれた物は、最大5万発のかんしゃく玉爆発の爆風や圧力を全方位から受け、跡形も無くその存在を消し去られる。

つまり、このかんしゃく玉砲弾の爆発範囲内にスッポリと入ってしまっていた密集陣形状態の第2中隊は、かんしゃく玉砲弾によって瞬間的にこの世から消滅させられたのだ。

 

これは、何も第2中隊だけの話ではない。デュロ東方を哨戒し、尚且つ第7艦隊の進路上に存在または到達するあらゆるワイバーンロード、敵艦がかんしゃく玉砲弾と通常徹甲弾の砲撃によって悉く撃墜、撃沈。遥か水平線の彼方からマッハ7で飛来する砲撃を感知する事さえ出来ず、デュロへの道が開かれた。

しかしパーパルディアにとって幸運だったのは、偶然ではあるが、海軍基地に向けて定期連絡を行なっていた数隻の船が第7艦隊の砲撃を受け、通信を途絶した事だ。この事態に最初は海軍総司令官 バルスも含めてのんびりとした対応を取っていたが、連絡が途絶えた船が数十隻もいると確認され、更には陸軍基地よりワイバーンロードの反応が次々と消滅していると報告があり、直ぐに緊急事態が起こっていると把握した。この事態に海軍基地より第5艦隊の緊急出撃が決定され、陸軍基地も全ワイバーンロード及び全陸軍のデュロ防衛配備を決定した。

その判断と伝達の速さ、正に神懸かり的といって良いだろう。パーパルディア皇国が保有する技術力と照らし合わせれば、それは最速とも言っても良い。

 

ただそれでも、そもそも無駄だった(・・・・・・・・・)という事実は変わらないが。

 

 

 

 

 

 

デュロ防衛隊陸軍基地。

パーパルディア三大基地と数えられるその基地は、数万の兵士と最大400のワイバーンを収容し、幾多の魔導砲や対空魔導砲などといった大型兵器を保管する大規模なキャパシティを持つ。更にはワイバーンの為の滑走路も完備し、それは正に一つの要塞と言っても良いだろう。

いつもなら何事も無く一日を過ごす筈だったデュロ陸軍基地…いや、全防衛戦力は慌ただしく動いていた。デュロ周辺に存在する全ての軍用魔力受信機からは警報が鳴り響き、兵士達は戦闘準備を行なっている。竜騎士達はワイバーンロード達を滑走路に誘導し、防空隊は倉庫から魔導砲や対空魔導砲を引っ張り出し各地に配備準備をし、備え付けの対空魔導砲には人員が張り付く。そして陸軍は装備を整えてデュロ陸軍基地及びデュロ周辺の防衛に出撃準備。

 

「第3飛行隊、離陸開始します!」

 

防空部通信指令課の通信士の1人がそう叫ぶと同時、滑走路に揃ったワイバーン10騎が離陸を開始。その後に続き、10騎編隊のワイバーンロードが次々と離陸を開始していく。第3飛行隊100騎が離陸を完了すれば、デュロ上空には現在向かっている第2飛行隊と合わせて200騎ものワイバーンロードが防空に付く事になる。そして海軍基地では現在第5艦隊186隻が港より出撃中であり、デュロ防衛に関する全戦力が整えられようとしていた。

無論そんな様子の陸軍基地や上空を飛行する多数のワイバーンを見てデュロの市民は不審がっているが、皇軍はそんな事を気にする事もなく着々と防衛準備を進めていく。

 

「ストリーム、これ程の戦力が必要なのか?戦力過剰にも程があると思うぞ」

「念には念を、だ。蛮族の決死行は文字通り命を燃やす勢いでやってくる。少しでもデュロを傷つけられれば皇軍の恥となる、それだけは絶対に避けるべきだろう?」

「確かに、それもそうだな」

 

デュロ基地竜騎士長 ガウスの問いに対し、デュロ基地司令を務めるストリームは簡潔にそう答えた。パーパルディア皇国は、第三文明圏列強国になって以降、一度たりとも本土攻撃を受けた事は無く、それはパーパルディア人の誇りの一つでもあった。それを蛮族が汚す様なことになれば、皇帝のみならず皇族にも目が付けられる事は容易に想像出来た為に、ストリームはデュロに配備されたあらゆる戦力を防衛の準備に取り掛からせたのだ。

 

ストリームの視界の先に、滑走路を走るワイバーン10騎が見える。ワイバーンは空を飛ぶためには助走で勢いを付けて風魔法を使用し、その勢いで空を飛ぶというプロセスを踏む必要がある。その為に各陸軍基地には滑走路が整備されているのだ。

助走の勢いと各ワイバーンが展開する風魔法の風力が合わさり、離陸が始まる。

 

そのまま角度を上げて上空に飛び立とうとした瞬間、超音速で飛来した超小型ミサイル10発が第3飛行隊第34中隊(ワイバーンロード10騎)全騎に命中し、爆散した。

 

「───は?」

 

刹那、30mという狂気的な超低空かつマッハ4もの超音速飛行でファイター5機がデュロ陸軍基地上空をフライパス。マッハ4の速度と30mの超低空が生み出す爆音とソニックブームの威力によってデュロ陸軍基地に存在する全ての窓ガラスが割れ、滑走路付近にいた兵士達の鼓膜を破って身体を吹き飛ばす。

そして運悪く窓ガラスの至近距離にいたストリームの上半身に、散弾と化した窓ガラスの破片が次々と突き刺さり、即死に至らしめた。そこに衝撃波が加わり、大きく吹き飛ばされて後頭部を起点に全身を壁に打ち付けて崩れ落ちた。それを目撃してしまったガウスは、直感的にストリームの死を悟った。

 

「ッ…!!レーダーァ!!貴様の目は節穴かぁ!?一体何故敵の接近を見逃したぁ!!

「今もレーダーに敵の反応がありません!!ワイバーンや風龍などの類では無く、飛行機械だと思われます!!」

「巫山戯るな!!今のが飛行機械の攻撃だと!?あんなの、あんなのミリシアル帝国が保有する「天の方舟」でも不可能だ!!」

 

レーダー員とガウスが言い争っている間にも、空は惨劇が展開され始めた。

 

『回避、回避!!』

『ば、か野郎!?なんだあの速さ反則だろうが!?』

『敵は蛮族じゃねえのかよぶぇ!!』

『や、やられた!!ジャンが、ジャンがバラバラになった!!』

『なんなんだよあれ!!なんで回避しても追いかけてくるんだよ!?』

 

襲来したファイター5機は速度を落とし、低速度の格闘戦を開始。補助ブースターを使用した、フォーリナー大戦前の戦闘機では絶対に不可能な超機動から怒涛の勢いで放たれる超小型ミサイル(ADMM)によって1秒経過するごとに、約200居たワイバーンロードが次々と撃墜され、ものの3分足らずで潰走を開始した。彼等はワイバーンロードという空の王者を操ってきた為に、今眼前に存在する敵は、自分達では一矢報いる事さえも不可能であると、悟ってしまった。

しかしファイター5機…アルファ隊は逃す気はさらさらない。彼等に課せられたのは「デュロ周辺の制空権、制海権の確実な獲得」。つまり今見えているワイバーンロードの殲滅は決定的であり、慈悲などは無い。

 

『此方アルファ3、地上に対空砲らしき兵器を多数確認しました』

『了解だアルファ3。アルファ4、5。対空砲を掃討しろ。ブルートを傷付けさせるな』

『ラジャー、合わせろアルファ5!』

『はいよ』

 

ファイター2機が目標を対空魔導砲に変更。ADMMをにロックオンして放ちつつ、EML(レールガン)による砲撃によって人員と兵器を丸ごと破壊する。慌てて弾幕を張る者達や一目散に逃げる者達もいるが、やはり関係無く撃滅していく。デュロ陸軍基地に存在する建物などにも手当たり次第ミサイルやレールガンによる攻撃を加え、デュロ陸軍基地を破壊していく。滑走路は勿論、竜寮舎や建物など、とことん破壊する。

 

こうしてデュロ陸軍基地が猛攻を受けていたが、それは海軍も似たような物だった。

港から出航しようとしていた第5艦隊、出撃待機をしていた第6艦隊。計372隻が火の海になるか、それとも跡形も無く吹き飛ばされていた。

 

『此方ブラボー隊。デュロの港に居た敵艦隊を全て撃沈した』

『了解したブラボー隊。そのままアルファ隊と共に制空権を確保してくれ。第1師団の到着だ』

『ブラボー隊了解』

 

ブラボー隊がデスピナの指示を受け、港部からデュロ陸軍基地に向けて飛び去った直後、東の方向から数十機ものHU04ブルートが編隊を組んで襲来した。ファイターのソニックブームなどとは違う、バタバタと何重にも重なるプロペラの騒音がデュロに住まう市民達や兵士達に恐怖感を与え、一部の者達にパニックを引き起こす。

デュロの町を目前にしてブルートの編隊が解かれ、各機が其々の展開地点へと拡散する。兵士達はブルートに向けて銃や弓矢を放つが、マスケット銃でヘリコプターを落とせるならばその銃士の練度は神の領域に達していると言ってもいいだろう。弓矢に至っては論外である。

余りにもか細い対空砲火を抜け、各機は上空10mでホバリングを開始。そしてドアが開かれ、中からレンジャーやウィングダイバーが飛び出した。ウィングダイバーは背部に装着された飛行ユニットで飛行できるが、そういった特殊装備を持たないレンジャーは物理法則に従って落下していく。例え10mでも普通の人間ならばどれだけ良くても骨折、最悪の場合は死んでしまう危険さえもある高さだが、レンジャー達は次々と着地し、平然とした様子で走り出した。

 

何故10mの高さから無傷で着地出来たのか。それはEDFが採用している第3世代アーマースーツの恩恵による。アーマースーツ内部に埋め込まれている人工筋肉繊維による筋力補強機能と、巨大生物の硬皮を参考にして生産された特殊素材による耐衝撃性が合わさり、正しい姿勢で着地出来れば100mからのパラシュート無しのダイブにも無傷で着地出来るという驚異の性能を叩き出している。他にも詳しい性能や特殊兵科の特殊装備などが存在するが、今回はウィングダイバーのみの説明とさせて頂く。ウイングダイバーは、背部に飛行ユニットと小型の大出力ジェネレーターを装備し、空中機動と高出力の光学兵器を取り扱う事が可能であり、巨大生物の攻撃方法が少なくなる空中から光学兵器やプラズマ兵器による範囲攻撃を行う、対巨大生物戦闘を得意としている。今回はレーザー兵器を中心としてレンジャーを航空支援するために出撃した。

 

ブルートからの展開を完了した第1師団歩兵隊は、デュロの制圧を開始。市街地は展開が速いウィングダイバーに大部分を任せ、レンジャー達は海軍基地や陸軍基地へと突入していく。

今回はレンジャー1の隊長「結城」を中心とした視点で海軍基地制圧を見ていこう。

 

「突入するぞ!」

 

そう言った直後、結城は一切の躊躇なくドアに向けてAF20を連射し、ドア越しにいた敵を射殺。ボロボロになったドアを蹴り破って(粉砕して)隊員共々海軍基地内に入り込んだ。そして左右に居た職員に対し即座に発砲。対巨大生物兵器という余りにも威力の高い弾幕によってバラバラにされるが、一切気にする事も無く周辺を制圧する。他からも発砲音が響いているため、既に多方面からレンジャーチームが突入を開始しているのだろう。

 

「此方レンジャー1、我々は上に行く階段を探し、2階を制圧する」

『レンジャー1、任せた。レンジャー2が1階を、レンジャー3が3階を制圧する』

「了解」

 

小走りで、しかしレーダーに気を配りながら階段を探す。同階の部屋の中に立て籠もっている反応がいくつも見られるが、そこはレンジャー2、3の仕事。

無視して階段を探索し、漸く見つける。レーダーによると階段付近で待ち構えている反応が4つ。待ち伏せだろう。

 

「…手榴弾使ってこの建物保つかな?」

「威力が威力ですので…厳しいのでは?」

「そうだよな…仕方ない、狙え」

 

結城を始め、6人の内4人が天井…の上にいる敵兵に向けてAF20の銃口を向ける。AF20の威力ならば、この程度の壁の貫通も容易い。

誰が言うまでもなく、同時に連射。各銃口から5、6発の弾丸が吐き出され、天井を貫通して4人の兵士に命中。即死したのをレーダーの反応で確認すると、すぐさま階段を駆け上がり、上階の制圧を開始。廊下に作られた即席のバリケードは弾幕でバリケードに隠れてた兵士ごと粉砕し、部屋に籠っている者に対しては、大抵はドア越しの射撃で対応していく。少ない人数で手早く制圧するためには、兵士か職員(非戦闘員)かの見分けを行う事自体が時間をロスする上、確認の為にドアを開ければ、その瞬間に未知の魔法が飛んでくるかも知れない。

だからこそとことん先手を打ち、何もさせることも無く殺していく他に最善の方法は無い。

 

「…!隊長、レーダーに多数の反応」

 

先行していた隊員の1人が声を上げる。レーダーを見てみれば、この先の部屋の中に、十数人の人間の反応が映し出されていた。素早くマガジンを交換し、ドア横に布陣。部屋の奥に固まっている辺り、やはり此方を待ち構えているだろうが、それにしては今までと違って人数が多い為、もしかしたら此処が通信室か司令室であるかもしれないと推測。

 

(…此処で使うか)

 

結城は圧縮空間からスタングレネードを取り出し、安全ピンを引き抜く。そして隊員とアイコンタクトし、隊員が僅かにドアを開けると同時に隙間からスタングレネードを投擲。すかさずドアを閉めた直後、室内に強烈な光と爆音が響き、思わずスタングレネードを見てしまった者達は激しい光に目を奪われ、更には爆音によって激しい耳鳴りに襲われる。

その先にレンジャー1は室内に突入。素早く全員が持っていた武器を奪い、全員を無力化する。

 

「ぐ、くそっ…何者だ貴様ら!?」

「EDFだ。お前がこの基地の司令官か?」

「…ああ」

 

武器を奪われ、見たこともない銃を向けられているこの状況では抵抗出来ないと悟ったのか、素直に皇国海軍東部方面司令 ルトスは自身が司令官であると認める。

 

「なら話が速い。通信で残存するデュロ防衛部隊に降伏の指示を送れ。陸軍基地が壊滅した今、貴方が此処の最高権限者だろうからな。拒否するなら其れ相応の覚悟を持て」

 

 

 

 

 

 

その後、皇国海軍東部方面司令 ルトスの名でデュロ防衛部隊に送られた降伏指示に各部隊は大人しく従い、武装放棄して降伏した。つい先程まで暴れ回っていたファイターの姿や、現在進行形で暴れ回っていた歩兵部隊の尋常ならざる強さに士気は最底辺で、降伏指示の後に戦おうとする者は皆無だった。

デュロは陥落し、パーパルディア皇国は工業中心地を失い、新たな兵器の調達が不可能となる。それどころか万が一奪還出来たとしても、工場群がC70爆弾による破壊工作によって粉々に粉砕され、科学的工業力を完全に喪失されたのだ。

事実上のデュロ陥落の通信は、デュロ郊外まで届き、そこから複数の通信を経て皇都エストシラントまで届く事になったのだが、その時点で最早デュロ奪還に向けた派兵は不可能となっていた。

 

何故ならば皇都エストシラントを目指し、決戦要塞X7 要塞戦艦ヤマトが20ノットで哨戒部隊を蹴散らしながら侵攻中だったのだから。




用語解説&状況説明
EDF日本支部
電撃的にデュロを占領。後方を完全破壊すると共に、皇都エストシラントに向けて要塞戦艦ヤマトが侵攻中。

パーパルディア皇国
デュロ占領の通信を受けてドタバタしていたが、超巨大戦艦が皇都エストシラントに向けて侵攻中であると哨戒部隊の通報を受けて更にドタバタする事に。

C70爆弾
EDF最大の通常爆弾。爆破半径40mというとんでもない威力を誇り、複数個を同時起爆させればヘクトルさえも一撃で破壊出来る。

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