EDF日本支部召喚   作:クローサー

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…ところで、第一文明圏の大陸名って原作で言及されてましたっけ?他にも色々な都市名考えないとなぁ…面倒だけど。

※前話のタイトル名を変更しました。


第31話 不意打ち

「ブルートの格納、完了しました!」

「後部ハッチ閉鎖、後進速力10kt!2分後面舵180の後、全速前進!」

 

カルトアルパス港の手前に停泊していた要塞戦艦ヤマト。その船体内部のCICは現在慌ただしく機械の操作音が鳴り響いていた。

岩下艦長の指示の元、ブルート2機を格納したヤマトはカルトアルパス管理局の通信を一切無視し(正確に言うと届いていない)、後進を開始。2分後、面舵によって船体をUターンさせた後、最大船速20ktで前進を開始。カストアルパスへの影響を一切考慮しない全力航海だが、ヤマトがいきなり空を飛んでパニックになるか、それともヤマトが20ktで海上を突っ切って周辺に少しの浸水被害を与えるか、何方が比較的マシか(・・・・・・)を冷静に天秤に掛けた結果だ。

 

「此方要塞戦艦ヤマト、たった今カストアルパス港を緊急出航した。迎撃ポイントの指示を求む」

『了解しました。解析の結果、最適迎撃ポイントはカストアルパスとマグドラ諸島の中間地点、西250kmの海域地点です。ライカの衛星偵察によると、マグドラ諸島にてミリシアル帝国の艦隊が確認されていますが、無視して構いません。万が一攻撃を受けた際には正当防衛許可(・・・・・・)を司令より受け取っています』

「…こんな時にそうはなりたくないものだな。ヤマト了解、これより急行する。通信終了」

 

日本支部と短い量子通信を終え、岩下は静かにIDキーを取り出し、コンソールの鍵口に差し込んで回す。すると不正規的手順が行われたと警告が表示するが、コンソールを操作して警告を強制シャットダウンさせる。

 

「…よろしいので?」

「主砲発射手順で短縮出来る手順は全て短縮しろ。奴等は我々の再装填を悠々と待ってはくれないぞ」

「了解。第1、第2安全装置強制解除。警告強制シャットダウン」

「カストアルパス湾口を出た後、進路を西に取れ。並行して全武装全システムの最終点検急げ。いざと言う時にトラブルなんて事態は笑えん」

「了解」

 

コンソールを操作し、周辺カメラに切り替える。ヤマトの後方から、離水を開始したヴァーベナが見える。

 

「艦長、グラ・バルカス帝国の飛行戦艦より通信です」

「繋げ」

 

岩下が通信機を手に取るのを確認し、通信手は回線を接続。一瞬のノイズが入り、声が聞こえ始めた。

 

『此方はグラ・バルカス帝国特別艦隊所属、飛行戦艦ヴァーベナです。聞こえますか?』

「此方EDF日本支部第7艦隊旗艦 要塞戦艦ヤマト。…其方も事態の把握を?」

『はい。つい先程、貴国からフォーリナー船団を発見したとの緊急連絡が本国に届き、我が国も全軍の緊急配備を進めています。…我が艦には対宙迎撃能力が無い為、援護する事は出来ません。…ご武運を祈ります』

「…ありがとうございます。全力を以って迎撃し、奴等に一泡吹かせてやりますよ。通信終了」

 

通信を切り、再び周辺カメラの映像を映している画面を見る。ヴァーベナはそのまま旋回しつつ上昇及び加速を開始し、一足先に西…グラ・バルカス本国へと向かっていったのだろう。

画面を切り替え、戦略画面に切り替える。そこには、簡易ながらも正確にフォーリナー船団と惑星の縮図が表示されており、画面左上には迎撃射程圏内突入までの残り時間が表示されている。

 

「…無血上陸出来ると思ったら大間違いだぞ、フォーリナー」

 

 

 

 

 

 

同時刻、マグドラ諸島。

 

『…という事です。第零式魔導艦隊はイーディーエフの超巨大戦艦を捕捉、遠距離より監視をお願いします』

「…了解。これより第零式魔導艦隊は訓練航海を中止し、超巨大戦艦の捜索を開始する」

 

魔導通信を切り、第零式魔導艦隊司令官のバッティスタは軽く頭を抑える。総司令部からの通信の内容は、大雑把に言うと

 

「イーディーエフとグラ・バルカス帝国が先進11ヶ国会議を突如途中退席し、2ヶ国の超巨大戦艦と飛行戦艦が無許可でカストアルパス港を出港した。世界を牽引する我が国としては、最早2ヶ国の蛮行をこれ以上見逃す事は出来ない。第零式魔導艦隊は訓練航海を中止し、西に向けて航海するイーディーエフの超巨大戦艦を捕捉、これを可能な限り監視せよ」

 

…といった具合である。要は「自分勝手に動く2ヶ国を第零式魔導艦隊で牽制しろ(無茶振り)」といった所である。総司令部もかなりの無茶振りを振ってるのも自覚していたのか、追跡するのは要塞戦艦ヤマトのみであり、機動力が高いヴァーベナはこの際無視して良いとの指示も出た。そして捕捉時も、決して無茶だけはしないようにと念押しもされた。

何故こんな無茶振りな指示が出されたかと言うと、簡単に言えば政治家達の指示である。魔導至上主義…いや、この場合は「自国至上主義」と例えればいいか。兎も角、「我が国(ミリシアル帝国)こそ最強の国家である」と盲信的に主張し続ける一部の者達が、先進11ヶ国会議の際に取ったEDF日本支部とグラ・バルカス帝国の途中退席に対して「蛮族の愚かな行為によって我が国を辱めた」激怒。人脈を利用し、独断で総司令部から第零式魔導艦隊を動かす事を命令したのだ。

当然、そんな思考の彼等はEDF日本支部情報局員の近藤が先進11ヶ国会議にて発した警告を「蛮族の妄言」と切って捨てた。

 

(全く…自分達は血を見ない事を良い事に、自分勝手な事を…)

 

総司令部の命令の裏をうっすらと察していたからこそ、力の裏で繁殖している政治の腐敗っぷりにバッティスタは頭を抑えていた。しかし、直ぐに気持ちを切り替えて、自らの指揮する艦隊に下命を行い始める。

そしてバッティスタの命令に従い、魔導戦艦3隻、重巡洋装甲艦2隻、魔導船3隻、小型艦8隻、計16隻から成るミリシアル帝国最強の艦隊は見事な艦隊運動で進路を東に転針。その誇りを胸に、海上を突き進み始めた。

 

 

 

 

 

 

グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ。

アグレッサー大戦によるインフラ崩壊、そしてアグレッサー大戦によって新たに生まれた新インフラ整備により、産業による排気ガスが殆ど削減された結果、大気は清浄となって綺麗な空が見えるようになった。

 

その中心地域に存在する帝王府の地下に存在する、グラ・バルカス軍総司令部。そこに、グラ・ルークス以下重要人物の各員は集結していた。

 

「各地の臣民の地下シェルターへの避難、完了しました」

「そうか…遅くとも24時間後には、フォーリナーが大気圏に突入すると。間違いないな?」

「間違いありません」

「…」

 

およそ2時間前、グラ・バルカス帝国はEDF日本支部からの緊急連絡(フォーリナー襲来)を受信。そして彼等も同じく全国に緊急事態宣言を発令。臣民の避難と全軍の緊急配備が行われた。良くも悪くも5年にも及ぶ戦争の慣れ(・・)によって、その速度はEDF日本支部にも全く劣らぬ速度で完了する事となった。

 

しかし、彼等にそれ以上の事は出来なかった。何故かと言うと、彼等が戦ってきたアグレッサーの船団はワープ機能を備えていた為、EDFとは異なって対宙兵器を開発する必要性が低かった。仮に対宙兵器を作ったとしても、アグレッサーは対宙兵器の有効射程を無視して至近距離までワープされてしまうからだ。

だが今回の場合、敵が来ると分かってても迎撃に参加出来ないという、むず痒い状況となってしまっていた。

 

「…」

 

ルークスは長考の為に閉じていた目を開き、1人の女性を見やる。

 

彼女は、その部屋にいる人物の中では特に目立つ格好をしていた。

彼女が着込む服装は本来偵察部隊の為の軽量服で、服そのものに防御力は大して備わっていない。そしてその上から装着されている戦闘用強化外骨格 PAギアのタイプはアグレッサーとの至近距離戦闘を主眼に置き、防御力を犠牲にして機動力を高めた「プロールライダー」。彼女のPAギアはそこから更に改造し、防御装甲を殆ど取っ払ってしまっている。つまり彼女の装備に、防御力は殆どないと言って良いだろう。「防御力」として存在するのは、PAギアから生み出されるナノマシンによる瞬間的な修復再生のみだ。ここで言っておくが、PAギアによる肉体再生中は完了するまで凄まじい激痛(・・・・・・)が装着者の身体を蝕む。下手をすれば半身を吹き飛ばされても死ぬことが出来ず(・・・・・・・・)身体が激痛と共に再生されていく生き地獄(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)を味わう事になる。しかし彼女は、そのリスクを充分に許容できる(・・・・・・・・)と割り切っている。実際、その機能が無ければ彼女が今生きていないのは事実ではある。しかし、それは逆説的に「通常では死ぬ事が出来る負傷」を何度も負ってきたという事にもなる。その苦しみを耐え、その地獄を耐え、彼女は戦ってきた。そうして育まれた精神力は、最早人としての箍を外してしまっていた(・・・・・・・・・・・・・・・・)。しかしそれ故に、彼女はあの戦場を駆け抜け、あの戦争の希望の象徴となった。

 

 

生まれるべくして生まれた英雄(化物)。その権化たる彼女の名は。

 

 

「…クローサー」

 

 

ルークスが発した、ゆっくりと、しかしハッキリと紡がれた名前。それに反応し、ワイヤレスイヤホンを嵌めていた右耳に当てていた右手を下ろし、時の皇帝に身体ごと視線を向けた。

 

「ブラストチーム、全部隊展開準備完了」

「では、命令する。ブラストチームはこれより遊撃に備え、特別遊撃艦隊旗艦に搭乗せよ」

「…帝都の護りは?」

「問題ない。お前達をこの帝都に縛り付けるより、遊撃部隊として機能させる方が効果的だ。お前達を超える程に有力な陸戦部隊は我が国には存在しない」

「了解。これより任務に就く」

 

彼女…クローサーはグラ・ルークスに敬礼し、数秒後に体勢を解くと早足でその部屋を退室した。廊下を歩く最中、彼女は再び部隊へ通信を取る。

 

「ブラストチームに通達。我々は特別遊撃艦隊旗艦に搭乗し、遊撃に備える。各自輸送機に搭乗せよ」

『此方ブラスト2、了解した』

『此方ブラスト3、りょーかい』

 

 

 

 

 

 

こうして、EDF日本支部とグラ・バルカス帝国は対フォーリナーに備えて急速に態勢を整えていた。

EDF日本支部は日本列島を中心にフィルアデス連邦(大陸)、ロデニウス大陸の守りを固め始め、グラ・バルカス帝国は帝国本土を中心に、第二文明圏植民地の守りを固め始めた。

究極的に言えば、対宙迎撃でフォーリナー船団を殲滅出来ればそれ以上に幸せな結末は無い。だが「侵略的存在」を良く知る彼等は、そんな甘い結末で奴等は終わりやしないと直感していた。だからこそ、思い付く限りの手段を用意し、思い付く限りの備えをし、考えつく限りのシミュレートを計算し、考えつく限りの対策を練る。

 

そういう時に限って、最も来て欲しくない現実が来てしまう時だって、存在してしまう。

 

その兆候を最初に発見したのは、両国のオペレーターの1人だった。

戦略レーダーに、突如現れた不審なエネルギー反応。当然2人はすぐさまそのエネルギー反応の解析を開始する。それは、ものの3秒と経たずに解析を完了し、結果を表示した。ここまで解析が早かったのも、単に両国が共有したデータベースの中に、その反応と全く同じデータが存在していたからだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

警告音と共に表示されたその結果を見て刹那、オペレーターの彼女達は全く同時に、ほぼ同じの言葉をあらん限りの声量で叫んだ。

 

 

 

日本列島(帝国本土)上空、ワープアウト反応多数ッ!!!!』

 

 

 

その時。

 

彼等の空の上。何も無かった青空を切り裂き。複数の無骨な菱形の飛行物体が、紫色の光を纏って突如として現れた。

それは、何も彼等の所の話だけではない。ロデニウス大陸、フィルアデス大陸、ムー大陸、中央世界、南方世界。彼等が認識する「世界」のほぼ全域に、ほぼ同時に、彼等はやってきた。

EDF日本支部の対宙監視を完全無視し、全くその存在を悟す事なく、直前のエネルギー反応まで全く姿を現さなかった、反則的手段

そんな芸当を行える存在を、グラ・バルカス帝国はよく、知っていた。知っていたからこそ、「よりによってこのタイミングで」と思わず毒づいた。

 

中央歴1942年4月22日 午後2時37分。

 

 

アグレッサー、全世界急襲。




現在の状況
フォーリナー「やっほー」
アグレッサー「ヒャア 我慢出来ねぇ ワープだ!」
EDF日本支部「ちょっ!?」
グラ・バルカス「ふざけんな!?」
現地国家達「えっ…えっ?」(大惨事不可避)


用語紹介
クローサー
EDF:IRの主人公。本作ではグラ・バルカスの親衛隊「ブラストチーム」の隊長を務めている。アグレッサー大戦勃発時は兵士ですら無かったが、あるキッカケによって年齢を詐称して(・・・・・・・)グラ・バルカス軍に入隊。当初は単なる一兵士に過ぎなかったが、戦いを経ていく事に彼女は成長(狂化)。本土防衛戦…シルマグナ防衛戦時には決戦戦力「フレア大隊」の1人として出撃。戦闘中、ハイヴクラフトの主砲によってフレア大隊は彼女を除いて壊滅する。フレア大隊唯一の生き残りとなった彼女は、敗走する味方部隊の時間を稼ぐ為、再びハイヴクラフトへ特攻。その結果、彼女はハイヴクラフトの撃墜に成功する。
アグレッサー大戦後、彼女はグラ・バルカス帝国の救世主として讃えられる事となり、グラ・ルークスから直々に勲章を授与した他、皇帝親衛隊隊長として任命されるなど、グラ・バルカス軍人として最高の栄誉を承った。…彼女自身は、そんな栄誉など一切気にしなかったが。
ちなみにEDF:IRを持ってる方ならば、以下の設定をすれば本作のクローサーの姿に限りなく近く設定出来る。(正直キャラメイクには殆ど拘りが無いけど)
性別:女性
体格:タイプ2
声:ボイス1
髪:10(本当はロングヘアー。IRにはロングヘアーが無かった)
ヘアカラー:18
顔:8
体カラー:2
目:2
服装
頭部、アクセサリー:なし
上下:軽装戦闘服カモミール8
PAギア
プロトタイプ・プロールライダー

ブラストチーム
アグレッサー大戦後、グラ・ルークスがクローサーの為に作った特別親衛隊。名誉ばかりが先行していると言うわけではなく、寧ろ切り込み部隊としては最強クラス。主に3個分隊で活動するが、作戦規模によっては、他の部隊をブラストチームの臨時指揮下に編入する事が出来る独自権限を持つ。

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