【完結】プロシュート兄貴「オレ達チームは仲良しクラブじゃないと言ったな。あれは嘘だ」   作:飛沫

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これで完結です。読んでくださった方々、ありがとうございました!!楽しんでもらえたら嬉しいです。

兄貴はペッシが死んだら怒りそうな気もするんですが、自分も死んだ&この話はBLなので甘めの対応になりました。
個人的には救いがあるつもりです。例え地獄行きでも。


時刻不明、クル・ヌ・ギ・アにて

 不思議な場所を、ただ一人で歩いていた。何もない、原っぱのような土が向き出しな所で、空には太陽も雲もないというのに、周りの様子が伺える程度には明かるい。

 

「どこだよ、ココ……」

 

 そう口にするものの、何となくだがこの場所が何処かは解っていた。だってオレはついさっき、ブチャラティのスタンドよって体をバラバラにされた上に川へと落とされたのだ。なのに、何一つ欠けることのない状態でこの得体のしれない場所に立っている。俗に言う『死後の世界』というヤツなんだろう。

 

「兄貴……」

 

 辺りを見回すものの、やはり近くには人の影や気配はない。ビーチ・ボーイを出せれば詮索の範囲はもっと広がったのかもしれないが、此処に来て以来願えばいつも右腕に収まってくれていたオレの相棒は、全く姿を見せてくれなかった。ビーチ・ボーイは出てくれない。兄貴の姿も見つけられない。

 

「オレ、オレ、どうしたら……」

 

 遂に不安が頂点に達し、目を瞑ってしゃがみこむ。兄貴の死が確実な物だと理解した時、オレは独り立ちする覚悟をして、実際できると思っていた。それはブチャラティ達を殺して、更にボスやボスを守る奴を殺していけば、自分が死んだ時に自動的に兄貴と同じ地獄の底へと行けると希望が持てたからだ。目標があれば、兄貴がいなくても歩いていけた。

 けれど、今は駄目だ。兄貴が傍にいてくれない。進む先に兄貴はいないかもしれない。そう考えるだけで足は進むことを拒み、心は恐怖と不安で占められる。

 いつの間に、オレはこんなに弱くなってしまったんだろう。親が死んで親戚の誰もオレを引き取ってくれないとわかった時は、誰にも頼らずとも生きてやると息巻いていたくらいなのに。兄貴の後ろを歩けないかもと思うだけで、動くことが出来なくなるなんて。

 このまま動かずにいたらどうなるのだろう、とふと考えた。一度死んだけれど、もう一度死んだりするのだろうか。それとも、石や塵になってこの世界の景色の一部になったりするのだろうか。

 しゃがみこんだまま、そんな問答を繰り返す。キツイ体勢を長い時間とっているけれど、痛みや疲れはやってこないし腹だって減る気配はない。それをいい事にずっと顔を埋めたまましゃがみこんでいると、上から声が降ってきた。

 

「オイ、ペッシ。いつまで経ってもこねーと思ったら、オメーこんな所にいたのか」

 

 ずっと聞きたかった声が聞こえて、顔を上げる前にコートの襟を掴まれて持ち上げられる。どこか呆れているような顔は、オレがずっと会いたかった人で、嬉しい余り都合のいい幻覚を見ているんじゃないかと錯覚するくらいだった。

 

「……兄貴?」

 

「ペッシ。オレがオメーの兄貴以外に見えるってのか?」

 

「本当に? 夢じゃねぇんだよな」

 

「何だってそこまでして、オレの存在を否定したがる」

 

「だってオレ、二人しか殺してない。ブチャラティと、奴らの仲間だってやり損ねちまったし。そんな状態で、兄貴と同じ場所に来れるなんて思ってもいなかったんだよ」

 

 「そうだな。オメーの殺した人数なら、同じ地獄でももう少しマシな所に行けたかもな。けれど、神様ってヤツはお気に召さなかったんだろう」

 

 オメーがやろうとしたゲスな行為が

 

 ニンマリと笑って告げる言葉を理解するのに、数秒かかった。そうか、オレがやろうとした悪あがきは、ちゃんと実を結んでくれたのか。

 

「……っ、兄貴ぃ。オレ、嬉しいよ!」

 

「ったく、地獄の最下層にいるってのに泣いて喜びやがって。最低の人間になれたのが、そんなにいいか。ペッシ」

 

「当たり前じゃ、ねーか。だって兄貴と同じ側の人間になれたんだ。死んでも一緒に歩けるんだ」

 

 それと同時に『ああ、コレで正真正銘の人でなしになったんだな』とほんの少しだけ胸が痛む。

 だってオレは天国に入るであろう、十六年間絶えず愛情を注いで幸せを願ってくれたであろう両親と会えなくなることを悲しむ事よりも、三年にも満たない上にこんな地獄の底に引きずり下ろした相手との再会を、心の底から喜んでいるのだから。

 

「兄貴。リーダー達、やってくれますかね」

 

「オメーがブチャラティの野郎に怪我させたのは見ていたから、メローネに連絡を入れておいた。アイツならオレ達の死を無駄にはしねぇだろ」

 

「そっすね。……このまま進めば、ホルマジオたちにも会えるかな」

 

「此処が地獄の最下層なら会えるだろ。アイツらがオレらより上にいるハズはねぇしな」

 

 他愛ない会話をしながら歩いていると、ある事に気がつく。兄貴がオレと並んで歩いているのだ。兄貴はオレより背が高い分脚も長い。だから、歩く時はいつもオレが小走りで後ろをついていたのに。

 疑問に思って訊ねてみたら、返ってきた答えは。

 

「オメーはもうマンモーニじゃなくなったからな。運が味方してくれなかったからこんなザマになっちまったが、一人前になったんだ。だったら、隣を歩くのが当然だろう? なぁ、ペッシ」

 

 ああ、今日は死ぬのに一番いい日だ。

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