【完結】プロシュート兄貴「オレ達チームは仲良しクラブじゃないと言ったな。あれは嘘だ」   作:飛沫

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アニオリでのミルクからのやり取りから「プレゼントだ」と車のキーを渡すシーンが凄く好きです。
あれ見てると「あ〜、ペッシはチームメンバーに構われてるんだなぁ」妄そ……想像が膨らんで楽しいので。
その後やっていることはえげつないですけれどね!

でも、そんな「自分の身内以外は心底どうでもいい」というスタンスな暗殺チームが大好きです。


ペッシ君とホルマジオ先輩

「なぁ、ペッシ。頼みがある。おまえにしか出来ない仕事だ」

 

「オレしか……できない……?」

 

 真摯な顔で此方を見つめてくるホルマジオの姿に、ペッシは怪訝な表情で言われた言葉を繰り返した。

 緊張で喉が鳴る。ホルマジオと共に行動を初めて三日目。イカツイ姿に反して「しょうがねーなあ〜」という魔法の言葉で世話を焼いてくれる彼に、プロシュートとはまた違う親しみを覚え初めていた矢先の事だった。

 

(一体何を頼まれるんだろう)

 

 考えを巡らせてみても、ホルマジオが頼みたいという事がさっぱり思いつかない。自分よりもずっと先輩で、状況を的確に把握して判断を下せる彼が、言われた事をやるのが精一杯な自分の何を頼りにするというのか。

 

(ま、まさか……オレも遂に殺しを?)

 

「頼みたい事ってはなァ、ペッシ。おまえのそのビーチ・ボーイを使って」

 

「使って……?」

 

「オレのティラミスを探すのを手伝ってくれ」

 

*  *  *

 

「なぁんだ。ティラミスって猫の名前だったんすね」

 

「あぁ、十日前に殺したターゲットが飼ってた猫なんだけどよォ、ニャンニャン鳴いてたから外にあったボトルに詰めて持ち帰ってきたんだ。白黒の模様が綺麗な、美人顔だぜ」

 

「へー」

 

「餌を出せば喜んで食うし、椅子に座ってると膝に乗って甘えてくる時もある。だってのに、さっき少しばかり窓を開けてたら飛び出ていきやがって。何が気に入らねェんだかなー」

 

「まぁ、猫は気まぐれっすから」

 

 相槌を打ちながらも、何となくだが逃げた原因は察していた。

 ホルマジオはチーム内の誰もが認める猫好きだ。暗殺対象が猫を飼っていると、可哀想だと言って連れて帰るくらいには。

 しかし、可愛がり方の度が過ぎているというか。食事中や寝ているときに「可愛いなァ、オメーは」と抱き上げたり力いっぱい撫で回すのはどうかと思うのだ。それで威嚇したり爪を立てたりする猫を見てイルーゾォが「おめーはよ、本当に猫が可愛いと思うなら、もうちょっと猫の気持ちも考えてやったらどうだ? 誰だって飯食ってる時や眠ってる時に、邪魔をされたら腹が立つもんだぜ。猫が嫌がるのは当然ってもんだ」忠告するものの「んなコト言ったってよー、可愛いんだからしょうがねーよなあ〜」で聞き流している。そして、その度に猫に逃げられて「何が駄目だったんだ」と軽く落ち込む姿は、ある種の様式美のようにも見えると、他のメンバーは口を揃えて言う。

 

「んで、そのティラミスちゃんはどこに逃げ込んだんすか」

 

「この先を曲がった所までは見たんだけどよ。それから先は分かんねェんだよな。そう遠くには行ってないと思うが」

 

「了解。じゃあ後はビーチ・ボーイの糸を伸ばして探ってみますね」

 

「あー、そうだペッシ」

 

 右手からビーチ・ボーイを呼び出し振り下ろそうとすると、手で制される。何か問題でもあったかのかとホルマジオを見れば。

 

「おまえさ、毎回無理して敬語使わなくてもいいぜ」

 

「え、でも」

 

「いーんだよ。他の所は知らねーが、ココはリーダーがその辺全く気にしてないからな。メローネとギアッチョを見てみろよ。おまえと大して変わらない歳だってのにあの態度だぜ。ま、あそこまでになっちまったら可愛げがなくなっちまうが、オメーはもうちょっとアイツらを見習ってもいいな」

 

「うーん、じゃあそう、す、る」

 

「おう、その調子だ」

 

 返答に満足したのか、ニカっと笑うホルマジオ。その笑顔につられるかのようにペッシも笑ってから、猫が逃げ込んだと思われる方を見る。そして、竿をしっかりと握りしめたところ、もう一度ホルマジオから制しがかかった。

 

「今度はどうした、んだよ?」

 

「いや、ふと思ったんだけれどよ。そのビーチ・ボーイの糸は、攻撃受けたらどうなるのかと思ってさ」

 

「どうって……分かんねェよ、そんなこと」

 

「自分のスタンドだろ?」

 

「だってココに来るまで、オレの釣り竿見える人なんていなかったから」

 

「そういえばそうか。じゃあよ、今からちょっとオレに糸を使ってみろ。攻撃してみるからさ」

 

「えぇ〜、なんでそうなるんだよ」

 

「いい機会じゃねェか。オレが良いっていってるんだ。やってみてくれ」

 

「わ、分かった」

 

 半ば強引に押し切られる形だったが、ペッシは頷いてビーチ・ボーイの糸をホルマジオの腕の中に潜り込ませる。すると、ホルマジオが背後から己のスタンド、リトル・フィートを出現させて人差し指で軽く糸を弾いてみた。途端。

 

「うおっ!?」

 

「ホ、ホルマジオ!?」

 

 その衝撃はホルマジオの腕から全身に伝わったたのか、ビクリと身体が跳ね、同時に一回りほど彼の背が縮む。

 

「だ、大丈夫かい!?」

 

「あー、心配すんな。そんなに力入れたわけじゃないからな。しかし、衝撃は釣っている人間じゃなくて釣られた側に返るのか。こりゃ、スゲー強みになるな」

 

「……そんなに凄いこと?」

 

「スタンドが攻撃された場合は、ダメージはそのスタンド使いも受けるのが基本だ。だけどこの糸はおまえじゃなく、オレの方に行ったからな。初見殺しってヤツか? 相手は驚くと同時に手出しできない事を知って焦るだろうぜェ」

 

「ふーん」

 

「ま、その内おまえにも仕事が回ってくるだろうから、その時にまたやってみればいいさ。じゃ、お喋りもここまでにして後は頼むぜ」

 

「おう!」

 

 今度こそ、とペッシはビーチ・ボーイの糸を、ホルマジオが示す場所目掛けて飛ばす。少しして掛かったのか、リールを巻き始めるものの「アレ?」と微妙な顔をしてホルマジオを見る。

 

「どうかしたか?」

 

「ホルマジオ、ティラミスちゃんって長い尻尾なんだよな? オレが引っ掛けた猫、なんか尻尾が短い感じなんだ。後、なんか体重が五キロより重い気がするし」

 

「あぁ? ちょっと待ってろ」

 

 ホルマジオは妙な顔をしながらも、確認する為奥へと向かう。やがて「あー、コイツじゃねェわ。離していいぞ」という声が聞こえたので一度解除すると、鍵尻尾の白猫が丸々した体躯では考えられないほどの勢いで脇を走り抜けていった。どうやらさっき引っ掛けたのはこの猫だったらしい。

 ホルマジオが戻ってきてから、再び糸を伸ばすと、また何かを引っ掛ける。今度は尻尾の長い猫みたいだと伝えれば、ホルマジオは走って確認に向かう。一瞬重みがなくなり「今回のはティラミスだ。解除してくれ」と言われたので指示の通りにすれば、どこから持ってきたのか猫を詰めたボトルを手にしたホルマジオが上機嫌で戻ってきた。怒っている猫を見る限り、この猫もそう遠くない内にホルマジオの元を逃げ出すのだろうなと思うが、口には出さずに心の中に留めておく。

 

「グラッチェ、ペッシ〜。ったくそう怒んなよ、こうでもしねェーとまた逃げちまうだろ。しょうがねーなー」

 

「見つかってよかったね。ホルマジオ」

 

「ああ、ペッシのお陰だぜ。けれどその糸、釣り上げた対象の体格も分かるのか。なるほど、プロシュートが入れ込むのも分かるぜ」

 

「いや、意識したのは今日が初めてなんだ。何時も使う相手は相棒だけだったし。でも……うん、スタンドって色んな使い方ができるんだな。なんか使うの、楽しくなってきたかも」

 

「その調子だぜ。さてと、手伝ってくれた後輩にはなんか奢ってやるとするか」

 

「えぇ!? 悪ィよそんなの、大したことしてないぜ」

 

「そうは言うけどな。リーダーはおまえがメンバーに入るのを許可して、ソルベとジェラートは靴を買って、プロシュートはその服だろ? オレだけ何もなしってのはなー」

 

 言いながら、何を買ってやろうかと思案する。ペッシが着ているオールインワンは今の時期は問題無いが、冬になれば肌寒そうな格好だ。

 

(だったら―――)

 

「よぉしっ、その格好じゃ寒い時もあるだろうから、上着にしようぜ」

 

 こうして、そのままホルマジオと共に服屋に連れられたペッシは色々と試着した結果、一着のコートを買い与えられることになった。

 そしてその後、またしてもプロシュートに「こっちを着ろ」と別のコートを渡されたとか。




ペッシに夢を見ているので、ペッシの能力はチームの皆で育てていたらいいなーなんて思っています。
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