【完結】プロシュート兄貴「オレ達チームは仲良しクラブじゃないと言ったな。あれは嘘だ」   作:飛沫

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アニメでも会話もしてないイルーゾォとペッシですが「ホルマジオとイルーゾォの仇だ」と怒っているので、仲は良かったんだと思っています。
同じ部署に二年も所属していて、会話を全くしなかったってことはないでしょうし。

顔の造形だけで言うと、イルーゾォが一番好みだったりします。
なのでアニオリでの「じゃあ、直接行って訊いてみるか」とか本当にたまらんかったです。口調と言い顔つきといい……可愛い(悶)


ペッシ君とイルーゾォ先輩

 弱ったという表情で、ペッシは自分の隣に立つ男を見上げた。黒い髪を六つの束にして結んだ男、イルーゾォに助けを求めるように。

 だが、イルーゾォの表情もあまり冴えない。何時ものようにどこか人を見下したような態度は影を潜め、組んでいる腕も無駄に力が入っているのか、握りしめている服にも皺が深く刻まれている。

 

「どうするんだい、イルーゾォ」

 

「どうするっつったってよォ。コイツは予想外だぜ」

 

 舌打ちをしてから、イルーゾォは鏡の中から外の世界を睨みつけ、叫ぶ。

 

「何だってオレの許可も得ずに、鏡を撤去しているんだッ!」と。

 

*  *  *

 

 ギャング『パッショーネ』の暗殺者チームに入って一ヶ月。遂にペッシにも暗殺の仕事が舞い込んできた。正確には今ペッシが共に行動しているイルーゾォに対してであって、ペッシはあくまで手伝い程度の事しかできないが。

 ターゲットはアメリカからやってきたギャングの一味。此方の縄張りにまで麻薬の売買を始めたのがボスに知られることになり、暗殺の命令が下されることとなったのだ。

 ソルベとジェラートから渡された資料に載っているのは、麻薬を取り仕切る幹部の一人。やり方は問わないが見せしめの意味も含めて、出来るだけ酷い殺し方をしろと書かれていたらしい。

 資料を眺めながら、どんな状況で殺すのが効果的かイルーゾォは想像を巡らせる。この幹部は狙われている事を承知しているのか、常に複数人の護衛を付けて行動しているらしい。情報に隅から隅まで目を通し、三日後に行われるという会合で殺すことした。

 その会合には他の幹部やチームのリーダー等結構な数の人数が集まるのだとか。当然護衛等の準備も整っているだろうが、鏡さえあればそんなもの無いに等しい状態だ。完全な警護の元、突然一人の幹部が消え死体となって現れる。例のギャングの連中に見せしめと恐怖を植え付けるには充分な演出だと思えた。

 だから昨日、会合で使われる部屋に数個の鏡を設置したのだが。別のギャングが会合を盗聴するという噂が奴らの耳に入ったらしい。結果部屋は入念に調べられ、数個の盗聴器と共に「置いた覚えがない」と鏡が全て撤去されてしまったのだ。

 

*  *  *

 

「あー、クソッ。こりゃ計画の練り直しか。これ以上ないってくらいのシチュエーションだってのによ」

 

 頭をガリガリと掻きながら、イルーゾォはぼやく。こうなると会合が終わって、部屋から出た所を鏡の世界に引きずり込むのが妥当か。

 しかし、確実にそう上手くいってくれるかと問われれば微妙なところだ。イルーゾォのスタンド『マン・イン・ザ・ミラー』を使う場合、まず相手が鏡を見て、自分たちを認識する必要がある。此方から好きに相手を選んで、引きずり込めるわけではない。

 そして、認識させられる人数だが『マン・イン・ザ・ミラー』が一度に引きずり込めるのは一人。つまり、一人だけだ。認識した相手の中から選ぶということも出来ない。更に言えば、認識させたい対象も此方から指定することも出来ないので、複数人が一斉に鏡を見た場合は最初に見た人間が認識することになる。タイミングと運が合わないと、ターゲットに行き着くまでに何人も殺すハメになりそうだ。別に何人殺そうと文句は言われはしないが、殺した人数が増えたからといって貰える金が増えるわけでもないし、非常に手間がかかる。

 だが、見せしめの効果を考慮すると今のタイミングが一番いいだろう。面倒だが仕方ない。イルーゾォは隣に立っているペッシに声をかけて、場所を移動すると口を開きかけた時。

 

「イルーゾォ」

 

 先に机に視線を向けていたペッシが口を開く。

 

「何だよ。てかおめー、先輩によくそんな口きけるなァ」

 

「え。だ、だってホルマジオが普通に話していいって」

 

「ったくあの野郎。余計なアドバイスしやがって。……で、何だってんだ?」

 

「この部屋の灰皿。どうしてこれだけ形が違うんだい? 値段も高そうだし」

 

 指さしたのはガラスの灰皿だ。指摘された通り数個置かれている灰皿の中で、一つだけ輝きが違う物がある。

 

「あぁ、ソレはターゲットが使う灰皿だ。オレには理解できないが、奴には吸う葉巻とライター、灰皿に相当なこだわりがあるらしくてな。それ以外は手も触れないらしい」

 

 だから、この部屋に設置した鏡は全て灰皿の位置を想定して置いていた。今となっては、無駄な努力に終わってしまったが。

 

「てことは、この灰皿はターゲット以外使わないってことだよな?」

 

「まぁな。で、それが?」

 

「あのさ、ぶっつけ本番なんだけれど」

 

 此処は鏡の世界なので他に人はいないのだが、イマイチよく理解していないのかペッシは背伸びをするとイルーゾォの耳元である提案をする。話半分という表情で聞いていたイルーゾォだったが途中で表情を変えると。

 

「悪くねェ作戦だ。やってみる価値はあるだろう。よしペッシ、オレが許可してやる。おまえのスタンドを出して、灰皿に針を引っ掛けてみろ」

 

*  *  *

 

 会合も終わりに近づき、男は短く息を吐き緊張を緩める。とある情報筋から自分が狙われていると言う話を聞いていたが、どうやら杞憂だったようだ。もっともこの人数の中、襲ってくる確率は少ないだろうが、とんでもない無鉄砲や馬鹿がギャングの世界には存在する。実際、会合前に部屋を調べさせたら盗聴器や理由は解らないが数点の鏡が出てきたのだ。

 だが、結局何も起こらなかった。男は胸元から葉巻を取り出すと火を付け、深く吸い込む。灰が落ちる前にと手前にある灰皿を引き寄せようとした時だった。一瞬だが、指先から『何か』が入り込むような違和感を覚える。だが、疑問を思うことは無かった。その前に身体がグンッと引っぱられ、勢いのまま扉を体当たりするようにして開けると、廊下をずるずると引きずられたからだ。

 

「おい、どうした!?」

 

「一体どこに!?」

 

 部下や他の幹部たちの叫びが聞こえるが、自分の方が知りたいくらいだ。とっさに廊下の角に指を引っ掛けて堪えようとするものの、身体を引っ張る力の方が強くて、外れてしまう。

 

「な、何が……!?」

 

 混乱したまま男は、前を見る。すると、壁にかけられている姿見に、必死な顔で此方を見ている緑の髪の醜男と人を見下したような笑みを浮かべる黒い髪の男がいた。

 それを見て、男は遂に自分の頭がおかしくなったのかと思った。二人が背後にいるというのならまだ解る。だが、彼らは自分の前に立っていた。鏡の中だというのに「男がいる」という表現がふさわしいのだ。段々と姿見に近づくにつれて、黒い髪の男の声が聞こえる。

 

「いいぞ、ペッシ! おめーの予想通りビーチ・ボーイの針が食い込んだみたいだッ! この勢いのままヤツをコッチに連れてこい!」

 

「そしててめー! オレの姿が見えたらてめーはもうお終いだッ! マン・イン・ザ・ミラー、ヤツを許可しろ。そしてこのまま、喉を掻っ切るんだッ!」

 

*  *  *

 

「ペッシィ、おめー最後の最後で何ブルってやがる! このオレに手間かけさせやがってよォッ!」

 

「ヒッ、ゴ、ゴメンよイルーゾォ」

 

 頭上から浴びせられる怒声に、ペッシは大きく肩を震わせて目を閉じた。

 此処は鏡の世界。ターゲットは目論見通りこちら側に引きずり込まれ、喉と口を大きく切り裂かれて事切れていた。だが、上手くいったわけではない。直前でイルーゾォが手にしていたマチェットに怯えたペッシが、ビーチ・ボーイを解除してしまったのだ。急いで肩を掴み引きずり込んだものの、ターゲットは最後の力を振り絞って逃走。ビル内で、激しい追いかけっこをするはめになった。

 

「とはいえ、まぁ今回はおまえが灰皿を餌にして、ヤツを釣り上げる作戦のおかげで楽ができた。その点については感謝してるぜ」

 

「それなら良かったけど、ソイツ……どうするんだい?」

 

「見せしめだからな、このビル内のどこかか付近にでも棄てりゃあいいだろ。デカイ鏡があればいいが。いっそのこと、小さい鏡からでも大丈夫なようにバラバラにでもするか」

 

「ヒェェェェェ」

 

 ペッシは身体をブルリと震わせると、固く目を閉じて背を向ける。もう動かない死体にすら怯える様に、イルーゾォは本当に暗殺者になれるのかと呆れた表情をするものの、愚痴をこぼす事はしなかった。

 

(サポートする側としては優秀だったしな)

 

 とりあえずこの状態なら殺しはできなくとも、サポーターとしてチームにいて問題はないだろう。プロシュートの目に狂いはなかったということか。

 

(そういえばコイツの面倒見たヤツラは、全員何か買ってやってたんだな。余計な事をと思うが、オレだけ何もしないでホルマジオ辺りにからかわれるのも癪だし今回の件もある。金がねェがどうするか……あ)

 

「ペッシ。コイツを棄てたら買い物に行くぞ。リストバンドを買ってやる」

 

「リストバンド?」

 

「確かリストバンドは汗止めと額の汗の拭うようらしいが、手首の保護の効果もあったハズだ。おまえは釣り竿使うんだから、着けておいても悪くねえだろ」

 

「ありがとう、イルーゾォ!」

 

「ああ(ペッシのヤツ、貰い慣れてやがるな。甘やかしすぎなんじゃあねェのか?)じゃ、チャッチャと終わらせるか」

 

 集中すべくイルーゾォは死体へ向き直る。そして、右膝目掛けてマチェットを振り下ろした。




ペッシのスタンドの成長性はAですから!
てか、服関連は全部揃ったので、次は何を買ってもらうかな……
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