【完結】プロシュート兄貴「オレ達チームは仲良しクラブじゃないと言ったな。あれは嘘だ」   作:飛沫

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アニオリで家探ししている時に前屈み気味でペッシに話しかけている姿が可愛くて好きです。仲良しか!みたいで!
思ったよりもいいお兄ちゃんしてて妹に「変態度が足りない」と言われたんですが、普段はこんな感じだといいなーと。


ペッシ君とメローネ君

 雑居ビルの二階にあるカフェテリアの窓際の席で、注文したミルクを啜りながらペッシは外を眺めていた。時折下を通る人間を見つけると、隣で熱心にラップトップを弄っている相方のメローネに合図を送る。そんな事を何度も繰り返してると。

 

「いたぞペッシ、アイツが今回のターゲットだ」

 

 メローネが身を乗り出しながら、ある一点を指差した。同じ方向に視線を向けると、奥の道から帽子を深く被った男性らしき人が早足で歩いてくる。

 

「さっきも言ったが欲しいのは血液だ。上手くやってくれよ」

 

「分かった。針を直接引っ掛けて怪我させていいかい?」

 

「いや、できる事なら気付かれないようやってくれ。相手もスタンド使いらしくて、どういう能力かは知らないがその力を使って今まで逃げ回っているんだとか。オレのベイビィ・フェイスから逃れられるとは思えないが、用心にこしたことはない」

 

「それなら……アレを使うのは?」

 

 周囲を一瞥してから、ペッシが男の進む先に転がっている割れたガラス瓶を示した。それを見て彼の意図を理解したメローネは「よし、それでいこう。じゃあオレは先に外に出ているから頼むぜ」と伝票を手に取ると席を立つ。会計を済ませ外に出ると、ちょうど男が腕を押さえて立ち上がろうとしているところだった。チラリと下を見ると、石畳の一つからビーチ・ボーイの針が僅かに覗いている。足先に針を引っ掛けて転ばせたのか。一瞬ならば、石畳の段差に足を引っ掛けたと勘違いするだろう。

 男が押さえている箇所からはポタポタと血が溢れて、石畳を赤く染めていた。あまりに事が上手く運んだ事に、ニヤつきそうになる口元を必死に押さえ込みながら、メローネは声をかえる。

 

「大丈夫ですか? 怪我をしているようですが」

 

「あ、ああ。足を引っ掛けてしまったんだが、転んだ先にガラス瓶があったんだ。たいしたことはない」

 

「ですが、血が凄い。人を呼びましょうか」

 

「いや、気にしないでくれ。出血は多いが傷は深くないから、見た目ほどひどくはないんだ。動けないわけではないし、何だったらこのまま医者に向かうから、そこまでしてもらわなくても大丈夫だ。気遣ってくれてありがとう。それじゃあ」

 

 男は早口で捲し立てると、ふらつきながらその場を後にした。あの様子ならば今の怪我をただの偶然ととらえているようだ。

 

「……お大事に」

 

 去っていく後ろ姿を眺めながら呟くと、メローネはガラス棒を取り出しながらしゃがみこんで血液を掬い取り、小瓶の中に数滴垂らす。小瓶の蓋を締めていると、カフェテリアから出てきたペッシがメローネの姿を見つけ駆け寄ってきた。

 

「メローネ、どうだった?」

 

「ベネ、血液は充分に採取できた。ターゲットも怪我を、ただの不注意による事故だと気にも止めてなさそうだし、後は母体だけだが……ちょうど良さそうな女がいた」

 

 前を横切る一人の女の姿を目にした途端、舌なめずりするメローネにペッシは引き攣った笑顔を浮かべるが「ほぼ任務は完了だ。ペッシ、オレは彼女と少し会話をしてくるから、先にアジトに戻っていてもいいぜ」と言われるとハッとした表情でメローネを呼ぶ。

 

「ん、どうした?」

 

「メローネはこの後用事はあるかい? なかったらオレ、訊きたいことがあるんだけれど」

 

「それは人に聞かれると不味い話か?」

 

「今回の仕事とは関係ない話だぜ」

 

「なら、そこのベンチに座って待っていてくれ。何、直ぐに終わらせて戻ってくるからさ」

 

*  *  *

 

「で、ペッシ。訊きたい事ってなんだ?」

 

 ベンチに腰掛けて十分程。ぼんやりと青い空を眺めていると、ベンチの背もたれの方からメローネが覆いかぶさるようにして、視界を遮ってきた。長い髪が頬に当たって擽ったい。脇にメローネのスタンド、ベイビィ・フェイスと連絡を取れるパソコンを抱えている様子からして、仕込みは上手くいったのだろう。

 

「うん、メローネおすすめの本屋があったら教えてほしいんだ」

 

「それは構わないが、何だってまた」

 

「オレさァ、ビーチ・ボーイを身体に潜らせると、大体だけれどどの部分に針があるのか解るんだ」

 

「あぁ、ホルマジオがそう言って手放しで褒めていたもんな」

 

「だけどさ、あくまで『この辺だな』くらいだからよぉ、人体に詳しい本でも買って勉強しようかと思って」

 

 ペッシの言葉に、メローネは瞬きをした。次の瞬間、満面の笑みで正面に回ると「ペッシ〜」と彼の身体を力いっぱい抱きしめる。

 

「おわっメローネ!?」

 

「ペッシ、偉いぞ〜! 学習する気があるというのは素晴らしいことだ! オレはペッシのその気持ちを応援する、手伝うから何でも言ってくれ」

 

「あ、ありがとってメローネ、ここ外! 見られてる!!」

 

「どうせ仲のいい友達同士がふざけて抱き合ってるぐらいにしか思われないさ。ところでペッシ、君はどんな本が欲しいんだ?」

 

 突然、真面目な顔になって訪ねてくるメローネに呆気にとられながらも、ペッシは考えていた事を口にする。

 

「オレ、そんなに本に詳しくないから上手く説明できるか解らないけど、メローネがベイビィの教育によく絵本使ってるだろ? あんな感じのイラストが沢山入った、解りやすい本がいいんだけど」

 

「となるとカラーの専門書辺りがいいのか。数冊候補は浮かぶが、ペッシの好みとなると……。よし、せっかくだ。下見に行くぞ」

 

*  *  *

 

 メローネに連れられ、ペッシは図書館に来ていた。馴れた様子で館内を歩く彼の背を追いかけるていると、ある棚の前で立ち止まる。そこの棚からスイスイと数冊の大判の抜き取ると「この辺が、ペッシの言っていた条件に合う本だぜ」と渡された。

 

「うわ、結構種類があるモンだなぁ」

 

「全体的な内容としてはどれも似た感じなんだが、力を入れている箇所がそれぞれの出版社で違うんだ。だから一通り目を通してみて、自分の知りたい情報にピントがあっている本を選べばいい」

 

「おうっ!」

 

 そのまま案内されて、奥にある座席へと腰を下ろすとペッシはページを捲り始める。

 指で文字をなぞりながら夢中で読み出す姿を見てからメローネも隣の椅子に腰掛けると、ラップトップを開いてカフェテリアからの作業を再開した。そして、時折ベイビィ・フェイスのパソコンから反応があると席を立ち、どこからともなく本を持ってきて説明をする。

 

「メローネはここの図書館に詳しいみたいだけれど、よく利用しているのかい?」

 

「ああ、常連というほどではないが、最低でも月に一回は使わせてもらっているな。だから、どんな本がどの棚にあるかは大体理解しているし、新しい本が入荷されれば読んでベイビィの教育に使えそうなら本屋で購入させてもらってる。ところでペッシ、読んで好みの本はあったかい?」

 

「うん、とりあえずこれとこの二冊が解りやすく書いてあるからいいかなって。けど結構高くて。オレなんかじゃ手がでねェよ」

 

 困ったような表情を浮かべながら、ペッシは裏表紙をメローネに見せた。カラーページがあることと、専門書なだけあってなかなかいい値段になっている。すると、メローネは呆けた顔をした後、口を開く。

 

「何言ってるんだペッシ。そんなのオレが出してやるから気にする必要無いぜ」

 

「何でぇ!?」

 

 自分で払うつもりでいたペッシは、つい大きな声を出す。慌てて口を塞ぐが奥まった場所にいたお陰で、非難の目を向けられることはなかった。

 

「何でって、ペッシと組んだメンバー全員が何か買ってやっているだろ? だったらここはオレが払うのが当然だ」

 

「いや、でも悪ィよ」

 

「ん? イルーゾォには悪びれもせずねだったんだろ?」

 

 指摘されて「う」と一瞬言葉に詰まる。

 

「アレはホルマジオから、あんまり下手にでると調子にのって馬鹿にされるからって言われてたから。買ってくれたのもそんなに高いモンじゃなかったし」

 

「ペッシ、オレは確かに皆が買っているからというのもあるが、それだけで買うわけじゃない。言っただろ。『学習する気があるのは素晴らしいことだ』って。ペッシがそうやってチームの役に立てるように頑張るから、その気持ちを応援するために買うんだ。そうじゃなきゃ、さっきのカフェテリアで奢った事で済ますさ」

 

「う、うん」

 

「とはいえ二冊を正規の値段で買うのは、流石にオレも財布的に厳しい。今回の仕事の金も、まだ入ってないしな。だからとりあえずは古本屋を回ってみよう。ひょっとしたら安く買えるかもしれない。ペッシもそれでいいか?」

 

「あぁ! オレもその方が気が楽だよ。本は読めればいいんだし」

 

「ベネ、それじゃあ早速行ってみよう。確かここから一番近い古本屋は―――」

 

 その日、個性的な髪型と服装の二人組があちこちの本屋に出現したと少し話題になったとかなんとか。




普段からあの姿はどうなのかと頭によぎらなくもなかったんですが、アニオリで高そうなリストランテにも入れてもらっていたんで5部の世界ではあの服は普段着寄りの認識なんだと思ってます。
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