白銀のヘカトンケイル   作:北十五条東一丁目

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ゴーレムを作る少年
第31話


 ――誰か、戦っている。

 

 その気配に気づいたアルフェは、歩いていた足を止め、少し顔を上げた。

 どこからか風に乗って、かすかな戦闘音が運ばれてくる。

 

「ど、どうしたの? アルフェちゃん」

 

 同行者が、急に立ち止まったアルフェに驚いて声をかけた。

 

「……魔物がいます」

「え? どこ? どこに?」

 

 アルフェの言葉に、同行者――ステラという治癒術士が、緊張した面持ちになって辺りを見回した。二人が歩いている街道は、まだ結界の外側にあり、いつ魔物が出現してもおかしくない。

 

「私には見えないけど……」

 

 アルフェはステラを一瞥した。

 辺境の開拓村でオークの一団と戦ってから、ステラはなぜかアルフェについてきている。振り切ろうと思えば、アルフェが彼女を振り切るのは容易だったが、敢えてそれをする必要もなかった。だから二人は、何となく連れ立ってここまで歩いてきた。

 

「音がします」

 

 周りは一面の草原で、ところどころに白い岩が突き出していた。その中で、草のなびく音に混じり喚声が聞こえてくる。

 平坦な地形に見えるが、実際にはそれなりに起伏があって、ここからでは音の発生源を目視することは出来ない。

 

 しかし、戦いの場はそう遠くない。音の感じだと、戦っているのは集団だ。

 ステラには、アルフェの聞いている音は聞こえないようで、彼女は両手を耳にあてきょろきょろとしている。

 特に歩調を変えるでもなく、アルフェは再び歩き出した。

 

「ちょ、ちょっと! 危ないよ!」

 

 制止の声も聞かず、アルフェは砂利道を進む。ステラは慌ててそれを追った。

 しばらくすると、少し小高くなった場所に出た。ここからは、かなり遠くまでを見渡すことが出来る。街道の先で、三十人ほどの集団が、赤茶色の犬のような魔物の群れと戦っている姿が見えた。

 

 戦っているのは、それなりに戦闘の心得がある者たちの様だ。彼らは馬車の荷台と荷物を盾にして円陣を組み、八方から襲ってくる魔物に対応している。

 魔物自体も、それほど強い種族では無い。動きからすると、ワーグだろうか。かなりの数がいるが、彼らが遅れをとることは無いだろう。

 

「あの人たち――魔物に襲われてる! 助けないと!」

 

 大きな声でステラが叫ぶ。アルフェはそんな彼女を、ちらりと見た。

 どうやら、アルフェの力をあてにして言っている、という訳ではなさそうだ。ステラは杖を握り締めて、今にも走り出さんばかりにしている。

 

 アルフェは前方の戦闘に視線を戻す。わざわざ彼らを助ける義理は、自分には無い。決着がつくまで静観していてもいいが――

 

「アルフェちゃん! 行こう!」

 

 どの道、魔物たちは自分の進路をふさいでいるのだ。背中の荷物をステラに投げ渡すと、アルフェは言った。

 

「――先に行きます」

「えっ、――きゃあ!」

 

 足に込められた魔力が、爆発的な瞬発力をもたらす。マントを翻しながら、アルフェは駆け出していた。ステラを瞬く間に後方に置き去りにし。戦っている集団がぐんぐんと近づいてくる。

 

 集団の一人一人を、はっきりと認識できる距離まで近づいた。円陣の中央で指示を出していた馬に乗ったフルプレートメイルの男が、アルフェの方を見て慌てる。物凄い速度で迫る彼女の姿に気が付いたらしい。

 

 集団は順調に魔物の数を減らしている。特に、円陣の外で両手持ちの戦鎚を振るっている男の動きが良い。今また、一匹のワーグが戦鎚に叩き潰された。彼らが勝利するのは時間の問題だろう。

 しかしそれでも、アルフェは速度を緩めようとしない。むしろ彼女は、更に加速した。

 

 その姿を見て、馬上の男がアルフェに剣を向けた。あまり度胸の無い男のようだ。突然の事態に動転している様子が、ひしひしと伝わってくる。

 男たちから二十歩の距離に達した所で、アルフェは一度身体を沈め、地面を蹴って跳躍した。

 

 バリケードになっていた馬車の荷台を、少女がいともたやすく飛び越えた。馬上の男は、そんな彼女を見上げている。その男に引き寄せられるように、彼女の身体がどんどんと近づいていき――

 

「――フゴッ!」

 

 兜の中から、くぐもった悲鳴が響く。

 男の兜を踏み台にして、アルフェは更に高く跳んだ。

 

 空中で、アルフェの身体が一回転する。伸ばした右脚のつま先が、飛来した魔物の嘴を正確にとらえる。灰色の翼を持つ怪鳥が、軌道を大きく逸らされ、きりもみしながら地面に激突した。

 

「うおおっ!?」

「なんだ!?」

 

 その墜落音で、それまでワーグに気を取られていた者たちも、別の異常が発生していた事に気がついたようだ。

 辺りには、魔物の灰色の羽が舞っている。その中で、少女は優雅に地面に降り立った。

 

 

「アルフェ! お前かよ! 誰かと思ったぜ!」

 

 円陣の外で戦っていた壮年の男が、両手を広げてアルフェに近づいてきた。ラメラ―アーマーを着込み、右手には柄の長い戦槌を持っている。髯で覆われた口元と、長く延びた襟足を後ろで結んでいる様は、どこかの山賊の親玉と言った風貌だ。

 

 既に街道で行われていた戦闘は終息している。あれからさらに数を減らしたワーグたちは、悔し気な吠え声を残して逃げ出してしまった。

 

「――リグスさん。リグスさんだったんですね。お久しぶりです」

 

 白い歯を見せ、笑いながら近寄ってくるのが面識ある男だったので、アルフェも少なからず驚いた。

 

「また会えるとは思わなかったよ。こんなとこで何してんだ?」

「隊長! これ見てくださいよ。腐肉漁りだ!」

 

 挨拶を交わしている二人から離れた所で、地面に落ちた魔物の横にかがみ込んでいた男が声を上げた。アルフェの蹴りによってか、墜落の衝撃によってかは定かではないが、腐肉漁りと呼ばれる怪鳥は首の骨を折って即死していた。

 

「ん? さっきの音はそれか。そんなのがどこにいたんだ。どっから湧いて出た?」

「血の匂いで寄ってきたのだと思います。皆さんを狙っていたので、私が落としました」

 

 アルフェも遠景から戦いを見たので気がついたのだが、まるで戦いの隙をうかがうように、この魔物ははるか上空を飛んでいた。アルフェが倒さなければ、一人二人は不意を打たれて死んでいたかもしれない。

 それを理解したのか、アルフェにリグスと呼ばれた男が肩を落とす。

 

「ああ、そういうことか。すまねぇ、恩に着るよ。また目の前に気を取られちまった。どうも俺は、戦い始めると周りに目がいかなくなっちまう。直さなきゃならんと思ってるんだが……」

「気にしないで下さい。行きがかりですから。それよりもリグスさんたちは、お仕事の途中ですか?」

「ああ、雇われれば何処へでも行かなきゃならんのが、この商売の辛いところだ。お前の方は――」

「待って! 待ってよ!」

 

 そこまで話したところで、ようやくステラが追いついてきた。

 

「ア、アルフェちゃん……、足、速すぎ」

 

 懸命に走ってきたのだろう。息を切らしてへたり込んでしまった。

 

「何だ? この嬢ちゃんは。アルフェの知り合いか?」

「……ええ、まあ。そういうようなものです」

「お前の知り合いってことは、やっぱり強いのか?」

 

 リグスは拳で空を打つ身振りをした。

 

「……どういう想像をなさっているのかは知りませんが、この方は治癒術士さんです」

「ふうん?」

 

 リグスが興味の薄そうな目を向けたところで、息を整えたステラが立ち上がった。

 

「アルフェちゃん、この人たちは知り合い?」

「はい、以前お世話になった、傭兵隊長のリグスさんです。リグスさん、この方はステラさんです」

「は、はじめまして、ステラです。……傭兵隊長? 何でそんな知り合いが……。まあ、あり得るのかな」

 

 ステラは一人でつぶやいている。アルフェはこんな外見でも、冒険者を名乗っている。しかも単騎でオークの軍勢と渡り合えるほどの腕前だ。そんな知り合いがいることもあるだろう。

 

「何ぶつぶつ言ってんだ。この嬢ちゃんは」

「さあ」

 

 ステラを放って、アルフェとリグスは話を再開した。

 

「リグスさんは、雇われていると仰いましたが、今はどなたに?」

「ん? ああ……、そりゃあ――、あれ? あいつはどこいった? ……おお、そこに転がってる奴だ」

 

 リグスは辺りを見回して誰かを探していたが、何かに気付くと、アルフェの脇の地面を指差した。

 それを見て、アルフェが面倒くさそうな顔をする。

 そこにはさっきアルフェが踏み台にした男が、完全に気を失ってのびていた。

 

 

「……これは?」

 

 倒れている男は、金の装飾が入った高級そうな全身鎧を身につけている。しかもどうやら何らかの魔術が掛けられた品らしい。鎧の全体から強い魔力を感じる。

 アルフェが頭の中で先ほどの動きを振り返ってみても、中身の腕前と、鎧の価値が釣り合っているようには見えない。自分で贖った物ではないだろうから、それだけ高い身分の者なのだろう。

 手頃な土台だったのでつい使ってしまったが、まずい相手を足蹴にしてしまったかもしれない。

 

「見ての通り、貴族のぼんぼんだ。それも、ど偉い高位貴族のな。名前を聞いたら驚くぜ」

 

 ぼんぼんという聞き慣れない言葉に、アルフェは首をひねる。ぼんぼん――、つまりは貴族の子弟ということか。しかし、見ての通りと言われても、全身鎧のせいで年恰好などまるで分らない。しかしリグスの言うことが本当だとすると、やはり自分は失敗してしまったようだ。

 

「……」

「……しまったって面してるな。お前にそんな、可愛らしい顔ができるとはな」

 

 リグスは意地悪そうな顔で笑っている。

 

「おおっと、怒るなよ。俺たちはこいつに雇われて、この街道の先にある開拓村に向かってたんだ。……見ての通り、少し邪魔が入ったが」

 

 そう言って、彼は親指でワーグの死骸を指さした。

 

「で、このぼんぼんの名前はなぁ――。聞きたいか?」

「結構です」

 

 余計な関わり合いを作りたくない。アルフェは即座ににべもない返事を返した。

 

「そう言うなよ。こいつはな、クルツ・エアハルト。この辺の領主の息子だ」

「エアハルト?」

 

 その名前を聞いたアルフェの眉間に、端正な顔には不似合いな皺が寄る。

 エアハルト。リグスはそれを地方領主か何かの様に言ってのけたが、その名前は――

 

「……それは、エアハルト伯の」

「そうだ、次男坊さ」

「ええ!? 本当ですか!」

 

 ステラが動転した声を上げる。エアハルトと言うと、確かにこの辺りの領主の家名だ。ただしその支配地は、他の貴族とは一線を画する。

 エアハルト伯――。それは、帝国北東部の広大な領域を影響下に置く、国内でも有数の大貴族だ。選帝会議への出席権を持つ八大諸侯の一つで、帝国最古の家柄の貴族でもある。

 アルフェは小さく舌を打った。

 

「な? 驚いただろ? ……まともに戦ったことも無いガキだが、金払いはいい。こいつのご命令に従って、俺たちはえっちらおっちら歩いてたのさ」

「……すみませんでした」

 

 アルフェはリグスに向かって頭を下げようとした。だが、それをリグスが手で制する。

 

「おいおい、やめてくれ。わかってるよ。あの腐肉漁りがこのガキを狙ってたんなら、こいつは今頃空の上だ。鳥の晩飯にならなかっただけで、こいつにはお前に感謝してもらわにゃ。……もちろん、俺も感謝している。不覚を取るところだった。雇い主を守ってくれて助かった。恩に着る」

 

 リグスは神妙な面持ちになって、逆にアルフェに頭を下げた。

 

「私が助けようと言ったのではありません。お礼なら、この方に」

「そうか。あんたにも感謝する。ステラだったか?」

「い、いえ、私こそ、何もしていませんから」

 

 なんだ、遠慮深い奴らだなと言って、リグスは笑った。

 それから彼は、地面で仰向けになって気絶している雇い主の傍でしゃがみ込み、その顔を覗き込んだ。リグスが杖替わりにした戦槌の頭が、土に深く沈む。

 

「しかし、相当強く踏んだなぁ。綺麗にのびてる」

 

 あご髭をいじりながら、変に感心した声でリグスが言った。

 

「死んでんじゃねえっすか?」

「そうなったら不味いな。鎧だけ剥いで、どっかに埋めてくか?」

 

 傭兵たちが口々に物騒な軽口を叩く。しかしこの傭兵団の者たちは、見た目はともかく、基本的には気のいい者が多い。仕事で一緒になったことがあるアルフェはそれを知っている。だが、彼らと初対面のステラは慌てて止めた。

 

「う、埋めちゃ駄目ですよ! この人はまだ死んでません。私が診ます!」

 

 地面に膝をつき、ステラが若者に治癒術を掛け始める。その真剣な横顔に向けて、リグスは声をかけた。

 

「そんなにこいつを甘やかすことはないぜ。……まあいいか。で、お前たちはどこに行くんだ。ウルムか?」

 

 一心に呪文を唱えているステラを置いておいて、傭兵隊長が立ち上がった。彼が口にしたウルムというのは、エアハルト伯領の中心都市の名前だ。

 

「はい、そう考えています」

「そうか……。じゃあ、すれ違いだな。この仕事が終わったら、俺たちもウルムに戻る。もしそれまで町に居るなら、飯でも一緒に食おう」

「そうでしたね。リグスさんたちもお仕事ですか。……もしかして、この先の開拓村に?」

 

 それ以外には、この先に人里は無い。

 

「ん? お前も聞いてるのか。そうだ、この北東にある村が、オークの群れに狙われてる。この坊ちゃんの命令で、俺たちはそれを討伐に行くんだ」

「え、それって……」

 

 若者の手当を済ませたステラが、リグスを見上げる。アルフェもわずかに、申し訳なさそうな顔になった。

 

「……そのオークなら、既に私たちが撃退しました」

「おっと、そう来たか」

 

 アルフェが数日前に、開拓村でオークの群れと戦った事情を語ると、さすがにリグスは驚いた表情になった。しかし彼には、出動が空振りに終わったことを、それほど気にしている様子は無い。

 

「まあ別にいいさ。ここまで出てきた分は、ちゃんとこいつに払わせるしな。しかし、一人でオークの群れを退けたか。相変わらずだな」

「一人ではありません。ステラさんや――、他の、冒険者の方も居ましたから」

「そうか? だがまあ、そういうことなら、これ以上、ここでくっちゃべってる理由は無いわけだ。ぼんぼんが目を覚ますのを、待っていることもねぇ。俺たちも一緒にウルムに戻るとするか。……総員、引き返すぞ!」

 

 リグスの指示に、傭兵たちは威勢のいい声を上げた。既に彼らの手によって、バリケードになっていた荷物などは片付けられている。馬車の荷台に気絶した若者を放り込むと、迷わず一団は反転し、都市への道を進んでいった。

 

 

「……う~む」

 

 頭に伝わるごとごとという振動に、クルツ・エアハルトは目を覚ました。身体の下には、木の板の堅い感触がある。

 額に手を当て、頭を振り振り身体を起こす。自分は眠っていたのだろうか。前後の記憶が曖昧だ。頭の中ががんがんと鳴っている。

 

「む……? むぅ! おっと!」

 

 ヘルムが視界を遮っているので、苦戦しながらそれを外した。新鮮な空気が、肺に流れ込んでくる。

 

「……ふぅ」

 

 クルツは息をつき、自慢の金髪をかき上げる。風が肌に心地よい。実にさわやかな陽気だ。

 

「……ん? そうだ、魔物! 魔物は!?」

 

 思い出した。こんなことをしている場合ではない。自分は今、魔物の群れと戦っていたのだ。クルツは慌てて周囲を見回す。

 ここは馬車の荷台の上だ。周りには、クルツが雇った傭兵団の面々が歩いている。景色は相変わらずの草原で、魔物の姿は影も無い。

 

「おや旦那、おはようございます」

 

 馬車のすぐ脇を歩く男が、クルツに声を掛けた。このむさ苦しい声と顔は、傭兵隊長のリグスだ。

 

「おはようではない! 魔物はどうなった!」

「ご心配なく。既に排除しましたよ」

「そ、そうか……」

 

 クルツは安心したとともに拍子抜けした。

 

「なぜ私は寝ていたのだ?」

「覚えておられないので? ……そりゃ良かった。オホン。はい、我々が犬型の魔物を撃退したところ、上空から大型の怪鳥が飛来しまして、閣下の頭に攻撃を仕掛けたのであります」

「何だその気持ちの悪い喋り方は……。普通に説明しろ!」

「そうですか? まあそれで、旦那は今まで、呑気に気絶してらっしゃったんですよ。その鳥野郎も始末したんで、大丈夫ですよ」

 

 リグスが指したもう一台の馬車の荷台には、大きな鳥の魔物が縛り付けられている。腐肉漁りという、クルツも知っているモンスターだ。その名前からは想像できないほど凶暴で、辺境では毎年何人もの旅人が、この魔物の爪にかかっている。

 

「そうか……、ご苦労だった。なるほど、私は空から襲われたのか。そう言えば、凄まじい速さで何かが飛来してきたのを覚えている。……あれが魔物だったのか。不意を打つとは、卑怯な」

 

 クルツの言葉に、リグスが苦いものを飲み込んだような顔をした。周りの傭兵たちが、くつくつと笑っている。

 

「何だ? 私は何か間違ったことを言ったか?」

「え? いえ、恐らく、そうだと思いますね。さすが魔物です。卑怯な野郎だ」

「うむ、それで今はどうなっているのだ? 心なしか、さっきと同じ景色を見ているような気がするが」

「気のせいじゃありませんよ。実際、ウルムに引き返している途中ですからな」

「何? 引き返してどうする。一刻も早く、我々は開拓村に着かねばならんと言っただろうが!」

「いえ、それがですね。放っていた斥候の情報なんですが、その村のオークは、もう退治されたんだそうですよ」

「何ぃ! 本当か!?」

 

 クルツは空に響く大声で叫んだ。いつの間に斥候など放っていたのか。この隊長は、見かけよりも周到な男だったようだ。いや、そんなことは重要ではない。これでは自分の計画が台無しではないか。

 

「本当です。どこかの冒険者がやったそうです。しばらくすれば、町にも知らせが届きますよ」

「そうだったか……」

 

 しかし、もうオークがいないのであれば仕方ない。クルツは荷台の上で肩を落とすしかなかった。

 

「――ん?」

 

 その時、落ち込むクルツの視界の端に、珍しいものが映った。このむさ苦しい一団の中では、彼がついぞ目にしなかったものだ。

 

「なんだ? いつからこの隊に婦女子が加わったのだ?」

「え? ああ、それはですねぇ……」

 

 リグスが言いよどむ。男所帯の傭兵団に、クルツの知らない女性が二人、いつの間にか同行していた。




アンケートの使い方を覚えたので、兼ねてから迷っていた方針について色々と聞かせていただいております。ご容赦下さい。

感想で直接に意見を下さるのも大歓迎です。

この物語において、主人公は恋愛するべきだと思いますか? 参考にさせて下さい。

  • ぜひ恋愛するべきだ。
  • まあ、無理が無ければ。
  • そういうのはサブキャラだけでいい。
  • 百合が良い。
  • 要らない。要るのは血だ。
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