コツコツ書いて仕上がりました!
売国機関とても盛り上がってますなぁ。混沌極めた共和国いいですよね(白目)シスターの活躍に今後も期待したいですね!
今作品の帝国はどうなる事か……
さて、前置きは此処までに本編どぞ!
▲ 帝国 オペラ座本部 地下牢広間
情報局本部から恙無く到着するはオペラ座本部。
車を降り、門衛や行き交う職員と道すがら敬礼と答礼を交わしてオペラ座本部施設に入る。真っ先に向かうのは重装備の兵が立つ先にある地下牢。
「こっちよ」
照明があっても尚薄暗い階段をロフスキ少佐に続いていく、しばらく下っていくと明るく照らされている広間の様な所に出た。
「おや?これは珍しい初めて見る顔があるとは」
此方に気づくや手にした書類を机に放りつつ座りながら敬礼をして爽やかに声を掛けてくるのはメディックの証たる腕章を着けたロッティ中尉。シルサルスキ少尉も遅れずに敬礼交わした所でロフスキ少佐から衝撃の言葉が飛び出す。
「新人なの、ついでに処女」
「んん?」
思わず小さく疑問の声が漏れるシルサルスキに脇目も振らずに話はトントン拍子に進んでいく。話を聞いたロッティ中尉の反応と言えば……
「それは、困りものですね。卒業は早い方がいい、どうです?今からでも」
それはイケないとわざとらしく驚け、早速やりましょうかと椅子から立ち上がる。衝撃の発言をしたロフスキ少佐も楽しそうな様子で、これまた衝撃発言を連発する。
「私達も混じっても?」
(え!?えぇ!!?)
一瞬、シルサルスキに目配せしたロフスキ少佐にシルサルスキ少尉は何度目かも分からぬ驚きを隠せない哀れな新任少尉はされるがままに立ち尽くすのみだった。
(しょ、処女だけど……ッ!え!?私が間違ってるの……?)
「あまり人数が多いのもどうかと思うのですが」
「それもそうね」
「ロフスキ殿、宜しければ他は小官が片付けておきますが?」
ロッティ中尉が些かの苦言を呈すると悩む様な仕草のロフスキ少佐にターニャが助け舟をだす。普段から部下とのコミニュケーションも大事であると知っているターニャだからこその気遣いだ。
(デグレチャフ少佐殿もお止めになられないの……ッ!?)
話の中心的人物にも関わらず置いてきぼりのシルサルスキ少尉にしてみれば驚愕の連続である。
「いえ、少し残念ですけれど辞めておきましょう。少尉、彼に卒業させて貰いなさいな」
考えた結果ロフスキ少佐は参加を見送る事にしたらしく断りの言葉を口にする。それを聞いたロッティ中尉は心得たと早速行動しようとする。
「では早速取り掛かろうか、道具だけ自前のものを持ってきてくれ」
「え、えっと!!?」
「新人だもの準備してないと思うわ。初体験は手取り足取り面倒を見てあげて頂戴」
シルサルスキ少尉を託して手を振り轡を返すロフスキ少佐は上へ通じる階段へと向かっていく。
「了解です。お任せ下さい」
ターニャもロフスキ少佐に続いて上に続く階段に向おうとするが、そういえば、と足を止めてロッティ中尉に声を掛ける。
「そうだ。ロッティ中尉、ヴィーシャの所在はわかるかね?」
「はい。セレブリャコーフ中尉ならロベルト大尉と捕虜の
ロッティ中尉の申し出を聞いて、僅かに考えた末に申し出を断りロフスキ少佐同様に轡を返えして行く。勿論親愛たっぷりに
「いや、大丈夫だ。扱き使ってやってくれ」
「了解です。さて……すまないねネンネちゃん。此処はオペラ座なんだ。とりあえずかるーく大人の階段を登ってみようか」
去っていくデグレチャフ少佐に敬礼をしていた中尉殿が、身を翻して軽い謝意を込め微笑み掛けてくる。当のシルサルスキといえば現状を理解しようと頭を動かしているが未だ混沌の中。
「お、大人の階段ですか……!?」
そんな訳無いと頭で理解しながらも混沌のまま思わず声を上げてしまった所で、後方からほんわかした女性の声が聞こえシルサルスキ少尉の脳は落ち着きを取り戻すに至る。振り返れば声の主はこれまた中尉章を身に着けた女性だった。
「ロッティ中尉、選り分け終わりました!見せしめ組はロベルト大尉殿が舞台*1に置いてくれます!」
「ありがとうセレブリャコーフ中尉、丁度いいタイミングだ。大尉殿に幾つか新人の研修用に検体を見繕って貰いに行こうか」
ロッティ中尉と数事を言葉を交わすと、シルサルスキに気が付いたセレブリャコーフ中尉は明るく気さくに振る舞う。
「あ、新任さんですか?宜しくお願いしますね少尉!」
「え、あ、はい!私はモニカ……」
「っと少尉、次席指揮官殿にも顔合わせをするのだし挨拶は後にしよう」
失礼のない様にとシルサルスキから自己紹介をしようとした所をロッティ中尉に止められる。この時シルサルスキは効率の問題だと理解し、あまり深く考えては居なかった。
「はい」
「結構。あーそれとセレブリャコーフ中尉、さっきデグレチャフ少佐殿が来られてね。急ぎでは無さそうだったが何か用があったみたいだ」
「少佐殿が?分かりました!後で伺ってみますね!」
「そうしてくれ。さ、行こうか」
(ヴィーシャってセレブリャコーフ中尉の事だったんだ。連邦系の方っぽいけど)
ロッティ中尉とセレブリャコーフ中尉の会話を聞きながらシルサルスキ少尉は内心で納得する。二人に続いて更に奥に進んでいく。
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▲ 同地 捕虜収容エリア
薄暗い通路をロッティ中尉とセレブリャコーフ中尉に続いてついて行くと、書類を片手に何やらを書き込んでいる大柄な男性が見えてきた。
「大尉殿」
「ん?中尉か。……彼女は?」
声を掛けられたマイナーク大尉は中尉2人に眼を向け、直に後ろに立つ見慣れぬ顔にその鋭い眼を向ける。それに合わせてロッティ中尉が簡単な紹介を行い、要件を簡潔に伝える。
「新任だそうで。彼女の研修用に検体を幾つか頂きたいのですが……」
「そうか。なら丁度いいのがある。こっちだ」
意を瞬時に汲んだマイナーク大尉はついて来るよう促すとカツカツと踵を鳴らし奥へと歩いていく、ロッティ中尉含めた3人も遅れずにそれに続いていく。
「……」
「少尉、余り緊張しないで大丈夫ですよ」
その僅かな道中に、マイナーク大尉の視線(大尉自身特に睨んでるつもりはない)に僅かに気圧され気味で強張り気味のシルサルスキ少尉にセレブリャコーフ中尉が透かさずフォローを入れてくる。
「ぁはい。お気遣いありがとうございます」
そんな優しさに触れながら進む事約20秒程度。牢の中に16かそこらの青年が憔悴した様で椅子に縛られ留置されている牢屋の前で止まり、マイナーク大尉が鉄格子の鍵を解く。
「ン……?……」
「少尉、ちょっと空気の大切さを学習してみようか。さて、まずは基本自己紹介から始めよう。君の名前は?」
青年の視線を気にする事なく、扉が開かれるのと同時にロッティ中尉に依るシルサルスキ少尉の"教育"指導が開始される。
(空気の大切さ……?)
開いた扉から中に入りながらシルサルスキは僅かな疑念を抱くが、上官から姓名を問われたのだ。先ずは
(……とりあえず着任の挨拶をと)
「はっ!本日付けで法務局に配属となりました。モニカ・シルサルスキ少尉です!よろしくお願いします」
どっからどう見ても卒がなく、それでいて簡潔極まりない自己紹介だったと思う。しかし、どうだ。セレブリャコーフ中尉の顔は何故かとても居た堪れないモノを見る様な表情を浮かべている。
「あぁー……」「宜しく少尉」
対するロッティ中尉は特別気にする様子もなく簡単に応じる。この差はなんだ?と疑問を持ったのも束の間、大尉殿からその回答が幸か不幸か得られる。
「ああ、一つ良いか少尉。貴官はたった今そいつの処刑命令書にサインした。……理由は分かるかね?」
「え、は?」
何故?とその理由も分からず哀れな間抜け面が表情に出ていたのだろう。しかし、大尉殿は構うことなくキリキリと続ける。曰く……
「我々法務局独立大隊には機密保持義務がある。保安上、個人名を含む詳細な情報を知った敵兵は"処理"せねばならん。口は災いの元だ。保全に留意したまえ」
じゃあ此処で自己紹介させたのは……!?と理解が追いつきロッティ中尉に眼を向ければ、素知らぬ顔でフォローになるか極めて怪しいフォローと拘束された青年の処刑理由を開示してくださる。
「なに、罪悪感を抱く必要はないさ。コイツは私の戦友を背後から撃ち殺した人間擬きでね。どのみち処分は確定してた。せっかくだ、有意義な時間にしよう。教材として人間ではやれない練習もあるからね」
「ですね〜。破っちゃった事は仕方ないですし、後処理
上記のそれらが冗談でないのはセレブリャコーフ中尉が手を合せ、仕方ありませんね!うんうん!と微笑み掛けてくるのを見るに疑いようはなかった。
(お気遣いして頂いてるのは有り難いけど!そこじゃないのでは!?)
秘密保持の為とはいえ、一人の生き死を何とも思っていない様子のセレブリャコーフ中尉を善良な良識人だと思っていた心中で恐々としているシルサルスキを他所に更なる目の前の青年の処刑命令が上塗りされていく。
「さて、改めてジャコモ・ロッティだ。退役軍医中尉で、今は嘱託の法医学医でもある」
「ロベルト・ナイマーク大尉だ。独立大隊の課長代理、まぁ法務官とだけ覚えおいてくれればいい」
「デグレチャフ少佐殿にはお会いしてますかね?少佐殿とオペラ座に出向として在席させて貰っています!ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ魔導中尉です。改めて宜しくお願いしますね!」
更に3枚分の処刑命令書にサインされた青年に一瞬眼を向けるが、直にシルサルスキ少尉はこれからお世話になるオペラ座の先輩方に向い、敬礼する。
「はい……よろしく、お願い致します」
割り切ろうとしても僅かに割り切り切れず少し歯切れの悪い返事をしてしまったと少し焦りを感じるシルサルスキだったが、気にしているのは
「挨拶も済んだ事だ。始めようか……」
ロッティ中尉の言葉を開始の合図に、セレブリャコーフ中尉が
「!?……ンンッ!…や、やめ…ぅわぁ!?!」
猿轡を外されたと同時に懇願の言葉を口にしようとするが、容赦なくロッティ中尉が青年が縛り付けられている椅子を即座に強く蹴り飛ばし倒す。
ガッ!!バタッン!!!!
「 〰〰!!?〰〰〰〰!! 」パサァ……
衝撃で舌を噛んだのか、声に成らぬ声を上げる青年にセレブリャコーフ中尉が大き目な布を顔に掛ける。それを見たロッティ中尉が青年に悪辣な微笑みを浮べ語りかける。
「おめでとう豚野郎。一呼吸事に感謝出来る。人間の様になれるぞ」
布を被せてから透かさず準備整えたセレブリャコーフ中尉が手にしていた水差しをロッティ中尉は受け取ると。それをまるで紅茶かコーヒーでも入れるかの様に青年の布越しの"顔"更に言えば鼻口に目掛けて注いでいく。
水を顔面に掛けられている青年はクグモッた酷く苦しげな声と器官に入ってくる水を反射的に吐き出そうと藻掻く。しかし、首も固定されて満足に動かす事が出来ず手足が無意識的に震えだす。
その場を支配するのは水の滴る音、ジタバタ藻掻き木製の椅子が軋む音と嗚咽にも似た酷く苦しげな声。地下だからかそれが木霊し、何か悪い悪夢の様な空間となっている。
「ウォーターボーディング*2至ってシンプルだが、ごく短時間で疑似的な溺死を体験出来る訳だ」
空になった水差しをセレブリャコーフ中尉に渡し、代わりに水が入った水差しを新たに受け取っては水を再び掛けるロッティ中尉は新任少尉にこの行為の有用性を教授する。
「ァヴッ……ンゥッ……」
二杯目の水が無くなった所で、一旦終了となり憔悴しきった声が青年から溢れる。その声は酷く弱々しい。そして、受講者足るシルサルスキ少尉はセレブリャコーフ中尉から水が入った水差しを渡され身構える。
「……っ」
「少尉、コイツは重宝する覚えておくといい。さぁ交代だ」
見て分かる程度には身構える新任に平気な顔で交代を告げるロッティ中尉にシルサルスキは嫌な汗を更に掻きながらも憚ることが出来ず、問わずに居られなかった。
「そ……それは拷問術としてでしょうか」
「おいおい少尉。拷問は法で禁止されてる違法行為だ。コイツは『
問われた
「士官学校じゃ
セレブリャコーフ中尉もそういう物ですよ〜。と笑顔で応える。控えていたマイナーク大尉もそれに賛同してこれからの教育方針をビッシと鮮明にする。
「セレブリャコーフ中尉の言う通りだ。此処オペラ座では改めて徹底して学んで貰う」
「なに、大尉殿。時間はたっぷりとあるのですから」
「新しい部隊って学ぶ事は多いですよね。でも、ロッティ中尉もロベルト大尉殿もとても親切で優しい方達ですから大丈夫ですよ!私も慣れましたし!」
ゆっくりやりましょうと言うロッティ中尉にセレブリャコーフ中尉も新人の苦労に共感しつつも、この場に居る
「という訳で、今日からバッチリと人間の壊し方を勉強しようじゃないか……」
(この先……私、大丈夫かなぁ……)
言い知れぬ不安を拭えぬのは新任の性か、将又生存本能故か。斯くして哀れな新米少尉は笑顔溢れアットホームな職場へと着任を果たすに至る。
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▲ 帝国 某所 モニカ・シルサルスキ自宅
チュン チュンチュン
「……んぅ……んー……ハッ!…………朝……?」
チュンチュン
魘されていたのだろうか、汗で寝間着が若干湿っている。目覚めとしてはまぁ悪い部類に入るだろう。壁掛け時計で時間を見れば起床時刻より幾分か早く起きてしまった様だ。
「シャワー浴びよう……」
お風呂場とは不思議な物で様々な事が思い起こされたり、考える時間が出来てしまう。例に漏れずシルサルスキもシャワーを頭から浴びながら沸々と昨日の出来事が思い起こす。
『だだ、ここは
士官学校を出て、志望した首都第2連隊に着任する筈が、学校長に栄転だと言われて法務局に出向こうとしたら天下の参謀本部に呼ばれて行ってみれば物凄い所に配属されてしまった……。
(ちょっと特殊?……ちょっと?あれの何処がちょっと?セレブリャコーフ中尉殿は良識人だと思ったのに、しっかりとおかしかったし……)
ちょっとが意味を成して無い。あれがちょっとならちょっととは一体何だ?等と若干ゲシュタルト崩壊を引き起こしながら身支度を整える。
気遣いが出来て良識を持った常識人だと思った同性の上官も類に漏れず人の生き死にに躊躇が見られなかった。……戦争経験の有無なのだろうか?
軍服に袖を通しながらそんな事を思い玄関へと向う。靴棚の上に見ないで置いていた手紙や封筒を確認していると将校クラブから請求書が来ており、さらっと流し見してその額に霹靂する。
「……」はぁ……
(まだ行った事ない将校クラブ費……)
尉官として配属されて早々に安くはない額が給与から引かれている。新たな職場に慣れるまでは行けない事も分かっているシルサルスキは朝から嫌な物を見たとそっと請求書を戻して玄関を出ていく。
「行ってきます……」
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▲ 帝国 オペラ座本部 応接室
「ローエンシュタイン准将閣下より調査官を任されましたヴェルナー・ヒルシュです。先日貴方方が乗り込んで来た時以来ですね。ロフスキ少佐殿、デグレチャフ少佐殿。それにシルサルスキ少尉も」
オペラ座に出勤して早々に情報局本部からの
までは良かったのだが、先方が挨拶を行った矢先にロフスキ少佐から嫌味とも忌避感とも取れる不満気な声が溢れる。
「……最低でも保安将校団が来るものだと思っていましたが」
「小官では不足だと?疑心暗鬼はパラノイアを招きます。ローエンシュタイン准将閣下は内外の動揺を阻止したいとお考えでして」
それに対してヒルシュ大尉の回答は落ち着き払ったモノ、先程の嫌味にものともしないで上官の意を汲んだと自負して仕方ない。
「……つまり?」
尚も怪訝な様子のロフスキ少佐に真っ向から向い理路整然と述べる姿で違いますか?と遠慮なく聞いてくるのには尊敬すら感じる程だ。
「徹底して内密に事を運びたいのだと。モグラ対策の内部監査の面があるとなれば少数精鋭も道理でしょう」
一方のターニャ・ロフスキはそれを見えぬ様聞こえぬ様に鼻で笑う。元々が情報局から出て来た不始末、継戦派の息のかかった裏切り者を捕まえるそれだ。
「貴官こそモグラではないのか?モグラの言い分にしか聞こえないのだがな」
「同感ね。それともあの本部長の犬?揉み消しでも命じられたかしら?」
言うに事欠いて情報局から来た人間が内密に進めたい?道理を説かれたとて多少訝しむのも仕方なかろう。何より見つけた証拠を握り潰されては堪らない。
「うぅ始まる……」
シルサルスキが上記の問答を聞いてウッと胃液が僅かにジワるのを感じながら成り行きを見守る。口を出せる立場では無い為、可能なら穏便に……と願いながら。
「お言葉を返す様ですが、犬は犬でも[猟犬]です」
そんな両少佐からの猛撃を臆する事なく躱すのは流石としかシルサルスキ少尉には言えなかった。
「…」「…」「…」「……」
暫しの
「……詫びましょう。ヒルシュ大尉、その上で成果を期待させて貰いたいモノです。一先ず座りましょう」
「失礼……ではどのように調査を進めますか?参謀本部隷下の情報部門から漁りますか?」
座って調査の詳細を詰めようとするヒルシュ大尉は又もや両少佐の地雷を踏み抜く、事もあろうに参謀本部に調査の手を?とロフスキと特に参謀本部付きであるターニャは強く反応する。
「参謀本部の庭に突然土足で殴り込む?本気かね?」
「スズメバチの巣に手を突っ込む方がまだ安全でしょうね」
物事には進めていく段取りというモノがある。身に覚えのない事で真っ先に疑われれば参謀本部も御立腹となる事は想像に固くない。
「では外部から固めていくと?物証・証言が信用出来るという担保は?有りはしますまい。……そもそも嫌疑の発端からして疑わしいと言わざるを得ないのですが。本当に情報局にモグラが?」
「我々の妄想だとでも?」
元も子もない事を言い出すヒルシュ大尉にターニャは苛立ちを覚え、声を低くして威圧感を醸し出す。ヒルシュ大尉は圧され気味にはなるが、それでも情報局の人間として引くことは出来ないのか言い返す。
「……疑われてる情報局の私が言うのは何ですが、内通者がいると騒いでるのは貴方方だけだ。それを信じろと?」
「……私は確信している。私が確信している。私にはそれで十分よ」
馬鹿らしい程に疑り深い大尉に霹靂しつつもロフスキは確固たる確信を表する。そんなロフスキの姿にヒルシュ大尉は何も言う事が出来ず
「……」「……」「……」
「で、でしたらやはり合同調査しかないのでは?……な、なんて思うのですが……」ニ、ニコッ
「そうね。その通りだわ」「致し方ないか」
「……やむを得ません、か」
シルサルスキ決死の提案は3者の溜飲をとりあえず下げ、話を
その後の展開を見抜けない辺はまだ青い事の証明なのだろう
(良かっ……ンッ?!?)
ホッとしたのも束の間、
「じゃあ言い出しっぺに頼もうかしら、よろくね?」ニマァ
「へ!?」
案の定複雑な立場に抜擢されてしまった。
絶対面倒で大変な仕事を押し付けられ項垂れたいが、間髪入れずデグレチャフ少佐からも発破をかけられれば項垂れる事など到底出来ようはずもなかった。
「初めての大役だな。頑張り給え」
「は、はい!」
シルサルスキ少尉が正式に担当官となった事を
「聞いての通り、こちらのモニカ・シルサルスキ少尉をオペラ座の担当官に付けます。情報共有は徹底して頂けるのですよね?」
「……秘密保持は当然、徹底して頂けるのですね?」
「……我々が流出させるとでも?」
「大尉。言葉には気をつけなさい」
ターニャをしてどの口が?と言ってしまいそうな程にバカげた問であった。聞き返された際のロフスキ・ターニャの形相といえば目が鋭くなり、敵愾心すら感じるそれ。
眼力だけで人を殺せそうだ。しかし、これまた見事に地雷を踏み抜くヒルシュ大尉は最早見事としか言えない。
「いえ、そうとは……。ただ漏れ口の所在が参謀本部か情報部か確定した訳ではありません。用心もします」
両少佐に睨まれ流石にたじろぐヒルシュ大尉は万が一があってはと言うがロフスキは我々には隙すらないと宣言する。デグレチャフ少佐の事もこの上ない信頼を置いているとも。
「剣と名誉に誓って私の部下は義務を知ると宣言しましょう。デグレチャフ少佐やその副官も同様です」
そこまで言われるならとヒルシュ大尉が立ち上がりロフスキに対して握手を求め、ロフスキも応じる。斯くしてオペラ座と情報局の連携が此処に実現する。
「……では改めてよろしく頼みます」
「えぇ。此方こそ」
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▲ 同地
「ドが付くほどのクソ野郎でしたな。戦前には居なかったのか気づかなかっただけか、将又戦後に増えたのか、ああいう輩が嫌に目に付きます」
改めて協力関係を確認したヒルシュ大尉が応接室去った後、応接室のソファーにどっかり腰掛けると呆れ顔でヒルシュ大尉を扱き下ろすデグレチャフ少佐にシルサルスキ少尉は率直な感想を抱く。
無論、顔に出ない様に細心の注意を払って。
(うわぁ、ボロクソぉ……)
「勇者達は軒並みヴァルハラに旅立って行きましたから、残ったのが
ロフスキ少佐もソファーにどっかりと座り、膝を組んで軍の現状を嘆き悼む。シルサルスキ少尉に今後の指示を行う。
勿論
「は、はっ!しかし……その、本当にモグラがいるのでしょうか?」
「必ず居るわ。恋と戦争で『本心』を読まれるのは死活的。だから、如何なる手段も正当化される。気を付けなさいな」
疑い様の無い確信と警句を示すロフスキ少佐に重ねる様にデグレチャフ少佐からも参謀本部と
「モグラが真っ先に狙うとすれば参謀本部隷下の情報部門だろう。……プレッシャーを掛ける訳ではないが、間違えばゼートゥーア閣下に何と言われるか分からんぞ?」
「し、死力を尽くして心して調査に臨みます!!」(プレッシャーッ!!)
「アッハッハハハ。デグレチャフ少佐も御人が悪い。……少尉、難しく考える事は無いわ。単なる害獣駆除なのだから、踏み殺して
「さて、少し出掛けましょう。少尉、車を頼みます。デグレチャフ少佐もどうです?」
シルサルスキの緊張感を解き解す様にやるべきことを端的に教え、気楽にやるように伝える。
「お誘いは有り難いのですが、戦研*3に提出する論文を纏めねばなりませんので。またの機会に」
ロフスキ少佐の気遣いに感謝しつつも、ターニャは参謀本部の仕事を進めねばならないと気持ちだけ受け取り、やんわりお断りを入れる。また暇がある時にとも付け加えて。
「出向中とは言え参謀本部付きともなるとやはりお忙しいですね。残念ですが仕方ありません。では」
参謀本部付き、新設された戦略研究室での仕事も多忙そのもの。銃弾やら砲弾やら飛び交う戦場よりは何京倍も平和的な仕事なのでターニャとしては満足なのだが。
ゼートゥーア中将閣下の人使いの荒さはロフスキ少佐も身に沁みて知っているのでターニャの苦労を気持ちだけでも分かち合う。
「えぇ。また後日」
ロフスキ少佐とターニャは敬礼を交わして其々出立していくのだった。
如何でしたでしょうか?楽しんで頂ければ幸いです!
セレブリャコーフ中尉の安心感凄い!売国機関よりシルサルスキ少尉が若干ひ弱っぽくなってますなぁ……許して……。
今後、売国機関にある程度沿って書いていきますがオリジナル展開になったり幼女戦記的な展開になったりします!
ご了承をお願い致します!金本位制度云々は触れないかなぁ(触れれない)と自分が金本位制度について理解しきれて無いため……すまぬ。
さて!!ご覧になって頂き本当にありがとうございました!御意見!御感想!お気に入り・評価!ここ好き!誤字脱字!誤用等など頂ければ励みになりますのでお願いします!
誤字脱字の指摘や感想ほんとにありがとうございます!
色々参考になったり考えたりする事が出来て助かります!
今後のオリジナル展開について
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構わん、やれ。
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は、早まるな!
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全て心の中だ。今はそれでいい。