売国戦記   作:焼き肉定食

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いやぁーまた4ヶ月位経ちましたねぇ
ちょびちょび書いてますが
今回少し短いかも……
クオリティはお察しです
最初の頃見てくれた人とかまだ見てくれるかな
待っていてくれた方、新規で見てくれた方
ありがとうございます!!!
少しずつの投稿ですが
これからもよしなに


祖国の命運Ⅰ

 

 

イルドア・帝国国境山岳鉄道 山岳列車会議室

 

 

ベ・ルーヌ駅を出立してからしばらく経った頃

レルゲン・ギルベルト両名は改めてカランドロ大佐と対面していた

 

「では、御話をお聞かせ願いますか」

 

部屋で三人が椅子に腰を落ち着けると

ギルベルトが満を持して問いかける

 

「この部屋での会話が外に漏れる事はありまさせん。防諜は万全に。勿論ここでの会話は我々が直接、参謀本部へ届けます」

 

レルゲンもカランドロ大佐へ

安全性と会話の保全を約束する

 

そんな二人に珈琲を堪能したとばかりにティーカップを下ろし、にこりと微笑んだカランドロ大佐は何気ない口調で爆弾を投じる

 

「では、まず私の立場から申し上げよう。私はガスマン大将の特使です」

 

カランドロ大佐から放たれた言葉をある程度予期していたレルゲン中佐等だったが、いざとなると言葉が見つからず沈黙してしまう

 

イゴール・ガスマン大将という人物の事は

イルドアに赴くに際して行った情報収集

 

軍・政府の関係者リストで目にしていたが……

余り表で目立つ人物では無かったらしく

 

資料が少なく

情報局を酷使して情報をかき集めたが

どういう人物か要領を得なかった

 

「是非とも、帝国軍の友人諸君とは腹を割って話さねばならぬことがある。率直に言えば我々、イルドア王国は、目下の情勢をひどく案じているのですよ」

 

「その……御気分を害さないで頂きたいのですが、何故貴国が案じる必要があるのでしょうか?」

 

思わずとギルベルトが声をあげる

カランドロ大佐の言葉を聞いたレルゲン等に浮かんだのは純粋な疑問だ

 

なぜ?と

 

一連の講和・条約締結の為のプロセスはイルドア・合州国が推進し、帝国と各交戦国の利害が一致した事で行われた

いわば損得論に基づく物だ

 

イルドアは未回収のイルドア領土の交渉や対帝国交戦国に恩を売るなどの一定の利益の為に動いていると思っていた

 

「繰り返しお話している通り、我々は善隣友好政策を唱えて久しい、前提を申し上げれば。我々、つまるところイルドア王国は、帝国の崩壊を積極的に望んでいません」

 

その言葉は意外以外のなにものでもなかった

 

「消極的に望まれる理由を伺っても?」

 

「これは痛烈なご皮肉だ。ご存じのことだとばかり思っておりましたが。ルーシー連邦。詰まる所、共産主義者共ですよ。レルゲン中佐」

 

コミュニズム、労働者革命、コミュニスト

権力者を許さず、資産家を圧制し、平等の世界を求め、武力に寄る革命を是とするナショナリスト達

 

「連邦と友好を築いている貴国が敗北すれば連邦が自ずと保護の為とイルドアの頭上へ進出してくる。我が国としてはそれは大変困るのですよ」

 

「つまりは、我々帝国は共産主義者達への防波堤と?」

 

すかさずとギルベルトが怪訝な表情で問いかける

しかし、それも仕方ない事でもあった

 

帝国は生来、皇帝陛下をトップとした『君主制』であり、ルーシー連邦の前身である

ルーシー帝国とは長きに渡る友好を謳歌していたのだが、

ウラージミル・レーニン率いる赤軍が革命の波をルーシー帝国国内に伝播し、ルーシー王室の崩壊を持って『共産主義体制』へと移行した

 

君主制の帝国、共産体制の連邦

両者は正反対のイデオロギーを掲げて対峙した

 

しかし

思わぬ所で両者の意見は合致する

全方面に仮想敵国となる列強を抱え、その対応の為に様々な努力が続ける帝国

 

内戦が終結しても尚暫定的に活動を続ける反共産パルチザンの攻撃に手を焼き、旧体制時の軍部高官等や多数の下士官などが逮捕・粛清されており軍事力の低下が深刻化していた

 

敵を減らしたい帝国と軍事力に不安のある連邦

犬猿の仲であるはずの両者は互いに手を取り合い

様々な有効政策を打ち出した

 

帝国とて共産主義者の脅威に晒されているのにイルドア王国と来たらそれを押し付けようとしているとは!

 

そんなギルベルトにカランドロ大佐は、まさかと直ぐ様否定する

 

「勘違いはなさらないで欲しいが。貴国の置かれた立場は重々理解しています。その上で貴国の自治が続くことを願って今回の停戦交渉や調印式の仲介を申し出たのですから」

 

はっきり言ってレルゲンやギルベルトは戸惑っていた

確かに共産主義者は危険だ

 

平等の為とあらば彼らは武器を取り戦うだろう

彼等の力は侮る事など出来はしない

 

しかしだ

 

イルドア王国がそこまで過敏になる理由は?

 

思い当たるのは一つ……

 

「大変お恥ずかしい話、我がイルドア王国にも共産主義を掲げる一派がおりましてね。日に日にその勢力を伸ばしているのですよ」

 

民族分断それは恐怖だ

国が割れれば自ずと国力は落ちる

 

「そんな状況で連邦と国境を面すれば……、後は俊英のお二方ならお分かりななるでしょう」

 

そんな状態で内戦でも起これば

連邦によって増強された共産主義者の群に呑まれ

ルーシー帝国の再来になる可能性すらある

 

「だから我々は互いに手を取り合えると?」

 

レルゲンの問いに微笑みを浮かべてカランドロ大佐は答える

 

「えぇ、国家間において利害の一致こそ望まれるものでしょう?それに……」

 

そう言うとカランドロ大佐は上質な皮で出来てるであろう書類鞄から、イルドア王国軍の封緘印が押された封緘封筒を2冊取りだし、レルゲンとギルベルトへと手渡す

 

「今回の調印式はほんのささやかな気持ちでもありまして。今後 我が国としては貴国との軍事的交流や経済協力、イルドア・帝国の二国間同盟などの締結などを行えれば、と考えております」

 

具体的な内容は……と

手元の書類に目を通すよう進められ

内容に目を向ければ

丁寧な事に先ほどの概要が分かりやすく纏められている

 

「……カランドロ大佐殿、恐らくですが我が参謀本部は貴国と手を取り合う事を裁可されるでしょう……しかし……」

 

帝国参謀本部の長である

ルーデルドルフ閣下・ゼートゥーア閣下は

どちらも恐ろしく優秀な方々だ

 

この提案で得られるものを瞬時に判断し、

見極め、どんな難題でもクリアし

不屈の意思で必ず押し通すだろう

 

しかし

軍事的交流などは

まだ"軍事"的だから押し通せるのだ

 

さすがに国家間の同盟を模索するとなれば

それは明らかな"政治"的のそれ

 

本国の最高統帥会議の判断を仰がねばならない案件であるのは明らかであり、いくら参謀本部の長であっても押し通す事は不可能であろう

 

「もちろん、軍だけに御願いしている訳ではありません。我が方の外務事務次官がそちらの外交官にこの案件をお話しているでしょう」

 

なるほど

乗車の際に特使等と居たが恐らくその中にイルドア(彼等)側の外交官が居たのだろう

 

カランドロ大佐殿はご安心を、と優しげな微笑みを浮かべ、レルゲンの眼を真っ直ぐと見据えると机越しにゆっくりと手を伸ばしてくる

 

レルゲンはその意味を汲むとその手を取り硬く握手を交わした

 

「レルゲン中佐、ギルベルト少佐、是非とも頑張ってください」

 

「ありがとうございます。よいお返事が出来ればと思……」

 

レルゲンの言葉は大きな物音と揺れにかきけされる、この異常にレルゲン、ギルベルト、カランドロ大佐は身構える

 

それと同時に会議室の扉が開かれ

焦り顔の衛兵が飛び込んでくる

それに衛兵(彼等)の上官足るギルベルトが衛兵に何があったのかを訪う

 

「どうした!?何事だ!」

 

「ギルベルト少佐殿ッ!後部車両が何者かに切り離されました!」

 

「なんだと!?」

 

(ッ!後方の車両には部隊が……)

 

お召し列車という特性上

最後尾に部隊を乗せた車両を繋げるしかなかったが……

それが仇になる形になった

 

話を聞けば巡回中 車掌服の男を発見し

兵車の近くで何をしているか声を掛けたが

その時には既に

連結部の破壊を完了する所だったらしく

それに気付き発砲し

止めようとしたが間に合わなかったらしい

犯人は撃たれ線路に転落したとの事だ

 

衛兵の言葉にレルゲンとギルベルトはお互いに渋い顔になる、頭を動かし指示を出そうとする

 

が、混乱を増加させるように衛兵の更なる言葉が二人に追い討ちを掛ける

 

「こ、後方より列車接近!!」

 

「ッ!まさか!!」

 

 

―――――――――――――――

――――――――――

 

 

猛進する機関車では武装した者達が

決意と覚悟に満ちた表情でその時を待っていた

 

「……准将閣下、間もなくです」

 

若い士官に促され

准将星を襟章に煌めかせる初老の男が立ち上がる

それに呼応するように他の者達も立ち上がる

 

「遂に……遂にこの時が来たのだ、奴等に踏みにじられたものを……土地を、人を取り戻す時が……」

 

男の名はメルクロフ・ルンドヴァルム

大戦の勝敗を決したインテンス攻略戦の際に

インテンスの防衛に携わっていた指揮官である

 

「閣下、閣下に救って頂いたこの命尽きるまで我等何処までもお供致します」

 

メルクロフが過去を思い返し沈思していたが

それを現実に引き戻すのは

イシドル・バルクランツ中尉

 

彼は北部捕虜収容所に捕虜として収監されていた

だがメルクロフ准将率いる残党軍の助けで

脱獄し合流を果たしていた

 

「イシドル……うむ、我々の戦争はまだ終わっていない。我々の手でこの和平を振り出しに戻すのだ」

 

「「「はっ!!!」」」

 

祖国を愛する男達

愛する祖国を踏みにじられた者達

祖国に身を捧げる男達は意気込みを新たに

武器を取り敵列車への乗り込みに備える

 

(【神】が居るのならば力を我等に……)

 

元々信仰深い人間ではないメルクロフだが

今だけは【神】を信じ、信仰する

力を、敵を、祖国の敵を討つ力を……と

 

「総員乗り込めぇッ!!!」

 

号令と共に敵列車へ乗り込み

牽引車である機関車を無力化する

 

(ん?……閣下?)

 

イシドルは乗員を無力化しながら

メルクロフ准将の雰囲気に

僅に言い知れぬ違和感を抱いた

だがイシドルはその違和感を頭から叩き出す

彼は付いていくと決めたのだから……

 

 

――――――――――――――――

―――――――――――――

 

 

衛兵の言葉を聞いたレルゲンが窓から後方を見れば、反対車線を全速力で上る列車が見えた

汽車の前方に堂々と掲げられるは協商連合の国旗

 

「やはり協商連合残党ッ」

 

「残存部隊を集めろ!!」

 

「はっ!」

 

列車はどんどん進みこちらの牽引車である

機関車部に飛び乗っているのが見えた

 

こうなれば一刻の猶予も無い

動力部を奪取されたのだ

 

直ちに動かねば状況は悪化の一途を辿る

ギルベルトの号令で残った部隊を終結させる

 

「少佐!」

 

「ヴァイオレット!無事か!」

 

この騒動で飛んできたのだろう

命令を受け駆け足で会議室を出た衛兵と入れ替わりでヴァイオレット准尉が駆け込んでくる

 

心配性ここに極まりか……

ヴァイオレットはギルベルトの頬にペタペタ触れ怪我がないか触診していた

 

(……だがこれで戦力的に不足はないだろう。ノルデンの戦乙女……白兵戦ならば勝機は十分)

 

そんな艶かしい光景を尻目に一計を案じてか沈黙を守っていたカランドロ大佐から声が掛かる

 

「レルゲン中佐、どうやら緊急事態の様だ。微力ながら私も協力しよう」

 

ありがたい申し出ではあるが……

あくまで彼等は客人なのだ

やはり万が一の事を考えれば断るのが最善か

一考し断りの言葉を発しようとしたが

ギルベルトがその役を代わってくれた

 

「協力感謝致します。しかし大佐殿、万が一 大佐殿に何かあれば大事でしょう。此処は我々に任せて頂きたく」

 

「ふむ、確かに、その可能性はある。わかった。此処は任せるとしよう。だが自分の身位は守れる、私の事は心配せずとも大丈夫と言っておこう」

 

不満そうな様子もなく受け入れていただか

当のカランドロ大佐はホルスターから拳銃を取り出し弾丸のチェックなどをして臨戦体制だ

 

「少佐殿!残存部隊集結完了です!」

 

若い士官が声をあげ完了報告

見れば3人の兵士が整列だ

 

(分かってはいたつもりだが……3人か……)

 

ギルベルトが今回率いていた部隊の定数は30人

後方の車両 二両に乗せていたが破壊工作で

戦わずして9割以上が戦線離脱

作戦的には敗北と言って間違いない

 

残ったのは衛兵として控えていた1名

列車巡回の任に就いていた2名

この3名とレルゲン中佐 ギルベルト少佐

ヴァイオレット准尉 カランドロ大佐

の7名

 

「ご苦労、我々はこれより乗り込んできた敵を討ち、特使等の安全を確保する」

 

手短に作戦を部下に伝える

以下作戦概要

 

・1占拠された機関車運転席の奪還

 

・2特使等が乗る列車の安全の確保及び防衛

 

・3列車上部より来る敵部隊の迎撃

 

作戦が決まり直ちに実行される

以下作戦担当者

 

作戦1レルゲン中佐、残存部隊1名

作戦2カランドロ大佐、残存部隊2名

作戦3ギルベルト少佐、ヴァイオレット准尉

 

「作戦を開始する!何があっても再びライヒを戦争の業火に落とすな!」

 

 

 

 




あ、それはそうとコロナ大丈夫ですか?
仕事無くて趣味を謳歌してますが
お給料……健康にはお気をつけを
ほんとに観ていただきありがとうございます!!

感想誤字誤用報告を心よりお待ちしております
ご意見も!!

今後のオリジナル展開について

  • 構わん、やれ。
  • は、早まるな!
  • 全て心の中だ。今はそれでいい。
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