売国戦記   作:焼き肉定食

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前話から5ヶ月位かな?
色々あったね~
ちょびちょび書いてまして
やっとこさ書き終りました❗
及第点ギリギリの出来かも知れないけど許して✨
ではどうぞ!!(o≧▽゜)o


祖国の命運Ⅱ

 

帝国・イルドア国境部 帝国国境まで12㎞

 

 

カランドロ大佐は拳銃を手に電源部を抑えられ、停電した薄暗い列車内をギルベルト配下の兵士の後ろに付きながらを進む

 

(個人的には自分が前でも構わないのだが、彼等がそれを許してはくれないだろうな)

 

思わずかカランドロ大佐は苦笑いしてしまう

緊張をもって望まねばならん時に似つかわしく無いとすぐに意識の外へ追いやる

 

「カランドロ大佐殿、どうか私達の後へ」

 

大佐殿に何かあれば……と不安げに言われ

若いのに難儀なことだ、と内心少し同情してしまう

 

「了解してるとも」

 

まぁカランドロ大佐も逆の立場なら同じ事を言うだろう

 

扉をゆっくり開き室内をクリアリングして進む

数両進み特使等が乗る特別車両へたどり着く

幸運にも此処まで敵との会敵はなかった

扉を開き中を覗くと物陰に数人の姿を確認出来た

 

「……?カランドロ大佐か!」

 

「特使殿!ご無事でしたか」

 

「此方は大丈夫だ。いったい何が起こっているのだ?」

 

「はっ、どうやら協商連合残党軍による襲撃のようで、帝国軍が迎撃の為動いております」

 

粗方の説明を簡潔に特使等に伝え

隠れているよう促すと、1人の背広を着た男性が近づいてくる

 

「カランドロ大佐殿、参事官のコンラートです。ご協力に帝国政府を代表し感謝を申し上げます」

 

「いえ、貴国との友好を思えばこそですよ。それにまだ終った訳ではありません。あのお二人の無事を祈るばかりですが……」

 

「そうでした。しかし、レルゲン中佐とギルベルト少佐。あの二人ならやり遂げてくださる」

 

此処に居る誰もが世界に平和をと願い募った

この世に確実はない

 

世界はそう簡単に出来ていないから

だが必死に平和を掴もうと皆が動いている

見れば兵士二人が簡易バリケードを構築していた

出来うる事をする為と構築作業を手伝うのだった

 

 

 

――――――――――――――

―――――――――――――――――

 

 

ダンッ ダン ダンッ!

 

「前に進ませるな!」

「時間を稼げ!!」

「くたばれ!!」

 

ダンッ! ダンッ‼

 

レルゲン中佐が機関室へ向かう途中

敵と遭遇し、目下銃撃戦へ突入していた

 

(敵の数はそう多くないが……)

 

拳銃に弾倉を込めつつレルゲンは毒づく

敵の武器はボルトアクション式と思われるが三人からの制圧射撃となると分が悪い

 

対してこちらの火器はKar98gとルガーP09

人数・火力共に劣勢だが……

 

(正面からは不可能か、ならば……)

 

正面が駄目なら後ろからだ

後ろが駄目なら横から突くまでの事

戦闘とは敵の不意を突く事だ

 

「君。敵への牽制を行ってくれ、私は列車の側面を伝って敵の後方へ出る」

 

「はっ!了解しました。お気をつけを!」

 

彼の威勢のよい返答に満足し、敵の銃声が止んだ隙を見て牽制射撃を行い、急いで扉を開き連結部へ出る

 

(多少の無理や危険など織り込み済みだ)

 

命を祖国に捧げる覚悟など当の昔に決めている

僅かな足場を伝い銃撃が続く列車の側面を行く

 

どうにか伝いきり敵が居た奥の連結部に到達する

ゆっくり扉窓から中の様子を見ると

 

三名の敵兵が居り、弾をライフルに込めている所だった

行くならば今だろう

 

勢いよく扉を開き

拳銃を向け引き金を引いていく

敵2名に弾丸を確実に敵の急所へと撃ち込む

 

二人無力化したところで

残る1名が飛び掛かってきた

 

拳銃を弾みで落としてしまい

自ずと格闘戦へと移行する

 

いや、格闘戦とは言えぬ

さながら塹壕での殴り合いに似たもの

互いを罵り、力をこれでもかと込め拳を振るう

 

「死ね!帝国の悪魔が!!」

 

「くっ!」

 

敵兵の拳を受け止めレルゲンは

場に似つかわしくない思いを抱いていた

 

(まさか私が悪魔呼ばわりされるとは!)

 

かつてデグレチャフ少佐を幼女の皮を被った悪魔と思い

本質的戦争屋と上に報告もしたが……

 

いやはや

 

今しがた敵に悪魔呼ばわりされ

彼女には少し悪いことをしたと思うほどだ

 

信仰深い訳ではないが悪魔と呼ばれるのは

多少なりとも不快感があるものだな、これは

 

そんな戯言をすぐに叩きだし、戦闘に集中する

 

「現実を見ろ!再び戦争をしてどうする!?」

 

「我々は祖国を貴様等から取り戻す!!」

 

(話しても無駄か!)

 

分からず屋に煩わしさを感じつつ

話の通じない協商連合兵を殴り飛ばす

 

グハァ

 

その隙を見て落とした拳銃を拾い

敵兵に向け、最後の警告を行う

 

「降伏しろ!国際法に乗っ取って捕虜としての権利を保証する!命を無駄にするな!」

 

「クソガァ!!」

 

警告に構わず血走った眼でこちらに向かってくる敵兵に対し、狙いを定め脚を撃ち抜いて動きを止めようと図るが

脚を撃ち抜かれて尚向かってくる

 

「くっ!」

訂正しよう

私は甘かった、と

 

総力戦の業火に燻られ一心不乱に猛進しているのは

我々だけではない

 

敵も同じだと頭では理解はしていた

 

だがどうだ目の前にいる敵は銃弾を受けて尚

怒りと憎しみをその眼と心に宿し歩んでくるではないか

 

一瞬といえど気圧された

 

それは私の甘さだ

これに慣れねばならん、これが常となるのだから

レルゲンは危機的状況ながら心の底から思うのだ

 

神とやらに災いあれ……と

 

「死ねえええ!!」

 

 

ダンッ!! ドサ

 

 

 

「中佐殿ご無事ですか!?」

 

敵兵が血を吐きながら倒れる

銃声の方を見ると陽動の為の牽制射を行ってくれていた兵士が駆け寄ってくる

 

格闘戦の際落とした眼鏡を差し出してくる

彼も負傷したのか腕に血が滲んでいる

 

「君か……すまない……助かった……。君は大丈夫なのか?」

 

拳銃をホルスターに戻し

感謝を述べつつ負傷の具合を尋ねる

 

「はっ!掠り傷ですので。問題ありません」

 

「そうか……」

 

…… ダンッ

 

 

遠くから銃声が聞こえる

ギルベルトだろうか?

カランドロ大佐殿だろうか?

 

いや、今はそれを考える時ではない

今はただ前へ、前へ進むのだ

 

「機関室に急ぐぞ」

 

「はっ!」

 

そう言うと二人は機関室へ向かう

 

 

―――――――――――――――

―――――――――――――

 

時は少し遡る

 

ヴァイオレットとギルベルトは列車の屋根へと上り、乗り込んできた協商連合残党の前に立ち塞がる

 

複数の協商連合軍が接近してきた

階級章を見れば階級は准将だ恐らく司令官だろう

その男がこちらに気づいた様だ

 

「ん?貴様等、何者だ。いや……その顔は見たことがある。あれは……そう……インテンスで……」

 

周りもこちらに気づいたのか

その男を囲み護るように前に出る

 

「そうだ……。ノルデンの戦乙女……。帝国の血に餓えた獣……。ならば……貴様がギルベルト・フォン・ブーゲンビリアか」

 

「……」

 

ヴァイオレットは何も言わない

ただ少しその血に餓えた獣(言葉)を言われた時

その表情は悲し気に僅かに歪む

 

ギルベルトはそんなヴァイオレットを見ると

微かに怒気を込めていい放つ

 

「……こんな事をしても最早意味はない!戦争は終わったんだ。また初めてどうする!」

 

無駄と分かっている。だが、無益な争いなどはもう……

 

「戦争は終わってなどいない!我々はまだ戦える!そして貴様等に奪われたものを取り戻す。いけ!」

 

「「「ウオォー!!」」」

 

メルクロフ准将が咆哮すると周りの兵士達も咆哮し、ギルベルトとヴァイオレットに斬りかかる

 

それをいなしながらギルベルトは諭すように言う

 

「っ!協商連合政府はとうに降伏した!今さら何を!」

 

「ふん……」

 

それを見届けるとメルクロフは部下を1人連れ

屋根から客車へと降りていく

 

「待て!」

 

行かせまいとギルベルトも追う

しかし

「行かせるものか!」

 

メルクロフを追おうとするが敵兵に阻まれる

そして銃剣を構えギルベルトに向けジリジリと迫り来るが……

 

「ぐお!?」「ふがぁ!?」

 

ギルベルトを阻んでいた敵兵が横合いから飛んできた敵兵にぶつかり昏倒している

 

飛んできた先を見ればヴァイオレットが敵に囲まれながらも援護してくれたようだ

 

「少佐!ここは私が!」

 

多勢に無勢の状況ではあるがヴァイオレットならば必ず生き残るだろう

 

その確信と信頼がギルベルトにはあったのだ

だからこそギルベルトはヴァイオレットの言葉にこう返すのだ

 

「頼む!気を付けるんだぞ!」

 

そういうとギルベルトはメルクロフの後を追う

 

…………………………

………………

 

 

ヴァイオレットはイシドルを含む4人と

一進一退の攻防を続けている

 

「一度ノルデンの戦乙女と戦ってみたかった。こんな若いとは思わなかったが。可愛い顔してその中身は獣とは」

 

イシドルは薄ら笑いながら

ヴァイオレットに挑発を行う

しかしそれに対してのヴァイオレットの返答はイシドルを満足させるものではなかった

 

「……降伏してください」

 

「……なに?」

 

イシドルは明らかに機嫌を損ねたと言わんばかりに怪訝な表情でヴァイオレットを見つめる

 

「この様な事をしても何も変わらない。何も生まれないんですよ」

 

その言葉に我慢できなくなったのか二人の兵士が怒り興奮した様子でヴァイオレットに銃剣で斬りかかる

 

「黙れ!」「獣が‼」

 

それを簡単に去なし一人の顎に蹴りを放ち、もう一人の顔を殴りつけ二人を昏倒させた

 

「ウグゥ!」

「ンバ!」

 

その様子を見ていたイシドルはそれ見た事かとヴァイオレットに吠える

 

「は!お前が言えた義理か!。お前の手でどれだけの同胞が死んだと思ってる!」

 

「あれは……戦争でした……。もう無為に殺したくはないんです」

 

最初は殺しに何も感じなかった

誰もが敵に見えた、生きるために殺し続けた

帝国軍に拾われた時も常に警戒していた

 

だが、ギルベルトと関わり、接した事で

ヴァイオレットは人の温もりを知った

 

「これも戦争なんだ!我々にとっては!」

 

「っ!戦争は……もう終わったんです!」

 

協商連合軍残党(彼ら)にも大切な人が

ヴァイオレットにとってのギルベルトの様な存在が居る

そう思うと、殺すことに迷いが生まれた

 

それがもし自分だったらと想像すると言葉に現せられない感情が込み上げてくるのだ

 

ヴァイオレットは敵兵士の銃剣突きをステップでかわし、かわし際に脚蹴りを放つ

 

「ガハァ!」

 

「くそが‼」 ダン‼

 

「ッ……!」

 

最初に倒した敵の1人がライフルを発砲するが

ヴァイオレットはすんでの所でライフルを蹴り飛ばし、それに唖然とする敵兵を捻るような姿勢から脚で蹴りあげ気絶させる

 

「ッ!?……ガハッ!……」

 

周りの仲間がやられても尚顔色を変えず

ヴァイオレットを賛美する

 

「流石は戦乙女と言われただけはある。だが……」

 

イシドルはホルスターから拳銃を引き抜き、拳銃を構えながら軽口を叩く

 

「貴様でもこの距離で撃たれれば避けきれぬだろ?

おっと!近づくな。貴様には近づきたくないのでな」

 

ヴァイオレットは真っ直ぐイシドルを見据える

観念したのかと勝ちを確信したイシドルは引き金を引く

 

(死ね)!」

 

その引き金が引かれた時、ヴァイオレットは身を素早く捩り、放たれた弾丸を避けるが、弾丸は頬を僅かに剃り鮮血が頬を伝う

 

「ッ……!」

 

ヴァイオレットは傷に怯まず一気にイシドルとの距離を詰め、イシドルの胸ぐらに掴み掛かる

 

「化け物が!」

 

常人とは思えない様な速さで接近するヴァイオレットに対し、イシドルは毒づきながら拳銃を投げ捨て、直ぐにナイフを引き抜きヴァイオレットの顔に向かって降り下ろすがヴァイオレットに止められる

 

イシドルは逆に腕を掴まれそのまま背中側に腕を捻り上げられ拘束され、その弾みでナイフを落としてしまう

*1

 

「ウクッ!は、離せ!」

 

「抵抗しないでください」

 

イシドルは激しく抵抗するが完全に拘束させているため腕を痛めるだけであった

 

ヴァイオレットは素早い動きでイシドルの首に腕を掛けを締め上げに掛かる

 

「ウググ……カハッ……」

 

イシドルが失神したことを確認し

ヴァイオレットは腕を離しイシドルを寝かせ立ち上がり、ギルベルトが向かった方を見ると、自然にか意図的にか呟いてしまう

 

「……少佐」

 

何か得たいの知れない違和感を感じたからだろうか?

何にしても一刻も早く少佐の所へ、と

ヴァイオレットは踵を返しギルベルトの元へと急ぐのだった

 

 

 

…………………………

………………

 

一方ギルベルトはメルクロフに迫っていた

 

「っ……待て!」

 

「ふん、追ってきたのか」

 

そう言うとメルクロフはギルベルトに向き直り、あるとこに気が付き、ニヤリと口元を歪める

 

「傷を負ったのか。はっはは!いい様だ」

 

それは数刻前

ヴァイオレットと別れメルクロフを追い暗い列車内を進んでいた時、敵兵による待ち伏せを受け戦闘の末、敵の無力化には成功したが、戦闘の際に右腕に傷を負ってしまったいた

 

「お前にもう兵はない!投降するんだ!」

 

「戯言を……貴様には我々を理解する事など出来まい。命を掛けて祖国を護ろうとした兵士達は役立たずと罵られ石を投げられた我々の事など!私は我々はようやくここまで来たのだ……!」

 

メルクロフは噛み締めるように呟くと

サーベルを引き抜きギルベルトを見据える

 

「特使共を始末する前に貴様に引導を渡してやる!。インテンスの恨みだ!」

 

メルクロフは酷く興奮した様子でギルベルトに接近しサーベルを振りかざすが、その時、走行していた列車に急ブレーキが掛かる

 

「!(レルゲンが成功したのか)」「な、なんだ!?」

 

その衝撃にメルクロフは体制を崩し、サーベルを離してしまう。ギルベルトはそのチャンスを逃すまいとメルクロフに掴み掛かり腹部へ拳を捩じ込む

 

「うおぉ!!」ドスッ!

 

「んぐぅ!……えぇい!!邪魔だ!!」

 

「!?……ぐはっ!」

 

しかしギルベルトは逆に胸ぐらを掴まれ、床に叩きつけられ投げ飛ばされてしまう。一瞬だが目の前がボヤけ、思考が纏まらなくなる

 

思考が纏まり始めたギルベルトは驚愕していた

 

メルクロフは明らかに常人離れした力でギルベルトを片手で掴み投げ飛ばしたのだ(・・・・・・・・・・・・・)*2メルクロフの体力では絶対にあり得ない現象に混乱をきたしてしまう

 

(何処にそんな力が……ッ!!)

 

体を起こそうとするが、投げれた衝撃で体の自由が効かず僅かに指先を動かせる程度だ

 

頭痛と体の痛みで意識が朦朧とする中

ギルベルトはぼんやりと移るメルクロフに違和感と異常性を感じ取った

 

主よ‼我々に!私に!帝国(悪魔)を!祖国の愚民共(悪しき者共)を討ち滅ぼす力を‼

 

メルクロフは唱える様に咆哮する

その姿はまるで何かに取り憑かれた様であった

そして先程手放したサーベルを拾い上げギルベルトへと向かい迫り来る

 

ギルベルトに十分近づくと

メルクロフはギルベルトの頭部目掛けサーベルを振り上げる

 

死ねぇえぇ!!!

 

降り下ろされんとしたその時

ヴァイオレットがその場に到着する

 

「少佐ッッ!!!!」

 

しかしヴァイオレットとギルベルトの距離はあまりにも遠く、それは永遠とも言える距離に感じさせる

 

(死なせない……!絶対に!少佐は死なせない!)

 

ヴァイオレットは持てる力の全てを前進する力に注ぐ、大切な、そして何より愛する者を救いたい一心で……

 

ヴァイオレットの想いとは裏腹にメルクロフはギルベルトを殺めんとサーベルを降り下ろす

 

その数秒間はヴァイオレットにとって何分にも何時間にも感じる物であった。そんな彼女をギルベルトは薄くなっていく意識の中で感じ、想うのだった

 

(……ヴァイオレット……私は……君を…………)

 

 

……

 

………

 

…………

 

……………

 

 

 

帝国・イルドア国境部より帝国側4㎞地点

 

 

パリンッ……ドサ……

 

その音と共にメルクロフはサーベルを落とし、後ろに倒れる

その瞳に生気はなく動くことは無かった

 

ヴァイオレットは何が起こったのかを瞬時に理解する

(これは遠距離狙撃(・・・・・)!)

 

それと同時にヴァイオレットの体はすぐに動き

ギルベルトへと駆け寄る

 

「少佐……!」

 

「ヴ……ヴァイオレット……」

 

「少佐!そのまま……今応急処置を……‼」

 

ヴァイオレットはギルベルトを気遣う様に触れ

負傷の度合いを確認し、処置を施そうとする

 

対するギルベルトは腕に力を入れヴァイオレットの存在を確かめる様に頬を指で撫でる

 

「君が……無事で良かった……」

 

それに対しヴァイオレットは静かに頬に当てられた手にやさしく触れ、包む様に手を載せ、またその存在を感じるように……

 

負傷し、気を失ったギルベルト少佐をヴァイオレットは救援隊が来るまでの間傷を労る様にして抱き締めていた

 

 

―――――――――――――――――

―――――――――――――――

 

 

同地 上空 列車より約1㎞地点

 

 

帝国軍魔導師の標準野戦服に身を包んだ女性は止めていた息をゆっくりと吐きだし、覗いていたスコープから眼を離す

 

Eule(オイレ)02*3よりCP、巣箱を発見。外敵を排除、繰り返す外敵を排除」

 

こちらイルドア線域コントロール。了解。良くやってくれた。次いでで、すまないが巣箱にコンタクトを取って状況を報告してくれ

 

Eule(オイレ)02了解。状況を把握次第報告する」

 

頼んだぞ。イルドア線域コントロール。アウト

 

女性が無線を切ると同時に後ろから声が掛かる

 

「さすがクリスティーナ少尉だ。この距離でドンピシャだ。二O三大隊のなかでも出来る者は少ないぞ」

 

「ありがとうございます。ヴァイス大尉殿、これも陸軍時代からの経験が生きました。しかし、ヴァイス大尉殿ならば遠距離狙撃など朝飯前では?」

 

「私は遠距離狙撃はどちらかと言えば苦手だ。すっかり機動戦に慣れてしまってな」

 

クリスティーナの言葉にヴァイスは苦笑いを浮かべ懐かしむ様な顔をして頬を掻くが、すぐに仕事モード戻り部下に命令を伝える

 

「さて、仕事をせねばな。各自周辺を警戒しつつ前進、その後、列車を調べ状況を把握する」

 

「「「 はっ! 」」」

 

そう言い終わると

宝珠に魔力を送り列車へと前進する

 

進みながらヴァイスとクリスティーナの両者はこの偶然と言うべき事柄について全く同じ考えを巡らす

 

(模擬戦演習中に突然の緊急スクランブル。正体不明の勢力にお召し列車が襲撃、我々が南部方面に転属になってまだ2日と立っていない。転属命令は参謀本部からだが……参謀本部は何処までこの状況を読めているんだ?)

 

疑問を持ちつつも列車に近づいて来たため、疑問を頭から打ち払い銃を構え周辺を警戒する

 

「第1、第2小隊は私と列車内に突入する。第3小隊は先頭の機関車へ向かい機関車を抑えるんだ。第4小隊は周辺警戒」

 

「「「了解!」」」

 

「第3小隊の指揮はクリスティーナ少尉に任せる。何かあれば無線で教えてくれ」

 

「了解しました。では早速向かいます」

 

「うむ。総員行動開始!」

 

その後、無力化された捕虜を集め、負傷したギルベルト少佐の発見・救護や帝国政府関係者とイルドア特使・カランドロ大佐をセーブし、機関部を守備していたレルゲン中佐とも合流し状況説明を受けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*1
関節技:ハンマーロック

*2
(列車中央部から後部席の扉まで 約6㍍程()

*3
ドイツ語で梟(フクロウ)




どうだったでしょうか?
何かヴァイオレット・エヴァーガーデン率が多いですね 

評価!感想!ご意見!誤字脱字!等々頂ければ凄く嬉しくなりますw ここすき機能も是非! 酷評も覚悟してます!

貰えると励みになりやすので
ではまた会う日まで~

今後のオリジナル展開について

  • 構わん、やれ。
  • は、早まるな!
  • 全て心の中だ。今はそれでいい。

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