鬼滅世界に喰種を突っ込んだお話(一発ネタ)   作:こしあんあんこ

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アニメから入って気に入って書こうと思っていたら年号が変わっていた。

喰種主人公でいきたかった。



プロローグ

 生まれて物心つく頃には既に周りは赤だった。人間という生き物の血が足元を濡らし、その臓物で自分の腹を満たしていた。親は喰種(グール)と呼ばれていた。人間以外は食べられない、不便な生き物が自身の種族だった。喰種独特の赤い目が両親の目を染め上げて、鏡で見た自分の目も同じように染まっていた。

 

 両親はマンションの一室から出ることを許してくれなかった。お前にはまだ早い、そう言って監禁にも近い生活を強いられた。虐待だと思われるが、外に出る以外、両親は優しく俺を愛して育ててくれた。勉強だって教えてくれたしお金に困ったこともなかった。 CCG(ハト)に発覚されるのを恐れていただけなのかもしれない、ベランダに近づけば顔面が血だらけになるまで殴られたし肉の調達も念入りに計画していた。入手先はわからないけど戸籍だって三人分しっかりと確保されていたから両親は本当に憶病で警戒心の強い生き物に違いなかった。

 

 時折与えられる赤く滴る肉の意味も分からず口にしていたあの頃は幸せだったのかもしれない。知ってしまった今となっては複雑な思いでいっぱいだ。未だに感情の整理がつきそうにない。両親がどれだけの犠牲を払っていたのかは知っているが、それによって失われるものもあるなんて後になってから知った。幸せを得た分どこかの誰かが不幸になるなんて、そんなのかつての俺が知ったらきっと耐えられない。否、耐えられなかったから俺は両親を喰ったんだ。あの味は今でも忘れてない。不味かった。

 

 食物でしかない人間が自分と同じ言葉を口にした時は衝撃を受けた。初めて会話をしたのは今よりも身長が低かった頃。親の目を盗んで禁じられていた外に出た。マンションの外は眩しくて青い空が綺麗だった。親に見つかるかもしれない緊張と新しい発見。本でしか見たことのない車が目の前を走り去った光景は今でも鮮明に覚えている。今、俺は冒険をしている、そんな気持ちになって楽しかった。幸運なことに両親に気付かれることはなかった。それからはどうすれば両親にバレず外に出ることが出来るのかに心血を注ぐようになっていった。両親の外出時間、行動パターン、日常パターン。それら全てを観察し自分が行動できる時間を探り当てて外に出るようになった。それが定期的な楽しみになった頃、一つの失敗をおかした。楽しくて、自分が帰る時間を失念していたのだ。

 

 気付けば夕暮れで、両親に殴られるという不安に襲われていた。いっそ家を出てしまおうか、そんなことを考えた。ねぇ、不意に一人の少女が声を掛けてきた。家出をしたのだと話す少女の顔はもう覚えていない、沢山話した気がする。楽しかった。人気の居ない夜間の公園。少女が転んで、膝から滲む血を見た瞬間、意識が飛んだ。……美味しかった、少女はもう動かなくなった。この時俺は今まで自分が何を食べていたのかを知った。

 

 帰り道の記憶はない、帰れば両親の怒鳴り声を聞いた気がする。赫子(カグネ)が出た感覚をこの時初めて知った。曖昧だった意識を取り戻せば目の前で両親が血だらけになって息絶えていた。身に着けていた服は血だらけで元の服の色が分からなくなっていた。叫んだ、食べた。もう会えないなら一つになりたかった。少女よりもはるかに不味かった。それでも全部食べて、着替えたら家を出た。外は冷たくて暗かった。空は青くなくて黒かった。夜に出るのは初めてだった。

 

 それからの生活は激変した。子供の俺は素性を何度も聞かれるしお腹もすくし、寝る場所もその日暮らしで大変だった。飢えを凌ぐために俺と同じように目の赤い奴ばかり食べた。そんな生活を何年も過ごせば慣れはやってくる。髪はすっかり黒ずんで服も薄汚れた。人間は相変わらず食べたくなくて同族喰らいを繰り返した。

 

 そんな俺に声を掛けてきたのは包帯を体中に巻いた少女だった。同じ背丈で同い年らしい少女は世界を教えてくれた。世界は人間を肯定して喰種を殺しているし喰種も人間を殺していた。両親はその中で必死に殺されないように自分たちを守っていた。それで人間を喰らって生きているなんて本末転倒だが……、それでも生きようとしていた。だが、こんな風に生まれたくて生まれたわけじゃない連中が殺されるのは間違っている。……俺だって人間も両親も喰いたかった訳じゃない。

 

 こんな世界をぶち壊したくならない?

 

  包帯の少女(エト )はそう言って俺に手を差し伸べて問いかける。迷うことなく手を取れば世界はまた別の表情を見せた。喰種の世界と人間の世界を行き来した。エトは作家として人間社会に入り込んでいてそこに俺も組み込んでくれた。身なりはまた元通りに綺麗になって喰種としての面も貰った。般若の面だった。その頃には俺にも喰種の通り名がついていた。そこまで目立つことはしてないとエトに話せば目立っていたから声を掛けたんだと笑われた。なんだか納得いかないが俺は彼女に従った。エトは何でも知っていた。物書きの知識がそうさせるのかわからないが古ぼけたノートを大切に持っているのが何故か印象に残っている。

 

 エトの紹介でその後アオギリの樹に入った。隻眼の王は誰だか分からない。エトに訊いても内緒だと口元に人差し指を押し付けられて諦めたが在籍している間色んな奴を見た。タタラやノロは勿論だがヤモリやアヤト、ナキに瓶兄弟。ヒナミにシャチ、ミザ。とにかく色々だ。途中でアヤトの部下になったカネキケンはエトと同じ隻眼だった。タタラが言うにはリゼの赫包を持っているがいらないらしくてアヤトに下げ渡されて、どういう経緯かヤモリの手に落ちていった。悪趣味なヤモリのことだから助からないだろうな。すっかりとカネキの存在を忘れていたが嘉納教授の勧誘に行くときに髪がすっかり真っ白になったカネキを見て驚いたものだった。半分でも赫者になっていたからこれから成長すれば化けるかもしれないと思って嘉納教授のアジトを後にした。

 

 それ以来、カネキとは結構会っている。エトのサイン会でも見かけた。俺の素顔はエトとかしか知らないからカネキはピンと来なかったようだけれど。次に会った時にはどういう訳か CCG(ハト)になっていた。女に変装しているのをみてかなり驚いた。俺も擬態して人間社会に混ざっているけど女装はやったことが無かったから着眼点が違うと感心したものだった。オークション会場の警護の後ヒナミも捕まったし、エトもエトでロゼヴァルト家のお嬢さんを捕まえて何かしようと部屋に籠った。アヤトはヒナミを気にかけてて助けに行きたいようだけどタタラから難色を示されているようだった。エトに何するのと聞けば相変わらず内緒と言われるばかりだった。間もなく王が産声を上げるぞ、そう言って笑うエトに俺も笑い返した。

 

 ノロが死んだ、……エトは捕まった、タタラも何かを決めたようだった。アオギリの樹は事実上無くなるのだろう。エトは記者会見のテレビで大々的に私は喰種だと公言した。……今の社会は喰種を認めない。エトは処刑されて死ぬのだろう、だがテレビの彼女は相変わらずだった。きっと彼女のやりたい計画の一部に違いなかった。髪を切ったようでスッキリしていた。だけどこんなの納得が出来なかった。死ぬな、……いなくなるな。誘ったのはあっちだ。途中で抜けるなんて、ふざけるな。俺はアヤト達のコクリア破りに乗った。アヤトはヒナミ、俺はエト。目的は違うが利害は一致していた。

 

 アオギリの樹を壊滅させるために、 CCG(ハト)の大半の戦力は流島に向かっている今が、好機だった。手薄になっているコクリアに潜った。沢山戦った、戦って殺した、殺した殺した殺した。殺して喰って、食べた、食べた。美味かった。俺より格下だったが量には勝てない。傷は徐々に深く、広がっていく。きっと俺はこれでおしまい。エトにも会えなかったけど、逃げる隙は作れたと思う。赫子が壊れた、戦う術はなくなった。倒れれば頬に水が落ちてくる、目の前を見ればエトの髪が見えた気がしたが顔は見えなかった。エトは泣かない、不敵に笑ってほしい。……俺の言葉が聞こえているか、声がもう聞こえない。冷たい、暗い、寒い……寒い、眠い。これが死か、随分長かった気がする。壊した先の世界が見たかった、名残惜しいけどもう寝よう。……エト、おやすみ。

 

 意識があっという間に遠のいた。

 

 ……長い暗闇、目が覚めることがないと思っていた。森の匂いがした。死んだ先にも匂いがあるのだな、そう思っていたら頬に何か掠る感触がした。風を感じる。いよいよ違和感を覚えて目蓋に力をこめれば、暗闇が広がっていた。耳には木々のざわめきが聞こえる。上半身を起こして下半身を見れば異常はない。吹っ飛んだ手足は元通りに俺を動かす。面は真横に転がっていた。見渡せばコクリア独特の冷たい石材はなくて、森が広がっていた。俺は死んでいるのか、幻を見ているのか、わからないが俺は生きていた。気絶している間に脱出していたのか、現状を把握するため、立ち上がって歩く。しばらく歩けば古い一軒家が建っていた。東京には珍しい、随分古い民家だったが食欲が湧き立つ匂いがしている。何かが起きているのは明らかだった。中に入れば見知った赤が地面にぶちまけられていた。肉の残骸は複数と転がり、死んだ子供もいた。家族で襲われたようだった。その中心ではそれに貪る人型の何かがいた。額には尖った角が二本、生えていた。俺に気付く。引きちぎった腕を持ち、口に頬張りながら口を開いた。

 

「なんだ、お前。此処は俺の縄張りだぞ」

 

「……縄張り、そうか……縄張りか。随分派手にやったな」

 

 どうやら毛色が違うが喰種のようだった。随分と派手にやらかしたモノだ。 CCG(ハト)もいるこの世の中で面も付けずに人間を喰らうとは中々酔狂な奴だ。洋服があるご時世に着物を身に着けて随分と目立つ。何故か遠い昔を思い出す、両親を喰らって家から出たあの頃、何も知らずに喰い場を踏み荒らし、そこにいた連中が襲い掛かってきたものだった。

 

 そして、目の前の喰種も俺に向かってきた。俺もそれに対応するため赫子を展開した。親からもらった尾赫と甲赫。今回は早さを重視して尾赫を相手に目掛けて突き刺した。壁に打ち付ける。打ち付ければまるで昆虫の標本のようだった。

 

「……弱い」

 

「…………ヒィッ!!」

 

「その反応、いいね。……美味そうだ」

 

 あっさりと決着は着いてしまった。赫子を展開させないとはどういうことだ、首を傾げて相手を見れば相手は顔色を青白くさせて得体のしれない化け物のような目でこちらを見ていた。……いい表情だ、美味そうにも思えた。食べるなら表情はあって欲しいものだ。気付けば赫眼が熱くなっていた。先程まで食べていたのに随分とわがままな身体になった。ここが何処かは分からないが、……今は喰種の本能に従うか、突き刺した喰種の頬を撫でれば湿った汗が指先を濡らした。カチカチと歯を鳴らす目の前の相手が哀れだった。早く喰らってやろう。口を大きく広げた。

 

「いただきます」

 

 味は、いつも食べる同族よりも美味しかった気がする。外を出れば夜は更に深くなった。家を出た頃を思い出した。なんだか全てが懐かしい。そうだ、今度は俺がエトを捜そう。楽しくなって俺は民家を後にして歩き出した。

 




なお鬼だと気付いていない模様。

ネタとして書いた。満足してる。続きは書きたくなったら書きたい。
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