鬼滅世界に喰種を突っ込んだお話(一発ネタ)   作:こしあんあんこ

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今回は短め。そして昨日ランキング3位になってて驚いたのと感謝を、ありがとうございます。




 珠世達と行動してから数日が経つ。俺も話せることが減ってきた。嘉納教授ならもう少し深く切り込めたのだろうが、残念ながら俺は嘉納教授ではない。医学の専門用語など分かりようもなかった。血液でも進展はなし、それでも珠世は何かしらのヒントは得たようで、彼女の顔は明るいように思えた。……それならば、もういいのかもしれない。俺は珠世の屋敷を後にすることを考えている。理由はいくつかある。それは俺がもう話せることが少なくなったということもあるのだが、ここ最近血液を飲み過ぎてしまっている。珠世達の食事の量を減らしてしまっている事実は拭えなかった。やはり自給自足の方が燃費はいいのだ。そしてなにより、兪史郎(ゆしろう)の言葉が一番の理由に当たる。

 

――お前は生きているだろう、……だったらまだ諦めるな

 

 弱気な俺を見かねて、兪史郎(ゆしろう)から放たれた言葉。それに救われたのは事実で、また捜しに行かねばならないと言う思いが強まった。エトと会ったら他愛もない会話や戯れに興じるのも悪くはない。……会えなくても構わない、俺が生きているならきっと何処かで会えると信じたかった。思い立ったが吉日とも言う、屋敷から離れる旨を珠世に告げた。そうですか、珠世は静かにそれを受け入れた。屋敷を後にする、振り返ればもう何処が屋敷だったのか分からない。兪史郎(ゆしろう)の認識阻害は正常に発動しているようだった。

 

 珠世の下を離れてしまえば元の生活に戻った。鬼を喰らって、木々やお堂で眠り、川で身を清める。集落へと足を運べば集落が騒がしい。「息子たちが帰ってきた」と集落では男女の夫婦が嬉しそうに語る。何日か行方不明になっていたようで、山の中を探しても見つからなかったと聞く。

 

 ……何かの手掛かりにならないか、少しでも情報の欲しい俺はその子供たちに話しかけた。清という柿色の羽織を羽織った少年は、足を怪我しているようだった。血の匂いが立ち込める。中々に濃厚で、飢餓状態で出会っていたらきっと襲い掛かって、喰らっていたに違いなかった。それほどに少年の匂いはむせ返っている。そして血の匂いと共に藤の匂いも香っている。嗅いでいると、清の弟と妹らしき少年少女に不審そうな面持ちで見られていた。藤の匂いがする、素直にそう言えばお守りのようなモノを見せられた。藤の香りの元は此処から香っているようだ。詳しく話を聞けば、鬼に攫われた話と鬼狩りに救われた話を聞く。少年が話題に出た時は驚いた。その後、色々な話を聞く。稀血(まれち)のこと、鼓の鬼のこと。真新しい情報は此処までで聞けることはないようだ。ありがとう、お礼に森で手に入れた果物を渡して集落を後にした。

 

 珠世と共に過ごしてきたが決して無為に過ごしていた訳ではない。多少なりとも知識を得ている。何においても知識は武器だ、嘉納教授は信用ならない人間ではあったが医療の知識は本物で、学ぶところは多かった。だからよく嘉納教授とも話した。専門的な部分は詳しくは踏み込まなかったがそれでも充分な知識を得ることが出来た。だから珠世ともしていたことは変わらない、血と俺の種族関係の知識を交換して珠世からは知識を得た。それは薬草の知識、俺には効かないかもしれないが路銀集めには効率的に違いなかった。何処に行っても薬草は売れた。もう、薬草はない、広げた風呂敷をたたみ始めれば、女の声がした。

 

「あら、もう閉めちゃうんですか?」

 

 見上げれば小柄な女が一人、そこに居た。少年と似たような黒い服を身に纏い、その上には蝶の羽を模した羽織を羽織っている。蝶の髪飾りで後ろ髪を纏め、癖のあるウェーブ。毛先は紫がかったグラデーションが特徴的だった。

 

「……もう無くなったからな、品切れだ」

 

「残念です、じゃあ少し話しませんか?」

 

「……少しだけなら」

 

「まあ、ありがとうございます」

 

 女は嬉しそうに微笑んだ。毒から薬草について、話をした。……なるほど、知識は本物だ。一時間ほど話し込めば、あっという間に日が暮れた。ああ、楽しかった、朗らかに女は笑う。

 

「じゃあな」

 

「あ、お待ちください。一つ聞きたいことがありました」

 

楽しくて忘れていました、そう続けて問い掛ける。微笑む彼女からは凄みが感じられた。どうにも、話しかけられたのは偶然ではないような気がしてきた。

 

「あなたは鬼ですよね?」

 

 威圧的に微笑んで見せる。どうやら確信があるようだ、何処かで見られていたか。だが俺もこれくらいでは動揺はしない。

 

「鬼とはまた……、随分な絵空事のおとぎ話を信じているんだな。日に当たっている姿をさっきから見ているなら分かるだろ?……俺は、鬼じゃない」

 

 じゃあな、別れを告げて荷物を纏めている途中、女は刀を抜いた。針のような刀身だ、顔面に切っ先を向けられる。何のつもりだ、首を傾げれば女は笑う。

 

「あなた、日に当たっているとおっしゃいましたね?何故普通の人が知り得ない情報を知っているんですか?」

 

 無意識に漏らした言葉が、核心を突いていた。女はもう見逃すつもりはないようだ。……我ながら酷く初歩的なミスをしてしまった。珠世との生活は警戒を怠らせてしまったようだった。

 

「……しくじったな、慣れは無意識的になってしまうな」

 

 女は刀を構える。待て、俺は女を制止する。女は首を傾げて俺の言葉を待っていた。

 

「此処は集落の中だ、そんな物騒なモノ、……仕舞え。何も取って喰おうとか暴れたいとも思ってはいない、少し二人だけで話せる場所を探さないか?縛ってもいい、不安なら君が場所を選んでもいい。後についていく」

 

 いいでしょう、女は頷く。ついてきなさい。女の歩く後に俺はついていくことにした。夕暮れの茜色が、やけに目に焼き付いた。

 




アニメストック溜まるの待てば良かったけど待てなかった。後半スカスカで滅茶苦茶気になる。そして多分加筆修正します。
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