鬼滅世界に喰種を突っ込んだお話(一発ネタ)   作:こしあんあんこ

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アニメ見たから更新する。




 出てこい、草葉の陰に潜む何かに声を掛ける。ガサリ、小さく揺れた草むらは徐々に大きくなってくる。現れたのは人間だった、赤の入り混じった髪と眼が特徴の少年が月夜に照らされる。両耳には旭日が描かれた花札のような耳飾り。目についた。左の額から血を流した少年は、意を決するように息を呑んでいた。こちらの動きを見逃さんとばかりに腰に帯びた刀から決して手を放さない。俺の視線とかち合って、互いに動かなくなった。長い沈黙が続き、森の木々だけが騒がしい。

 

 ほぉ、思わず感嘆の溜息が零し笑う。少年は唐突な俺の行動にますます警戒心を強めて口を開く。何がおかしいんだ、相手は問いかけた。

 

「……いや、お前を馬鹿にしたわけじゃないさ。……いい警戒心だと思ってな」

 

 その警戒心はあっていい。得体のしれない生き物を前にして無警戒など、あり得ない。俺の言葉がそう続けば唖然とした様子で少年は固まった。一瞬、刀に加わった手の力が緩んだ。

 

「少年、……隙だらけだ」

 

 一気に隙だらけになる。尾赫を展開し喰種の爪が少年に向かえばしまった、という顔で刀に力を込めるがもう遅い。少年の後ろで隙を待ちかねていた人食い鬼が、少年に背後から飛びかかった。尾赫は容赦なくその鬼を突き刺した。ギャ、間抜けな呻き声が響いた。

 

「……えっ、」

 

 少年はようやく自分の現状に気付き、俺を凝視した。尾赫を自分の方に寄せて刺さった鬼の頭を鷲掴む。

 

「ほら、こうして隙を狙っている奴もいるんだから。……警戒は大事だ」

 

 ますます分からないといった様子で俺を見る。とうとう刀から手を放す。何か言いたげな表情で聞く。

 

「あなたは……?鬼、ですか?」

 

 匂いがあまりに違う、独り言のように呟いたその言葉が周囲を響かせた。どうやら喰種のように少年は鼻が利くようだった。

 

「……まあ、当たらずも遠からず、といったところだ」

 

 少し力を加えて引っ張れば鬼の首は引き千切れる。千切れた首に 嚙り(かじり)付けば食べ慣れた味が口いっぱいに広がった。顔色を僅かに青くさせる。人食い鬼に同情しているのが分かる。……随分と優しい性格をしているようだ。まるでカネキのようだとボンヤリと思い出す。

 

「……あそこで死んだ人たちは殺したんですか?」

 

「いや、来た時には人食い鬼に殺されかかってて、……そのまま死んだよ」

 

 食べようとしていたから、そいつらは俺が喰った。俺の言葉がそう続けば少年は痛ましげに人間の亡骸を見ていた。

 

「……気にしてても、仕方ない。死者は何も語らないし餌にならないだけマシだ」

 

「そんな言い方っ……!!」

 

「それが事実だ」

 

 少年は俺の言葉に反応して睨む。相対して頭を振って少年の言葉を否定する。

 

「……彼らは向かい打って死んだんだ。討ち果たすために、討ち果たされるために。そこに同情なんて、するものじゃない」

 

 エトもタタラも、 あいつら(CCG)だって死ぬ覚悟はいつだって決めていた。そこに哀れみを向けるなんて。……馬鹿にするな、俺の何かに気付いたのか少年がたじろいだ。そのまま言葉を続ける。

 

「同情するなら彼らの(むくろ)に報いることが出来るように、 相手()をそれだけ殺せ。生きているうちに出来ることなんてそんなものだ」

 

 エトを生かそうとした俺が言える義理なんてないのにな、続けて言いかけた言葉を噤む。よくもまあ、勝手なことを言えたものだ。自身に怒りを覚えて唇を噛めば、口内で血液が爆ぜて鉄の味がした。ごめんなさい、俺が間違っていました。気付けば少年が隣で頭を下げていた。

 

「……少年は、変な奴だな」

 

 ただの八つ当たりに近かったのに真摯に謝罪してくる。今度は俺が唖然とする番だった。人食いの鬼に違いない俺にもこのザマとはお人好しを通り越している。思わず口に出た言葉に対し、相手の間の抜けた顔が印象的だった。

 

 それから少年とは何日かに分けて話した。互いに名を名乗らなかったが不思議と話は続き、少年を襲う鬼は俺の周囲には寄って来なかった。どうやら警戒しているようだ。それが多少の休憩になっていた。鬼になった妹を人間に戻したいという話も聞いた。少年の言葉には何処か強い意思があった。だが俺の知ることは少年の知っていることと大して差はなく、話はそれほど進まなかった。ここらの鬼にも聞いてみたらどうだと言えばやってみると納得したように少年は笑った。少しだけ捜し人の話をした、ある程度心を開いた自分に驚く。そんな頃、少年からそろそろ山から下りるという話を聞く。そしてとうとう、別れの時が来た。

 

「さよならだな。少年、また何処かで」

 

 少年は大きく手を振りながら少しずつ小さくなる。少年が居なくなったのを見計らって俺も下山を始めることにした。元々此処には飢えを満たすために来ただけだ。長居するつもりはなかったんだ。そろそろエトを捜す旅に戻ろうと決めた。

 

 下へ下へと道なき道を歩けば藤の花が咲いた(ふもと)まで下りて来た。歩いてきた道を振り返って見上げれば、山頂はすっかりと遠くなって、東からは朝日の光が登り始めた。夜が明ける。頭上では数羽のカラスが飛んで山の方へと向かって消えていく。まるで目的があるように飛んでいったカラスが目に焼き付いた。

 

 山から下りれば村民からよく戻ってきたものだと驚かれた。あの山から戻る人間は何かしら傷を作って下りてくるから、傷一つなく戻ってくる方が珍しいと、「運がいいなあんた」と俺の肩を叩く人からそんな話を聞く。あの山には何があるんだよ、英雄の話でも聞きたいように話を聞きたがる村人もいた。……あそこで行われていることは、きっと誰もが知っていい内容じゃない。

 

まさか、俺だって命からがら逃げて来たんだ、怖気づいたように体を震わせればあっさりと話はそこで終わった。

 




原作、足りない。アニメ、待つ。
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