書きたかったから書いた偉大なる短編集たちの居住区 作:フラグ建築したい男
【第二問】以下の英文を訳しなさい。
「This is the bookshelf that my grandmother had used regularly.」
姫路 瑞希の答え
「これは私の祖母が愛用していた本棚です。」
教師のコメント
正解です。きちんと勉強していますね。
土屋 康太の答え
「これは 」
教師のコメント
訳せたのはThisだけですか。
吉井明久の答え
「☆●◆▽¬♪*× 」
教師のコメント
できれば地球上の言語で。
御鏡 勇香の答え
「これは私の祖母がレギュラー時代に使っていた本棚です.」
教師のコメント
あなたの祖母が、若い頃どんな感じだったのか気になります。
☆
『勝てるわけがない』
『これ以上設備を落とされるなんて嫌だ』
『姫路さんがいたら何もいらない』
FクラスのAクラスへの宣戦布告。
それに対し、Fクラス生徒は上のような反応をした(最後のヤツは一種の告白に思えるが)。
だがまあそれが普通だろう。何せAクラスと言えばこの学校の頂点に君臨する最強のクラス。俺たち最底辺組からしたら文字通り格が違う相手。勝率なんてこのクラスの一番のバカでも予想できるだろう。
だというのに、この坂本というヤツは俺たちで勝てる根拠があると言いやがった。どゆこと。
「それを今から証明してやる。おい、康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないで前にこい」
「・・・!!(ブンブン)」
「はわ・・・!」
・・・ほほーう?コイツは後で通報するか?よし、そうしよう。堂々と痴漢行為をしたわけだしな。・・・てかあの男子、康太のことを尊敬の目で見てないか?
「土屋 康太。コイツがあの有名な《
「・・・!」
『ムッツリーニだと・・・?』
『バカな、ヤツがそうだいうのか・・・?』
『だが見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だに隠そうとしているぞ・・・』
『ああ。ムッツリの名に恥じない姿だ・・・』
そもそも覗きをした時点で恥ずべき姿だと思うのだが。だがまあ、これでヤツのこの学校での大体の立場を把握した。ヤツは変わらず変態だった。
「???」
・・・おーい。一人分かってない子がいるぞー。できればこの子はこのまま純粋でいてほしいが、まあ・・・周りを見る限り無理そうだな。
「姫路のことは説明する必要も無いだろう。皆だってその力はよく知ってるはずだ」
「えっ、私ですかっ?」
「ああ。ウチの主戦力だ。期待している」
ほほう。どうやらあの子は頭が良いようだな。皆当然のような顔をしてるし。
『そうだ。俺たちには姫路さんがいるんだった』
『彼女ならAクラスにも引けをとらない』
『ああ。彼女さえいればなにもいらないな』
この反応だし・・・てやっぱり一人熱烈なラヴコールを送っていたか。聞き間違えだったら良かったんだがな。
「木下 秀吉だっている」
『おお・・・!』
『ああ。アイツ確か、木下 優子の・・・』
誰かは知らんが秀吉ってやつも期待されてる。けど次の優子って誰だ。いや、流れと名前的に姉か妹だということが分かるけど。・・・だけど呼び捨ての理由にはならんよな・・・。
「当然俺も全力を出す」
発案者のお前が全力を出さなかったら殴ってたわ。
『確かになんだかやってくれそうな奴だ』
『坂本って、小学の頃は神童とか呼ばれていなかったか?』
『それじゃあ、振り分け試験の時は同じく体調不良だったのか』
『実力はAクラスレベルが二人もいるってことだよな!』
いけそうだ、やれそうだ、そんな雰囲気がクラス中に満ちてきた。気がつけば、クラスの士気は確実に上がっていた。
が。
「それに吉井 明久だっている」
―――シン・・・
この一言で一気にクラス中の士気が元に戻った。
ここでソイツの名前を出したのは間違いなんじゃないのかね。必要性が皆無というかなんというか・・・。
「ちょっと雄二!どうしてそこで僕の名前を呼ぶのさ!全くそんな必要はないよね!」
『誰だよ吉井 明久って』
『聞いたことないぞ』
俺は康太から聞いてるからそれなりに知ってはいたが。にしてもアイツが学校一のバカねぇ・・・。やる気は十分そうだけどな。
「ホラ!折角上がりかけてた士気に陰りが出てるじゃないか!僕は雄二たちとは違って普通の人なんだから、普通の扱いを―――まって、なんで僕を睨むの?士気が下がったのは僕のせいじゃないでしょう!?」
まあ、明久くんのせいでもあるが、明久くんのせいでもない。
「そうか。知らないようなら教えてやる。コイツの肩書きは《観察処分者》だ」
その単語が聞こえて、皆が静かになった後、誰かがポツリと呟いた。
『・・・それってバカの代名詞じゃなかったか?』
「ち、違うよ!ちょっとオチャメな十六歳につけられる愛称で「そうだ。バカの代名詞だ」肯定するな!バカ雄二!」
・・・うん、名前が明らかにそういった生徒につきそうな名前なのに、『オチャメな十六歳につく愛称』は無理があると思うんだ、吉井くん。
けど実際、観察処分者がどんなモノなのかは知らないな。と思っていたら桃色の髪が特徴的な女の子が小首を傾げてこう聞いた。
「あの、それってどういうものなんですか?」
「確かに俺も気になるな。この学校は初めてだから、そういった、この学校独自のシステムとかは知らないんだよ」
『『『御鏡ちゃんのハジメテだと!?』』』
「あ"?」
ちょっとドスの聞いた(と信じてる)声で言ったら黙った。なるほど。俺の声も出し方によっては力を持つようだな。
「話を戻すぞー。観察処分者だが、具体的には教師の雑用係をやっているな。力仕事とかそういった類の雑用を、特例として物に触れるようになった召喚獣でこなす、といった具合だ」
「なるほど」
特例として、ならば普通の召喚獣は物に触れないのか。面白いな。
「そうなんですか?それって凄いですね。試験召喚獣って見た目と違って力持ちって聞きましたから、そんなことできるなら便利ですよね」
女の子が若干の羨望と尊敬の眼差しで明久くんを見ている。
確かにそうだな・・・てちょっと待て。観察処分者ってのは読んで字のごとく、観察処分が決定された。つまり素行の悪い生徒ということ。そんなやつに自由にその召喚獣ってのを呼び出させるか?
「・・・使えないんじゃ・・・」
「ちょっと!御鏡君だっけ、さらっと僕を貶さないでよ!」
『おいおい。《観察処分者》てことは試召戦争で使えないんじゃないのか?』
『だよな。《観察処分者》てたしかだけど、召喚獣が苦しくなったら召喚者も苦しくなったハズだし。』
「気にするな。どうせ居ようが居まいが変わらん雑魚だ」
「雄二。そこは僕をフォローする台詞を言うべきだよね?」
「とにかくだ」
あ、無理矢理だけど話を変えた。
「俺達の力の証明として、Dクラスを征服してみようと思う」
「うわ、凄い大胆に無視された!」
「皆。この境遇は大いに不満だろう?」
『当然だ!』
「ならば全員
『おぉぉぉぉぉ!』
「俺達に必要なのは卓袱台ではない。Aクラスのシステムデスクだ!」
『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
「お、おー・・・」
「・・・何このテンション」
異様なほどのテンションのせいか、桃色の髪の女の子も拳を挙げていた。
「明久にはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう。無事大役を果たせ!」
「下位勢力の使者って、大体酷い目に会うって聞いたことあるんだけど」
明久くんが坂本に疑問を投げ掛けた。すると、自信満々な顔で(俺には悪どい顔に見えた)大丈夫と言ったからか、明久くんはそれはもう、意気揚々と宣戦布告に行きましたとさ。
☆
「騙されたぁ!」
明久くんが宣戦布告に行ってから数分。凄まじい勢いで明久くんが教室に駆け込んできた。制服に若干掴まれた跡があるから、おそらく明久くんの予想通り、酷い目に会ったのだろう。
そしてそんな明久くんを見て坂本が一言。
「やはりそうきたか」
殴ってもいいと思う。
「やはりってなんだよ!やっぱり使者への暴行は予想通りだったんじゃないか!」
「当然だそんなことも予想できないで代表が務まるか」
「少しは悪びれろよ!」
少々気になったことがあったので近くの
「・・・なあ、土屋・・・てお前何でいずまい正してるんだ?」
「・・・なんでもない」
「ああ、そうなの。まそれは良いとして。アイツらはいつもあんな感じなのか?」
「・・・(コク)」
なるほど。つまり普段から行われている
「そんなことはどうでもいい。それより今からミーティングを行うぞ」
そういってさっさと出ていってしまう坂本。どうやら他の場所で話し合うようだが。
目の前では桃色の髪の女の子が明久くんを心配していたり、おそらく俺と同類であろう少年がさっさと進んでいったりしていた。そんな中、自らの頬の辺りをずっと擦っている土屋を見て明久くんがこう言った。
「ムッツリーニ。覗いてたときの畳の跡ならもう消えてるよ?」
「・・・!!(ブンブン)」
「いや、今更否定されても、ムッツリーニがHなのは知ってるから」
「・・・!!(ブンブン)」
「ここまでバレてるのに否定し続けるなんて、ある意味凄いと思う」
「・・・!!(ブンブン)」
「何色だった?」
「みずいろ」
「即答か、この変態が」
ゴンッ!
「あ、御鏡君・・・だっけ」
「ああ、御鏡 勇香だ。よろしくな、明久くん」
「うん、よろしく」
そんなやりとりをしていると
「ほら吉井。アンタも来るの」
ポニーテールが特徴の女の子が明久くんの腕を引張っていった。仲が良いのは素晴らしいことです。
「あー、はいはい」
「返事は一回!」
「へーい」
「・・・一度、Das Brechen―――ええと、日本語だと・・・」
「・・・調教」
「そう。調教の必要がありそうね」
なぜこの会話で調教をする話になるのか頭の中を見てみたいな。さすがに明久くんも調教は不名誉だと感じたのか、指導など言い直してほしいと言ったのだが、女の子が言い直したのは日本語で折檻の意味を持つZuichtigungだった。
「というかムッツリーニ。どうして『調教』なんてドイツ語を知ってるのさ」
「・・・一般教養」
最悪な一般教養だな。
「相変わらずムッツリーニは性に関する知識だけはずば抜けてるよね」
「だな」
「・・・!!(ブンブン)」
気づくと先頭を歩いてた坂本が少し頑丈そうな扉に手をかけていた。おそらく屋上に通じる扉と思われる。
扉が開いた瞬間目に飛び込んできたのは、雲ひとつない青空と、太陽からの眩しい光。夏だったら暑苦しそうだが今は春。気温は丁度良い感じで、昼寝も出来そうだった。光の影響で思わず目を細めた俺らだったが、早くミーティングを終わらせようと思った俺はさっさと進んでフェンス近くに立った。
俺の右斜め前にある段差に坂本が腰掛け、言う。
「明久宣戦布告はしてきたな?」
「一応今日の午後に開戦予定と告げてきたけど」
明久くん達も坂本にならって各々腰を下ろした。
「それじゃ先にお昼ご飯てことね?」
「そうなるな。明久、今日の昼ぐらいはマトモな物を食べろよ?」
「そう思うならパンでも奢ってくれると嬉しいんだけど」
「パンくらいなら俺は構わないが?ていうか明久くんは昼飯は食べない人なのか?」
「いや、一応食べてるよ」
「あれを食べていると言えるのならな」
?どういうことだ?坂本が哀れむような目で明久くんをみているぞ?
「何が言いたいのさ」
「いや、お前の主食って―――水と塩だろう?」
・・・は?
「失礼な。ちゃんと砂糖だって食べてるさ!」
「・・・(チョンチョン)」
「・・・ハッ!は、はい、何ですか?」
思わず自分の耳を疑って桃色女の子に聞いてみる。
「なあ、俺はさ。人が生きていくには五大栄養素が必要だと記憶してるんだけどさ」
「は、はい」
「・・・明久くん、今『水と塩と砂糖』食べていると言ったのかな?』
「はい、私もそう聞こえました・・・」
なんということだ。聞き間違いではなかったなんて。しかも話を聞いてみると、明久くんは一人暮らしだけどちゃんと仕送りは来ていて、その仕送りさえ遊びに費やしているという。
それは大変だと思ったら。
「・・・あの、良かったら私がお弁当作ってきましょうか?」
ここに天使が現れましたとさ。