書きたかったから書いた偉大なる短編集たちの居住区 作:フラグ建築したい男
【第三問】
問 以下の問いに答えなさい。
『(1)4sinX+3cos3X=2の方程式を満たし、かつ第一象限に存在するXの値を一つ答えなさい。
(2)sin(A+B)と等しい式を示すのは次のどれか。1~4の中から選びなさい。
1.sinA+cosB 2.sinA-cosB
3.sinA cosB 4.sinA cosB+cosAsinB』
姫路 瑞樹の答え
『(1) X=π/6
(2) 4 』
御鏡 勇香の答え
『(1) X=π/6
(2) 4 』
教師のコメント
そうですね。角度を『º』ではなく『π』で書いてありますし、完璧です。
土屋 康太の答え
『(1) X=およそ3』
教師のコメント
およそをつけて誤魔化したい気持ちも分かりますが、これでは回答に近くても点数をあげられません。
吉井 明久の答え
『(2) およそ3』
教師のコメント
先生は今まで沢山の生徒を見てきましたが、選択問題でおよそをつけた生徒は君が初めてです。
☆
突然、女の子に「お弁当作りましょうか」と聞かれた吉井くんはまず自分の耳を疑っていた。「え?」と反応した後、「本当にいいの?僕、塩と砂糖以外のものを食べるなんて久しぶりだよ!」とこちらが「ん?」となるような非常に困る反応をしてきた。
これは同情すべきなのか、祝うべきなのか・・・。
「良かったじゃないか明久。手作り弁当だぞ?」
「うん!」
あの坂本の嫌味っぽい言葉にさえも嬉しそうに聞いている。
なるほど。ここは祝うべきなのか。
「・・・ふーん。瑞希って優しいんだね。吉井
ふむ。つまりこの女の子は・・・。
「・・・自分もその子の弁当が食べたい、ということか?」
「は!?・・・って、ええっと・・・そ、そうよ!」
なるほど。まあ作ってくれるならそれに甘えたいのも事実だが・・・。ていうかこの桃色系女子は瑞樹っていうのか。覚えておこう。
「・・・まさかだが、御鏡は・・・」
「・・・(コク)こと恋愛に関しては鈍感」
「・・・そうか。御鏡は・・・。そうか・・・」
ん?なんであいつらは俺のことを哀れんだ目で見てくるんだ?
「それにしても、本当に皆の分も作ってきてくれるの?」
「はい」
「姫路さんって、優しいね」
まあ、確かにそうだろう。元々は一人の分を作る筈だったのに、(俺を含めたらだが)七人分も作ってくれるなんて・・・。俺だったら面倒くさいで終わってただろうな。
「今だから言うけど、僕、初めて会ったときから君のこと好き―――」
「おい明久。今フラれると弁当の話無しになるぞ」
「―――にしたいと思ってました」
静かに吉井から離れよう。うんそうしよう。
「明久。それでは欲望をカミングアウトしたただの変態じゃぞ」
「明久。お前はたまに俺の想像を越えた人間になる時があるな」
「だって・・・お弁当が・・・って、ちょっと待って!何で御鏡君は僕から離れていくの!?」
「ヒィ!!」
変態に声を掛けられ、思わず土屋の後ろに隠れる。
「こ、こ、こ、康太!助けろください!」
「・・・ハァ」
よし、そうだ。いいぞ。康太。このまま奴から俺を隠してくれ・・・頼む!
ヒョイ
「・・・少しは人に慣れろ」
「うわぁやめろ!!俺をこの変態に差し出すつもりか!?やめろ、やめて、止めてくださいぃぃ!!イヤァァァァァァ!康太!今度いくらでも写真撮っても良いからそれだけは、ヒィィィィィィ!!!」
「・・・アイツらは何してんだ?」
「・・・さあのう」
☆
「さて、話がかなりそれたが、試召戦争に戻すぞ」
そういえばさっきの話で忘れかけていたが、元々はそれについてのミーティングだったな。危ない。
と、ここで女の子にしか見えない男が坂本にこう聞いた。
「雄二。なぜAクラスではなく、Dクラスなのじゃ?段階を踏むならEクラスからじゃろうし、勝負に出るならAクラスじゃろう?」
「そういえば確かにそうですね」
「まあな。当然考えがあってのことだ」
「どんな考えですか?」
「色々と理由はあるんだが、Eクラスを攻めないのは簡単だ。戦うまでもない相手だからな」
それはつまり雑魚という意味か、はたまた戦うメリットがないという意味か。たぶん後者だろう。そうだと信じたい。
「ま、振り分け試験の時点では確かに向こうの方が強かったかもしれない。だが今の面子を見てみろ明久」
「え~と・・・」
吉井はこの場にいるメンバーを見回し、こう言った。
「美少女三人とバカが二人とムッツリが一人いるね」
「誰が美少女だと!?」
「ええっ!?雄二が反応するの!?」
「・・・(ポッ)」
「ムッツリーニまで!?」
言われた言葉とこの場にいるメンバーを当てはめてみようと思う。何故かって?目の前の出来事に触れるのはめんどいからだ。
えーと・・・。
ムッツリは問答無用で康太だろ?バカは坂本と秀吉くんだとして、美少女・・・・・・・・・。
「(思考放棄なう)」
「・・・初陣だからな。・・・一人聞いてないのもいるが。おーい、生きてるかー」
「・・・ハッ!?な、なんだ!?」
「・・・いいや。話を続けよう」
非常に遺憾である。ただ吉井の警戒度を最大にまで引き上げようか考えてただけじゃないか。
えーと、何だっけ。この場がカオスなのは何故かだっけ?
「あ、あの!」
俺がそんな感じで逃避していたら瑞樹がこう言った。
「ん?どうした姫路」
あ、名字は姫路。女子を名前で呼んでいいのは女友達か彼氏っていうマイルールを持つ俺としては非常にありがたい情報だな。
「えっと、その。さっき言いかけた、って・・・吉井君と坂本君は、前から試召戦争について話し合っていたんですか?」
「ああ、それか。それはついさっき、姫路の為にって明久に―――」
「それはそうと!」
・・・唐突に話を変えやがった。聞かれたくない内容だったのか?
「さっきの話、Dクラスに勝てなかったら意味ないよ」
「負けるわけないさ」
先程までふざけていたりしていたとは思えないほど、唐突な真面目な雰囲気。これには俺も背筋を一気に伸ばさせられた。
「お前らが俺に協力してくれるなら勝てる」
勝てる?この最底辺クラスを、勝利させると?
「いいか、お前ら。ウチのクラスは―――最強だ」
その言葉には、何故か俺らをやる気にさせるパワーみたいなものがあった。
可能性はゼロに等しいはず。なのに、勝てる気にさせてくれる、そんな力が。
こいつが持つカリスマという物は、やはりどこか元々頭が良いみたいな雰囲気を滲み出させている気がする。・・・ってさっきから気がするとか曖昧な言葉しか言ってないな俺。
けど、まあ。
「いいわね。面白そうじゃない!」
「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの」
「・・・(グッ)」
「興味深いな。・・・この可能性がゼロに等しいカードでどのようにして勝ちまで進むのかが」
「が、頑張ります!」
目指すは、打倒Aクラス。
実現不可能な絵空事かもしれない。俺に分かりやすく例えるなら、この砂粒を探してきてこいと大砂漠に向かって砂粒を投げるようなことなのだから。
だが、人間には可能性がある。
こうして同クラスになったのも何かの縁(今のところは他のクラスメイトはチェンジ願いたいが)。ならば、何か偉業でも成し遂げてやろうじゃないか。
見せてやろうじゃないか。俺たちの力を。
「そうか。それじゃ、作戦を説明するぞ。まずは―――」
涼しい風が吹くこの屋上で、勝利までの過程を聞き始めた。