書きたかったから書いた偉大なる短編集たちの居住区 作:フラグ建築したい男
「儂はグレイラット。うっかり捕まっちまった、薄汚いコソ泥さ。あんたは・・・誰だ?」
「俺は・・・灰だよ。ただの灰」
「そういえば鐘が響いていたな!なるほど、あんたが灰か・・・」
進んだ先には小さな牢があって、中にはこのグレイラットっていうおっさんがいた。
「もしも、あんたが灰だって言うんなら、儂の願いを聞いてはくれないかい?」
「ああ、いいぜ」
「心優しい灰でよかったよ・・・。ここ、ロスリックの高壁の下には廃れた街がある。・・・はるか昔からある、不死街さ。そこにロレッタという老いた女がいるはずだ。・・・その女に、この指輪を渡してほしい。頼めるかい?」
心優しい灰でよかったって何だよ。大体の灰は荒んだ心なのか?
「・・・いいけどさ、その女はどこにいるんだ?」
「ああ、あれから住居を変えていなけりゃ、門を潜って突き当たりの家にいるはずだ」
「わかった。任せてくれ」
「ああ、頼むよ。」
身体的特徴も聞いておいた。どうやら右の親指が短く、そして右の手に銀色の腕輪をしているらしい。
話し終わったらおっさんはどこかへいなくなっていた。・・・どうやって連絡すればいいんだろうか。わからんな。まあいいか。とりあえず、下に進むのはここで終わりらしいし、残った、外に出る道を選択しよう。
☆
「なんだよ俺に恨みでもあるのかコンチクショウ!」
状況は最悪だ。後ろには大量の兵士。正面は騎士二名。前門の虎、後門の狼というやつだろう。さて、なぜこうなったか、だが・・・まずは外に出る道に行ったところから、少しのうれしいことを交えて説明しよう。
進んだらまたナニカがいた。まったく災難にもほどがある。唯一の救いは、変な虫みたいで、逃げるやつを倒せたことだな。大体一目散に逃げるやつはレアな奴だと決まっているからな。倒したら不思議な石を取得できたから良しとする。
さて、ナニカに見つからないように梯子を下りた俺だが、キレイに敵の罠にはまったといえるだろう。下りた先にはボウガンを持った兵がいたので速攻で倒し、その先にいた敵(伏兵)も倒した。また梯子があったのだが、少し前にもう一つの道があったのでそちらに行き、まあ、色々探索したんだ。
二、三回ほど死んだけど、俺の持ってる回復薬の瓶。その欠片なのかな?っぽいものを回収。あと、ベランダみたいなのがあったから、そこを見てみるとタフそうなデブがいた。弓でチクチクしてたら死んでくれた。
そして戻ることに成功。なんでもう一つの梯子のルート。そこから下りてみた。そしたら、デブの死んだところだと気づき、その先に進んだんだ。左は騎士が二人ほど巡回していたので右に行って、敵が一人だけほっつき歩いていたから「ヒャッハー」と倒しに行ったらこの有様だ。
ナニコレわろえない。ええい、男は度胸と決まっている!ならば騎士の先に見える建物の中で撒くしかあるまい!
そう思って入ってみたら、なぜか騎士たちが入ってこなくなった。まるで何かに怯えるように。・・・なぜだかは知らんが好機。このまま先へ・・・と行きたいがそれは無理だろう。目の前には先には進路は見えず、椅子に座った誰かがいるのみだ。
「ようこそおいでくださいました、灰の方」
その誰かは俺に向かってそう言った。そして、こちらに来るように手招きをしてきた。
「私はエンマ。灰の方にこの旗を渡すのが使命です・・・こちらを」
エンマと名乗ったその老婆は、旗を渡してきた。話を聞くと、城門の下でこれを掲げると運び手が来るらしい。不死街へと運んでくれる、運び手が。
これはうれしい。早速行かせてもらおう。
「ですがお気を付けください。城門には番犬がおります。・・・憎き、冷たい谷の番犬が」
エンマのこのセリフは、気に留めておこう。
☆
あの後、エンマから青教という、異世界からの悪意を狩ってくれる守護者を呼び寄せるためのアイテム(?)をもらった俺は、すぐに長い階段を下りて行った。
やはりそこも兵士たちはおって来なかったが、さっさと進みたい俺にとってはどうでもいいことだ。さあ、城門を開けさせてもらおう。
―――突然の殺気。
発生場所は俺の後方。グンダぶりに感じるソレに身を震わせながら、俺はゆっくりと振り向いた。
ガシンガシンと、人とは思えないような足音。振り返った先にあった謎の霧から出てきたのは、まるで獣のように四つん這いになった騎士のような何者かだった。
―――冷たい谷のボルド
まただ。グンダと同じように、脳内に誰かの言葉が流れる。そしてコイツが、先ほどエンマが言っていた番犬なのだと理解する。手に持った大きなメイスを杖のように持って、何かを叫ぶボルド。
そして、こちらへゆっくりと向かってくる。
―――なんかヤバい。
いきなりのことでパニックになってる俺の頭は、こんなことを考えていた。だがそんな呑気な考えも一瞬だ。ゆっくりだったボルドの動きが、突然俊敏になり、そして俺に向かって突撃してきたのだ。
「な!?」
その速度のまま振り下ろされるメイス。とっさに前に転がったことでなんとか助かった。そして、ここまでそれなりに戦ってきた(大体ゲームのお陰)俺は早くも弱点に気づいていた。
(四つん這い・・・てことは後ろへの攻撃はそれなりに遅いはず!
はたしてそれは、その通りだった。後ろへの攻撃速度がとてつもなく遅いのだ。これには俺もびっくりで、まさか俺の予想が当たるわけ・・・とどこかで思ってた証拠でもある。
にしてもすごい楽な仕事だ。懐に潜り込んで後方に回り、そしてただ切るだけ。こんな楽でいいのかと思っていた。
そんな期待は即座に裏切られるわけである。
メイスをまたも杖代わりにして、何かを叫ぶ。雄叫びだったのだろうそれで奮い立ったボルドは、さっきよりもすばやい動きで突進してきた。
(ヤバイ!)
間一髪避けることが出来た俺に、ボルドとやらは追撃をしてきた。初撃を避けることが出来て安心していた俺は二撃目を避けることが出来ずに直撃してしまう。背骨が折れそう(というかヒビは普通に入ってると思う)だったがなんとか耐えてくれた俺の背骨に感謝しつつ、エスト瓶という回復薬を一気にあおる。傷が熱くなり、そして癒えていく。そしてボルドのほうに振り向くと、ヤツはそこで力をためるような動作をしていた。
なんだか知らないが今が好機。連撃を与えてやろう。そう思って走った。
☆
近づいた瞬間に冷たい息吹が来てやられた。もう少し考えるべきだった。だがしかし、今度はやられない。同じ手には二度とはまりません。そう決意した俺は強いのです。
さあ、今度こそやってやる!
そう誓ってから二十回目の挑戦です。
何か・・・もう・・・突進をどうやって避けるんだって、俺テンパリ過ぎじゃないか。さっきまで体を斜めに倒してスレスレでギリギリな回避できてただろうに。いや、待てよ。もしや運が良かっただけじゃないのか?・・・考えるのをやめるか。今はそれが良い。
何故かかかっている霧を潜る。そういえば、自分が死んだところには血溜りと緑色のユラユラしてる何かがあることが判明。触れてみると自分の中に入ってきて、そして死ぬ直前の自分の感覚を取り戻せる。あと、何かが満たされる感覚。・・・この感覚はなんだろうな。今度火防女さんに聞いてみるか。
とりあえずパワーアップする前のノロノロ状態は楽なんだよ。・・・問題は後だ。
雄叫びをあげるボルド。・・・ほら来たぞ。
こいつについて分かっていること。一つだけある。それは―――
(この状態のボルドは大体、突進が最初に繰り出される!)
先ほどまでは冷静さを欠いていたからだったようだ、俺は突進をキレイに避けることが出来た。
(そして突進は、決まって三回ほど繰り返され、そして終わりにはブレスをはこうとする!)
さらに、ブレスをはこうとしているその隙だらけの頭に強めに攻撃を当てれば、お前は怯んでダウンする!それを先ほどまでの戦いで知った俺は頭に力を最大まで溜めた攻撃を見舞ってやった。
ブレスに集中していた頭に突然の衝撃。だからか、ボルドは思いっきりのけぞり、そして体制を崩す。それを見逃さず、俺は必殺とも言える首チョンパをしようとする。が、コイツの頭部は大きい。なのでそれが出来ない。ならどうするかって?それはな・・・。
「はーい、眼球にチクッとしますよー(物理)」
正しくはザクッだろうって?気にすんな。
眼球とは脳の一部でもある。一番近いとも言えるのである。そんな眼球に、頭よりも長い剣を突き刺したらどうなるだろうか?
答えは完全なる死。
―――そのはずだ。
「・・・なんでこうも、こういうボスっぽいやつに限って俺の一撃が決まらないんだろうな」
そういったが、まだボス(?)自体は二回しか戦ってないんだけどな。
ボルドは、まだ生きていた。フラフラとする足をメイスで支え、そしてゆっくりとこちらに近づくボルド。
いくら俺が転生者と言っても、心はもう戦士になった(正確にはなりきっている)俺としては、その姿は戦士の誇りを伺わせた。
故に俺は、介錯(のようなこと)をすることにする。
こちらもゆっくりとボルドに近づく。そしてボルドの攻撃範囲に入ったそのとき、ボルドは最後の力を振り絞って、俺にメイスを叩きつけようとする。力が無くとも、戦士としてのその一撃は重いだろう。だからこそ俺は、その攻撃を盾で弾き、体勢を崩したボルドの頭に剣を突き刺す。
「・・・ありがとうボルド。お前のお陰で俺は、この世界の理不尽さをまた一つ知れた。だから、もう、安らかに」
眠れ。
☆
三人称side
ボルドを倒した後、いつの間にか出来ていた篝火(おそらく世界がボルドに与えた、ボルド自身の墓だろう)のそばで休む彼は、ただ只管に―――
「グー・・・」
―――眠っていた。
おそらくだが、いくら不死人といっても精神は健全な日本人であった彼にとって、ほぼほぼ寝ない旅というのは非常に疲れることだったのだろう。とても気持ちよさそうに寝ている。
彼はこれから、各地でいろんな困難に見舞われるだろう。だがそれでも彼は、諦めることは無いだろう。元の場所に戻るために。
そして、場所は変わり、この高壁の下、不死街のとある場所。
時空が歪んでいるこの世界は、その不死人それぞれの世界があり、その不死人はその世界で心折れるまで、使命を果たそうとする。
そんな、彼のいる世界とは別の世界で、右手に、独特の突起が特徴の特別に大きな剣を携え、左手に不思議な流線型の盾を持っている誰かが居た。剣は特別重いらしく、誰かもその重さを支えるために肩も使い支えている。盾は、その盾特有であろう突起が折れており、表面は沢山の武器を弾いたのだろう傷で一杯だ。
誰かは、その右手で瞳のようなものが見える赤いオーブを持っており、それをもって祈りを捧げていた。―――首に、声無き女神の証を掲げながら。
今回は前回よりも短くなっておりますが、楽しんでいただけたでしょうか?なるべく皆さんに楽しんでいただけるように考えながら作っております。
ボルドの攻撃をパリィしやがったオリ主ですが、そこは主人公補正とボルドが死にかけだったってことで許してください。
さて、本作品のオリジナルキャラは、私が授業を二時間くらい聞かずに考えあげたあるキャラクターです。『独特の流線型の盾』と『特有の突起の特大剣』で故郷が分かった方も居ると思いますがそこは明かされるまで自らの心に閉まっておいてください。
ではまた、次の暗い魂の物語でお会いしましょう!
PS.こんなキャラはどうだろう?というのがありましたら、それこそチートのようなキャラじゃない限り出させていただきたいと思っています。
ですのでアイデア等がありましたら、ハーメルン会員の方に限り、メッセージで募集させていただきます。
会員でない方。大変申し訳ありません。
・・・いや、でも活動報告で大々的に募集しても・・・いやいや、それだとどこら辺で出そうとか
そういった考察されるでしょうし、やっぱりメッセージでお願いします・・・。
追記:この後の展開が困るとか3話との矛盾を発見したとかで、「椎骨」から「声無き女神の証」に変更しました。