書きたかったから書いた偉大なる短編集たちの居住区   作:フラグ建築したい男

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5.コルニクスという呪術師、ジークバルドという騎士

 『亡者の穴倉』とはなんなのか。

 

 それを説明するためには、まずこの世の中にある宗教について説明することから始めよう。

 

 

 

 正確にはそれらを宗教とは呼ばないだろう。あくまでも『団体』のように捉えなければならない。何故なら、この世界そしてこの時代の中で、神なんぞを誰が信じるというのか?それこそ、よっぽど熱心で狂信的な信徒でないと信じる者はいないだろう。

 

 話を戻そう。この世界で普及している『団体』は大まかにこれらに分けられる。

 

 

 

 次元を跨ぎ、他の灰に協力する『太陽の戦士』など。

 

 次元を跨ぎ、一定の領域に入った仲間以外の者を根絶やしにしようとする『ファランの戦士』など。

 

 そして、次元を跨ぎ、他の灰を殺して目的の物を奪う簒奪者、『ロザリアの指』など。

 

 

 

 その簒奪者たちの一部『積む者』たちのメッカ。それが亡者の穴倉だ。

 

 

 

 積む者になる動機は様々だろう。それこそ、人を殺したいとか、殺人に快楽を見出すといった殺人快楽者もいるだろう。そんな一般とは道を外れた『狂人』が集まり、そして無限に他者の椎骨を積み上げていく祭祀場。それが亡者の穴倉。狂人たちの聖地なのだ。

 

 

 

 彼が手渡されたのは『積む者』の証。つまりはこれを首からかけると、それすなわち「自分は狂人です」と公言しているのと同じことだ。

 

 

 

 だがまあ―――

 

 

 

「なんか悪趣味だな・・・」

 

 

 

 ―――彼はこう言って首飾りをソウルに仕舞うので意味はないのだが。

 

 

 

  ☆

 

 

 

 謎の爺さんから貰った悪趣味な首飾りをソウルに変換して仕舞い、俺は篝火から立ち上がった。にしてもあの籠持ち。めっちゃ高いところから落としてくれたもんだ。次に出会ったら覚悟しておけ。見た目が同じという理由だがヌッ殺す、確定です。

 

 それはそうと、俺は歌の主を探しにわき道を進んだわけだが、その先を詳しく見ることなく歌の主を探索しに行ったわけだ。となると、だ。その先を俺は見ていないわけで。

 

 

 

 そして人というのは知らなければ知らないほど知りたくなるわけで。

 

 

 

 

 

 さて、件の詩が聞こえた場所に来たわけだ。扉開けてすぐの場所。目の前には石橋があり、その奥には怪しげな樽が。・・・これ絶対裏にいますよね?奇襲作戦ですか。だが残念だったな、この慧眼を持ってすれば、そのような罠などすぐに見破れるのさ!

 

 というわけで、そんな奇襲など通じもしないような華麗な技を披露してやろうではないか。

 

 秘儀『走り抜け』!

 

 

 

 飛び出してくるであろう現地住民に追いつかれないような速さで走り、そのまま通り抜けようという作戦だ。まさに素晴らしい。誰も血を流さず、俺も無駄な労力を使わない。精神力も減ることはない。

 

 さあ、作戦実行だ。

 

 軽快な走り出し。石橋を叩いて渡るということわざがあるが、個人的にはめんどくさいのであまり叩かない主義だ。なので一々確認するわけでもなく、ぱっぱと走っていく。

 

 おお、これはいけるんじゃないか!?そう俺が思った、次の瞬間。

 

 

 

 ドゴンッという爆発音と共に、俺の体は宙に浮いていた。

 

 

 

「・・・うん?」

 

 

 

 まるでコメディアニメの一幕のように、やけに落ちるのがゆっくりに感じる。

 

 なんともまあ、綺麗に罠に嵌ったもんだ。我ながら口をあんぐりと開け、呆けるしかない。そしてその数瞬後―――

 

 

 

「う―――ぅわぁ!!?」

 

 

 

 そのまま重力にしたがって落下。絶体絶命、そして絶対絶命。いや、洒落じゃない。比喩とか冗談抜きで死ねるぞ、この高さは。落下がとても怖いということを、俺は身をもって体験しているわけでありまして、故にわりと泣きそ―――うっ!?

 

 

 

 ドスンッという音と共に背中に衝撃。あれ、予想してたよりもダメージがない。もしや俺がビビッていただけで、実は結構浅かったり。

 

 そんな風に思って立ち上がって下を見ると足場が広がっており、上を見上げると、思わず「なるほど」と言えるほどに近い足場があった。

 

 なんだ、びっくりして損した。そう思ってふと足場の淵を見てみると、なんとその先には深い霧が広がっていた。・・・地面が見えない感じで。なんていうの、高山に行ったとき、斜面の下のほうに広がる雲っていうのかな。そんな感じ。

 

 

 

 ・・・運が良かったんですね。

 

 

 

 さて、足元でさらっと犠牲になってくれた現地住民に1mmくらいの感謝をしつつ、念のための後方確認。死体が紙で包まれた何かを大事そうに抱えているのでちょっと拝借。・・・何やら中には真っ黒で光沢のあるナニカが。・・・若干の粘土質で・・・炭臭い。何だか知らんが、大事そうに持っていたものだ。貰っておいて損はないだろう、きっと。

 

 

 

 そのまま足場を進み、建造物の地下に入ることに成功した。地下に入るとすぐに鎮座していた篝火に火を点け、そしてエストを補充。そのまま外に出ることに。二つの出入り口があったので、入ってきたほうとは逆の入り口を。

 

 地下室から出ると上り坂になっており、そこを昇っていくと物見やぐら染みた通路(?)に出た。そしてその通路には、火炎壺を手にした現地住民が。コイツらが俺を落とした犯人だと秒で悟り、即座にコロコロする。

 

 

 

 俺を落とした罰だと思うがいい。フハハハ!

 

 

 

「・・・ぃ」

 

 

 

 さて、次に行くべきは後方に続いてる道かな?なにやら声もしているしな。

 

 ちゃんとやぐらの先にも道が続いていたのでその先に進み、またも聞こえた声の主を探す。するとだ。

 

 

 

「おお、やはりか。亡者達を切り伏せる音がしたので誰かが来たと思ったが、その呼吸音は生きているな」

 

 

 

 籠の中だというのに呑気に声をかけてくる変人がいた。

 

 勿論、俺は変人と絡む気はない。なのでスルーさせて頂く方法でいいな。

 

 

 

「・・・」

 

「いやぁ、私もここに囚われて幾日も経っていたから助かるよ。私を助けてくれないかな?」

 

「・・・」

 

「いやぁ、私もここに囚われて幾日も経っていたから助かるよ。私を助けてくれないかな?」

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

「・・・」

 

「いやぁ、私もここに囚われて幾日も経っていたから助かるよ。私を助けてくれないかな?」

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

「・・・」

 

「いやぁ、私もここに囚われて幾日も経っていたから助かるよ。私を助けてくれないかな?」

 

「・・・」

 

「いやぁ、私もここに囚われて幾日も経っていたから助かるよ。私を助けてくれないかな?」

 

 

 

「無視してるのになんで声をかけてくる!!?」

 

「いやなに、そういう風に無視をする輩にはしつこく話しかけるのが効果的なのは、私の体験談だからさ」

 

「ああ・・・もう分かったよ」

 

 

 

 まったく、無視を決め込んで関わるのを避けていたというのに。変人に声をかけられるとは本当に勘弁してほしいものだ。

 

 

 

「それで?籠が大好きな変人は何の御用で?」

 

「変人ではないさ。なに、ちょっとこの籠から出してくれるだけでいい」

 

「変人にしか見えないが。籠から出す?どうやって」

 

「どうやっても何も、君のソウルの繋がりがもっとも深いところに転移するだけだよ。そこが君の拠点だろうから、君が帰ってくれば礼も出来る。後、繰り返すが変人ではない」

 

 

 

 さて、メリットデメリットを考えよう。

 

 まず思いつくデメリットとして、一つは『変人が拠点に来る』。先ほどから変人ではないとのたまうが、実際のところ変人だろう。目隠しもして、奇抜すぎる格好だからな。二つ目は『不審者が拠点に来る』奇抜な格好。籠の中を好む性癖。どう見ても不審者です、本当にありがとうございました。そんな不審者が祭祀場に来るだと?なんて事だ、きっと

 

みんな不快な思いをするに違いない。

 

 続いてメリットだが、こちらは一切無い。

 

 よって却下。・・・てちょっと待て。

 

 

 

「礼?何をしてくれるんだ?」

 

「私は呪術師だ。大沼伝統の呪術を教授しようじゃないか」

 

「ふむ、呪術」

 

「君は私を助ける。代わりに私は君に呪術を与える。見たところ、才能も有りそうだしね。・・・どうだい?名案じゃないか」

 

 

 

 さて。新たにメリットが出現した。彼は礼として呪術なるものを教えてくれるという。これによるメリットはこの後の戦いが楽になるかもしれない、ていうかなる。覚えていたら絶対、いざというときに役立つだろう。

 

 メリットとデメリットの天秤に、先ほど述べたデメリット二つと、今述べたメリットを乗せる。どちらに傾くか・・・少し釣り合った後、メリットに傾く。

 

 

 

 しょうがない。

 

 

 

「オッケー。助けようじゃないか」

 

「ありがとう、私はコルニクス。大沼のコルニクスだ」

 

「んじゃ、コルニクス。祭祀場で会おう」

 

「分かったよ」

 

 

 

 互いに手を出し合い、握手を交わす。すぐにコルニクスは消えた。おそらく祭祀場に行ったのだろう。まったく、早いなぁ。

 

 

 

 ・・・さて、先に進むとするか。

 

 

 

 

 

  ☆

 

 

 

 眼前には巨大な扉。そして同じく巨大な建造物。

 

 

 

 現在俺は、謎の大聖堂を前にして途方に暮れていた。理由はただ一つ。

 

 

 

「・・・内側から、開けられないように何かで止められてやがる・・・!」

 

 

 

 そう、何かのせいで門が開かないのだ。恐らく扉の後ろに棒か何かを置いていると思われる。多分。メイビー。

 

 それはそれとして、ここの扉が開かないとなるとどうしようか。そう思ってなんとなく後ろに振り向くと、少し離れてはいるが分かるフォルムの現地住民がいた。キャンプファイヤー会場にいた太っちょだ。なんという、お化け屋敷のお化けもどっきりするだろう。

 

 ・・・いや待て、冷静に考えたらやばくない?前回戦ったときは閉所だったからよかったものの、今回はこいつの大振りな武器の本領発揮だぞ?・・・よし、逃げよう。

 

 

 

 太っちょが武器を繰り出す前に、脇をすり抜けて走る。ただひたすらに走る。途中籠持ちを通りすがりに心臓刺しておくが逃げる。・・・走りながらでも復讐を達成しようとするその精神に向けて何か評価されそうな気がする。大草原不可避みたいな感じで。

 

 走りに走った先で、俺はとある建物を見つけた。先ほど見つけた大聖堂に近い感じだ。

 

 

 

「・・・これはもう、開けろと言わんばかりの扉だな。・・・今度は開くよな?」

 

 

 

 誰に確認してるんだとツッコミが入りそうだが、先ほどのようなしょうもない絶望はやるせない気持ちになるんだ。分かってくれ。

 

 扉に手をかけて力の限りに押すと、扉はギギィ・・・という重々しい音を立てて開いた。

 

 よかった、鍵はかかっていないみたいだ。さっきみたいにかかっていたら長い道のりをまた戻らなければいけないところだった。

 

 目に入ってくるのは・・・沢山の蝋燭。え、これだけ?そう思っていると、何やら鎖の音が。引きずる音ではなく何かを引き上げている感じだ。・・・何を引き上げている?引き上げられているナニカに最大限注意を向けながら、段々と近づいていく。そうして姿を現したのは、

 

 

 

「う~む・・・うぅ~む・・・」

 

 

 

 とても奇抜な鎧の騎士。甲冑はまるでタマネギのようで、鎧の腹はまさしく三段腹。篭手の部分はまるで鍋つかみのようで・・・これで奇抜なダンスをされたら吹き出しそうだ。

 

 そんな彼は何かに悩んでいるようだった。少し話しかけてみるか。

 

 

 

「おーい」

 

「う~む・・・」

 

「おぉーい」

 

「うぅ~む・・・お?おぉ!すまない、少し考え耽っていた」

 

 

 

 なんだこの人。楽しいぞ。

 

 

 

「そかそか。じゃあ相談にでも乗るからさ、自己紹介といかないか?」

 

「おお、それはいいな!ようし、私からさせてもらおう。私は陽気の国カタリナの騎士。名をジークバルドと言う」

 

「俺は■■■■て言うんだ」

 

「ほう、珍しい名だな」

 

「そうかな」

 

「そうだとも」

 

 

 

 何気ないやり取りだが、こんな世界でこんなにも陽気な人がいたことに感動を覚える。・・・この人は、絶対に楽しい人だ!

 

 

 

「なあジークさん、あんた何してるんだ?」

 

「うむ、それなのだがな?貴公、白い木の傍で大弓に射られたことはないか?」

 

「白い木?道中、それらしいものは見ていないな」

 

「そうか・・・いやなに、私はとある場で白い木を見つけたのだ。珍しかったもので近くで見ようとしたのだが、ふと風を切る音を聞いたのだ。その方角をふと見たら、とても大きな矢が私目掛けて降ってきてな!」

 

「ナニソレ怖い」

 

「何度か見てるうちに分かったのだが、どうやらこの塔から放たれているようなのだ。放たれているのならば、射手がいる筈。そしてそれはこの塔の上にいるのだ。話せば分かると思い、先ほどから上に行く術を探しているのだが・・・う~む・・・うぅ~む・・・」

 

 

 

 塔の上に行く方法?・・・梯子とかがあるわけじゃないのか。んー・・・まあ、まずは乗ってみるか。

 

 

 

 悩むジークさんに断りを入れ、リフトに乗ってみる。・・・うん、下りだ。下に着いてまず見えたのは沢山の蝋燭たち。なるほど、不気味だ。上に戻るために、さっき下に降りるときに踏んだスイッチから足を離し、そしてもう一度スイッチを踏む。

 

 うーん・・・この仕掛けでどうやって上に行くんだ・・・?そう思いながら上に着くと、ジークさんがいなくなっていた。・・・え、何ゆえ消えた!?襲われでもしたのか?それとも・・・上に行く方法を、見つけたとか?

 

 

 

 自分が乗ってきたリフトをよく見てみる。何の変哲も無いリフトだろう。だがしかし、俺は一つ気になることがあった。

 

 

 

(なんでこのリフトは、リフトを動かすレバーのようなものがないんだ?)

 

 

 

 冷静に考えて、現代のように便利なエレベーターでない場合、下ないし上の階にリフトがあってリフトに乗れない場合、どうやってリフトを呼ぶのか。おそらく、スイッチ以外の起動方法などがあるはずだろう。ならば何故このリフトにはそれが付いていないのか。きっとそれは、このリフトに乗らずにリフトを動かした先にあるはずだ。

 

 

 

 走り抜ける形でリフトのスイッチを押し、そして秘密を見る。タイミングは・・・1・・・2・・・3!

 

 脳内で合図を出し、それと同時に走り抜ける。左足がスイッチを踏んだ感覚。そしてこのまま走り抜ける!・・・壁ギリギリでなんとか止まることに成功。よくよく考えれば、なんで壁の方から走らなかったんだと突っ込みを入れたい。

 

 

 

 俺の予想は、果たして正しかった。上からもう一つのリフトが下りてきたのだ。




ジークバルドさん!ジークバルドさんはいいぞ!みんなもカタリナ一式愛用しような!重量限界?知らん、そのためにステ振り変えるんだよぉ!
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