前回の呟きでは、読者の方がアドバイスしてくれたので解決しました。
しかし、私にはリクセル×鈴の構成が思いつかないのでできないと思います。
もう一方は閃いたんですが。
試合が終わり、誰も居なくなったアリーナ。
その片隅に、セシリアはポツンと佇んでいた。
ずっと見下してきた男に負けた、一度は実力差を感じ、
二度目は踏み潰されるように圧倒的に。
セシリアの母は女尊男卑の時代が来る前から幾つもの会社を経営して成功を収めていた
名家の出身だったのに対し、父は婿養子で母の顔色を伺ってばかりいた、
少なくとも、セシリアにはそうとしか感じられなかった。
そのせいか両親が一緒に居る時は殆ど無かった。
しかし三年前、なぜか両親は一緒に居た、そして事故に遭って帰らぬ人となった。
一緒に居た理由は今でもわからない。
そしてそんな父を見ていたセシリアは、「情けない男とは結婚しない」と誓った。
織斑秋斗と桜野一樹、そういう意味では今日戦った二人の男子は理想といっても良かった。
しかし、あの二人に心は動かなっかた。
なぜかは知らないが、秋斗は信用ができないし、一樹は自分に非があるとは言え
銃を突きつけてきた、あの目は本気で自分を殺そうとしていた目だった。
故に今のところ恐怖しか感じない。
「どうした?試合はとうに終わったぞ」
振り向くと、腰に日本刀らしき物を差した赤毛の男子生徒がいた。
そういえば男性操縦者は3人だったとセシリアは思い出し、
事前に聞いていた名前が浮かんだ。
「リクセルさんでしたね、四組の」
「そうだ、一組セシリア・オルコット嬢」
態度といい雰囲気といい言葉使いといい、
何だが中世ヨーロッパの貴族、あるいは騎士を思わせる人物だ。
そのせいか、ほかの二人よりは、安心して接することができそうだ。
「貴方が四組の代表ですか?」
「否、より相応しい人物が居たのでな、辞退させてもらった」
演習用のターゲットを出現させたリクセルは、自身の機体を展開させる。
騎士甲冑を思わせる紅い流美なデザインに、ドラゴンを思わせる顔と翼、
そして長い尻尾を持つ
そして手にした長大なスナイパーライフルがシュールだった。
見物人のセシリアを気にせず、リクセルはターゲットに向かってライフルを発砲、
一発も外すことなく、ターゲットのど真ん中に命中させていく。
それを見ていたセシリアはビットの修復が終わっていない自身のISを展開、
ライフルを構えて、自身もターゲットを狙い撃つ。
セシリア自身の狙撃の技量は代表候補生の中でも群を抜いているが、
残念ながらリクセルと比べると見劣りしてしまう。
手を止めて、リクセルを見ていたセシリアは、
騎士甲冑を纏ったスナイパーというシュールな光景に思わず笑ってしまう。
「リクセルさん、これから私と模擬戦をしていただけませんか?」
「ビットが使えない状態でか?」
「純粋に狙撃手として、お相手願いたのです」
「よかろう」
二人は10mほど離れ、リクセルが空薬莢を指で飛ばし、薬莢が地面を叩く。
その音を合図に、セシリアはライフルを撃つ、しかし
「貴方といい桜野さんといい、本当に人間ですか?」
「混じりっけ無しの人間なり」
放たれたレーザーを、リクセルは銃弾で撃ち落とす神業をやってのけた。
どれだけ連続で撃とうとも、結果は変わらない。
合計して……20発ほど撃ち合った後、セシリアはライフルを下げた。
「まいりましたわ」
「正確だが、度が過ぎてわかり易い、応用が必要だ」
リクセルは何かを教える経験が無いが、自分なりのアドバイスを
伝え、ライフルを折りたたんで腰背部にマウントする。
そしてセシリアは何を思ったのか、自身の両親と自分が男を見下していた
理由を正直にリクセルに話した。
「力を持たぬ者が蹂躙されるのは世の常だ、しかし
人を愛することにそれは関係無い、傍にいて欲しいと思う人間の基準に
力の有無は関係無い、自分の気持ち次第だ」
その一言に、セシリアは自身の疑問が解決したように思えた。
先に進む母親、その後に付いていくことしかできない父親、
けれど、父は決して母の傍を離れなかった。
例え共に進む強さは無かったのだとしても、その背中を支えてくれる人が傍にいること、
一人になってしまった自分を支えてくれた姉同然のメイドの様に、
背中を支えてくれる人が傍にいること、見守ってくれる誰かがいることの
ありがたさをかつての自分は感じていたし、だからこそ今こうしているのだ。
今更ながらに、両親のことすら色眼鏡でしか見れなかった自分を恥じる。
答えを得るにはあまりに遅過ぎて、そもそもこの答えが真実なのかも確かめようがない。
確かめようがないからこそ、きっと、この答えこそが真実なのだと思いたい。
「あ……あの、リクセルさん…その…師匠と呼んでよろしいでしょうか」
「構わんが(何故頬が赤くなっている……まさか)」
胸に宿った思いを抱え、セシリアは新しい一歩を踏み出す決意をしたのだった。
________________________________________
時間は少しだけ遡り、学園の整備室。
一樹はエクエスの整備とリミッターの再設定に勤しんでいた。
さっきまでは簪と彼女のメイド兼幼馴染、布仏本音がいたのだが、
二人は急遽呼び出しがあったので、整備室を出て行った。
「……しかし、何故着ぐるみなんだろうか?」
名前と雰囲気をかけて[のほほんさん]と呼んでいる布仏は間延びした喋り方で
着ぐるみに見える服を着ている変わった少女だった。
一樹にはこの学園が色々自由に思えてくる。
「もう少し出力を下げないとな……ん?」
設定を終えた一樹はそのまま立ち上がり……意思が伝わってくる方向に銃を撃った。
「ちょ、ちょっと!イキナリひどい!」
「経験上、貴方の様な人間相手にはこれが手っ取り早いんです」
撃った方向の物陰から、水色の髪をセミロングにした抜群のプロポーションを持つ
生徒が[暴力反対]と書かれた扇子を広げて出てきた。
顔の大まかな形状は簪とよくにているし、髪と目の色も同じだ、おそらく血縁者なのだろう。
「で、貴方は?」
「私は更識楯無、この学園の生徒会長をしている二年生
そしてこの学園最強の実力者よ」
「教師を含めて?」
「え?」
「学園ってことは、教師も含めてるんでしょう?」
「えっと……その……」
「つまり最強(笑)か」
「ちょっと!馬鹿にしてるでしょう?!」
「だって教師を差し置いて最強を名乗ってるんでしょう?」
「……生徒最強です」
[降参]と書かれた扇子を広げ、楯無はションボリと項垂れた。
というか、生徒最強も怪しかったりする。
「で、こんな茶番の為に来たわけじゃないんだろう?」
全く隙を見せず、一樹は空になったマガジンを交換し、
何時でも発射できるようにする。
相手は恐らく暗部側の人間だ、これでも足りないくらいである。
「その前に、なんで気づいたのか聞かせてくれないかしら」
「此方を探ろうとする意思が感じ取れた、それだけだ」
広大で無の世界である[宇宙空間]に適応するために、スターゲイザーとして
進化した人間は超能力とでも言うべき不思議な力を持っている。
[意思を感じる]というテレパシー的な力もその一つだ。
しかし考えを読めるわけではなく、[相手がどんな感情を出しているか]を感じ取る、
つまり[心理は分かっても思考は分からない]のである。
一樹が楯無に対して警戒を解かないのもそれが理由だ。
「超能力者?」
「お好きなように、まあ目的も見当がつきますよ
[突然現れた二人目三人目の男性操縦者の調査]でしょう?」
楯無が[正解]と書かれた扇子を広げる。
「個人的にも貴方について知りたかったの
最近妹から貴方の名前がよく出てきたから」
「簪の姉か……」
どうりで似ているわけだ。
「貴方達の身柄は現在IS学園所属になっているけど
その後は「手に得れようとする勢力と消そうとする勢力がぶつかって
戦争になる恐れがあるでしょう?」……そう、おまけに代表候補生を
片手間で倒せる実力を持っているなら尚更に
貴方の実力はブリュンヒルデに匹敵するから」
「ならリクセルもそれぐらいか、ライバルだからな」
一樹は銃を仕舞い、タグを首に下げて整備室を出ようとする。
「ねえ、貴方生徒会に「却下」即答?!」
「簪との約束があるので失礼します」
一人残った楯無は、見た人間が殆どいない情けない表情で突っ立ていた。
しかし直ぐに表情を戻し、咳払いをする。
「情報が殆どないから直接聞き出したかったけど、あれは不沈艦ね
それに[未来の義弟]になるかもしれないけど……欲しいな」
再度開かれた扇子には[是非とも私の物に]と書かれていた。
セッシーはリクセルのヒロインに決定。
やっぱ相性が良さそうですし、同じスナイパーだからいいコンビになるでしょう。
会長は一樹の予定ですが……案外一歩手前ぐらいで止まるかも知れない。
なお、原作と違い会長は一樹とリクセルにはいじられキャラになるでしょう。
最後に書き忘れていましたが、リクセルは髪を切って短髪になってます。