-MS-メタリックストラトス《更新停止》   作:アルシェス

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今回は原作から少し離れます。
秋斗の扱いは変えません。


クラス対抗戦

記憶喪失で変わってしまったとはいえ、愛した人間に変わりはない。

しかし、今の相手は自分にとって未知の存在だ。

だから知りたい、自分の目で、耳で、力で今の相手を分かりたい。

そんな思いを胸に、専用IS[甲龍(シェンロン)]を纏った鈴音は

同じくエクエスを纏った一樹と対峙していた。

 

(全く隙が見えない)

 

ビームサーベルを二刀流で構える一樹にどう攻めればいいか考えるが、

隙らしい隙は一切見えない。

 

(だったら!)

 

鈴音は青竜刀型近接戦闘用ブレード[双天牙月]を二刀流状態で構えたまま突進、

渾身のスピードで斬りかかるが、あっさりと回避される。

すぐさま鈴音は牙月を連結、両刃刀状態にして投擲する。

今度は回避されず、蹴り飛ばされた。

隙ありと、鈴音は甲龍の非固定浮遊部位に装着された[第三世代型兵器]、[衝撃砲]を発射する。

これは空間に圧力を掛け砲身を形成、余剰で生じる衝撃を砲弾として発射する兵器で、

肉眼でもISのハイパーセンサーでも捉えることができないのが特徴だ。

しかし一樹には当たらない、まるで[分かる]かの様に僅かな動きで回避していく。

 

(強い……)

 

全身装甲で顔が見えないが、本気を出していないのがわかる。

それでさへ自身が影を踏むことさえできないほどの強さを持っている。

鈴音の額に、冷や汗の筋ができていた。

 

________________________________________________

 

「…何故簡単に回避してるのでしょう?」

「どうしたのせっしー?」

「[衝撃砲]は肉眼でもハイパーセンサーでも見えないのに躱してる」

 

傍で見ていた女子三人。

セシリアと簪は一樹の回避能力に驚いている。

彼女たちの疑問に、リクセルが答えた。

 

「目を持つ生き物は、攻撃する場所に[視線]を合わせる癖がある

だから相手の目や銃口を見ていれば何処を狙っているかわかる

視線を合わせずに攻撃を充てる訓練をしているなら別だがな」

「ではどうやって[タイミング]を?」

「表情だ、相手は命の取り合いなど経験していない分、表情が変化している

ましてや一樹には[予知能力に等しい洞察力]がある、タイミングが読めるのは当然だ」

「もしかしてフォンフォンもできるの?」

 

フォンフォンは本音がリクセルに付けた愛称である。

 

「できる、私は一樹のライバルだ、奴にできる事の大半はできる」

 

改めて一樹とリクセルの凄さに驚くのだった。

 

_________________________________________________

 

時間にして十分弱、鈴音の攻撃は一切当たらず

逆に攻撃は躱せずであっさりと決着がついた。

 

「強すぎよ!」

「そう言われてもな……」

 

[機甲世界]では、一樹と同等以上のリンゲージやパイロットなどザラにいたし、

上回る実力者もこれまた幾らでもいた。

一樹とリクセルに言わせれば、「こちらの次元が低すぎる」で終わってしまう。

最も、僅かな時間で世界大会級の実力者となった二人の方がどうかしているが。

 

「そんなに強いのに、何で代表にならなかったの?」

「面倒」

「アンタねぇ……」

 

記憶を失った思い人は何があったのか、

知っている相手よりも強く、そしてかっこよく

人間として成長していた。

 

(まだまだ分からないわね)

 

それでも、胸の奥に灯り続けた恋の火は確かに、その輝きを増していた。

 

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それから数日の間、簪は一樹とリクセル、そして鈴音と時間が許す限り訓練を積んだ。

以前の簪なら、半分逃げの意思で試合に臨んでいただろう。

しかし今は違う、勝ちたいと……

自分自身の力で、[目指す場所]に行きたいと。

そんな思いを胸に第一試合、一組対四組の試合に臨む。

目の前には白式を纏った織斑秋斗がいる。

実力は高いらしいが…簪には脅威を感じられなかった。

 

「……貴方は強いって聞いた」

「そうだよ「でも全然、話より遥かに弱い」っ何?!」

 

一樹とリクセルの様な圧倒的な怪物に比べれば、秋斗など五月蝿い小型犬だ。

むしろ、こんな雑魚に勝てないようでは、最初から諦めるべきだ。

 

「舐めるなよ雑魚が、僕の実力を見せてやる!」

 

そういい、秋斗は雪片を構えて突っ込んでくる。

確かに速い、近接戦闘に特化している白式ならではのスピードだろう。

しかし簪は慌てず夢現で受け止め、流し、素通りさせる。

怒りに満ちた表情で、秋斗は再度接近し、雪片を振るう。

実力としては、高位の代表候補生に匹敵するだろう、しかしそれだけだ。

速さも、正確さも、太刀筋の美しさも一樹には遠く及ばない。

慢心を捨てた兎が余裕ぶった亀と駆けっこしている気分だ。

 

「クソ!」

「一樹に比べたら弱い」

「僕があんな屑に劣るわけ!」

「事実、ISでも生身でも貴方は一樹の影さえ踏めない」

 

一樹に劣ると言われたことが相当頭に来たらしい。

さらに激しい攻撃を繰り出してくる。

怒っている割には太刀筋は冷静だが、秋斗より十倍百倍と強い一樹達を教官に持った

簪にとっては十分対処できる

生身でも総合格闘術の稽古を一樹に付けてもらった簪は

動体視力と反射神経を鍛えられているのだ。

 

「事実を認めず駄々をこねる、まさに子供」

「五月蝿い五月蝿い五月蝿ーい!」

 

簪の実力は元々候補生の中でも上位に入っていた。

それを支えていたのは屈指の分析能力と並列思考だ。

相手の行動からパターンや癖を読み取って攻撃や回避に生かし、

システムのサポートがあるとはいえ、困難な複数のミサイル操作を可能にしている。

それが一樹の励ましと、彼への好意によってさらに開花している。

もはや秋斗が敵う相手ではない。

虎の子の零落白夜を回避されたことに動揺した秋斗の動きが鈍った事を確認した簪は

すぐさまマルチロックオンシステムを作動させ…………嫌な予感を感じ、すぐさま後退した。

 

直後、アリーナの遮断バリアを貫通するほどのビームが、二人の間に落ちてきた。

 

「何?!」

 

アリーナの遮断バリアはISのシールドバリアと同一の物だ。

つまり、そう簡単に破れたりはしない。

それを一撃で貫通させるなど、相当な出力だ。

侵入者は…その武器をこちらに向けていた。

全身装甲(フルスキン)の機体だった、ISはシールドバリアが存在するため

装甲は余り意味を持たないため、普通は見かけない。

一樹とリクセルの機体は全身装甲(フルスキン)だが、IS似た何かなので無関係。

防御力を重視しているなら装甲は多くなるが、それでも肌が一切露出しない機体は無い。

そんな機体が計十五基、どう見てもこちらを狙っている。

再度爆発音が響き、増援かと思ってみると……一樹とリクセルが壁を破壊して

避難誘導を行った後、こちらに援軍として来ていた。

 

「無茶なことを」

「あれが現状において最善だ、後で反省文だろうと始末書だろうと好きなだけ書いてやる」

「今はこの不届き者共を成敗するのが重要だ」

 

二人に続き、セシリアと鈴音もアリーナに来て、襲撃機と対峙する。

 

「まったく無粋ね、試合に割り込んでくるなんて」

「礼儀というものを知らないのでしょうか?」

 

ふと、一樹は襲撃してきた一団からオーラを感じないことに疑問を持ち、

エクエスが救助用に装備している、生体感知センサーを作動させる。

 

「すべての襲撃機に生体反応無し、無人機だな」

「はぁ?ISは人が乗らないと動かないのよ」

「[今までは]だろう、年々発展している代物だ、そんな技術があっても不思議じゃない」

 

よくよく考えれば、ほんの十年前はISなど空想の産物でしかなかったのだ

それが今では[最強の兵器]としてこの世界に君臨している。

 

「とにかく、避難が完了するまで注意を逸らすぞ」

 

全員が頷き、一樹とリクセル、簪とセシリアと鈴音が組み

襲撃機の一団に向かって行った。

 

 




次回は無双回、フォーチュンコンビが大暴れします。
そろそろMG側からキャラクターを何かしろの形で登場させるべきかな
しかしヒロインを出すには早すぎる気がするし……
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