-MS-メタリックストラトス《更新停止》   作:アルシェス

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皆さまお待たせしました、シャルと黒ウサギの登場です。
まあ、原作とは若干流れが違いますが。


二人の転校生

時期は六月上旬、入学からそれなりの時間が経ったのだが、

未だに一樹の周りには人気が無い。

初日の一件が未だに尾を引いているのもあるが、

決闘時の圧倒的な実力と、その後の千冬に勝利と、

何かと近寄りがたいのである。

しかし、一樹の周りには何時ものメンバーがいる。

スパシィを纏うリクセル、打鉄二式を纏う簪、ブルーティアーズを纏うセシリア

そして新しく甲龍を纏う鈴音と何時ものメンバーでアリーナにいた。

一樹とリクセルを教官として、皆が実力を付けるために訓練に励んでいるのだ。

[男性操縦者]、そして[ブリュンヒルデを超える実力者]の二人と

共にいるためには、少しでも強くなる必要があると皆分かっているからだ。

そこで訓練を目的とした部活[対戦部]を立ち上げ、

経験を積みながら彼女達の実力は確かに上がっていった。

しかし、彼女達は強くなったという自覚がない、何故なら……

 

「強すぎよ……」

「自信を無くしますわ」

「……(涙目)」

 

三対一の有利な状況、更に何度も訓練を積み

コンビネーションも高まっているのに、一樹とリクセルには掠りもしない。

それがずっと続けば自信を無くすのも当然である。

 

「そう言うな、危なかったんだぞ」

「皆最初よりも腕を上げておる、大丈夫だ」

 

ISによる訓練だけではなく、格闘術やサバイバル知識なども教えている

二人は、彼女達が自分達に追いつくためにどれだけ努力しているかちゃんと知っている。

知っているからこそ、ほんの少し背中を押すように褒めて、前に進めるようにするのだ。

厳しく見えても、本当は優しいのだから。

ついでに周りに居る生徒達の大半は敵意に満ちた目で睨んでくるが

一樹が一睨みするだけで顔をそむける。

千冬よりも強いと分かっているため、正面から喧嘩を売ろうなどとは思っていないのだ。

 

「下らんな、これが[女尊男碑]の愚か者共か」

「恥ずかしいですわ、私もあちらと同じ側だったんですから」

 

同類だったセシリアさえも、[男尊女卑]は馬鹿馬鹿しいとしか感じない。

女が偉いではなく、ただ単にISが強いだけなのだ。

現に[男性操縦者]が世に出ただけで代表候補生を打ち破るような実力者が出て来るのだから。

 

「気を付けないと」

「そうね」

 

簪と鈴音は警戒する。

周りの連中が向かってこないのは一樹が居るからだ。

もし自分達だけなら、或は実力を知られていないリクセルだけの時は

[裏切り者]だの[恥晒し]だのと襲い掛かってくるだろう。

その時に何人と戦うことになるかわからない、だから強くならなければいけない。

再び武器を構え直し、二人は一樹に向かって行った。

 

_____________________________________________

 

「妙だな…」

 

数日たったある日、一樹はクラスメイトの噂に聞き耳を立てていた。

 

「どうしたのさくらん?」

「何故か今月の学年別トーナメントで優勝したら、

俺、リクセル、織斑の誰かと付き合える

などと噂が流れている、迷惑だ」

 

秋斗は普段猫を被り、顔もいいので人気がある。

リクセルは礼儀正しく硬派な性格で顔もいいので人気。

一樹は近寄りがたいが、実は顔も性格もいいので隠れた人気がある。

クラスメイト達が噂に騒ぐのは当然と言える。

 

「諸君おはよう」

「「「おはようございます!」」」

 

千冬と麻耶が入った途端(完全に千冬の影響)意思統一されたように

クラスが静かに礼儀正しくなる。

 

「皆さん、今日はこのクラスに転校生が来ます、それも二人も!」

 

急に周りがざわめく、転入生が話題なるのはどこも変わらない

それが二人も来るなら話題性は十分だろう。

 

(確実に男性操縦者(俺達)が目的だろうな……)

 

果たしてどんな刺客が来るのかと、一樹が顔をあげると

表情がすぐに固まった。

何故なら転校生の片方は……[男子生徒]だったのだから。

 

「お、男?」

「シャルル・デュノアです、フランスから来ました

この国では不慣れなことも多いと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

 

髪はセシリアと比べると濃い金髪を後ろで丁寧に束ね、

整った中世的な顔に人懐っこい笑みを浮かべる、

印象は正に[貴公子]だった、だが……

 

(何だ?)

 

一樹は何故か違和感を覚えるが身の危険を感じ、咄嗟に耳をふさぐ。

 

「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

 

一種の公害、でなければ戦術兵器としか思えない絶叫が響き、

耳をふさいでいても頭痛がするほど響いてくる。

 

「男子!四人目の男子!」

「しかもまたうちのクラス!」

「織斑君とも桜野君とも違う守ってあげたくなる系!」

「地球に産まれてよかった~~~~~!」

 

[機甲世界]で、一樹が通っていた学校にリクセルが転校した時も

それなりに話題になったが、ここまでは騒ぎにならなかった。

調子が良すぎではないだろうか?

 

「あー騒ぐな、静かにしろ」

 

心底鬱陶しそうに千冬が言う。

まあ、実際に鬱陶しいのだろう。

 

「み、皆さんお静かに、まだ自己紹介は終わっていませんから~!」

 

麻耶が促し、ようやく皆の意識がもう一人の方を向く。

輝くような白に近い銀髪を腰の辺りまで伸ばしっぱなしにし、

左目には軍用の眼帯、第一印象は間違いなく[軍人]である。

 

「挨拶をしろラウラ」

「はい教官」

「ここではそう呼ぶな、もう私は教官ではないし

ここではお前も一般生徒だ、私のことは織斑先生と呼べ」

「了解しました」

 

一連のやり取りの後、両腕をピシッと伸ばして体の側面に付け

踵をそろえて背筋を伸ばす立ち方、完全に軍人である。

ある意味一樹に近い人間なのかもしれないが、生憎一樹はPMC

軍隊ではなく、自衛目的で武装した民間組織である。

極端な話、自衛隊と似たような物だ。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「………」

 

続く言葉を待つが、貝のように口を閉ざしてしまっている。

どう見ても続きを言う気は無いようだ。

 

「あ、あの、以上……ですか?」

「以上だ」

 

出来る限りの笑顔で麻耶が聞くが、絶対零度の無慈悲な返事が飛ぶ。

 

(これまた厄介そうなのが)

 

一樹は、ラウラのオーラが無色に近いのを感じ取った。

そういったオーラの持ち主は、何時も[自分]を持っていない人間だ。

そういった人間は、行動が一番読めないのである。

 

「!貴様らが!」

 

不意に、一樹と秋斗を視界に収めたラウラが怒りの表情を浮かべる。

 

「私は認めない!貴様らがあの人の弟などと!」

「俺には兄も姉も居ない」

 

絶対宣言と吠えるラウラに、一樹は平然と返す。

同時に、HR終了のチャイムが鳴る。

 

「あー……ゴホンゴホン!ではHRを終える

各自着替えて第二グラウンドに集合、今日は二組と合同で模擬戦闘訓練を行う

ISスーツが無い者は指定水着か下着で来い、以上解散!」

 

どう考えても問題発言の指示を言った後、千冬は一樹を見る。

 

「桜野、デュノアの面倒を頼む」

「了解しました」

 

何故秋斗ではなく自分なのか質問したかったが、

今は知る必要はないと結論を出した。

 

「君が桜野君だね、これから「口より足を動かせ」え?えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!」

 

シャルルが驚くのも無理はない、一樹はシャルルの手をつかむと

猛スピードで走りだしたのだ。

それも引っ張られてるシャルルが若干宙に浮くほどのスピードで、だ。

 

(やはり妙だな……やけに柔らかい)

 

シャルルの手の感触は妙に柔らかかった。

格闘術の訓練を女にしか見えない男()人間兵器の武闘家(伯母)に受けていた時、

一樹は鍛えている男の手と女の手の感触を知った。

シャルルの手の感触は、叔母に近いものだった。

しかし、一樹は思考を中止する。

現在HRは終わっている、そして女子の情報伝達速度はインフルエンザクラス、

そしてシャルルは[転校してきた男子生徒]、つまり

 

「転校生発見!」

「しかも桜野君と一緒!」

 

軍隊蟻の如き人数で他の生徒たちが向かってくる。

追いつかれれば囲まれて質問攻めにあい、遅刻する。

千冬が受け持つ授業で遅刻すればめんどくさくなる。

 

「いたっ!こっちよ!」

「者共!であえであえ!」

「何時からここは武家屋敷になった?!」

 

今にも法螺貝を持ち出しそうな面々に突っ込みつつ、

一樹は更に速度を上げる。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

シャルルがまるで風に靡くマフラーのように、地面に対して

ほぼ平行に浮かびつつあった。

 

「桜野君や織斑君の黒髪もいいけど、金髪もいいわね」

「しかも瞳はエメラルド!」

「今年の題材は決まったわ!当然桜野君が攻めで!」

「きゃあああっ!見て見て!二人!手!手繋いでる!」

「日本に産まれてよかった!ありがとうお母さん!

今年の母の日は河原の花以外の物上げるね!」

「毎年ちゃんとしたものプレゼントしろ!」

 

拾われっ子の一樹にとって親や家族はとても尊いのだ。

勿論父の日には、様々なプレゼントを渡す。

河原で花を積んで渡すなどするわけがない。

 

「な、何でみんなこんなに騒いでるの?!」

「男が俺達だけだからだ」

「……?」

 

意味が分からないらしく、シャルルは疑問の表情を浮かべる。

 

(自分が男だと認識していない?)

 

益々シャルルに対して不信感を募らせるのだった。

 

 




次回はMGヒロインを登場させます。
誰を登場させるか悩みましたが、現在少ないので
リクセルのヒロインを登場させることにしました。
ついでに、活動報告に更新があります。
良ければ見て、ご意見を送って来てください。
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