-MS-メタリックストラトス《更新停止》   作:アルシェス

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さて、いよいよシャルルの一件が一樹にばれます。
まあ、皆さんには一樹がどんな反応をするか予想できるでしょうが。


男装、チンピラ、アリーナにて

放課後の後、同室になっていた一樹とシャルルは部屋に戻った。

麻耶曰く、「桜野君と同室なら問題は起きない」だそう。

確かに怖がられている一樹と一緒ならそうだろう、来る人間が少ないのだから。

それに一樹は同性愛の趣味を持っていない、問題となる点が無いのだ。

 

(やっぱりおかしい)

 

一樹はラウラの事を横に置き、シャルルについて考えていた。

自分が男であると認識していない節があったり、着替えを見られるのを嫌がったり、

男にしては不自然な点が多いのだ。

 

(やはり男装か?しかしリスクが大きい上にメリットが少ないぞ)

 

一樹は思考を巡らせる。

男性操縦者のデータが目的であり

確かに同性ならば接触しやすいだろうが、ばれた時のリスクは大きすぎる、

最悪国際問題の火種になるだろう。

ハッキリ言って整備員でも送った方が効率も安全性も高い。

それにいつの時代も男の最大の弱点は女、

魅力的な代表候補生をハニートラップ要員として送り込んだ方が

実る可能性も安全性も遥かに高い。

つまり、態々男装する必要が無いのだ。

 

(何か別の目的があるのか?……ん?)

 

一樹は再度思考に老けるが、ノックが聞こえたので

銃を何時でも撃てるようにしてドアを開ける。

そこに立っていたのは麻耶だった。

 

「山田先生?」

「えっと、デュノア君は一緒じゃないんですか?」

「今は俺だけです、ご用件は?」

「はい、男子の大浴場開放日が週二日に設けられたんです」

「態々どうも」

「いえ、仕事ですから」

 

会話を終えた一樹は、ボディソープが切れていたことを思いだし、

クローゼットから替えを取り出し、

ドア越しに一声かけて置いておこうと脱衣所に近づき、

 

ガチャン

 

ソープが切れていることに気付いて探そうとしたのだろう。

ドアを開けたシャルルのご対面してしまった。

シャワーを浴びていたので当然シャルルは一糸纏わぬ姿であり、

男性の象徴は無く、代わりに女性の象徴が立派に張り出していた。

 

「い、い、いつ……き?」

「Cくらいか、そこまでデカくはないが、形がいい」

 

前にも言ったが、[子は親に似る]その言葉に血縁は関係無い。

父である樹の、[ムッツリスケベ]という面もしっかり受け継いでいるのである。

ニヤリと笑いながら、肉食獣の様な目付きで一樹は言うが

目的を思いだし、ソープを手渡す。

 

「ほい替え」

「あ、ありがとう……」

 

一樹はさっさと後ろを向き

 

「眼福眼福♪」

 

舌なめずりをしながら呟いた。

 

「ッ!エッチ!」

 

赤面し、シャルルは勢いよくドアを閉めるのだった。

それを尻目に、一樹は茶を沸かし始める。

しばらくして、シャルルがジャージに着替えて一樹の前に座る。

同時に、一樹は沸かしたお茶をカップに注いでシャルルに差し出す。

 

「一樹、気づいてたの?」

 

少しの沈黙の後、シャルルが口火を切った。

 

「確証はなかったから黙ってたんだけどな」

「なんでわかったの?」

「不自然すぎるんだよ、ネットにも新聞にも

フランスで男性操縦者発見のニュースは載ってなかったし

手の感触は女のそれだったし、着替え見られるの異常に嫌がるし

自分を男だと認識していない節があったし」

「バレバレだった……ってことか」

 

シャルルが茶を一口含み、苦笑を浮かべる。

 

「僕を突き出す前に聞いてくれるかな?…僕のこと」

「聞くだけ聞いてやる」

「…ありがと僕はね、妾の子なんだよ

僕の父はフランスのデュノア社っていう大きな会社の社長なんだけどさ、

最近経営が上手くいってないんだ

ヨーロッパ合同で第三世代型IS開発を行う[イグニッションプラン]からも除名されてるんだ

元々第三世代型の開発が遅れてしまっているし、そこで都合よく現れたのが君達と僕

母が死んでから引き取られてテストパイロットなんかをやっていた

僕を君のデータ取りと広告塔に使うことになったんだ。四人目の男性操縦者としてね

逆らうことなんて出来なかった、だって僕には…誰も味方がいなかったから…」

 

話を聞いているうちに、一樹は段々暗い表情になっていき、

終わった途端、吐き捨てるように言った。

 

「貴様、人形だな」

「え…?」

「今この瞬間だって、俺に突き出されるのを黙って待ってる

貴様には自分の意思は無いのか?

貴様は今まで自分で何かを決めたことあるか?」

 

殺す時も、守るときも、死を覚悟した時も

常に自分の意思で戦ってきた一樹にとって、

ただ流されて生きるシャルルは不快な存在だった。

 

「誰かが決めるまま、命ずるままに従って、なすがまま

くだらない、話にならないな」

 

見下すような視線を向ける一樹に、

シャルルは目尻に涙を浮かべて抗議する。

 

「君に!一樹に何がわかるのさ!

母さんが死んで、誰もいなくなって、どうしようもなかったんだよ!

僕には、選択肢なんて!」

「そうやってお前はすべてを誰かのせいにする

母さんの、父さんの、そして今度は俺のせいにしようとしている

俺に決められたからだと言い訳しようとしている…付き合ってられるか」

 

そう言いつつも、一樹には気持ちが分かった。

記憶喪失のまま訳も分からず戦闘に巻き込まれた自分。

もしも樹に拾われなければ、今のシャルルの様になっていたかもしれない。

 

「僕は…どうすれば…」

「特記事項第21、本学園における生徒はその在学中において

あらゆる国家・組織・団体に帰属しない

本人の同意が無い場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする」

「え?」

「つまりお前が黙っていれば三年の猶予がある

例え国家政府の方が決定権を持っているとしても

この事項がある限り、ホイホイ手出しはできない

その間にどうしたいか決めろ、後は知らん」

「いいの…?許してくれるの?ずっと騙していたのに…」

 

敵でなければ許す、青臭いと思いながらも

理想を持つ彼なりの信念である。

 

「疑っていたといっただろう、騙されてなどいない」

 

蹲り泣きじゃくるシャルル。

一樹はただ好きにさせていた。

____________________________________________

 

翌日の昼休み、トイレから出てきた一樹をラウラが待ち構えていた。

 

「何の用だボーデヴィッヒ」

「貴様、ここの生徒共の温さが気に入らないそうだな」

 

ラウラがニヤリと笑う。

 

「少々気に入らないが、水に流す

お前は我がドイツに来い、模擬戦闘で見せた力

ドイツ軍でこそ生かされる」

「断る」

 

コンマ以下の速さで即答する。

 

「何故だ!お前も軍人だろう?!」

「何でスカウトで命令口調なんだよ

それに俺はPMCだ、軍とは違う」

 

実際そうである、フォーチュンはPMC

[やることの多い傭兵組織]である。

 

「それにドイツに行く理由も必要性も一切無い

何が水に流すだ、そこまで偉い立場でもないだろう」

「力づくで連れて行ってもいいんだぞ」

「お前はマフィア……いやチンピラだな」

「何だと?!」

 

心底呆れた表情を浮かべ、一樹は疑問を口にする。

 

「お前は本当に軍人か?初対面からずっと疑問なんだが」

「私のどこか疑問なんだ!!」

「全部力で抑えようするところ、それと気が付いていないのか?」

「何を訳のわからんことを!!」

「軍人はこれ見よがしに力を振るったりはしない

とにかく、俺はドイツにも軍にも下る気は黙祷無い

リクセルも同じだ、お前みたいなチンピラ紛いとは違う」

 

用は済んだと、一樹はラウラを無視して通り過ぎる。

 

「まて!ッ?!」

 

掴み掛ろうとしたラウラは、一樹によって5メートル後ろに投げ飛ばされた。

____________________________________________

 

時は進んで放課後、アリーナに秋斗と箒が居た。

散々見下してきた一樹に追い抜かれた悔しさをバネに、

箒を練習台としてLVUPを図っているのである。

最も、化け物エースの面々を相手取り、血を吐くほどの努力を重ねてきた

一樹に早々追いつけるわけもないが。

二人が更に熱中し、切り結ぼうとしたその時である。

突如、二人の間に砲弾が撃ち込まれた。

二人は何とか回避、そして飛んできた方向を見る。

そこには、大型の実弾砲を装備した漆黒のISを纏うラウラが居た。

 

「君、模擬戦に参加したいならやり方があるよ」

「そんな雑魚とお遊戯で模擬戦のつもりか?

さっさと私と戦え織斑秋斗」

 

お互いに、嘲笑うような薄気味悪い笑顔を浮かべる。

 

「とは言ってもね、やる理由がないんだけど」

「ふん……まあいい」

 

そのまま戦うのかと思いきや、ラウラはピットに戻っていく。

 

「あれ?威勢がいい割には臆病だね」

「ハッ、貴様など桜野一樹に比べれば取るに足らん雑魚だ

何時でも潰せる小物の分際でほざくな」

 

[一樹に劣る]その言葉が相当頭に来たらしい。

秋斗の顔が見る見る怒りで真っ赤になっていく。

そして思い人をバカにされた箒もまた、怒りで表情が歪む。

 

「図に乗るなよ屑がぁ!」

「秋斗をバカにするな」

 

二人同時に突っ込み、ブレードを振るうが

ラウラは難なく回避し、箒に伸ばしたワイヤーを巻き付け秋斗に叩き付ける。

流石に大事な人だからだろう、秋斗は回避できずに

もろに命中し、箒共々壁に叩き付けられる。

そして軍人のラウラがその隙を見逃すはずもなく、実弾砲を連射

纏っていたのが量産機だった箒のシールドエネルギーが尽きてしまう。

 

「貴様ぁぁぁぁ!」

 

何時ぞやに見た鬼の形相を浮かべ、秋斗は再度突進する。

他に攻撃手段は無いのかと言われるだろうが、

白式に装備されてるのはブレード一本。

飛び道具はおろか、牽制用の手榴弾さえ無いのである。

だからこそ、攻撃はどうしても単調になってしまう。

全く同じコンセプトの機体でブリュンヒルデとなった

千冬がどれだけ異常かは想像できるだろう。

 

「ふん」

「な?!」

 

面打ちをしようと振り下ろした腕が、まるでTVの[一時停止]ボタンを

押した時のように止まってしまう。

ラウラの専用IS、[シュヴァルッアレーゲン]に搭載された

第三世代型兵器、[AIC]である。

ISは元々PICと呼ばれる、慣性を操作する機能がついており

これによって空中での浮遊、加速、停止ができるのだが、

AICはこれを応用し、空間にエネルギーを作用させて

物体の動きを止めることができる、原則一対一のIS試合では

反則級の兵器である。

そう、一対一でブレードしか持っていない秋斗に最早勝算は無い。

そして秋斗は実弾砲を立て続けに喰らい、

シールドエネルギーが残り僅かになってしまう。

そして、ラウラはシールドエネルギーがゼロになったからと言って

攻撃を緩める気など一切無い。

 

「死ね、教官の恥晒し」

 

右のアンロックユニットに装着されていた大型リボルバーカノンが、無情に放たれた。

 

 





活動報告でもう一度アンケートを取り、
[IS×アリアンの小説]の大まかな方針を決めたいと思います。
というか、票を送って来てください、意見が全く来ないんです。
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