あくまで一夏です。
始まり方はガンダムをイメージしています。
宇宙、人類のもう一つの故郷であるそれを一隻の戦艦が進んでいた。
まるで潜水艦の様な流線型の外観とヒレに見える飛行翼で、そのデザインは
どこかイルカを思わせる、一種の遊覧船のような形状の戦艦だった。
形式番号RAB-001、エンタープライズ級小型飛空強襲艦第一号デルフィング
それがこの船の名前だ。
そのブリッジ部分の艦長席に、一人の人物・・・いや少女が座っていた。
肩辺りで切り揃えられた赤に近い茶髪に柴色の瞳
パッチリと開いた目にふっくらとした頬と愛らしい童顔が細い首に乗り
小柄な身長と相まって幼い印象を浮かばさせる。
柿崎夕日、それが彼女の名前である。
本来なら小学校を卒業するかどうかという年齢だが
彼女は遺伝子操作されたデザインチルドレン、生まれながらの天才である。
ゆえに一隻の戦艦の艦長を任されているのである。
「艦長、これが新型機の資料です」
慣れた手つきで、長身の人物が彼女に資料を差し出す。
腰に届くであろう艶やかで指通りが良さそうな黒髪に
一流職人が作り上げた人形のような端正な顔立ち。
細い手足と女性が羨むであろう美貌を持つが、彼はれっきとした男性である。
桜野樹、それが彼の名だ。
デルフィングに所属するリンゲージであり、開発に係わる技術者でもある。
「・・・・・・この新型ガーディアンは貴方の設計ですね?」
「そうですよ、良くお分かりで」
「二つ目でV字のアンテナを持つカエリバ級は全て貴方の設計ですからね」
「あはは、私の趣味ですからね」
ガーディアン、遺跡で発掘された謎の金属
巨大な人型ロボットの総称。
分厚い装甲と、ALTIMAから発生するAL粒子によるバリアにより
戦車砲はおろか艦砲の直撃にも耐える防御力、
人型のため多彩な武装を扱い、陸海空と戦いの場所を選ばない凡用性と攻撃力、
さらにAL粒子によりレーダー、センサーを無効化するなど
戦車や戦闘機等、従来の兵器を圧倒する存在である。
「・・・しかし、これまた変わった機能をつけましたね」
「ええ、これによって・・・」
樹が説明をしようとしたその時、
「艦長!目的地コロニーより救援要請!ディスティニーと思われます!」
目的地だったコロニーから、武装組織に襲撃されているとの救援信号が飛んできた。
「説明は後でします」
樹はそう言い残し、ブリッジから出て行った。
「総員、第一種戦闘配置、発進可能な機体は直ちに発進してください」
「了解、総員、第一種戦闘配置!繰り返す!総員、第一種戦闘配置!」
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パイロットスーツに着替えた樹はそのまま格納庫に向かい、
一体のガーディアンの前で立ち止まった。
二つのカメラによる紅いデュアルアイとV字のアンテナ、
全体的にほっそりとした外観で、背中には翼のようなスラスターを持つ、
どこか恐ろしさと優美さを感じる漆黒の機体。
ニーグルムアーラ、樹が自身の愛機として設計したオーバーロード級ガーディアンである。
ガーディアンは幾つかの種類、クラスに分けられており
カエリバ級は性能のバランスが最も良く、最も普及したクラス。
オーバーロード級はカエリバ級を更に発展させたクラスである。
ヘルメットを被り、胸の部分にあるコックピットに向かって
樹は床を蹴って飛び上がった。
重力が存在しない宇宙空間に船があるので、問題無くコックピットに滑り込む。
「ホント、平和は遠いね」
自傷気味に苦笑した樹は、操縦桿を握ってハッチを閉じようとした。
「たっつきちゃん、私も行くよ」
耳障りの良い、ソプラノボイスに下を向くと、一人の女性がパイロットスーツ姿で立っていた。樹と同じ艶やかで指通りが良さそうな黒髪を腰まで伸ばし、
愛らしい童顔と150cmとかなり小柄な身長をしている。
桜野香、これでも樹の姉であり、腕っ節自慢の成人である。
「姉さんも行く気?」
「大事な弟を一人に出来ないからね」
「さっさと弟離れしろこのブラコン」
ニッコリと笑いながら、香は自分の愛機である
香そっくりな外観をした機体のコックピットに入る。
スカーレット・ワルキューレ、香専用のクラッシャー級ガーディアンである。
クラッシャー級はカエリバ級を[クラッシャーバトル]という競技大会用に改造した、
搭乗者の動きと機体の動きを連動させる
近接格闘戦に特化したクラスである。
「あのブラコンは」
呆れながら、樹は機体を大型エレベーターに乗せる。
エレベーターは上に上がり、ニゲルルプスを甲板に移動させる。
エレベーターが止まると、ニゲルルプスはカタパルトの足場を踏み、
姿勢を整える。
『進路クリア、発進どうぞ』
「桜野樹、ニゲルルプス、出る!」
オペレーターの合図と共に、樹はペダルを踏み、
ニゲルルプスは背中にあるスラスターを吹かして飛び出した。
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スペースコロニー。
人類が宇宙進出の足場として建造した、人工の大地。
全長は20kmから30km、半径は6kmの円柱を一回一分五十秒の速さで高速回転させ
その遠心力によって重力を発生させている。
その内部にある森林地帯、その中で一夏は目を覚ました。
彼は困惑する、見知らぬ場所に自分が居ることに、そして自分自身に。
しかし森の中で混乱していても事態は変わらない、彼は歩き出した。
しかし、悪いことは重なる物だ。
ズドーン!
轟音と爆発、目指していた住宅地帯から幾つも見え聞こえした。
確かめなければと思い、一夏は走り出した。
「巨大な・・・・・・ロボット?」
横にに割れたゴーグルの様な目をした、巨大なロボットの一団が
手にしたマシンガンやバズーカを、建物や人に向けて撃っていた。
さながらSF映画の様な光景に、一夏は困惑する、しかし彼は止まらなかった。
目の前に怪我をして動けなくなった少女が居たからだ。
「立てるか?」
「あ、足が・・・・・・」
どうやら転んだ拍子に捻挫したらしい。
一夏は少女を抱きかかえ、安全そうな場所に走り出した。
目に付いた安全そうな場所は、軍事基地だった。
少女を守るために、生き残るために一夏は必死で走る、
ようやくたどり着いたが、事態はさらに悪化した。
「!怪獣?!」
2mから4mの、鋭い爪を持つ怪物の群れが出現した。
数が多く、応戦している別のロボット一団も劣勢だ、
このままでは抱きかかえているこの子も死んでしまうかもしれない。
「くそ!結局俺は無力なのか!」
自分でも良く分からない言葉で悪態を吐く一夏、しかし
運命は彼を見捨てるような真似はしなかったようだ。
「・・・?誰だ?」
言葉ではない、頭、いや心や魂に直接語りかけているような
不思議な声が、一夏を呼んだ。
それに従い、一夏は工場ブロックに歩を進める、
そして、自分を呼んだであろう存在を目にした。
「これは・・・」
それはロボットだった。
18mほどの全長で、細いが力強さを感じさせる外観、
純白で、デュアルアイカメラの人間っぽい顔とV字のアンテナが特別感をだしている。
周りに人はおらず、胸のコックピットハッチが
まるで待っていたかのように開いていた。
「お前か?俺を呼んだのは」
少女を頑丈そうなコンテナに隠れさせ、一夏はコックピットに身を沈める。
こんな物を扱った覚えは無い、だが確信に近いものを感じた、
[こいつを動かせる]と、[動かし方を知っている]と。
一夏は操縦桿をゆっくりと動かした、それに従い、機体はゆっくりと起き上がる。
今度は歩かせる、これもまた自分のイメージ道理に動いてくれた。
そして、ハッチを閉じるとモニターが点灯、
一部に[アルプスエクエス]と文字が表示される。
「それが、お前の名前か?」
モニターに怪物の群れと、虐殺を行ったデュアルゴーグルアイのロボット一団が写る。
「ここから・・・・・・ここから居なくなれーーー!!」
腰の両サイドに装着されていた短剣らしい武器を引き抜き、一夏は
[戦うべき相手]に向かっていった。
私は、原作一夏を見ていると思わず殴りたくなるので
この作品での一夏は原作とはかけ離れています。