-MS-メタリックストラトス《更新停止》   作:アルシェス

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最後に少しだけ一樹の過去を。
こんな風にチョビチョビと書いておこうと思います。


人と向き合うこと

電話を切った束は悩んでいた。

可愛い妹の頼みだから、してやりたいところだ。

しかし、どうしても一樹の言葉がちらつく。

束にはどうしていいか分からなった。

専用機は既に完成している、

[紅椿]、様々な形態に変形できる[展開装甲]と

複数の動力源を搭載している[第四世代型]のISである。

世界各国がようやく第三世代型の実用化に成功し始めている時に

一足飛びの代物を開発しているのだから、

束の技術がどれ程の物かは想像に難くないだろう。

しかし、束は一樹に殴られて以来、

自分の好き勝手に行動することに躊躇いが出た。

そして思ってしまう、紅椿をこのまま渡してよいのかと?

 

「ちーちゃん、私どうしたらいいのかなぁ……」

 

傍で見ていた少女が、悲しげな表情を浮かべていた。

 

_______________________________

 

フニュン。

 

(何だ?やけに柔らかい感触が……まさか)

 

一樹はゆっくりとベットから抜け出して、そっと

布団を捲る、そこにはある意味予想道理の光景があった。

 

(……落ち着け、何も鉄拳制裁をする必要など無い)

 

一樹のベットにラウラが寝ていたのだ、それだけならいい。

何と全裸、左目の眼帯と右太もものレッグバンド(IS待機携帯)以外は

何も身に着けていない、生まれたままの姿だった。

 

(だが怒りが収まらん)

 

一樹は朝が早い分、眠りと寝起きを邪魔されるのは

とても腹が立つのである。

ふと、一樹は考えが浮かぶ。

 

(悪く思うなよ)

 

何処からか丈夫そうなロープを取り出し、ラウラを布団で

簀巻きにして、さらにロープでしっかりと縛り上げる。

生憎一樹は据え膳だからと飛びかかるほど飢えてはいないのだ。

そして、頭に鉄拳を叩きこむ。

 

「っい!て、敵襲か?!なんだこれは?!動けない!

く、私を拘束するとは何て奴だ…」

 

そうやってジタバタするラウラを見ながら一樹は思う。

 

(あのまま亀甲縛りにした方がよかったかな?

でもってお望み道理調教して……)

 

その光景を想像して涎が垂れ始めるが、直ぐに切り替えて

ラウラに話しかける。

 

「敵襲など無い、さっさと戻ってこい」

「む?そうなのか?ではこれは一体?お兄ちゃんがやったのか?」

「ああそうだ、それとナチュラルにお兄ちゃんと呼ぶな」

「しかしお兄ちゃんはお兄ちゃんではないか、それ以外なんと呼ぶというのだ?」

 

そのブレが一切無い考え方に、一樹は頭痛がしてくるが

取り敢えず説教を始めることにした。

 

(やっぱり亀甲縛りで○○○した方がよかったかな)

 

なんてことを考えながら。

 

「取り敢えず、どうやって入った?鍵はかかっていたはずだが」

「ふっ!あの程度のロックなど私の前では無意味だ!」

「できてもやるな!次だ、なぜ俺のベットで寝ていて、なぜ服を着ていない?」

「おかしなことを聞く兄妹が一緒に寝て何がおかしい?

そういうものだとクラリッサから聞いたぞ?服は眠るときは着ないのだ、邪魔だからな」

 

クラリッサとは、ラウラが隊長を務めるIS部隊[シュヴァルツェ・ハーゼ(黒兎)]の

副隊長であり、かなりの日本マニアらしい。

ただし、知識の大部分は日本の漫画アニメなので、よくある

[日本文化を色々勘違いしている外国人]である。

ラウラは基本一樹を口説く方法をクラリッサから聞くので、

今回の様に犯罪紛いの行動も疑わずにやってしまうのだ。

 

「…今後そのクラリッサから聞いたことは報告しろ」

 

もしクラリッサに会うことがあれば、樹直伝の説教を

してラウラに変な入れ知恵をしないようにしようと決めた一樹だった。

 

「ん?よくわからんがお兄ちゃんが言うならそうしよう

ところで、そろそろこれを解いてくれるとうれしいんだが…」

「馬鹿者、解くわけないだろ?お前はこのまま担いで部屋に放り込む」

 

そもそもシーツの下は何も着ていないのだから当然である。

宣言道理、一樹は簀巻きラウラを右肩に担ぐ。

見る見るラウラの表情が青くなっていった。

 

「へ、部屋はやめてくれ!デュ、シャルロットに何をされるかわからない!

怒ったあいつはすさまじく怖いのだ!」

 

シャルロットが何をしたのかは触れないと決め、

一樹はもう一つの処分法(誤字にあらず)を口にする。

 

「ならば寮監室だ、ちなみに寮監は織斑先生だぞ」

 

すると尚更顔色が悪くなった、具体的に言えば

青い塗料をぶちまけた様に目に見えて。

 

「んなっ!教官だと!?お、お兄ちゃんは私に死ねというのか!

シャルロットより不味いではないか!」

 

元々一樹は許してやる気など目頭無いのだ。

担いだまま怖い笑みを浮かべる。

 

「これに懲りたら、もう勝手に人の部屋に入らないことだ

だが俺も鬼ではない、どちらがいいかだけは選ばせてやる

さあ選べ、どちらがいい?」

「鬼だ!悪魔だ!ど、どうすれば…!こ、こんな時こそクラリッサを…

って通信機は部屋ではないか!このままでは怪物の口の中に…!」

 

問答無用と、一樹はドアに近づく、その時。

 

「いーつきー!起きてるー?

よければ一緒に食堂行こうよー!」

「今日は相談したいことがあるから」

 

一樹を朝食に誘おうとしているらしい、

シャルロットと簪の声が聞こえてくる。

 

「シ、シャルロット…」

「ご愁傷様、ラウラ」

 

憐れラウラ、最早逃げ場は無い。

 

「一樹?あれ、鍵が開いてる?入るよー?」

「あ、あぁぁ!」

「一樹起きてたの?なんで返事…」

 

ドアを開けたシャルロットは、一樹と担がれているラウラを交互に見て、

何故か身の危険を感じる笑顔を浮かべて

 

「うん、じゃ!行こうかラウラ!」

 

確かに怖いのだが、一樹はもっと怖い人間を身近に感じていたので

大して脅威も恐怖も感じない。

 

「助けてくれお兄ちゃん!私は、私はまだ死にたくない!」

「何を言う、選ぶ手間が省けてよかったな」

「あはは!何言うのさ、ちょっとお話するだけだよ!…ね?」

「いーやーだー!」

 

シャルロットの笑顔が相当怖かったらしく、簪は

一樹の袖を握りしめて、ラウラを引き摺っていくシャルロットを

見送りながら震えていた。

 

「食堂に行こう」

「……うん」

 

何事もなかった様に、一樹は食堂に歩いて行った。

 

________________________________

 

モノレールの駅の柱に、一樹は一人もたれ掛かってスマホを弄っていた。

格好は青いジーンズに白いTシャツである。

Tシャツは真っ白だが、赤い糸でナイフを咥えた髑髏が掛かれており、

少々悪趣味と言える服装だった。

ついでに見えないだけで、しっかりと拳銃も所持している。

 

「お、お待たせ……」

「時間ぴったりだな」

 

半袖のホワイトブラウスとライトグリーンのタンクトップ、

そしてタンクトップと同色のふわりとしたティアードスカートと

夏によく似あうおしゃれな私服に身を包んだシャルロットが

頬を赤くした状態で一樹に近づいてきた。

先日、二人は一緒に買い物に行く約束をしていたのだ。

ついでに言うと、二人揃ってこれがデートだと認識している。

一樹は他人からの好意には鈍いが、それでも分かる時は分かる人間だ。

自分が知らず知らずの内に相手を惚れさせてしまう

[特級フラグ建築士]だという事もちゃんと知っているのだ。

最も、樹に言われるまで気付きもしなかったのだが。

 

______________________________

 

それは、一樹が飛翔学園中等部に入学して少し経った時のこと。

仲良くなった女子生徒に告白されたのだが、

一樹は全く気付かないまま、ふざけてるとしか

思えない勘違いをして泣かせてしまった。

 

「一樹……歯ぁ食い縛れ!」

 

その日の内に、樹に鉄拳を頂戴した。

そして、何故泣かせてしまったのか理解させられた

 

「分かるか、お前はその娘の思いを踏みにじったんだ

人としてやっちゃならねえことをしたんだよ」

 

翌日には彼女は転校してしまい、謝ることができなかった。

彼女は親の都合で引っ越すことが決まってしまい、

最後の最後で告白することにしたのだが、

一樹はまったく気づくことなく踏みにじってしまった。

 

そしてリーリン。

彼女は必死の思いでキスをせがんだのだが、

嘗て思いを踏みにじってしまった一樹は、そのまま逃げてしまい

また樹と香に鉄拳を頂戴することになった。

 

「それが女の子にとってどれだけ勇気がいることか分かる?!

アンタのそれは唯怖いからって逃げただけ

獣でさえない、唯の虫けらよ!」

「一樹、お前が自分自身の事を情けなく思ってるのは知ってる

だが逃げるな![今]から背を向けるな!」

本当の意味で硝子細工みたいに脆い奴なんていないんだから」

 

こう言われた時から、一樹は[人]と逃げずに向き合おうと決めた。

相手を理解できるようになろうと決めた。

自分のせいで誰かを泣かせることは、二度としたくないのだから。




一応出番が少なくなっている簪を出してみましたが……おいおい
出る意味がねぇ……
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