-MS-メタリックストラトス《更新停止》   作:アルシェス

24 / 47
タイトルの意味はすぐ分かるでしょう。
というかいい加減デルフィングクルーを出すべきか……


フォーチュンの辞書に情け容赦の単語は無い

「いやはや、眼福眼福♪」

「一樹よ、私は戦友(とも)として時折主が恥ずかしく思える」

 

美少女達の水着姿を見て隠す気も無く言う一樹に、

リクセルは額に手を当てて溜息を吐く。

二人共トランクスタイプの水着を穿き、リクセルは水泳用パーカーを羽織る。

二人揃って顔立ちが良く、鍛えられているゆえ引き締まった体が

まるでモデルの様に思える。

 

「そうですわ、そうやってスケベなのを隠そうとしないのはどうかと」

 

パレオが付いた青いビキニを纏うセシリアも溜息をつく。

 

「これさえなければねぇ(鈍感に比べればましだけど)」

 

オレンジと白のストライプ柄の

スポーティーなヘソ出しタンキニタイプを着た鈴音が同意する。

 

(一樹、私はどう思ってくれるのかな?)

 

薄いライトブルーのワンピースタイプを着た簪が、少しばかり違うことを考える。

 

「さくらんのえっちぃ~」

 

狐の着ぐるみを着た本音がクネクネと身を捩りながら言う。

生憎、着ぐるみでは色気など一切感じないが

 

(((それでどうやって泳ぐ?!)))

 

珍しく、心の声が一致するのだった。

 

________________________

 

あの後、一樹とリクセルが競争だと言って泳いだのだが

途中から揃って水面を走ったり、ビーチバレーで

デットボールを連発したりと、やけに白熱していた。

そして夕食の時間、昼も刺身があったが

今回の膳にも刺身がある、しかも最近高級品となってしまった

カワハギ、さらに肝付きである。

しかし残念なことに、セシリアは刺身を口に入れることができない。

まあ、魚を生で食す習慣が無いヨーロッパ人なのだから当然だろう。

しかしシャルロットは日本慣れとでも言うべきもので、平然と食べられる。

ラウラもリリーも、サバイバル訓練を受けているので

生物を食べることなど出来て当然であり、リクセルも平気だ。

元々日本人であり、フォンブラウン家も何故か悪食が多かったため

刺身ぐらい普通に食卓に並んだ。

一樹は言うに及ばない、イズモは日本とほぼ同じ文化の土地だ。

当然、刺身くらい存在するし、桜野家の夕食は基本和食、

刺身は家族揃っての好物の一つである。

 

「ほんと、高校生の食事じゃないぜ」

 

わさびも大根やセイヨウワサビの練りワサビではなく本ワサビだ。

いたりつくせりとはこのことを言うのだろう。

 

「お兄ちゃん!この緑のものはなんだ?」

「それはわさびだ、刺身につけて風味を楽しむんだ。

あぁ、一気に食べるんじゃないぞ?単体だと辛いからな」

「わかった!…んんっ!確かに辛いな!

でも香りが豊かでおいしいぞ!」

 

なんとも微笑ましい光景である。

親子とも歳の離れた兄妹とも見える二人に、

周りに居た面々は自然と頬を緩ませる。

 

「しかし本ワサビか……いくら金をかけているのだろうな?」

「本ワサビ?」

 

隣に居るシャルロットが聞く。

 

「スーパーで売っていたり、一般的な食堂に置いてあるような

わさび大根やセイヨウワサビを使っている物を練りワサビと言うのだが

これは本物のワサビをすりおろした物だ、なかなかお目にかかれないな」

 

前に家族旅行で口にしたことがある。

まあ、その後温泉の男湯に香りが乱入してきて驚いた記憶が

真っ先に浮かぶのだが、やはり五感の一つである味覚の記憶、

しっかりと残っているのだ。

 

「嵐の前の静けさ…なのだろうな」

 

誰にも気づかれないように、そっと呟いた。

 

___________________

 

時間を進めて、教員室。

一樹とリクセルは飲み物を買いに行っており、

秋斗は入浴の真っ最中だ。

一樹とリクセルは日課の筋トレと組手を終えて

汗を流したので秋斗より先に入浴を済ませている。

 

「で、揃ったから聞くが…お前ら、あいつらの何処が良いんだ?」

 

夜這いでもする気だったのかと言いたくなるほど、

男子面々と仲がいい面々が揃っていた。

 

「わ、私は幼馴染だから面倒見てるだけで……」

「よし、秋斗にそう伝えておこう」

「い、言わなくていいです!」

 

素直になれない箒を見ながら、千冬はクククと笑う。

 

「私は一度助けていただきました、それで恩返しの為に

実家にメイドとしてお仕えすることになったんでっすが

いつの間にかそれだけでは我慢できなくなってたんです」

 

次にリリーがそっと口を開いた。

 

「助けられた?」

「私はとある研究所で遺伝子操作のすえ生まれました、

そしてリクセル様に会うまで、少年兵でしたから」

 

一同が驚く、まさか同級生にそんなことがあるとは思わなかった。

 

「私は…あの人の騎士の様な高貴さと誇り高い人柄に……」

 

今度はセシリアがしどろもどろで言う。

よく考えたら、好意を寄せる相手が最も多いのは一樹だ。

どこでこれだけの差が出たのだろうか?

 

「私は、まるでヒーローみたいなカッコよさに」

 

ヒーローに強いあこがれを抱く簪が言う。

勿論それ以外にも理由はあるが。

 

「わたしは~好きな時に甘えさせてくれるさくらんに懐きました~」

「猫かお前は!」

 

千冬が一同を代表していった。

惚れたではなく懐いたとは……何といえばいいのだろうか?

 

「私は、初恋の相手に惚れ直した結果です」

 

耳を澄ませないと聞こえないような声で鈴音が呟く。

結構な恥ずかしがりやと言えるだろう。

或は、普段の気が強い面の裏返しか……

 

「私は人間としても操縦者としても素晴らしい強さと

分かりずらいですが暖かさを感じる人柄に惚れました!」

 

流石ラウラ、ここまで堂々と言えるとは。

まあ精神面が幼子と大差が無いのだから当然かもしれない。

実際、一樹を[親]か[兄]として成長の真っ最中なのだから。

 

「僕はその……厳しいけど時には優しいところに」

 

誰に対しても優しい男は、誰に対しても股を開く女と同じ、

一夜の相手にはいいが、今後の付き合いはお断りと思ってしまう人間なのだそうだ。

誰だって好きな相手には自分だけを見てほしいもの、

懐に一人しか入れないなら、その[一人]になりたいと思うだろう。

 

たわいもない時間は、そうして過ぎていった。

 

_______________________

 

臨海学校の二日目は、ずっとISの各種装備の試験運用とデータ取りに忙殺される。

その中でも専用機持ちは大量の装備が送られてくるのだから大変である。

生憎一樹とリクセル、リリーはデータ取に参加しない契約をしているのだが。

 

白式は雪片以外の武装を受け付けないので新装備は無し。

ブルー・ティアーズに強襲用高機動パッケージ

甲龍に機能増幅パッケージ

シュヴァルツェア・レーゲンに砲戦用パッケージ

打鉄弐式に防御用パッケージが送られる。

シャルロットにはようやく専用機が送られて来た。

 

(すばる)]全体的にスリムながら、どこか力強さを感じる

エクエスと似たような印象の機体だった。

ついでにこの機体、一樹の書いた設計図を基に

元デュノア社の社長面々が開発している。

実は社長のセイクリッドとシャルロットの母アクレシアは

お互いに愛し合っていた仲だったのだが、家の事情で

仕方なく別の女性と結婚した。

その後、密かに資金等の援助をしつつ

会社を大きくし、やがて駆け落ちをするつもりだったらしい。

しかしもう少しというところでアクレシアは事故死、

セイクリッドはショックから立ち直れず、結婚相手に

権限をほぼ掌握される結果になってしまった。

それでもシャルロットを守るために男装させてIS学園に送ったそうだ。

そうすればフランス政府にも会社にも交渉時の弱みを作ることができ

娘の安全を保障できると考えた。

実際大当たりで、シャルロットの帰化に反対できる権力者は一切いなかった。

その後結婚相手が起死回生策として開発を命じた新型機のデータを

信頼できる面々と奪取して脱走、彼らもまた帰化して日本の研究部署で働いているそうだ。

そして技術畑出身のセイクリッドを中心に

多少難航しながらも昴の開発に成功したという。

余談だが、結婚相手もその配下も女尊男碑で権力を得た

無能ばかりなので、デュノア社は近い内に潰れるそうだ。

 

気になることに、専用機を持たない箒が

専用機面々に加わっている。

 

「よし、全員集合したな、これより各々の

専用機の武装のデータを取っていくそれでは…」

「え、えっと織斑先生…?

箒は専用機持ちじゃないんじゃ…」

 

鈴音が疑問を口にする。

 

「…ああ、そのことか

篠ノ之、お前には今日から専用機を…」

「ちーちゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!!」

 

崖を人型の何かが駆け下りてくる、言うまでも無く束だ。

学園の関係者以外立ち入り禁止も何のそのであるが、残念ながら

ここには束の暴走を問答無用で止められる人間が居る。

一樹は整備用の大型スパナを取り出し、野球の要領で振るう。

 

「ぐほえ」

 

丁度振るった時に目前に居た束の腹に直撃、

奇妙な声と共に束は吹っ飛び、海に沈む。

しかしISの絶対防御か何かを纏っていたのだろう、

殆ど這うようにだが戻ってくる。

 

「いっくん……せめて優しく」

「よし死ね」

 

今度は人の頭を簡単に潰せそうなハンマーを何処からか取り出し、

束目掛けて振り下ろす。

しかし千冬に止められ、事なきを得る。

 

「桜野、気持ちは分からなくはないが今はやめろ」

「分かりました、次は確実に息の根を止めます」

「いや止めないで!お願いだから!」

「黙れ不法侵入者、学園の関係者以外立ち入り禁止だからさっさと帰れ

何なら今すぐこの場で地獄に還してやろうか?」

「た、束さんは死人じゃないよ?!というか本当に止めてくださいお願いします」

 

もはや唖然としか出来ない光景である。

 

「取り敢えず自己紹介しろ」

「殴らない?」

「安心しろ、殴られたと認識する前にあの世行きだ」

「うわぁい、それなら安心……じゃないよね!? それもっと危険だよね!?

まだ死にたくないよ!とにかく許して!お願いだから!」

 

最早土下座で命乞いをする束。

まあ、一樹が笑ってチェーンソーを持ってるのだから当然かもしれないが。

取り敢えず束は唖然としたままの面々に向き直る。

 

「私が天才の束さんだよー、終わり」

 

くるり、と回ってみせ、そう自己紹介。

そこまで来てやっと、残った生徒達は目の前の女性があの篠ノ之博士だと理解した。

そして束は箒と向き合う。

 

「やあ!」

「どうも…」

 

気まずそうに答える箒、まあ嫌って避けてきたのだから当然かもしれない。

 

「久しぶりだね箒ちゃん!すっかり大きくなっちゃって!

特におっぱいが…!ぐへへ…!」

「んなっ!何を言うんですか!

私は!わたしは…」

 

束は気まずい空気を何とかしようとしたのだが、逆効果である。

後ろでは一樹がチェーンソーのスイッチを入れ、

リクセルが刀を抜き、リリーがサブマシンがを二丁構える。

 

「……それよりも箒ちゃん、聞かせてほしいんだ、何で専用機が欲しかったの?」

「私は、秋斗の隣に立つに相応しい女になりたかったからです」

 

大体予想道理の答えだと束は思うが……

 

(あれ?箒ちゃん何だか危なくない?)

 

対人経験が無いに等しい束だが、それでも

箒の目がどこか危うい光を放っていることに気付く。

そして紅椿を渡すのは危ないと判断した。

 

「…その、頼んでいた物は?」

「うっふっふっ、それは既に準備済みだよ、さぁ、大空をご覧あれ!」

 

直後、空気を切り裂く音が聞こえる。

 

「総員対空戦闘配置」

 

その一言で秋斗を除く専用機持ち面々が銃口を上に構える。

 

「止めてぇ!」

 

少なくとも一樹、リクセル、リリーがいれば確実に撃墜されるだろう。

むしろあれだけやられてまだ懲りない束がすごい。

結果、高速飛行していたコンテナはゆっくりと降りてきた。

そしてコンテナが開き、薄い紅色の機体が日差しを浴びる。

 

「これが私が箒ちゃん専用に開発した、その名も[紅蕾(べにつぼみ)]!

第三世代型だけどスペックは現用のISを全て上回るっヒィィィィ!」

「別に世界の事考えろとか言う気はないが、そんなの妹に渡したらどうなるかわかるはずだ

天才って言うくらいならそこまで考えて作れ、妹に迷惑かけて喜ぶ姉など最低だぞ」

「ほんとすいませんほんとすいません」

 

現行ISを全て上回るスペック。

それは性能だけで見れば世界最強のISと言う事になる。

そんなものを自分の妹に持たせたらどうなるか、わからないはずが無い。

ならば何故そうするのかは自身かタダの狂気か。

いつの間にか背後で死神の笑みを浮かべていた一樹に、

束はひたすら土下座して許しを請いていた。

ついでにその名のとうり[紅椿]の[下位相互型()]なので

性能は下なのだが、それでもスペックは最高であり、

束の開発したとう点が更に価値を高めるだろう。

いい加減に誰かが道徳を教え込まないといけないのかもしれない。

 

「お、織斑先生ッ!?」

 

焦った様子でやってきた真耶の声が、非常事態が起きたことを伝えた。

 




専用機が二機登場、名前は私の趣味で決めました。
学園祭までデルフィングクルーの登場無しにしようかねぇ
となるとマドカの登場を速めて……(シナリオ作成中)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。