ご感想の中に、「一樹・リクセルが原作ヒロインズに好意を待たれるのはおかしい」
なんてのが送られてきたのですが、皆さんはどう思います?
私には心理学的な知識は皆無なので、確かにおかしな点があるのは当然だと思いますが。
一樹が簪とデートをした翌日、学生寮の廊下を
鈴音が汗を流しながら歩いていた。
中国の彼女が住んでいた地方に比べ、日本の夏はかなり暑い。
文句などいくらでも言いたくなるほどだ。
ついでに彼女が廊下を歩いているのは、一樹をデートに誘うためである。
口実は、何時と同じ甲龍の改造依頼で
自然な会話をしつつ誘うという算段を付けた。
(あいつのことだし、断ったりしないでしょ)
そう思いながら部屋のドアをノックする。
「……はい」
白い半そでTシャツに薄いジャージという
夏らしいラフな格好の一樹がドアを開ける。
「鈴か、どうかしたか?」
「……また甲龍の改造をお願いしたいんだけど」
「少し待ってろ」
一樹はドアを閉め、作業服に着替える。
そして二人揃って整備室に向かって歩いていた。
こんな光景も最近では普通だ。
対戦部メンバーが一樹にISの改造を依頼し、
一樹が注文を聞きつつ実行する。
そしてテストして意見感想を聞き、
更に改良を重ねるという事を繰り返している。
結果、打鉄二式と昴は紅蕾と同等、
他の機体も一段階下程度だ、十分追いつける。
「注文は?」
整備室で甲龍を前にした一樹は、
レンチをクルクル回しながら言う。
表情が真剣そのもので、冗談を言う気にはなれなかった。
「パワーとスピードを…そうね、5%増しにして
ついでに腕に小型の武器内臓で」
注文を聞いた一樹は早速部品を交換し、組み換え、
電子部のバイパスを配線し、許可を貰って
ジャンクパーツで武器を作り装備させる。
「パワーとスピードを両方5%にするのは慣らしが必要だからな
パワーを5%でスピードを4%にしておいた」
「了解、アリーナで慣らすわ」
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早速甲龍を展開した鈴音は、試しにアリーナの中を飛び回る。
4%、小さな数字に見えるが
一瞬一秒を争うISにとってはとても大きな数字であり、
かなり奮発した数値と言えるかもしれない。
(思ったより動きやすい、一樹の調整のおかげね)
慣れるの早そうだと思いつつ、鈴音はターゲットに向かって腕に装着された新装備
獣の爪の様な近接格闘兵装[竜牙]を突き出す。
すると竜牙が勢いよく飛び出し、ターゲットを切り裂き、ワイヤーによって再び腕に装着される。
「どうだ?」
「思ったより使いやすいわね」
発射可能なブレードという近中距離戦用の武装は
鈴音の戦闘スタイルと甲龍の運用法に合っていて
とても使いやすかった。
「次はスピードを予定どうりにして」
「了解、少し待ってな」
一樹は再び工具を回し始めた。
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「さて、やっと帰ってこれましたわ」
IS学園正面ゲート前で、白のロールスロイスから降りたセシリアは
早速の熱気にうんざりしながらも気分は高揚していた。
リクセルが諸事情で里帰りはしないと事前に確認していたのだ。
(やはり、思い人とは同じ空の下に居たいものですし)
実家での溜まっていた職務、
国家代表候補生としての報告(一樹とリクセルの情報を欲しがられた)、
専用機の再調整(誰が改造したのかと問い詰められた)、
それ以外にもバイオリンのコンサート参加、
旧友との交流(好きな人ができたと言ったら騒がれた)、そして……両親の墓参り。
(………)
周りから、実の娘からも釣り合わないと言われ続けても、
両親は愛し合って、そして支えあっていた。
それに気づかなかった自分は子供だったのか、それとも女尊男碑に染まった愚者だったのか。
きっと両方だろう。
(わたくしとリクセルさんの間に生まれた子供は、わたくし達の事をどう言うのでしょう?)
そんなことを考えていると……
「お嬢様」
呼ばれて振り向くと、幼馴染兼専属メイドのチェルシーがいつもと
変わらない微笑みを浮かべて控えていた。
「どうかなされましたか?」
「い、いえ、何でもなくてよ」
多少乱れはしたものの、セシリアは努めて平静を装った。
チェルシーは人の心の機微に鋭い。
十八歳とは思えないほど落ち着いた雰囲気を纏っており、
セシリアにとっては姉のような存在である。
「そうですか、それでは、お荷物の方は私共がお部屋まで運んでおきますので」
そう言ってチェルシーはうやうやしくお辞儀をして、
もう一人のメイドと一緒に荷物を運び始める。
「おや、セシリアではないか」
見ればセシリアの想い人、リクセルが私服姿で立っていた。
薄い青のポロシャツに黒いスラックス、まるで休憩中のビジネスマンだ。
「久しいな」
「リクセルさん、一週間ぶりですわね、ごきげんよう」
スカートをつまんで優雅に挨拶をするセシリアだが、内心穏やかではない。
リクセルとのぐんずほぐれつな妄想を始めてしまう。
「戻ってこい」
「ひゃ!」
見かねたリクセルが猫騙しでセシリアを起こす。
「すまないが私がここに居るのは別件だ
セシリア嬢の出迎えではない」
リクセルは蘭に来てほしいと電話があったから出かけようとしていただけなのだ。
「そ、そうですか」
「はしたなかったですよ」
何時の間にか後ろに立っていたチェルシーに、セシリアは固まってしまう。
「貴女は?」
「お初にお目にかかります、セシリア様にお仕えするメイドで
チェルシー・ブランケットと申します、以後お見知りおきを」
「なるほど貴女が、リクセル・C・フォンブラウンです
お話はセシリア嬢から伺っております」
そっちのけで会話をされる事に我慢ならなかったのだろう、
セシリアは突然二人の間に割り込む。
「リクセルさん!ご用件があったのなら、早めに済ませるべきなのではなくて?!」
「……それもそうだな」
そう言って歩いていくリクセルを尻目に、セシリアは深ーく溜息をついた。
「やってしまいましたわ」
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モノレールと徒歩でさほど時間を掛けず、リクセルは目的地に到着した。
五反田食堂、嘗てのリクセルの実家であり、一樹の過去にもかかわる場所。
看板を見ると休みの札が掛かっている。
どうしたものか悩んでいると、裏口らしき場所で蘭がソワソワした様子で辺りを見渡していた。
「久しいな蘭嬢」
「あ、お……リクセルさん」
何かの書類を抱えたまま、蘭はリクセルを見て
お兄と言いそうなるが、慌てて呼び直す。
「呼び方は好きして構わない、結果が出たのか?」
「はい……上がってください」
蘭に案内され、リクセルは靴を脱いで上がり、リビングらしい場所のドアを開ける。
「今まで何処ほっつき歩いてやがった?!」
「うをぉ?!」
突然繰り出された鉄拳を、リクセルは右腕の上腕部で逸らす。
「落ち着かれよ御仁!」
「喧しい!一発殴られろ!」
更に飛んでくる鉄拳を逸らし、受け流す。
レムリアの騎士として修業を積んだ身である以上、これぐらいは造作もない。
「お爺ちゃん止めて!」
「話ができませんよ!」
「とにかく落ち着いて!」
蘭とその両親が三人がかりで、祖父厳を止める。
落ち着いたのは、その5分ほど後だった。
「お見苦しいところをお見せしました」
「お気になさらずに、この手の荒事には慣れていますので」
蘭を除いた五反田家面々は今すぐにでもあれこれ問いただしたかったが、
それができる状況では到底なかった。
外見は行方不明になった弾そのものだが
態度、雰囲気、言葉使い、物腰は似ても似つかない。
なんだか貴族を相手にしているように思えてくる。
「それで、貰った髪から調べたんですけど」
「結果は?」
リクセルにしたらさほど重要ではないのかもしれない。
「貴方のDNAと、兄のDNAが一致しました」
「……そうか」
薄々そうだと感じていた。
しかし、リクセルの言うべきことは決まっている。
「しかし私には[五反田弾]であった時の記憶は無い
だから、私はまた家族として暮らすことは不可能だ、今の家族や生活の事もある
ホイホイと捨てていいものではないのだ、どうか察してほしい」
五反田家面々は顔を伏せる、もう行方不明になった長男が
帰ってくることはあり得ないとわかってしまった。
「しかし縁を切るというわけではない、
またここに訪れよう、それが今の私にできることだ
少しばかり羽安めに来てみたくなった、失礼する」
その場に自作の髪飾りを置き、リクセルはゆっくりと歩いて行った。
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時間を少し進めて帰宅中、リクセルは商店街のくじ引きに目を止めた。
「偶には良いだろう」
リクセルはくじを引いてみることにした。
ふと思ったのですが(二回目)、蘭がMGキャラになるとして
オペレーター等、いわゆる[基地キャラ]が合いそうだと考えました。
正直蘭に合いそうなガーディアンが思いつかない。
ついでにIS原作は8巻まで揃えてはいるんですが、
学園祭以降はMGキャラを登場させる都合上、原作無視のオリジナルになるかと。
後最近思いついた次回作を書きダメするようなりました。
更新速度をさらに遅くするようなことやってしまう。