[寝落ち]+[パソコン故障]+[修復不可]+[買い替え]+[バックアップ作業]
とやることが多くて時間がかかってしまいました。
元のパソコンは、父が使わなくなったものを譲ってもらい、
ショップのパーツで改造しながら騙し騙し使っていたので、ガタが来ていたのでしょうね。
全長は18mほどだろう、一台の巨大なロボットが存在している。
白い装甲に鋭角的なデザイン、V字に似たアンテナにデュアルアイ。
その姿はラウラが兄と慕う桜野一樹の愛機そのものであった。
その傍らで作業着を着た一樹と、顔がよく似た髪の長い女性が
工具を片手に整備をしていた。
「父さん、こっちは終わったよ」
「よし、飯にするか」
一樹は髪の長い女性を父さんと呼んだ、
つまり、性別は男性だという事だ。
(あの外見で男性か……驚いたな)
ラウラが驚き感心していると、出入口らしき場所から
一人の少女が籠を抱えて走ってくる、その姿は……
「お兄ちゃん!お父さん!昼食を持ってきたぞ」
(わ、私?!)
まぎれも無くラウラ本人だった。
眼帯は医療用の物で、年頃の少女らしい白い花模様が付いたワンピースを
着用、顔の左側の髪を白いリボンで一房束ねているなど
今の自分と比べればかなりおしゃれだが。
「おお、タイミングいいな」
「すっかり家の一員だな」
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「ら、ラウラ?」
気が付くと、ルームメイトであるシャルロットが
若干引き気味の表情で覗き込んでいた。
「どうした?」
「その……凄く幸せそうな寝顔で涎垂らしていたから」
今回の夢の内容を、ラウラは覚えていた。
夢は本人の願望が形をとることがあるという。
たしかにアレはラウラの願望そのもだった。
「それぐらい幸せな夢を見ていただけだ、気にするな」
「そ、そう?」
涎を拭いて、ラウラはベッドから降りる。
シャルロットもそれに続いた。
「ところでさあ、ラウラ?」
「どうした?」
「寝る時に服着ないの?」
この間酷い目に合った理由で、一樹の部屋に忍び込むことは無かったが
相変わらず就寝時は全裸である。
「寝る時に着る服が無い」
「いや、そうかもしれないけどさ……風邪ひくよ」
シャルロットが隣に用意していた毛布をラウラに被せる。
「すまない」
シャルロットが姉、あるいは母に見える光景だった。
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「買い物?」
「うん、そう」
寮の食堂、そこで早めの朝食をとりながら二人は話していた。
周りには時間帯のせいでちらちらとしか人がいない。
メニューはマカロニサラダにトースト、そしてヨーグルトだ。
しかし、ラウラの方が一品多かった。
「ラウラ、朝からステーキって、胃もたれない?」
「何を言う、朝に一番多く摂取するのが健康的なのだぞ
後は寝るだけの夕食で最も多く食べてどうするんだ?
残ったら全て脂肪に変わって太ってしまうぞ」
「どこで仕入れたのその情報?」
「お兄ちゃんだ」
「だろうね」
ラウラは我が強い性格だが、感化されやすい
子供の様な面がある。
そんなことを考えながら、シャルロットは
何時もの癖でマカロニをフォークの先端に通した。
「シャルロット、そのやり方は癖か?」
「え?…そうだけど」
それを聞くや否や、ラウラもマカロニをフォークに通してみる。
「む、なかなか面白いな、今度は全てに通してみよう」
そう言いながら、ラウラはフォークの先端全てを
マカロニに通そうとするが、うまくいかないらしく
悪戦苦闘している。
それを見ていたシャルロットは、昔飼っていた猫を思い出す。
「それで、買い物には何時行くんだ?」
マカロニを通し終えたラウラが、思い出したように聞いた。
「う、うん…十時くらいに、一時間くらい街を見て
その後ランチでどうかな?」
「わかった、ならお兄ちゃんも誘うか」
「そ、そうだね」
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「ラウラ、いくらなんでも軍服はマズイ
制服に着替えて来い」
「わかった」
目論見どうり、一樹を誘うことに成功したが
早速駄目出しを喰らうラウラ。
「あいつに私服は必須だな」
「そうだね」
少しして、制服に着替えてやってきたラウラだが、
妙な物を引き連れていた。
長方形の黒いボディに赤い目らしき物が付いており、
四本の車輪が付いた足でチコチコと歩いてくる。
足の付いたアタッシュケース、その表現が最も適切な物体だった。
「ラウラ、それは何?」
「ラッシーだ」
「いやそうじゃなくて」
「俺が説明しよう」
埒が明かないと判断した一樹は、
間に入って説明することにした。
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「ラウラ、例え軍人でも街中で堂々と武器を持ち歩いてはいけない」
「そうなのか?」
一度常識を叩き込まなければと思いつつ、
一樹は予め用意した物を取り出す。
「まあ、だからってお前は言って聞くような
奴じゃないことは承知だ
だから妥協案を用意した、こいつを連れて行け」
スイッチを入れると、ラッシーの目に光が灯り、
片足を上げて挨拶らしき仕草をする。
「それは何だ?」
「俺が作った運搬用ロボ、ラッシーだ
武器を持ち歩きたいならコイツを連れてけ」
「分かったぞお兄ちゃん、こいラッシー!」
そう言ってラッシーを連れて歩くラウラの姿は、
欲しがっていた犬を買って貰った子供そのものだった。
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「というわけだ」
「自力で作ったんだ……」
「ISと同じ粒子変換技術を使ったから、容量は見た目の5倍くらい
動力はソーラーバッテリーと家庭用コンセント
表面装甲はゴスペルの一斉射撃にも一回だけなら耐えらられる」
「どうやって作ったのさ?!」
当然と言わんばかりに言い切る一樹に、
シャルロットは唖然とした表情で突っ込む。
諦めろシャルロット、世の中には常識が通じないことなど良くあるのだ。
「シャルのも作っといたぜ」
「え?!」
そういって一樹が取り出したのは、一つ目のお化けというべきものだった。
直径30cmほどのオレンジ色に塗られた球体に
ライムグリーンの黒目が大きい丸目が一つだけついており、
頭らしき部分にはT字型のアンテナらしき物が回り、
下の部分には四本の細長い脚らしきものが生えておった。
原理は不明だが、どうやらそれを使って宙に浮いているようだ。
一つ目だが、その見た目や仕草にはどこか愛嬌がある。
「通信及び索敵用小型ロボ[アルゴス]だ
昴のセンサー強化及びシールドビット操作補助のサブパーツって面もある」
「あ、ありがとう」
見た目は若干アレだが、愛嬌があり
何より惚れた相手が作ってくれた以上、嫌う要素は無い。
シャルロットは肩に止まったアルゴスをそっと撫でた。
「それじゃ、行こうか」
「そうだね」
「わかったぞ」
後ろから見て、左側に一樹、右側にシャルロット、
そして真ん中のラウラが二人の手をつないで一直線になる。
まるで家族のような微笑ましい光景だった。
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その後、ラウラの可愛らしい私服を幾つか購入し、
ランチで立ち寄った店でアルバイトをすることになったり、
何故かそこで強盗団とバトルする羽目になったり、
随分と濃い一日になった。
「……」
「どうしたの?」
急に黙り込んでしまった一樹を心配するように、
シャルロットは顔を覗き込む。
「気にするな、ちょっとしたホームシックだ」
「以外だ、そういうの気にしない人だと思ってたんだけど」
「俺だって家族が恋しくなる時だってあるさ」
ふと、一樹は過去を思い出すのだった。
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「俺達は確かに人殺しだ、サツに捕まらないだけのな」
「……」
それはふと気になったこと、
樹がどうやって人を殺した罪の意識から立ち直ったかを聞いた時だった。
二人揃って支部の屋上で、ハッカのパイプを吸っていた時だった。
「でもな、だからこそ次の社会を健やかにする責任がある
勝利するからこそ、世界に責任を負わなきゃならない
俺はそう思った、だから今ここにいる」
パイプから口を離した後、一樹に向かってほほ笑む。
「今はまだわからないかもしれない
でも恋人とかが出来た時、十年二十年経って家族が出来た時
その時には分かる時が来るだろう」
再びパイプを銜え、ハッカの甘い香りを吸い始める。
「父さんは、俺がリンゲージやるのは反対?」
「本音を言えば大反対だ」
さも当然と、樹は言う。
「お前は俺の息子だ、汚れ仕事も危難なこともやってほしくない
だがな、お前自身が決めたことだ、止はしない
親ってのはな、子供が選んだ道の邪魔をしちゃならねえのさ」
こうありたいと思える[大人]、
その見本だと、一樹は思うのだった。
次で夏休み編はお終いです。
モップと弟?知りません