-MS-メタリックストラトス《更新停止》   作:アルシェス

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鉄血のオルフェンズが終わったりと色々ありました。
相変わらずの亀更新の駄作ですが、
楽しみしてくださっている皆様の為に完結できるように頑張ります。
どこまで続くかは決めてませんが。


数馬の翼

「本日より皆さんと机を並べることになったリクセル・C・フォンブラウンです

異国人ゆえに至らないこともあると思いますが、よろしくお願いします」

「同じく都合で転校してきた桜野一樹です、よろしくお願いします」

 

数馬が実戦を経験した数日後、彼の教室に一樹とリクセルが転校してきた。

リクセルはレムリア人だが、イズモでは在学している年齢だ。

一樹は元々通っていた学校が先の戦闘で半壊してしまった。

なので二人は数馬が現在通っている[飛翔市西高等学校]に編入したのだ。

同じ小隊になるのだから、顔を合わせる時間が長い方がいいと判断した

アーセルの配慮だ。

 

二人とも顔立ちはアイドルでも通用するほど整っており、

高身長で鍛えてる分体格もいい。

なので最初は人が良く寄ってくる。

貴族としてこの手の状況に慣れているリクセルはいい、問題は一樹だ。

一樹は基本的に表情が無く口数もかなり少ないので、

こういった面々をあしらうのは苦手だ。

 

________________

 

それでも何とか対応が終わり、三人は揃って昼食を取っていた。

一樹と数馬は弁当、リクセルは購買でパンだ。

 

「なんというか、不思議な感じだ」

 

おかずのオムレツ(中身になぜかモザイクがかかっている)を齧りながら言う。

 

「何がだ?」

「こうして三人で飯を食う、なんだか長い間そうしてきたような気がする

まるで、昔からの親友みたいだ」

 

能面の如き無表情だった一樹が、笑みを浮かべる。

どこか力が抜けたような、不思議な笑みだった。

 

「奇遇だな、私もそう感じる」

 

焼きそばパンを齧っていたリクセルも同じような表情を浮かべる。

 

「そうか……」

 

数馬は一人考え事をする。

一樹もリクセルも、元の世界での親友に瓜二つなのだ。

なので本人ではないかと思うのだが、自分でそれを否定する。

自分が異世界に迷い込む、それだって天文学的な確率であるか無いかの出来事だ。

それが更に二人、しかも自分と関わりが深い人間など一体どんな奇跡だと言いたくなる。

 

(しかし、本当にそっくりだよな)

 

そんなことを考えていたが、喉に詰まって咽たので

慌てて緑茶を流し込むのだった。

 

____________________

 

放課後、一樹とリクセルはデルフィナスの格納庫に来ていた。

エクエスもスパシィもメンテナンスが終わってない状態で

出撃、戦闘を行ったので直ぐに直さなければならない。

 

一樹は養父樹譲りの技術があるので、問題無くメンテナンスを進めていく。

そこに、リクセルが間食のサンドイッチを持ってきた。

 

「自分で行うのか」

「父さんから教わってるし、自分の機体だから

自分で整備したいからな」

「素晴らしい心がけだ、私にはできんが」

 

流石にリクセルは整備技術を身に着けられなかったので、

一緒に来てくれたレムリアのスタッフにやってもらっている。

魔法の力で文明を支えているレムリア製のガーディアンである

ドラグオンは樹達他国の技術者では整備できない。

故に、リクセルは身の回りの世話をする使用人の同行を断り、

代わりに整備要員の鍛冶師達に同行してもらった。

 

「珍しく他国に偏見を持たない者達に来てもらった

共に戦う人々に不快になってほしくないんのでな」

 

フォンブラウン家は変わり者扱いされている。

他国を見下し、金儲けに腐心するのがレムリア人の特徴だが

フォンブラウン家は当主をはじめそんな傾向はない。

他国と関わり、文化を取り入れるのにも積極的だし

他国製のミーレスも輸入している。

だからこそ、リクセルを養子として迎えることに

一切の抵抗を覚えなかったわけだ。

まあ、金儲けに腐心しているという点では同じだが。

 

「私もできるようになるべきか?」

「やめとけ、俺は父さんが凄腕で

おまけに才があったからできたんだよ

二足草鞋なんて普通はやらないほうがいい」

「……それもそうか」

 

一段落したので、揃ってサンドイッチに手を付ける。

 

「そういえば、数馬と樹殿はどうしたのだ?」

「数馬の機体を取りに行ったんだよ

最初に乗ってた[隼]は防衛軍のだから使えない

かと言ってこの部隊でウォーバードは無いからな

父さんの伝手で回してもらえる機体を探したらあったんだ

だから朝から取りに行ってる、場所コロニーだからな」

「昨日の今日だぞ、そんなに早く話が付くとは」

「機械関係で、父さんに出来ないことなんてほぼ無いからな」

 

__________________________

 

「ずいぶん大きいコロニーですね」

 

それが数馬の第一声だった。

半径も長さも一般的なコロニーの三倍近いのだから

当然といえば当然だ。

 

「ここはウォルフ共和国屈指の空軍研究所だからな」

「空を飛ぶ時のデータ取り用か」

 

コロニー国家であるウォルフでは高い技術力はあっても

それを実際に形にするノウハウは意外と少ない。

地球ほど多彩な環境を用意してテストすることができないからだ。

実際、このコロニーも地球連邦政府の親ウォルフ派の協力あってこそ

成り立っている。

それにより地球に近い状態で航空型ガーディアンの開発が行えるのだ。

 

「ついてこい」

「は、はい!」

 

勝手知ったるかのように軽やかに歩く樹に言われ、

数馬は慌ててその後ろについていく。

そして研究施設の入り口についた樹は、静脈認証型端末に触れる。

 

「ここの所長とは親しくてな、だが……」

「な、何か?」

「初対面は腰を抜かすな」

 

その言葉に、鬼の様な形相をした大男を想像した数馬だった。

 

『おお樹!待って居ったぞ』

「元気そうですね、ブレン博士」

「ウェイ!?」

 

エコーが掛かった声と共に現れた人物に、

数馬は声を上げて腰を抜かした。

当然だ。

 

サッカーボールほどの透明な立方体容器の中に

人間の脳が収まり、それが宙に浮いているのだから。

 

『ふはは、驚かせてすまないね

私はここの所長をしているブレン・ノーソだ

よろしく頼むよ』

「は……はい……二宮数馬です」

「外見はこんなんだが、開発者としては超一流だ」

 

ブレン博士の案内の元、二人は研究所を進む。

 

『君から連絡を受けた後

早速ご所望の品を探したんだが、丁度いいのがあってな

すぐに飛べるよう整備しておいたぞ』

「ガーディアンですよね、そう簡単に渡していいのですか?」

『心配ないよ、樹は総統閣下からも許可をいただいておるからな』

「メル友なんだよ、話は聞いてもらえる立場だ」

 

思わず衝撃を受ける数馬。

 

(一国のトップとメル友ってなんだよ!?)

 

他にも樹は世界各国の主要人物や技術者達とコネクションを持っているのだが、

今は関係ないだろう。

 

『さあ着いたぞ数馬君、これが君の機体だ』

 

到着した格納庫では一機のウォーバードが佇んでいた。

暗めのシルバーとライムグリーンで彩られたその姿は

以前乗った[隼]と比べると細長い印象を与える。

そしてその翼は前進翼、つまり前向きに伸びている。

 

『XXG-7、私が次期主力ウォーバード級として開発したんだが

凝りすぎてね、一機が完成したと同時にコンペディションが終わってしまって

日の目を見ることなく埃を被っていたんだ』

「飛べるのか?」

『すべてのテストは問題無しで終わってる

私はそれも含めて完成だと思っているからね』

 

ブレン博士は数馬を見る。

 

『どうだろう数馬君、この機体を受け取ってもらえるかね?

せっかく作った機体が埃を被るっているのは惜しいし

君の様な若者の手助けをしたいからね』

 

何も言わず、数馬は機首部分に触れてみる。

金属特有の冷たさ、しかし何か魂の様なものを感じた。

まるで、この機体が数馬を待っていたかのようだ。

 

(俺の翼に……大切な物を守る力に……なってくれるか?)

 

所詮は機械だ、答えなど帰ってこない。

だが、確かに答えてくれたように感じた。

 

「ありがたく……頂戴します」

『ありがとう』

 

いつの間にか、樹が耐熱塗料を片手に立っていた。

 

「ついでだ、こいつの名前は何にする?

型番しかないみたいでな」

「思いつきました、こいつの名は……」

 

 




前進翼とは、上から見た際にWに似た形状になる翼のことです。
マクロスでいえばYF/VF-19エクスカリバー、
VF-29デュランダルですね。

数馬がどんな名前を付けたのかは後のお楽しみにします。
蒔絵がただのヒロインではないといった理由もです。

まだまだメタガ世界の話しか出てきませんが、
それでもいいと仰るのでしたら、もう暫くお待ちください
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