なお、書き忘れていましたが、樹のイメージは千冬の男var、
香はニャル子、夕日は[僕友]小鳩、リーリンは[リリなの]ティアナが外見イメージです。
イズモ自治区のとある都市[飛翔市]。
鳳市に次いでガーディアンの研究が盛んであり、世界各地と
各コロニーを繋ぐ超大型空港を複数持つ[世界の中継地]である。
その住宅街の一角に、どこか和風なデザインの三階建て住宅があった。
その洗面所で、二人の人物がまったく同じ動作を寸分狂いも無く
同じタイミングで洗面作業をしていた、言うまでも無く一樹と樹である。
いくら親子とは言え、ここまで似る物だろうか?
さらにその後、まったく同じ速さで着替え、仲良く朝食の支度に取り掛かる。
樹が黒地に桜をあしらったエプロンを、一樹が白地に般若面をあしらったエプロンを
つける速さ、後ろ帯の結び方まで一緒である。
「子は親に似る」、この言葉に血縁は無関係らしい。
巧みな連携プレーで三人分の朝食を作り終えると同時に香が寝巻き姿で
リビングにやって来て、それを合図に三人がテーブルにつく。
今朝の献立はベーコンエッグを載せたトースト、卵と野菜のサラダ、
ついでにトマトと挽肉のあっさりスープである。
健康面を考え、朝からしっかりと食すのが桜野家のルールである。
朝食を平らげると、一樹と樹が一緒に食器を洗い、樹が新聞を広げ、
一樹が一度うがいをし、鞄を手にする。
そろそろ一樹が通う[飛翔市立西高等学校]への登校時間だ。
「行ってきます」
「いってらっしゃい」
「頑張ってね」
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一樹が[機甲世界]で暮らすようになって、早くも三年が過ぎた。
学生として家族となった桜野兄弟と一緒に暮らす傍ら、
奈落獣やアビスゲートを開こうとするテロ組織[ディスティニー]と戦う日々を送っている。
戦っている相手の半分は同じ人間だという真実、話し合いだけでは解決できない問題、
どれだけ力があっても守ることが出来ない現実、
命を賭けた戦いの場である戦場の残酷さ、父親である樹や共に戦う仲間達の
優しさと厳しさを知り、リンゲージとして、そして人間として成長していった。
未だに記憶を取り戻すことは出来ずじまいだが、それでも今を踏みしめて、
自分が暮らす街を、大切な人を守る覚悟を胸に、今日も一樹は生きている。
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「おはようリクセル」
「おはよう一樹」
教室に入った一樹は、自分の席の隣に座っていた赤毛の長髪を束ねている男子生徒、
リクセル・C・フォンブラウンと挨拶を交わす。
彼は二年前にフォーチュン飛翔市支部に配属された同僚で、
魔法大陸レムリアのリンゲージだ。
彼は騎士、いわゆる貴族の階級に居る人間で、その為それらしい態度をとるが、
一樹とは歳が同じ男子同士のためか、意気投合して親友、そして戦友となった。
ついでに様々な事で競い合うライバルでもある。
実は一樹と共に[機甲世界]に飛ばされた親友、五反田弾本人だが、彼も記憶喪失になり、
レムリアの貴族に拾われた経緯があるのだが、今のこの二人には無関係で
知る必要もない事実なのかもしれない。
もう直ぐ新入生の歓迎会の準備をしなければならないのだから、
今はそちらに集中するべきだろう。
ビー!ビー!ビー!
どんな提案をするべきか考えている時に、二人の通信端末から呼び出しが掛かった。
同時に街の方からも爆発音が聞こえてくる。
「相変わらずだな」
「まったく懲りぬ奴等だ」
二人は窓から(教室は二階)飛び出し、自分逹の母艦
デルフィングがある地下港に向かって走り出した。
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「遅い!もっと早くこいって何時もいいてるでしょ!」
慌ててパイロットスーツに着替えて格納庫に転がり込んだ二人を、
オレンジに近い金髪をサイドテールにした勝気そうな少女が怒鳴りつけた。
リーリン・マーセナス、二人と同じチームメンバーで一歳上、
ディザスター級のリンゲージでもある。
ディザスター級は兎に角火力に特化したクラスであり、その攻撃力は戦艦に匹敵する。
お叱りを聞き流しながら、三人は愛機のコックピットに滑り込む。
一樹は最初の一件以来愛機となったアルプスエクエス、
リクセルは騎士甲冑を着た竜の様な姿の赤いミスティック級、スパシィに乗り込む。
ミスティック級はレムリア独自のガーディアンで、騎士甲冑の様な姿を持つ
刀剣類による近接戦と魔法を得意とする特殊なクラスだ。
リーリンは下半身が六本足、背中から長大な砲が伸びている機体、業火に乗り込む。
それぞれがカタパルトに乗り、準備を整えた。
「進路クリア、発進どうぞ」
「桜野一樹、アルプスエクエス、出る!」
「リクセル・C・フォンブラウン、スパシィ、出るぞ!」
「リーリン・マーセナス、業火、行きます!」
エクエスが推進剤を、スパシィが背中の翼から粒子を吹かせて飛び、
業火は空中で下半身を六輪車両に変形させて着地、唸りを上げながら前進する。
エクエスの背中に、最初には無かった蝙蝠の翼の様なバックパックが装着されていた。
エクエスはバックパックや装甲の一部を[換装]することにより、能力を変えられるのだ。
「敵を発見、素早く倒すわよ」
通報があった場所に到着すると、デュアルゴーグルアイが特徴のカエリバ・ミーレス、
ヴィラクマが破壊活動を行っている。
前にも説明したが、ガーディアンはリンゲージでなければ扱えない、
幾ら強力な兵器が一体あったとしても、[数]の前には弱いのが道理だ。
そこでALTIMAを動力等の中枢部にのみ使用した量産型ガーディアン、それがミーレスだ。
性能面では劣るが、操縦法さえ覚えれば誰でも扱える上に大量に作れる長所があり、
戦車戦闘機と並ぶ一般兵器として各国の軍に配備されている。
今回確認できたヴィラクマは十五機、いつもと同じ数だ。
業火が再び六脚に変形し、背中のリニアキャノンを発射する。
それに続き、エクエスが手にした大剣の様な武器、ムラマサブラスターを発射、
スパシィもスナイパーライフルを取り出して狙い撃つ。
スパシィと業火は的確にコックピットに命中させていき、エクエスは
何発か外れてしまうので、ムラマサブラスターのビーム刃を展開させて接近、
的にならなかったヴィラクマを一体ずつ破壊していく。
「まだまだね」
「面目ない」
一樹の名誉のために言っておくが、これでもかなり上達したのだ。
最初は五割を切っていた命中率が、八割までに上がっているのだから。
しかし後の二人はほぼ必中の腕前を持っているのだから、見劣りはするが。
しかし接近戦となればトップクラスの実力であり、何故か火力重視の射撃兵装なら
狙撃紛いのこと平然と成功させるのだからすごいことだ。
特技は人それぞれだということだろう、だが一樹の攻撃はそれだけではない。
バックパックの一部が分離、さながら獲物に襲いかかる鷲の様に飛んでいく。
[イグニス]、脳波で操作する小型の無線攻撃用端末だ。
一樹は[スターゲイザー]、広大な宇宙に適応するために、進化した新人類である。
彼らが持つ特殊な脳波、[脳量子波]によって遠隔操作される兵器がイグニスだ。
なぜ一樹がスターゲイザーとして進化したのか、それは皮肉にもこの世界に来たからだ。
家族を、生きてきた世界を、そして状況を打破する力の無い自分を恨み嫌い続け、
[そんな自分を変えたい]と心の底で抱き続けた[願い]が、
[機甲世界]へ飛ばされ、記憶を失って[生まれ変わった]ことで叶えられ、
結果として[新人類]へと進化したのである。
今回操っている[ブレードイグニス]は対象を斬り裂く事に特化したイグニス、
近接格闘戦を最も得意とする一樹と相性がいいのだ。
それが残っていたヴィラクマを残らず切り裂き、爆発させた。
アビステクノロジー、略してアビテクでガーディアンクラスの性能があるとはいえ、
所詮はミーレス、飛翔市のエース三人の前では相手にならなかった。
「これで終わりか?」
「いつにも増してあっけないな」
この後ガーディアンや奈落獣の増援があるのが普通だが、
何故か増援が来る気配が無い。
ディスティニーは一般的にはテロ組織だが、実際は[ラーフ帝国]という国の
エネルギー確保を担当している国家直属部隊なのだ。
国家の命綱とも言えるアビスエネルギーの確保を目的とした部隊が、
こうも簡単に諦めるはずがないのだが。
その時、一体のヴィラクマの残骸から光が迸った!。
「「な?!」」
「一樹!リクセル!」
光が収まったその時、桜野一樹、リクセル・C・フォンブラウン両名の姿は無かった………
真面目にお願いします、誰か挿絵を送ってきてください。