ついでに不公平なのでリクセルもチートにしています。
樹は更に上のチートですが。
後、[機甲世界]のメンバーは長期間登場しません。
「……!」
特有の金属の匂いに反応して、一樹は目を覚ました。
どうやら、格納庫の様だ。
「リクセル、起きろ」
「一樹?……何処だここは?」
服装は気を失う前のまま、つまりパイロットスーツだ。
しかし乗っていたガーディアンは見当たらない。
いったい自分達は何処に来てしまったのだろうか?。
他に目に付くのは、自分の首から下げているドッグタグと
リクセルが愛用している西洋柄の刀が淡く光っていることだ。
「?これは……」
ふと見ると、目の前に見たことのないパワードスーツがあった。
インフィニット・ストラトス、略してIS。
そう、二人はかつて生まれ育った世界に戻ってきたのだ。
勿論記憶喪失の二人には知る由もないことだが。
「………」
何故かは分からないが、一樹は鎮座しているIS、ラファール・リバイブを
見ている内に無性に殴りたくなった。
記憶喪失とは言っても、それは記憶が完全に無くなる事ではない。
完全に無くなるのは、脳に重大な損傷を受けてしまった時だけだ。
人間の記憶は言葉や知識を司る[意味記憶]、
運動の慣れ等を司る[手続記憶]、そして思い出を司る[エピソード記憶]。
この三つのに分けられてそれぞれ違う場所に保存されている。
一般的な記憶喪失は[エピソード記憶]の容器になんらかの理由で[鍵]が掛かり、
取り出すことができなくなってしまった状態のことを言う。
つまり[失くした]のではなく[思い出せない]だけで、印象などは微かに残る。
実際、一樹とリクセルが最初に会った時、[以前会ったような気]がしたのがいい証拠である。
なので元々酷かった環境がISのせいでさらに悪化したことを微かに覚えている。
そして一樹はその衝動に任せ、ラファールを殴ってしまった、そして
「な?!」
「一樹?!」
殴ったと同時に数多の情報が流れ込み、気が付けば一樹はISを[装着]していた。
予め言っておくが、ISは[女性にしか反応しない]。
それを男である一樹が装着できた、どれだけ異常か想像できるだろう。
「触っただけで装着されるとは……」
リクセルは驚愕と呆れが混じった表情で呟く。
「そう言えば、何で刀とドッグタグが光ってるんだ?」
「そうだな、この状況の手がかりに……!」
そう言ってリクセルが刀を構えて、自分の愛機を思い浮かべたその瞬間、
リクセルは突如光に包まれた。
そして光が収まると、姿が変わっていた。
人間より少し大きい程度だが、その姿は間違い無くリクセルのガーディアン、スパシィそのものであった。
「何故スパシィが鎧に?!」
「こちらが聞きたい!」
「貴方達何者ですか?!」
格納庫の入口で数人のISを纏った女性達が此方に銃を向けていた。
ISが起動したことで察知されたらしい。
そして有無を言わさず攻撃を受ける。
一樹はヘルメットを被って顔面部のバイザーを下ろしているので顔が
遠目には見えず、リクセルは
なので動かしているのが[男]だという事実にIS学園教師達は気付かなかったのだ。
つまり、教師側には[唯のISを盗もうとしている侵入者]としか思われなかった。
当然、攻撃を受ける。
二人はリンゲージとは言え、肉弾戦の訓練も経験も十分ある。
しかし[パワードスーツ]を纏っている状態では[慣れ]が必要だ。
何故ならパワードスーツを纏うのは今回が初めて、動かし方の[コツ]を掴んでいないのだ。
なので二人は兎に角逃げることに専念する、慣れない物で戦闘など愚行でしかないと
積んできた経験で理解しているからだ。
故に二人は一旦逃げて操作に慣れることにしたのだ。
「慣れたら無力化するぞ!」
「良いのか?!」
「これじゃあ話もできない!」
こんな集中砲火を受けている状態では話し合いも何もない。
兎に角攻撃を止めさせないといけない。
最初に動いたのはリクセルだった、ミスティック級はコックピットで
水晶状の魔導端末を握り、思考で操作するガーディアン。
イメージで飛ぶISと似ている部分があるため、慣れるのが早かった。
腰に差していた西洋柄の刀[ミスティックブレード]を抜き、逃げ回っていた時とは
比べ物にならないほどのスピードで突進、勢いに任せて振り抜く。
[打鉄]を装着していた教師が刀型ブレードで防ごうとするが
パキィィィィィィィィィン!
楽器のような美しさすら感じさせる音と共に、ブレードがまるで
バターの様に切り裂かれてしまった。
殺すわけにはいかないリクセルは直ぐに後退、腰に折り畳まれて装着された、
スナイパーライフルを発射する。
二三発当たった途端、ISは強制解除される。
「な!何て威力?!」
(スパシィが強すぎるのか?はたまた相手が弱すぎるのか?)
どっちにしろ、無力するだけなら比較的楽だが注意が必要だ。
殺してしまわないよう注意しつつ、リクセルは攻撃を開始する。
一方一樹はというと
「よし!大体分かった!」
今まで操縦桿とペダルで操縦していた一樹は苦戦したが、何とかコツを掴み、
ブレードを呼び出して突撃する。
それまでに集中砲火を受けるが、一樹には掠りさえしない。
そのまま一樹はブレード振るい、次々とシールドエネルギーを0にしつつ、
飛んでくる銃弾をブレードで当たる分だけ弾くという人間離れした芸当を見せる。
しかし[大体分かった]程度でここまで戦えるのだろうか?
「つ…強すぎる」
(これは……)
(なんとまあ、戦いづらい……)
最後に残ったのは、緑色の髪をショートカットにした、童顔の眼鏡をかけた女性。
[守ってオーラ]とでも言う物をこれでもかと放ってくる相手に、
さすがの一樹とリクセルも躊躇ってしまう。
ついでに言うと、彼女は既に満身創痍だ、一樹ただ一人を相手にしただけで。
(とりあえずお前はスパシィを戻せ、俺はヘルメットを取るから)
(承知した、もしもの時は頼むぞ)
そろそろ頃合と判断した二人は手を止め、一樹はヘルメットを取り、
リクセルはスパシィを元の刀に戻し、両手を振って敵意がないことをアピールする。
「無断侵入と攻撃のことはお詫びします」
「どうか我らの話を聞いていただきた…」
「お、男?!」
二人が男だと知り、教師陣は殆どパニックに近い状態で騒ぎ始める。
「え…えっと」
「とりあえず、落ち着いて話ができる場所はありますか?」
「でしたらこちらです」
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応接室に通された二人は、話し合いに応じてくれた教師、
[山田真耶]と向かい合っていた。
彼女曰く、本来対応すべき教師は出張中なので、自分が応対するそうだ。
「私はここIS学園教師、山田真耶です」
「民間軍事会社フォーチュンイズモ自治区飛翔市支部所属リンゲージ、桜野一樹です」
「同じく飛翔市支部所属リンゲージ、リクセル・C・フォンブラウンだ」
お互い、聞き慣れない単語に眉をひそめる。
どちらも[自分が暮らしている世界]では常識の範疇だが、[異世界の住人]には
聞いたこともないような単語なのだから当然だが。
「フォーチュンとはどんな組織ですか?」
「……ガーディアン、リンゲージ、ミーレス、アビス、これらに聞き覚えは?」
「いえ、どれにも」
二人は頭を抱えた、途轍もなく嫌な予感がしたからだ。
先ほどリクセルが言った単語も、彼らの世界では常識の範疇だが
知らないと言われたからこそ、自分達にとっては最悪といってもいい予想が浮かんだ。
「失礼ですが、世界地図はありますか?後今の暦は?」
「今は西暦です、世界地図は…」
自分達の世界世界では過去の暦である[西暦]、そして表示された世界地図。
二人は予想が的中したことに、深い深い溜息を吐いた。
「確定しました、我々はこの世界の住人ではありません」
戦闘シーンに難有り、もっと精進しなければ