従者達を人払いし至高の41人の円卓にて二人席についていた。
オーバーロードにて此処、ナザリック地下大墳墓の主にしてギルド《アインズ・ウール・ゴウン》の現ギルドの長モモンガ、そしてその向かい側に座るのは.....
二人目:眼鏡美女系ゾンビ
「ねぇモモンガさん。」
「ん、どうかしましたか?」
モモンガに声を掛けたこの女性、スラッとした華奢な体にデミウルゴスと同じようにスーツを着こなし、動く度にさらりと揺れる髪質のロングヘアー、一目で美女と思える顔付きに眼鏡。これでは人間種と思えるだろうがそうは思わせないのが
彼女はモモンガと同じアンデッド種だが、彼女はミイラ、そしてリビングデッドになっていた。
これでも彼女はギルド内で負けず劣らずのパワー系なのだが此処ではその話題は活躍しないので割愛しよう。
「この世界に来て私一つ疑問に思ったことがあるんですよ。」
顎に手を当てて考える彼女はとても聡明で謙虚な見た目の女性だろう。但し、彼女とは長年ゲームプレイしてたから分かる彼女の難点をモモンガは理解していた。
「.....何ですかそれは。」
「ズバリ、この世界で恋愛は男同士が主体なのかです!」
「(あー、腐ってんなぁ....。)」
彼女は
「モモンガさん、異世界ですよ!もしかしたら中世をメインにした時代背景じゃないですか!つまり
こうも熱弁する彼女にモモンガはドン引きだった。男性であり、同性愛をしない人に説かれても困り者なのだが、ユグドラシルでもギルドメンバーに同じ事を説いた為、何人かから苦情というか愚痴というか、それを聞いた彼女の反応はまるで死人のような雰囲気を醸し出したので注意できず見守るしかなかった。
モモンガ自身はぶっちゃけ、趣味の合う人、ぶんぶく茶釜さんやペロロンチーノさんとかが居れば良かったのになぁと思っていた。
「....まぁ異形種となった時点で人間対しては虫けら以下の認識になってしまいましたから、俺はあまり思わないですね。」
モモンガの苦肉の策は、話を反らすことだった。
「.....そんな事言わないで下さいよぉモモンガさん~。認知したくなくても、内心はそこらの人間の普通の夫婦なんて只の背景の中の雑草のような捉え方しかできないんですから!!」
この点は同じアンデッド種になった事で人間の見方が変化したとモモンガは知った。そして自分は人間を改めて辞めた事を理解した。
「だからこそ、その雄しべ同士の愛合体こそ最高なのですよ!寧ろめっちゃ興奮する!!」
それは理解したくなかった!てか、あれぇぇぇぇぇぇぇ、話の内容が向上した!?
と、
「エイドジップアサシン達には周囲の調査をーー」ウンヌンカンヌン
「それでしたら生態系の調査も行った方がーー」ウンヌンカンヌン
「ナザリックを隠蔽したから暫くは大丈夫だろうーー」ウンヌンカンヌン
「でも中世な世界ですけどいきなりこんもりと山二つ出たら調査が入りーー」ウンヌンカンヌン
今後の対策に二人は熱が入り互いに意見を言い合った。この世界で起こりうるだろう予測や難点を指摘し合い、より強固な守りの物へとなりつつあった。
「だとするとあれがこれでーー。」
「そうですね....。」
「兎に角、此処は別世界なのですから慎重に行動を....。」
「.......。」
「...あの~、聞いてますか?」
「......。」
正に自分の世界に入り込むように顎に手を当て考え込むゾンビ女を観てモモンガは「またなに考えてるのか...」と少しだけ恐怖が脳内に過る。そして少し経ち思考まで腐った女性は口を開く。
「オールド系堅実竜人執事がインテリガングロ系参謀男性悪魔にくっ殺されながら愛合体&ランラン産み産み物ってどう思いますか?モモンガさん。」
「....すみません、マジで何を言っているかが分かりません。」
絶対に解ってたまるか!ともう彼女は道端に棄ててある泥塗れのR指定の本のように思えてしまう。アンデッドだから萎えるも糞も無いけどね!っとキャラ崩壊並みに興奮して
「兎に角!俺もう行きますからね!!」
「あぁ、待って下さいモモンガさん!」
「何ですか!」
モモンガが心の底で腹が煮え繰り返りながら颯爽に退室しようとしたがゾンビ女に呼び止められ、「今度は何を聴いてくるんだ?!」と感情が露にながらも振り返りモモンガはゾンビ女の方を向いた。
「私、モモンガが居て良かったと思いました。いや、元々なかなかログインできなかった私が言うのも難ですが。もし私一人がこの世界に来ちゃったら、もうどうしていい分からずNPCの皆に的確な指示を出せなかったと思います。」
「....それは俺も同じです。此処は別世界ですから、どんな事が起ころうと不思議ではないのですから。俺にできる事は最低限の自身の身を、そしてこのナザリック持ちうる手札を全て使い守る事です。それより何より大切な仲間の一人である貴女がいる事が俺の心の支えなのですから。」
ゾンビ女のその想い先程の怒りが無かったかのように同じく自身の想いを語ったモモンガは嬉しく思った。ユグドラシルサービス終了に来てくれたギルドメンバーは数人、だが皆
「....ホントに怖かったです。」
「◯◯さん....。」
「だって....私一人だったらマーレ君を受けにコキュートスや恐怖公にカップリングの命令してしちゃうかも知れなかったので!」
「....。」
暖かった心が急に冷えた気がした。逆にゾンビ女の包帯の隙間から見える青白い頬が紅潮してきたのだ。
「あぁ...ニューロストにデミウルゴスやセバスを拘束して苛めるのも興奮する!ぁあああ、脳ミソとろけそう!」
そのまま溶けてしまえ。とモモンガは顔を背けて思った。
「でも、やっぱり、モモンガさんがデミウルゴスとセバスのサンドイッチを見てみたい。」
「.....はぁ。」
「あぁでも、モモンガさんとパンドラズ・アクターの親子丼もふぎゅっ!?」
モモンガはゾンビ女の頭を掴み持ち上げた。それは腐った頭をスイカのように例えるが如く、外装が罅が入る音が鳴り出す。
「ちょっ、モモンガさん!不味いです!頭がミシミシって!?出ちゃいけない物が出ちゃいます!!」
「少しは頭を冷やせ。」
「ガチ怒!?マジすいませんでした!嘘っ、マジックキャスターなのに筋力極振りの力で外れない!?これ作者全力で殺しに来てる!!ぎゃああああああああっ!!」
この日、ナザリックに脳天を貫かれた腐った悲鳴が響き渡った。