Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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いつもありがとうございます


8話

 

「すっげぇ……」

「すごい……」

 

 スバルと少女が瓦礫の山を見ながら呟く。

 

 一方通行はそちらには反応せず、目を細める。

 

「まだか……」

 

 土煙が晴れた山頂には、這い出てきたと思われるエルザの姿があった。

 

 とはいえあれだけの衝撃だ。エルザは疲弊し、額には汗を浮かべていた。

 

「そのまま大人しくしてりゃァ逃げることもできただろォが」

 

「はぁ、はぁ、逃げる……? 傭兵の私がその選択肢を入れるのはまだ早いんじゃないかしら」

 

 そして一方通行に襲いかかるエルザ。投擲がダメなら直接ダメージを与えてやる、という魂胆だろうが。

 

「ぐぅっ……」

 

 ナイフを振るった瞬間、ダメージを負ったのは自分だった。

 

 一度距離を取るが、エルザの腕はあらぬ方向へと曲がっている。更にククリナイフもバラバラに砕けていた。

 

「わっかンねェかなァ。そンな小ネタじゃァ、俺には届かねェよ」

 

 その場で足踏みし、エルザを更に後方へと吹き飛ばす。

 

「さァさァ、ボロボロな上、武器を持つことすらできねェ。諦めて逃げ出したらどうだァ?」

 

「……いいえ、腕ならもう治ったわ」

 

「ァ?」

 

 直後。再びナイフを持ったエルザが這うような動きで一方通行へと接近。

 

 否。一方通行を通り越す。狙いは銀髪の少女だった。

 

 この距離では、魔法も間に合わないだろう。

 

「うぉぉぉーー、燃え上がれ俺の中の何かぁぁーー!!」

 

 いち早く気付き、走り出していたスバルは両手を広げて二人の間へと割って入った。

 

「ぃっくしょぉぉーーー」

 

 スバルは自分が切られることを覚悟する。覚悟せざるを得なかった。自分が死ぬことで少女を守れるなら、と最後にやっと心と行動が共通した。

 

(これで────)

 

 だが少女の恐怖も、スバルの覚悟すらも、杞憂であることに変わりはなかった。

 

 

 

 

 

 

ドゴッ!!

 

 とスバルの目の前に壁が現れる。正確にはスバルとエルザの間の地面が盛り上がり、壁となっていた。

 

 そして瞬間移動でもしたかの如くエルザの目の前に一方通行が現れ、怒りを表明した。

 

「ふざけてンのかテメェ!!」

 

 その拳でエルザを殴り飛ばした。

 

「うぉぉ、た、助かった。サンキュー一方通行」

 

「あ、ありがとう」

 

 一方通行が作り出した壁によって難を逃れた二人は改めて感謝の意を示す。が、当の本人は

 

「……悪いな」

 

 と短い謝罪をした。

 

 そして起き上がったエルザへ向けて投げ掛ける。

 

「オマエは俺に勝てないと分かった瞬間、逃げるべきだった。俺の目的はオマエを殺すことじゃねェ。追いかけるつもりもなかった、が」  

 

 そして右手を天に突きだし、歪な笑顔で告げる。

 

「アハッオマエ、もうダメだわ」

 

 そして右手でプラズマを形成しようと空気の圧縮にかかった。

 

 すると突如、一方通行の足元に紫色の光を放つ幾何学模様が現れた。

 

「まさか、魔法陣ってやつか」

 

 スバルはそう推理する。

 一方通行は、心当たりがないが演算は問題なくできているため続けることにした。この世界に来て何度も思うからか、そういうものだと割り切るのに時間はいらなかった。

 

「圧縮圧縮空気を圧縮」

 

 そして発生した濃い紫色のプラズマ。

 

 どういうメカニズムかは知らないが、元の世界とは同じようで違うみたいだ。

 

「……ちょっと、肩貸して」

 

 少女が突然衰弱したように膝を折って座りこんだ。つられてスバルも座り、彼女を支える。

 酷い熱だった。先程までの少女の面影はなく、病人のように弱っている。

 

「ど、どした? 急に体調でも……」

 

「違うの。マナが……」

 

 何が何だか分からないが、少女は一方通行の頭上にあるプラズマを指差した。

 

「一方通行! なるべく早めに頼む!」

 

 と、声をかける。

 

 一方通行も少女の異変に気付き、右手をエルザに向けて振り下ろす。

 

「格の違いを見せてやる」

 

 放たれた巨大なプラズマはエルザのみに止まらず、後ろの瓦礫の山を飲み込み激しい光を撒き散らしながら霧散した。

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

 土煙が晴れ、目が慣れたスバルは何が起きたか確認した。そして目を思いっきり見開いた。

 

「う、うぉぉぉーーなんじゃこりゃーーーー!!」

 

 そこにあったのは山だった。だが先程までのゴツゴツ感はなく、まさに砂の山。盗品蔵の一部分であっただろうものが全て粉々になっていた。

 

 手で掬うこともでき、木か鉄かなど見分けがつかない。

 

 スバルにとって一番近いのは海の砂浜だろうか。日差しが強くてパラソルにずっと隠れてた中学時代を思い出す。

 

「どうなってんだこりゃ」

 

「物質を分子レベルでバラバラにした」

 

 と言われてもスバルには理解できない。

 

「まァこうなるとは俺も思わなかったが……ところで、お前は平気か?」

 

 一方通行は立ち上がった少女に声をかけた。

 

「大丈夫、になってきたけど、さっきのは...」

 

「プラズマ、て言って分かるか?」

 

「ぷらずま?」

 

「あァ、いや、あー、俺の攻撃だ」

 

 説明がめんどくさくなって適当に答える。

 

「流石に死んだよな……?」

 

「……普通だったらな」

 

 一方通行は念のため、と砂の山に近づき確かめようとした。

 

 その時、コロン、と石かなにかが転がるような音をスバルは聞き逃さなかった。

 

 棍棒を拾い上げ、少女の前へと出る。

 

「あくせらっ……!?」

 

 一方通行、と呼ぶ前にスバルは視界の端の影に気付く。一方通行が入ってきた穴だ。エルザはあの攻撃を最低限で受け、回り込んでいた。咄嗟にその影に視点を合わせる。

 

 が、遅かった。

 

「狙いは腹狙いは腹狙いは腹ぁぁーーー!!」

 

 棍棒を盾にし、ナイフを防ぐ。だが攻撃はそれだけに止まらず、スバルは蹴り飛ばされてしまう。

 

「また邪魔が入った、けれど」

 

 それはとても一目ではエルザと分からない。全身から流血し、何故動けているのかも分からない。

 

 そしてある意味病み上がりで無防備な少女に狂人の刃が迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 




これ何番煎じすかね

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