Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう) 作:因幡inaba
ある程度自分の現状と向き合い、調べたところで俺は禁書庫を出た。
去り際に金髪ドリル幼女から「二度と来るんじゃないのよ」との有難い言葉を頂き、適当に返して出たところ、入った時の場所と出た時の場所が違うというのは中々面白い。
「扉渡り、割りと攻略は簡単そうだがな」
扉渡りは『閉まっている扉の中からランダムで禁書庫へと繋げる』、つまり屋敷中の扉という扉を開けっ放しにしていったらいつかは必ずたどり着く。それに、元から人がいる部屋には繋がらないだろう。まぁこれらは仮説でしかないが。
といってもこの館の広さだ。どう考えても40は超える扉がある。わざわざ開いて回る人間はいない。
「何事にもイレギュラーは付き物っつゥことだな」
書庫から拝借してきたボロボロの本を見ながら呟く。
この世界単位で400年前に
「お客様、当主ロズワール様がお戻りになられました」
後ろから声をかけられる。振り向くと桃色の髪を揺らすメイド。ラムがいた。
「ようやく、か」
研究も一段落ついたとこだ、ちょうど良い。
「あっちの、レムはどうしたンだ?」
「レムはもう片方を迎えに行ってるわ」
「オマエスイッチ切れるの早ェな」
俺的には楽な話し方でいいが、使用人としてはどうなのだろうか。
「そういえば、まだ名前を聞いてなかった」
最早完全に仕事モードは砕けたようだ。立ち止まり、堂々と聞いてくる。俺は苦笑いして名乗る。
「アクセラレータだ」
「長いわ」
「What?」
「そうね……アクセラ、もしくはレータでどうかしら?」
「……好きにしろ」
仮にもお客様にこの態度。マイペースといえば聞こえはマシだが、これはただのめんどくさがり屋だ。
ただ別に悪い気はしない。興味の外ってだけで割りと何でもめんどくさいもんだからな。
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前略、俺は今驚いている。
当主が戻り朝食というラムの報告を受け向かったのは絵にかいた様な大広間。中心に豪華な装飾の長テーブル、上座を含め9つの椅子があり、正に金持ち御用達みたいなテーブルクロス。エミリアとスバルが並んで座り、その向かいが俺の席、少し離れた位置にベアトリス。なんでこいつ俺より早くここに来てんの?
「よォまた会ったな」
ベアトリスにそう声をかける。
「ベティーはにーちゃに会いに来ただけかしら。気軽に話しかけるんじゃないのよ」
確かにそう言うベアトリスの手にはパックが乗っている。ベアトリスはパック相手には猫なで声すら惜しまぬ程だ。
だがそんなことはどうでもいい。
「あはぁ、君がもう一人の客人君だね。とりあえず座りたまえよ」
「お、おォ」
俺に座るよう促す上座の人物は、奇怪なピエロだった。表現に必要なのはこれだけで十分だ。何代も続くメイザース家当主は個性的だとは聞いていたが、これは変態だ。個性的とかではない。
座りざまに目線を変えスバルを見る。見た感じは元気なようだが……
「よ、おはようさん。その節はサンキューな!助かったぜ」
片眼をつぶり親指を立てる。死ねばいいのに。
それにしてもあれだけの傷が一晩で完治……魔法、便利だな。
俺はピエロとスバルを見比べる。二人とも、はてなという目で俺を見る。
そしてスバルで視線を止め、一言。
「紙一重……」
「おいぃ!俺とあれを比べんじゃねえぇーーー!」
変人の悲痛な叫びが響いた。
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人が揃ったということでラムとレムにより朝食が配膳される。
異世界といっても食事は地球でいう洋食のそれと一緒だった。使われてる食材は呼び方こそ違うが見た目はほとんど同じ、サラダは彩り豊かで絶妙な焼き加減のトーストにはハムのようなものがのっている。
「では頂こう。──木よ。風よ。星よ。母なる大地よ。」
手を組んで目を瞑り、祈るように言葉を紡ぐピエロやレムとラム、それにエミリアとベアトリス。
食事の前の儀式的なものだと察するのは容易だ。俺はそれに習い、同じ体勢を取る。
なぜ?
俺も随分丸くなったものだ。前世ではちょっと外を歩けば襲われ、常識とは思えない実験に協力して人格破綻者と言われていたのに。
「ではお客人、いただいてみたまえ。こう見えて、レムの料理はちょっとしたものだよ」
促されるまま料理に手をつける。
「む、想像以上に美味ぇ」
大方俺と同じ感想をスバルが述べる。見た目だけでなく味自体も地球と変わらない。どころか料理人がいいのか腹が減ってるからなのか、普段と比べ物にならないほど美味しい。
そもそも俺とスバルは時系列こそ同じといえ、体感時間は長いのだ。久しぶりの飯ということもあるということ。昨夜は即寝てしまったしな。
「そぉーだ、スバル君はともかく。君にはまだ名前を聞いてなかったね」
「俺はアクセラレータと名乗ってるが、なンとでも呼ンでくれ」
さっきも毒舌メイドに長い、と言われたばっかだ。それにこの世界では最早本名で名乗っても差し支えない。今さらそんな気は無いが、それも相み呼ばれ方には拘らない。
「それではアクセラレータ君と呼ばせていただこう。とぉっても格好いい名前じゃない」
「……そりゃどォも」
鳥肌立った。マジもンの変態かよ。きめぇ。マジきめぇ。スバルの話し方くらいきめぇ。
「おい、コイツこれでもこの国一の魔法使いだってよ」
「これでもとか言ってるが、俺からしたらお前もコレも大差ねェな」
「あはぁ、やはり私とスバル君は似ているようだねぇ。アクセラレータ君公認だ」
「やめて! これ以上俺のハートをえぐらないで! もう俺のハートは俺史上ぶっちぎりでブロークンしてるの!」
「え……え?」
エミリア。理解しようとしなくていい。コイツが何言ってるのかは同郷の俺でも分からない。
「にしても驚いた。天性の才能と卓越した知識と技術を持って宮廷筆頭魔術師の名を欲しいままにしたロズワール・L・ メイザースがこんな変人とは」
この評価はロズワールを指す上で必ずといっていいほど綴られていた。そしてこれは過大評価ではなく正当な評価。そう考えると流石に変人とは書けない、が。
「ふぅーむ、素晴らしい響きだ。初対面の人にこんな賛辞をいただけるとは、嬉しいものだぁーね」
「変人も賛辞か」
「仕方ないわ。ロズワールは国公認の変人だもの」
中々面白いやつだ。国一番の魔術師であり国一番の変人とは。
「あーらら、エミリア様も手厳しぃーね」
とここで少し疑問が生まれる。
「……何故オマエがエミリアのことを様付けで呼ぶ?」
「君たちはほーんとぉに面白い。このメイザース家に客人として来ていて事情をなーんにも知らないって言うんだから」
事情か。そういえば魔法やらなんやらにかまけて、ここルグニカ王国については何にも調べてない。
「まァこれから調べればいいからな」
「そうそう、これから調べればいい。って俺ら字が読めないんだっけ?」
「俺はさっき大体理解した。生活に支障が出ない程度にはな」
「えぇ……ほんの数時間でマスターしたんすか?」
「三種類だ、あっちよりマシだろ」
あっち、というのは勿論地球のことだが、地球の言語の種類は果てしないからな。といっても当然イロハの3つだけとも限らないわけだから、実質まだまだ研究の余地はある。
「ほぉ、文字も読めなかったと?」
「すンだ話だ。読める前提で話してくれ」
「俺が無理なんですけど?」
知らん。死ね
「知らン。死ね」
「本音と建前は使い分けるためにある...」
「へェーえ」
呆れるほどどうでもいい。そんな無駄な会話をしていると、スバルの隣人から笑みがもれた。
「フフッ、やだ二人っとも」
今の会話でどこに笑う要素があるだろうか?あるとしたらスバルの頭くらいだが、あれで笑うとしたら苦笑いだろう。相変わらず女というのは分からん。
「そろそろ本題にはいってもいーぃかな?」
そして俺は国の
お疲れ様です。
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