Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう) 作:因幡inaba
「率直に言うと、この国には王がいない」
王国なのに。不思議な話であるが、詳細はこうだ。
「本来、王は世襲制でね。その血族が継ぐことになるんだが──」
半年前突然起きた、特定の血族に感染する病によって王家は全滅。しかし王がいない国などあってはならない。そうなると新たな王を選ぶ必要がある。
ルグニカ王国は『親竜王国』とも呼ばれてあるとおり、竜との盟約のもと成り立っている。そこで王は竜と盟約を結ぶ資格のある巫女から選ばなければならない。
あの徽章は特殊な素材で作られてあり、巫女の資格がある人物が触れると光り輝くのだ。
だからこそエミリアは徽章だけはなんとしても、と奮闘していた。
ロズワールはエミリアの支援者という立場にある。もしエミリアが王となれば、ロズワールも相応の地位に就けるということだ。
「この話聞くと、俺らって想像以上にとんでもないことしたんじゃね?」
スバルが身を乗りだして言う。
「うん、だから私は二人に感謝してもしきれない恩がある。私にできることならなんでもやるつもり……どんな、ことでも……」
そうしおらしくされると、こっちが悪い気分になってくる。そもそも俺の分はもう済んだはずだ。欲がない、とエミリアは言ったが正直ゴミ清掃の給与としては破格だ。大して苦労してないだけに、こう思うだけかもしれないが……。
スバルが何を要求するかは分からないし興味がない。
いや、待てよ。
「そンな重要な物持ってあンなとこをエミリアは一人でうろついてたのか?」
「いぃーや? 付き人としてラムが同行していたはずなのだが……」
件のメイドはしれっとレムと同じ髪型にして誤魔化そうとしている。モノクロだったらごまかせたかもしれん。
「つゥことは、だ」
ロズワールと目を合わせつつ意味ありげに言う。ロズワールはすぐに察し、俺の望む答えで返してきた。
「なぁーるほど。確かにこの件、私の監督不行き届きを訴えることもできる。金銭面では極貧のエミリア様より私の方が要求できる幅が広がるってわけかぁーな?」
その通り。変人でも王国筆頭宮廷魔術師、察しがいい。
「加えて言やァ、これは交渉じゃない」
「賢しいねぇ。いいだろう、今回の徽章盗難の事実を隠蔽するためそれなりの対価を支払おう。言ってみたまえ」
そう、王候補という立場にある以上、その証ともいえる徽章を盗難されたというのは、それだけで王候補の資格を失うかもしれない事実だ。公にするわけにはいかない。
「本当か!? 男に二言は無ぇぞ!!」
これを聞きいきなり騒ぎ出すスバル。なんとまぁ、欲に忠実というか……。
「すごい言葉だねぇ。ふむ。確かに男は言い訳しないべきだ。二言はない」
「なら!」
その後、スバルが言ったことをこの場の誰が予想できただろうか。
「俺をこの屋敷で雇ってくれ」
本当になんとまぁ……予想の斜め上を行くやつだ。
お疲れ様です。
よってらっしゃいみてらっしゃい
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