Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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こんばんは!これは一応今日の分です。
そしてですね、序章から2章6話に至るまで全パート細かい修正をしました。以前に比べると格段に読みやすくなっていると思います。読み返してやるよっ、て方は是非!たくさんの指摘ありがとうございます!


7話 それぞれの思惑

 雇ってくれ、と言い放つとは。微妙に思考が重なるのがイラつく。この選択は俺も視野に入れていた。俺とスバルにこの世界を生きていく術はない。基本的な社会知識や常識が欠如しているからだ。職探しが最も苦労することだろうと思っていた。

 

 そういう意味でこれはアリだ。

 

「ほ、本当にそれでいいの?」

 

 そうエミリアが聞く。まるで信じられない、といった感じだ。

 

「む、やはりなんの履歴もないやつが働かせてくれってのは無謀すぎるか」

 

「そうじゃなくて、欲がなさすぎるの!」

 

「私が言うのもなんだけど、エミリア様の言う通り欲のない話だと思うよ?」

 

 エミリアに続きロズワールまでもがそう言う。当然こいつらは俺たちの事情を知らない。

 

「いやいやエミリアたん、ロズっち。何の取り柄もない俺がひょんなことで好きな子と一つ屋根の下で働けるなんて、こんなラノベ主人公な展開はないぜ?」

 

 前言撤回。コイツは俺とは違うとこで考えている。

 

「ちょっと何言ってるのか分からないけど……どうしてなのよ……」

 

 おそらく彼女はこう思っている。

 

 恩と礼がまるで釣り合わない、と。

 

 王都でもあいつは命を救うことの代わりに名前を聞いた。命と名前だ、比べるとかいう次元ではない。彼女のように真面目な人間はそれだけでも負い目を感じているはずだ。

 

 スバルはそれを察したのか、こう言った。

 

「勘違いすんなよエミリアたん。俺はその時その時で自分が一番欲しい物を望んでるぜ? むしろ俺ほど欲に忠実な人間はいないまである。それに俺ってば天下無双の無一文。明日明後日贅沢できたとしても長い目で見たらなーってとこあるじゃん?」

 

「……それなら別に、食客扱いとかでもいいじゃない」

 

「その手があったか!? ロズワーーール!?」

 

 とんでもないスピードで首をひねり、ロズワールを見ながら言うも、

 

「最初の要求が有効です。男に二言はないからねぇーえ」

 

「そうだよね! 男は二言とかしないもんね!」

 

 と口では言ってるが、実際スバルはあまり後悔してないだろう。エミリアがいる限りスバルの目的はここロズワール邸にあるのだから。

 

「して、君はどうするかね? アクセラレータ君?」

 

 こちらを見ながら言うロズワール。どうでもいいが、未だにコイツに呼ばれると鳥肌が立つ……。

 

「ン、そォだな」

 

 よく考えると、今目の前にいるのは国一番の魔導師なんだよな。

 

「なら俺と戦え……ってのは」

 

 そう言った瞬間、一瞬で俺の背後に移動したレムが冷たい声で言い放つ。

 

「無礼者」

 

 背に立つ一見か弱い少女から、尋常でない力を感じた。

 

 なんだコイツは……ベアトリスといいエミリアといい、人じゃない奴等は異端な力を持っている。が、コイツは段違いだ。これでもまだ力の一端だというのが余計に恐ろしい。あのエルザと比べてもまだ余る。

 

 アレはあれで化け物だったが、戦い方が物理一本のシンプルなものだったから、余裕があった。魔法やら精霊術やらを絡めて来られては太刀打ちできない。今は。

 

 つまりエミリア(パック)やロズワールを相手取るなら、負け勘定だ。レムやラム、ベアトリスも同様、戦うには早すぎる。

 

「冗談だ。俺もスバルと同じで頼む」

 

「ほう、それでいいのかい?」

 

 特に言うこともなく、その問いに頷いた。

 

「いーぃでしょう。では今日この時より、二人を我が館の使用人として認めよう。願わくば、仲良くやっていきたいものだね?」

 

「そっちにその気があるならな。まァ、じっくり精査してくれ」

 

 少し意味ありげに応えた。

 

 仮に、だ。

 俺たちが手土産云々はともかくとして、『今すぐ出ていく』という選択肢を取った場合どうなるか?

 

 最悪視界にいるエミリア以外の者と戦闘になるだろう。

 

 王選候補エミリア陣営において俺とスバルの存在はリモート爆弾のようなものだ。俺たちの気分一つでエミリアは失脚の道を辿る、と向こうは考えている。

 

 無論そんなことするつもりはないが、リモコンは握っておきたいだろう。

 

 互いの思惑はあるも、こうして俺とスバルはロズワール邸の使用人となった。

 

 

 

おまけ

 

 

 

「……」

 

 一通り話が終わり、場が落ち着いた。

 しかしそんな中、ナツキスバルは少しも落ち着いていなかった。それもそう、スバルは会話の流れでサラッと「好きな子と一つ屋根の下」と言った。いや、言ってしまった。その時は噛むことなく言えた自分に賛辞を送っていたものだが、時間が経ち冷静になるにつれ自分を呪いたくなっていった。

 

 そのため彼は先程から落ち着かず、チラチラとエミリアの方を見ては顔を赤らめている。

 

(勢いに任せて俺は何てことを……っ)

 

 今さら後悔の波が押し寄せる。いつもは余計なことばかり考えている彼の思考回路にも、今はその事しか流れない。

 

 流石に今告白の返事について言及するのは無理だ。次に二人になったときにでも、と考えるもその際どんな切り出し方をすればいいのか、と柄になく真剣に悩む。普段は適当に脊髄で話す彼にとっては至難であった。

 

 もしかしたら彼女の方から切り出すかもしれない。その時は覚悟を決めてどんな言葉も受け入れるつもりだ。これは自分の恋路をかけたナツキスバルの一世一代の勝負だった。

 

 ──どう転んでも前へ進む

 

 こう決意し、自分を落ち着かせた。

 

 そんなスバルの戦争の中心であるエミリアは、ため息混じりに呟いた。

 

 「女の子と一緒の職場がいいなんて、不純だわ。……レムとラム、どっちがスバルの好みだったんだろ……」

 

 そんな明後日の方向に飛んだエミリアの想像を、ナツキスバルは未来永劫知ることはない。

 

 

 

 

 




前書きにも書きましたが、本当にたくさんの指摘ありがとうございますm(_ _)m
ではお疲れ様です。おやすみなさい

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