Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう) 作:因幡inaba
何とか間に合いました。
「彼、一体何者なんだろうねぇ」
一方通行がいなくなった浴室で、ロズワールが呟く。
「さぁ? そりゃ俺にも分かんねーよ」
「彼とは旧知の仲ではなかったのかぁな? どういう関係だい?」
「どういうって……ある意味運命共同体、的な、みたいな?」
「なぁんで聞いた私が聞かれてるのだろうか……」
スバルと一方通行は出会ってまだ2日3日の仲だ。彼について理解していることなどほとんどない。
そしてそれよりも、スバルには確かめたいことがあった。
「そんなことより! 魔法魔法! 魔法について話そーぜ! 俺の一から始める魔法道、今宵はのぼせるまで付き合ってもらうぜ!」
ナツキスバルは密かに期待していた。異世界モノ定番のバグチート無双、その能力の有無に。王都で身体能力がそのままだったことから、自分には魔法の才能があるのではないかと。
「アレの後魔法の話とは。順序が違う気がするけどいぃいでしょう。何でも聞いてちょうだい」
「はいはい! 魔法は誰にでも使えるのですかっつーか、俺は魔法を使えますかっ!」
「もちろん、君も人間ならばゲートが備わっている。ゲートは分かるね?」
「分かりません!」
「あはぁ、即答速攻大否定! 素晴らしい。ゲートというのは自分の体にマナを出し入れする門のこぉと。ゲートを通してマナを取り入れ、ゲートを通してマナを放出する。使うにしろ溜めるにしろ、必要不可欠なわぁけ」
「かしこかしこまりかしこ! っつぅことは俺も魔法は使えるんだな!? きたぜきたぜ、俺界隈第二位の人気を誇る魔法使い! あと十三年は先だと思ってた!」
「確かに熟練するには連度が必要だぁけど、十三年は言い過ぎじゃない?」
「それは言葉の綾よ。必要なのは時間じゃない、技術だ。てなわけ魔法についてもっと詳しくよろしく!」
全ての青少年が一度は通るメルヘンな世界、通常よりも深くソレに魅せられたスバルにとって、魔法というのはヒロインと同じくらい重要な要素だ。それが可能と知れた今、単純なナツキスバルが思うは、
──俺の時代キタコレ!!
「まぁゲートにも素養に差はあるんだけどね。これはただの自慢だぁけど、私のように恵まれた才能はそうそういないよ?」
「うっぜぇ! うぜぇけど我慢してやるから、俺の素養とやらはどうなのよ!」
「うぅん、私が見た感じそうだねぇ。十段階評価で私が十なら、君はいいとこ四だね」
「さらっと私満点ですって自慢いらないから。って四!? よん? ヨン?……聞いといてなんだけど、聞きたくなかった……」
身体的能力や精神的能力がそのまま引き継がれた異世界で、魔法くらいは……という淡い期待は無惨にも崩れ去った。
だがここで泣いてはいられない。
「ま、まぁそれはこの際もういい! 続き続き!」
「そ、そぉ? それじゃあ、魔法には基本といえる四つのマナ属性がある。熱量関係の火のマナ。生命と癒しを司る水のマナ。生き物の体の外の加護に関わる風のマナ。そして体の内の加護に関わる地のマナ。ここまでいぃかな?」
「把握した。次を頼む」
キリッ
「なぁに、それ? ……そして常人はこの内一つに適正があればいい方かな。ちぃなぁみぃにぃ、私は四つの属性すべてに適正があるよ?」
「渋い自分夢見たけど二度とやらないわ。そしていちいち自慢挟まんでいいから! で、その適正っていうのはどうやったら分かるの!?」
渋い自分よりも適正属性の方が気になるスバルは、その場でバチャバチャと跳ねた。
「ふふふ、私くらいの魔法使いになるともう触っただけで分かっちゃう。まぁ厳密にはゲートの構造に踏み込んで確認するんだけど」
「マージか! いいねいいね期待度上昇! よっしゃ、早速見てくれ知ってくれ感じてくれ!」
「よし、ではちょこっと失礼」
そういうと、ロズワールは湯船から手を持ち上げスバルの額へと持っていった。
スバルは、才能がないと知った今でも期待に胸を膨らませていた。努力で才能を埋める、ではないが魔法のためなら身を粉にできる自信があった。
「──よぉしわかったよ」
「待ってましたっ! なにかななにかな? やっぱ俺の情熱的かつやるときはやる主人公的な性質が出て火? それとも実は誰よりも冷静沈着でクールな部分が出て水? はたまた全てを置き去りにする爽やかで軽やかな風が出ちゃったり? いやいやここはこのナツキスバル、何事にも動じないどっしりとした気質が出て地だったりして!」
「うん、陰だね」
「What the fuuuuck!?」
その耳を疑うような診断結果に思わず言語が変わってしまった。そんな意味不明な叫びをあげるスバルに、ロズワールは念押しするように
「もう完全にどっぷり間違いなく陰だね。それ以外の属性との繋がりはかぁなり弱い。逆に珍しいくらいだけどねぇ」
「つか陰ってなんだよ! 四属性じゃなかった!? カテエラっすか!?」
「基本の四属性の他に、『陰』と『陽』ってあるの。もっとも、該当者は極めて少ないかぁら、説明を省いたんだぁけど……」
それを聞き、ピクッとスバルの耳がはねる。該当者が極めて少ない、それが表すものは──
「ほ、ほほう、実はすごい属性ってパターンね。五千年に一人とか? 他属性では扱えない魔法が使えちゃうとか??」
「陰属性で有名な魔法は……相手の視界を塞いだり、音を遮断したり、動きを遅くしたりとかかな」
「状態異常特化!?」
たいした持ち物なく異世界に放り込まれ、力、知能ともに補正なく、得られる魔法はデバフ特化。
だが、そんな地味なものでも捨てがたいスバルは、
「ちっくしょう、陰魔法だろうが極めて歴史に名を残してやる……」
と固く決心した。
そんなスバルをよそに、体を起こし浴槽から出ていくロズワール。
「お先に失礼するよ。いやぁ今宵の入浴は楽しかった。またご一緒したいものだね?」
「へっ、言ってろ!」
去る者にも容赦ない言葉を浴びせるスバルを軽く無視しつつ、ロズワールは去り際にもう一言残していく。
「そうそう……アクセラレータ君の前では、魔法の話はあまりしない方がいいかもね。まぁ彼は己をよく知っているみたいだったけぇれど……」
「へ? あ、そう……」
考えるスバルだが、ロズワールの言葉の真意を知るのはまだ少し先だった。
今は、湯船にたいする体の限界を忘れ、自分の未来について妄想するのに余念がなかった。
お疲れ様です。明日の投稿は保証できません。申し訳ない……
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