Re:ゼロから始める一方通行(いっぽうつうこう)   作:因幡inaba

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おはようございます。
更新します。ペース落ちてきたかな?頑張ります


18話 王国と竜

「読み終わった。結構面白かった。微妙な言い回しとか常識感の違いとか、まさに異文化交流って感じ。それでも内容はどこかで聞いたようなのもあったし……うん、新鮮さと懐かしさがあってよかったわ」

 

 童話集を机に置き、感想を述べるスバル。そのあまりに抽象的な内容に、ラムが突っ込む。

 

「煮え切らない感想ね、何か印象に残ったお話はないの?」

 

「ん、まぁやっぱこの竜の話と魔女の話だな。明らかにこの二つだけ別枠扱いだし」

 

 スバルが異世界で初めて読む本。スバルにも心当たりがあるような数々の『The·童話』みたいな話が続く中、異色の物語が二つあった。

 

「魔女の話なんてちょっとポエム風で適当感満載だし……竜の話はなんつーか童話であって童話でない、みたいな。ちょっと深いよなこの話」

 

「……魔女の話は仕方ないことだわ。竜の話にしても、ここがルグニカならば当然のことだし」

 

「あぁ、『親竜王国ルグニカ』な。名前の由来やっとわかったわ」

 

 童話集の竜の話のページを開き、感慨深く頷くスバル。 

 地図で見て最東端の国であるここルグニカが『親竜王国』と呼ばれるのにはしっかりとした理由があった。

 

 単純な話、古来よりここルグニカは竜との盟約によって繁栄を助けられてきたのだ。

 

「飢饉、疫病、他国との戦争と。国の危機と呼べる事態において、竜はルグニカに力を貸してくれたというわ」

 

「んでもって『親竜王国』ね。だいそれたもんだ。これにも王族と竜との盟約だなんて書いてあるし……つーか、この王族ってついこの間滅んだよな? この場合どうなるんだ?」

 

 守らせるだけ守らせて、王族がいなくなったから契約破棄……なんてことになったら竜は怒り狂って大暴れするのではないか、と思考するスバル。

 

「……竜が何を求めているのか。それは童話の通り分からない。この状況で竜がどう動くのか。それは神の、いや、竜のみぞ知るってところだわ、バルス」

 

 つまり竜の動きは、新たに王となる現在の王候補達に委ねられるということ。その意味を理解し、

 

「じゃあエミリアたんにかかるプレッシャーは尋常じゃねーな」

 

「ええ。一国を背負い、その命運を抱え、国を滅ぼすも守るも思いのままの竜と交渉。──考えただけで、童話の一篇になるわね」

 

 スバルはまたも見誤っていた。エミリアにかかる重圧の重みを。

 

 握ったら折れてしまいそうな華奢な両肩に、どれだけの重さがのしかかっているのか。その負担はスバル一人いたところで軽減はおろか、気休めにもならないだろう。

 改めて、彼女の立場を考え絶句した。

 

「仕方ないことだわ」

 

「……女の子なんだぞ。エミリアだって、普通の女の子だ、一人の人間だ。持てる荷物の重さなんざ……」

 

 たかが知れてる、という言葉を飲み込んだ。突き放すようなラムの言い方に、怒りが沸々と上がってくるのを感じる。

 

「──誰にだって生まれ持った資質があり、それに伴う責任がある。エミリア様はそういう星の下に生まれた。だからそのために、エミリア様は道筋がどれほど険しかったとしても、痛みを我慢して上らなくてはならない」

 

「あんなか弱い女の子一人に背負わせるのか!?」

 

「その道を選んだのはエミリア様よ」

 

「っ……」

 

 感極まって大声で激情を表すスバルに、冷気をも感じさせる、冷めた声色で言うラム。息がつまったスバルは、それ以上言葉を紡ぐことは叶わなかった。

 

「荷物を一緒に持ってくれる人がいても、いいとは思う。でも、いずれ辿り着く頂上には、必ず彼女の姿がなくてはならない」

 

 誰が何をしても、『王』という頂に座るのはエミリア本人だ。スバルには、それが分かっているつもりで分かっていなかった。それを自覚し、自分自身にも呆れる。

 

 そこでスーハー、と深呼吸し、沸騰していた怒りを静める。そうだ、この場で怒りを表すのは適切ではない。ラムに当たるのも筋違いだ。今は無理やり納得して、飲み込むのだ。迷子の自分に道案内するように。

 

 少し時間を置き、再び口を開く。

 

「そうだ、ラム。このもう一個の話なんだが……」

 

 謝るのも違う気がして、話題を変えようと童話を指差す。

 スバルが指差すのは巻末に綴られる『しっとのまじょ』という、物語というより詩のようなもの。起承転結などという形式は影も見られず、ただただ『魔女』の恐ろしさを訴えるような負の文が続くそれは、童話でありながら狂気をも感じさせた。

 

「このしっとのまじょって……」

 

「その話はしたくない」

 

 ぴしゃり、とはっきり拒否の言葉を告げるラム。その有無を言わさぬ態度に、スバルは黙りこくるしかなかった。

 するとラムは手早く湯のみと茶托を回収し、片付けると、

 

「長居しすぎたわ。あまりレムに迷惑もかけられないし、そろそろ戻る」

 

「あ、あぁ」

 

「それでは」

 

 すぐさま背を向け、部屋から出ていくラム。スバルはそれを無言で見送った後、ハァーとため息をついた。

 

「ン、終わったのか?」

 

 ここまで何の発言もせず寝転がっていた一方通行が口を開く。

 

「あ、おぉいたんだったな」

 

「アホ、ここは俺の部屋だ。オマエも早く戻れ」

 

「あぁ、そうする。おやすみ」

 

 そう言って童話やらを持って出ていくスバル。その少ししなれた姿を見るも、特に何か行動しようとは思わなかった。

 

「親竜王国ルグニカ……王族と竜との盟約、か」

 

 先程のラムとスバルの話を今ようやく咀嚼し、脳で処理する。そして彼にも、思うことがあった

 

──この国は、何かおかしい

 

 竜はルグニカ建国当時王族と盟約を交わし、それ以来繁栄するための全てに力を貸してきた。飢饉、疫病、戦争etc、だが話が全て真実ならば、半年前に竜は国を見捨てていることになる。王族の死因は伝染病、それこそ童話の通りならそれすらも救ってみせるはずだ。当然、王族の死は国の危機に直結する。ではなぜ竜は王族を助けなかったのか。もしくは助けられなかった? そもそも死因は病などではなかった? それを国民に隠す理由は? 考えれば考えるほど不穏な空気は思考を染める。

 

 ──この国で何かが起きている。いや、起きようとしている

 

 一方通行の直感がそう告げていた。

 

 

 

 




お疲れ様です。
ね、ねむい
てかまじで下手くそでがっかりした。今回一方通行いるはずなのに空気になってたし、難しいです……

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